酔っぱらっておにいちゃんは寝てしまいました。
苑子は、言われたとおり、ノートに今日のできごとについて書き始めました。
パピーのおじさんのことをどう書くか、すごく悩みました。
どう書けば……
どうすれば……
もう、本人に聞くしかない……かも……
おにいちゃんはよく眠っています。今なら、抜け出してもわからないと思いました。おじさんときちんと話してわかってもらえれば、もとの通りにもどれるかもしれません。
そうなれば……そうなってほしい……
苑子は音をたてないように気をつけながら、部屋を出ました。
ひとけのない廊下に出て、苑子は自分がどきどきしていることに気づきました。こわいから? それとも、なにか期待してる?
ううん、そんなはずない、そんなはずは……
「よくきたね、苑子ちゃん」
パピーのおじさんは浴衣姿で座って、お酒を飲んでいました。顔が赤らんでいます。笑っているけど、でも、どこか、こわい気がします。ぜんぶ見すかされているような。
「待っていたよ? さあ、こっちに来なさい」
でも、そっちにはふとんがあるんです。苑子は部屋の入口で固まっていました。
「どうしたんだい? そこは寒いだろう?」
苑子は首を横に振りました。おじさんのはだけた浴衣の下、胸毛がはえていて、まるでクマみたいです。
あの毛はどこまでつながっているんだろう、苑子はそんなことを考えている自分に気づいてびっくりします。そういえば、電車のなかでも、露天風呂の脱衣所でも、家族風呂のときさえ、苑子はパピーのおじさんの裸を見ていないのでした。
そのことに思い至ると、同時に、これまでおじさんにされたことを思い出して、心臓の鼓動がますます速くなっていきます。
「おじさんがそっちにいこうか?」
「いえ……いきます」
苑子は顔をふせたまま、部屋のなかに入っていきました。お酒のにおいと、おじさんのにおいが混ざり合っています。いつもならいやなにおいだと思うはずなのに、でもいまはそんなにいやじゃなくて……
「立っていないで坐りなさい」
おじさんに言われるままにふとんのうえにすわりました。
苑子はおじさんの顔がまともに見られません。目があったら、またななんでも言うことをきかされるような気がしました。
「なにか飲むかい」
おじさんはジュースをすすめます。苑子は首を横に振りました。話さなきゃ、ぜんぶなかったことにしてくださいって、言わなきゃ。
でも言葉が出てこないのです。
そんな苑子をおじさんはじっと見ています。
「ふたりきりでちゃんと話すのはひさしぶりだね。プールのとき以来だ」
そうなのでした。まともに顔を合わせて二人だけで話す機会は今日はなかったのです。信じられないですが。
「あの時の青年はとなりの部屋で寝ているのかな」
おじさんは薄くなった後頭部をなでさすりました。
「まったく達人級だね。頭を一撃するだけで気絶させるとは。彼は武道でもやってるのかい?」
おにいちゃんがこのおじさんをたたいたときのことを言っているのでしょう。でも、それは苑子を助けるためでした。
「おにいちゃんは、わ、わるくない、と思います」
苑子はつっかえながら、なんとかそう言いました。おじさんは不思議そうな顔をします。
「そりゃあそうだよ、あれはぼくが悪い。苑子ちゃんをだまして、むりやりエッチなことをしようとしたんだから」
「え」
「誤解しないでほしい、ぼくは彼に含むところはない……うらんだりはしていないよ」
苑子のためにわかりやすい言い方に直してくれました。
「ただね……あのときぼくはどうやら壊れてしまったらしい」
「う、うそ」
苑子はおじさんを見つめました。どこか、重いケガでも……とはいえおじさんがすごく元気なことは、苑子もわかっています。ケガ人は、お風呂で女の子をどうこうしたり、しないでしょう。
それでも苑子は気になっておじさんの手足やおなかに視線を走らせました。おじさんはくすぐったそうに笑って
「たとえだよ、たとえ。心配してくれてありがとう」
と、言いました。それから表情をまじめなものにして、続けます。
「壊れたのは心さ。苑子ちゃん、あの日以来、ぼくはきみのことが忘れられなくなった。本気で好きになったんだ」
「は……?」
「冗談でもふざけているわけでもない、ぼくは本気だよ」
「はあ……」
苑子はあっけにとられます。四十歳をこえているだろうおじさんが顔を真っ赤にして、告白しているのです。
ちなみに苑子はそれまで男の人に告白されたことなんかありませんでした。だって……おにいちゃんはそんなこと今まで一度だっていってくれたことないし。
苑子は自分の耳たぶが熱くほてるのを感じました。どうしよう、どうしよう……
言おうとしていたセリフが頭から根こそぎ消えてしまって、どうしたらいいのかわかりません。
おじさんも口を閉ざして、苑子がなにか言うのを待ってるようです。え? 返事? むり、すぐになんて絶対むり!
「あう……あうあう」
だから、口をただぱくぱくさせていました。すると、おじさんは言いました。
「きみとあの青年の関係は知ってる。きみのことを知りたくて、いろいろ調べたからね」
おじさんは続けます。どことなく寂しげに、でも、苑子から目をはなさずに。
「あの青年のことが好きならしょうがない。苑子ちゃんの気持ちは尊重したいからね。でも。あの青年はきみをただおもちゃにしているだけではないのかな?」
「そんなこと……!」
苑子は弾かれたように顔をあげました。
「変なエッチを要求されたりしないかい? 拒否しても無理にさせられたり、自分だけ気持ちよくなってさっさと済ましてしまったり、しないかい?」
「……」
ちょっと思い当たることがあったので黙りこみました。
でも、それだったら、おじさんだって……
「今日……おじさんとは気持よくなかったかい?」
電車のなかでは、お口でさせられたけど……指でいかせてくれた。エッチな指づかい。
脱衣所では、アソコをナメナメされて……いやだったけど……いやだったけど……
そして家族風呂では、とうとうエッチされてしまった。バックから、ズンズン突かれて……
考えみれば、おじさんはいつも苑子を気持ちよくしてくれていました。イクまでしてくれた。
じょ、上手だし……
ああ、なに考えてるの、苑子、身体が熱くなってきてる。
言わなきゃ、これっきりにしてくださいって。
おにいちゃんに知られたくないし、嫌われたくない……だから……
「あ……あの……どうすれば……」
苑子は泣きそうになりながら言いました。どうしたら、かんべんしてくれますか……?
おじさんは苑子の肩をそっとつかみました。顔が近づいてきます。
「キスしよう……いいね?」
キス……したら、ゆるしてくれますか?
もとのように、おにいちゃんしか知らない苑子に――おにいちゃんしか見えない苑子に戻してくれますか?
苑子は涙でにじむ視界を閉ざしました。体温が、タバコとお酒とつばのにおいが――おじさんのにおいが迫ってきます。
すこしとがらせた苑子の唇をおじさんの唇が覆いつくして、それから舌がはいってきました。
おじさんの舌は苑子の口のなかで動き回って――息が苦しくて離れようとしたけど、抱きしめられて――
浴衣の胸元に手が入ってきて、ぎゅっ、ぎゅっと握られます。痛いけど、でも、がまんできる痛さで、むしろ、気持いい感じがして――
乳首を、指でつぶされて、こねられて、びくんびくんって身体が勝手に動いて――
気がついたら、ふとんに寝かされていました。
あ……浴衣が、もう……
ほとんど帯が解けて、おっぱいが出ちゃってる。それをおじさんがモミモミしながら、舌をはわせてくる。
「苑子ちゃんのおっぱいは素晴らしいよ。小学生なのに、こんなに詰まって、柔らかい」
おいしそうに乳首を吸う。
あ、左の乳首――ビリッとなって……
「あっ、あんっ」
エッチな声が出ちゃうよ。
「小粒な乳首がこんなに勃起して……かわいいなあ」
指でクリクリしたり、先端をかるくかんだり、そうかと思ったら強く吸い上げたり――
お乳が、ほんとに好きなんだ。
そんなところは、おにいちゃんと似ていて……でも、おにいちゃんとは違う順番でしてくる……
あ、そこ、触るの、だめ。
「やぁ……だめ……おじさん」
耳をくすぐられる。チュッチュッと音をたててキスしてきて、ああ、メガネくもっちゃう……熱い……
自分でもわかるほど、アソコが濡れてる。おじさんの手はでもなかなかそこには届かなくて、太股をなでさすっている。
や……むずむずして……だめ……あ……
自分で脚を開いてしまったです。まるで、その奥をさわってほしいみたいに。でも。
おじさんはさわってくれなくて――その周囲ばかり。
「あっ、はっ……さ、さわ……」
さわってほしい、と言いそうになって、苑子は声をのみました。でも、おじさんとエッチするのは初めてじゃないし……でも、こんなふうにするのは初めてだし……
苑子は自分でおまたを触ってみました。やっぱり、もうパンツはぐしょぐしょでおもらししたみたい。
指がワレメに当たって、気持いいよ……こすりたい……
パンツの中に手を入れて……まさぐってしまったんです。
熱い、苑子のワレメ、火照ってる。
「苑子ちゃん、自分でパンツ脱いで」
おじさんが命令します。脱がそうと思えばいつでも脱がせることができたはずなのに、苑子自身でそうしろというのです。
苑子にもその意味はわかります。むりやりじゃなくて……苑子がしたいから、おじさんとする、ってことです。
それは……おにいちゃんを裏切ることです。わかっています。
隣にいるおにいちゃん――大きな声を出せば助けてくれるかもしれないけど――知られたくない。それに、ここでやめるなんて……
苑子は起き直って、ふとんの上に膝立ちなりました。浴衣はもう羽織っているだけ。それを外して、パンツ一枚に。
おじさんが見ています。苑子は顔を伏せながら、パンツをおろしていきました。
「……ぁ」
おじさんのおひざの上にのせられて、苑子は脚をひろげさせられています。浴衣のすそははだけていて、両のももがむき出しです。
おじさんは、苑子のオッパイをもみながら、ワレメの上のコリコリしたところをなでたり、その下の穴に指をさしこんだりします。
「……ゃぁ……ぅ」
きゅっ、とひざをしぼりたくなります。でも、おじさんは、ゆるしてくれません。
穴の奥で指を曲げたりして――
「はっ……ぁ……」
苑子のおまんこがトロトロになっていきます。充血したビラビラが外に出ています。
そこからおじさんは指をぬくと、さらに下に動かしました。
今度はこっちの穴だよ、とおじさんは囁きました。
おしりの穴……
「んくっ」
おじさんの指は苑子のおつゆでヌルヌルになっていて、おしりの穴にもぐっていきます。
やるてもらいたかったけど、おじさんは苑子の乳首をつまんだり、クリトリスをなでたりしてごまかします。そうこうするうちに――ずぷっ――て。
おしりの穴に指を入れられちゃったんです。
「はぁ……はぁ……おじさん……そこは……」
「気持ちいいんだろ? よだれたらして……」
だって、おにいちゃんがそこ、よくさわるから、すぐ気持ちよくなっちゃう。苑子のおしりの穴、すぐヘンになっちゃう。
「あ……あああ」
頭がぼうってなって、おじさんの指の感触をおしりの穴ぜんたいで感じた。抜かれそうになると、背筋がゾクゾクッてなる。
でも、その時――
カタタッ
隣の部屋から物音が――
血の気がひいた感じ。だって、壁一枚へだてた部屋に、おにいちゃんが寝てるはず。
「だっ、だめぇ……」