うたかたの天使たち 第七話

まふゆのファンタジスタ
真冬の幻奏者

苑子編

 風呂から上がり――さすがに何回も入ると疲れるな――おれたちは部屋にもどった。

 苑子がなんか元気ない。まあ、隣の風呂にいつの間にか人がいて、脱いだ服を回収できなかったので、全裸で廊下をダッシュさせたりしたからかもしれないが……そんなことでふつう落ち込んだりしないよな? どうせ旅館のゆかたなんだし。まあ下着は自前だが。

 おれとしては部屋に戻ってからが本番で、あそこに入れたり、おしりに入れたり、中出ししたり、孕ませたりしたかったのだが――最後のはうそ、まずい――苑子に拒否られてしまった。こんなことはめずらしい。おれのいうことを苑子がきいてくれないというのは。だが、苑子がとても悲しそうに、「ごめんね……」というのであきらめた。まあ、明日も半日二人きりでいられるし。

 てなわけでおれは風呂上がりのビールをたらふく飲んで、寝ることにした。

「ちゃんと今日の出来事を旅行記にまとめとけよ」

「え……あ、うん」

 苑子がちいさくうなずいた。

 メガネの奥の瞳が濡れているような気がしたが、苑子はいつもたいていそうなので気にしない。

***

 酔っぱらっておにいちゃんは寝てしまいました。

 苑子は、言われたとおり、ノートに今日のできごとについて書き始めました。

 パピーのおじさんのことをどう書くか、すごく悩みました。

 どう書けば……

 どうすれば……

 もう、本人に聞くしかない……かも……

**

 んー、あー、のどかわいたなー。

 ビール飲み過ぎたか……あれ、しょんべんばっか出て、喉はカラカラになるんだよな。

「おい、苑子、水くれ」

 おれは目を閉じたまま、傍らにいるはずの苑子に声をかけた。苑子も眠っていたらしょうがないが、起きていたらとりあえずおれに奉仕させる。それがおれのルールだぜ。

 だが。

 返事がない。

 おれは目をあけた。部屋の電気は豆球がひとつだけついていて、黄色い弱い光が落ちている。となりの布団はこんもりふくらんでいる。苑子め、寝てやがるな。しょーがない、いつのものように寝ているところを犯すか。あれスリルあるんだよな。宇多方家の場合、隣に一子ちゃんがいたりするからな。まあ、最近では苑子は「一人で寝るから」って一子ちゃんの寝室で寝ることをやめているがな。一子ちゃんは「苑子も成長したんですね……ちょっとさびしいけど」などとゆっていたけど、むろんそれはおれが夜這いしやすいように、という苑子なりの配慮なのだ。

 おれはふとんの山に手を伸ばした。そのときだ。

「……ぁ」

 んあ?

「……ゃぁ……ぅ」

 なんかやらしー声が聞こえてくるぞ。

 どうやら隣だな。壁が薄いから声が漏れてくるんだ。

「はっ……ぁ……」

 女の子の声だ。それも幼い感じの。

 おいおい、お隣、真っ最中かよ。

 おれはとりあえず苑子へのちょっかいは中断し、壁際にずりずりと移動した。壁に耳をつける。

「はぁ……はぁ……おじさん……そこは……」

「気持ちいいんだろ? よだれたらして……」

「だ、だめぇ……」

 壁越しだから、はっきりとは聞き取れないが、なんかそんな感じのやりとりをしているようだ。

 うへぇ……他人のエッチを盗み聞きするなんて、おれ初めてだよ。けっこう昂奮するなぁ。

 おれは枕元にあったお盆を引き寄せて、コップを手に取った。水差しには水が入っているが、とりあえず今必要なのはコップだけだ。(このお盆を用意したのは、たぶん苑子だな。酔っぱらったおれが夜中、水をほしがるってことを知ってるからな)

 コップを壁に当てる。おお、予想通り、聞こえ方が違うぜ。

「すごいな……小学生のくせに、こんなおおきなおしりをして……」

「はぅあ……おじさん、そこはダメ……そこだけはぁ……」

 おいおい、小学生だって? 確かに声もそんな感じだ。幼い感じ。

「だって、こんなに広がるよ? アナルで感じる淫乱小学生め」

 ペチン、ペチン、音が聞こえてくる。こりゃあ、お仕置きタイムだな。

「はゃぁっ! やんっ! やめてぇ……おじさん」

 女の子の声が高まる。こりゃあ、感じてるぜ。すげえな。小学生の女の子とアナルプレイかよ。このおっさん、相当な変態だな。うん。小学生の女の子と温泉旅館に泊まるだけでもそうとうなモンだけどな。

 ――なんとなく身に覚えがあるが。

「おや? おしりをぶたれたのに、どうしてそんなにおまんこが濡れてるのかな?」

「はぁ……う……そんなことないよぅ」

 涙声だぞ。そそるなあ。すげー可愛い声だ。

「おまんこには、さっきたっぷり中出ししてあげだろう? まだ足りないのかな?」

「ふぇ……だって……だって……」

「もう一度おまんこに入れてほしいんだ?」

「……はい」

 おおお? なんだ、この展開。

「行くよ……お風呂場ではバックからだったから、仰向けになって」

 シーツが鳴る音。女の子が姿勢を変えたらしいな。にしても、風呂場でセックスしたのかよ、こいつら。さらに変態度アップだな。

 ――たぶん家族風呂だろうな。あそこなら貸し切りだし。

 ちゅぱじゅぱ、ねばい音がする。こりゃ、ディープキスだな。そうとうねちっこいぞ。

 ちゅぽん、離れる音がする。

「ふふ……メガネが曇るくらい、キスはよかったかい?」

 なんと、小学生でさらにメガネっ子か……

「ん……あ……ボーッとなるよ」

 女の子の声もとろけてるな。キスのうまい男は得だぜ。

「おっぱいも揉んであげる」

「は……あ……」

 またチュパチュパだな。キスか? それとも乳を吸ってるのか? でも、小学生でもむほど胸があるってのもすごいな。

「ん……くぅ……そ、そこっ」

 女の子の声が切迫する。どうやら、男の口は下に移ったらしいな。大事なところをナメナメされているらしいぜ。

「はは……さっき出したのが出てきたよ。自分のを舐めるのは変な気分だね」

 うーん、確かにそれは若干あるな。でも、それは女の子ががんばって俺らの欲望を受け止めてくれた証だからな。

「はぁ……おじさん……も……だめぇ……だめだよぉ」

 女の子がもだえる。これは求めてるよな。

「じゃあ、入れるよ」

 おお行け。女の子を待たせるのは悪だ。

 にゅぷっ……じゅぷっ……

 湿った音が聞こえてくる。ハメてるよ、マジかよ、女の子、小学生なんだろ? しかも、ゴムをつけてるような間はなかったし、生ハメかよ。まあ、すでに中出ししてるらしいから当然か。

 こ、このオヤジ、チャレンジャブルすぎ。ある意味、同志だな。

「おお……おまんこの中……締め付けてくる」

「あぁ……そ……そんな……ひぃ……っ」

 また、ちゅばちゅば。あー、いーなー、べろちゅーしながらピストン運動だよ。おれもやりてー! なんで苑子寝ちまったんだー!

「奥に当たってるの、わかるかい?」

「ぅ……ん……わか……る」

「気持ちいい?」

「……ぃぃ……きもち……」

 すげぇ、小学生とのセックスで、これはふつうないですよ。おれだって、苦労したもん。アソコで感じるようにするまで。

 調教済みってやつですか。

 ますます、このオヤジ、親近感わくなあ。

 しばらく粘膜同士がこすれあう音だけが聞こえて、女の子のあえぎ声が大きくなったり小さくなったり。シーツのこすれる音は体位を変えてるんだろう。

「やっあっ……おじさん……おじさん、イッ、イッちゃう……っ」

 女の子の声が突然高まった。閾値を超えたんだろう。

「いいよ……いきなさい」

 パンパンパンって、たたきつけてるなあ。ペチペチと聞こえるのは陰嚢が当たってるんだな。

「あっ……あっ……いくっ……いくぅっ!」

 女の子が声を放って……イッたようだ。

 すげえな。いつの間にかおれもチンポ握りしめてたよ。なんで苑子とお泊まりに来て、隣のカップルのエッチを盗み聞きしながらオナニーしてるんだ、おれ。

 でも、この声、なんかたまんなくて。

「まだだよ……約束通り、おしりの穴も楽しませてもらうよ」

「はぁ……あ……お、おじさん……も、あたし……」

「おしりを上げて」

「はい」

 素直な子だ。頼まれたらイヤと言えないタイプだな。なんか、ぽっちゃり型でメガネが似合いそうだな。いや、なんとなく。

「おお……おしりの穴も柔らかくなっているよ? 期待したのかな?」

「そんなこと……」

「こんな小学生の女の子がいるなんて……ほんとうに女神さまだ」

「あっ……くぅっ……」

「入るよ、おじさんのチンポ、おしりの穴に入っていくよ」

「は……ぅ……ああ……お、大きいよぉ」

「彼氏のとどっちが大きい?」

 男の声に嗜虐性が加わる。なんだ? なんて言った?

「ああ……おじさんのチンポぉ……おじさんのが大きいよぉ」

「きみを調教してエッチな身体にした彼氏のチンポと、おじさんのチンポ、どっちが感じる?」

「あああ……あ……だめぇ……」

「聞かせてあげたまえよ、きっと隣の部屋で聞き耳をたてているよ? さあ、言ってごらん――苑子ちゃん」

「はああっ! いやぁっ! き、気持ちいいのぉっ! おにいちゃんとするより……おじさんがいいのぉっ!」

 女の子が快楽に酔いしれた声をあげた。

 おれは身体ごと振り返り、手を伸ばし、布団のかたまりをつかんだ。その感触は――

つづく


バッドエンド 苑子の手記4