その日もカンカン照りでめちゃくちゃ暑かった。
宇多方家の茶の間では、パンツ一枚の美耶子が畳に突っ伏してカエルの轢死体のように手足を広げており、同じくパンいちの珠子が枕頭にお供え物を並べていた。
苑子はタンクトップをめくりあげて、胸元に風を送っている。下乳に玉の汗が浮かんでいる。これじゃあせもになっちまうなと思ったので、背後から手を回して下乳の汗をぬぐってやる。それだけだとなんなので、ついでにモミモミする。
「やあん、お兄ちゃんのエッチ」
苑子が甘え声で抗議してくるが、暑いので無視。
美耶子は身体を畳に張りつかせて、体熱を逃がそうとしているらしい。まるで爬虫類だな。
パンツがゆるゆるなので、布と肌の間に隙間がある。おれはパンツの生地をつまんで、つつい、とずらしてみた。おしりの割目が半分以上あらわになる。
なにを思ったのか珠子がつつつと動いて、美耶子のおしりの山を左右に開いて、「へへ、ダンナ、今が食べごろですぜ」と言った。意味はわからんが、珠子がしゃべるのはめったにないことだ。
せっかくの珠子の心づくしだが、こんなところで美耶子のアナルに挿入するわけにもいかないので、べったりと畳の上に腰をおろす。
「てゆーか、今日も暑いなあ」
「遊一、ここ、教えてくれよ」
デカTシャツをすっぽりと着た気恵くんが問題集を片手に茶の間にやって来る。
「今日こそはちゃあんと教えてもらうからな」
鋭い目でおれを見る。むむう、勉強熱心だな。いろいろと。
「もう、気恵まで。いくら暑いからといって、だらしない服装はいけませんよ」
そこに、奥からエプロン姿の一子ちゃんが出てくる。
おれと目があうと、微妙に視線を逸らしてうつむいた。むー。なんか気まずいな。心当たりは五分の一くらいはあるんだが。
「一子おねーちゃん、暑くて死んじゃう。プールつれてってぇ」
美耶子が半ケツのまま、ダダこねを開始。
「……また?」
言いつつ、一子ちゃんも諦め顔だ。この暑さではモラルもへったくれもないことを悟っているのだろう。
「しょうがないわね……」
年少組が歓声をあげる。珠子も無言でばんざいだ。
「わたしは勉強しなくちゃ」
気恵くんがおれを見ながら言う。
「遊一は、どうすんの? わたしの勉強見てくれるの」
さて、「今日は」どうするかな。
それとも、プールに行って……
宇多方家の夏は、まだしばらく続きそうだ。