右京はいつものように屋台を引っ張っていた。
これも修行だ。店は順調そのものだが、屋台の心を忘れてはならない。
日曜日の公園だ。
家族連れが香ばしい香りにつられて屋台に群がった。
あっという間に売れ切れた。
「今日も商売繁盛や」
右京はいい気分で後片付けをしていた。
―――と。
一人の浮浪者が、じっと右京を見詰めている。
中年の男だ。もうずっと風呂に入っていないのだろう、数メートル離れているのに、異臭が漂った。
「なんや、おっちゃん、お腹すいてんの」
右京は材料を仕込んだバケツを調べた。商品にするには足りないが、まったく空というわけではない。
「しゃあない、特別にサービスしたるわ」
右京はまだ熱の残っている鉄板に材料の残りを空けて、手早くお好み焼きを作った。
竹の皮で作った船にお好みを持って、割り箸と一緒に男に手渡した。
男はひったくるようにお好み焼きを取ると、箸も使わずにむしゃぶりついた。
「よっぽどお腹が空いてたんやなあ……」
右京は男の顔を覗きこんだ。
不意に、意識の一部に閃光が走った。
男の顔―――だらしなく弛み、眼もどんよりと濁っている。だが、確かにあの時の男だ。
「おっちゃん……」
男は不審そうに右京の顔を見詰めた。右京を思い出した様子はない。おどおどしながら、顔を歪ませた。愛想笑いをしているらしい。
間違いない。右京の記憶が鮮明に蘇った。
突然、右京の下腹部に異変が起こった。
じんじんと、熱く。
濡れ始めている。
右京は内股を擦り合わせた。
(うち、やっぱり……)
ぞくぞくするような期待感が込み上げる中で右京は確信した。
(いやらしい子なんや……)
男はあっという間にお好み焼きを食べ終えた。
指まで舐めている。
「おっちゃん、おいしかったか?」
右京は訊いた。
男はうなずいた。もっとくれるのか、という期待が眼に現れている。
右京は男を打ち据えたい欲望に駆られた。
「かね払い」
男の顔が引きつった。
右京はさらに言い募った。
「代金を払い、ゆうたんや」
男は首を横に振った。泣きそうな顔だった。
「かねがないんやったら、うちの言うことをきくか?」
男はうなずいた。まるで犬のような従順な仕草。
「こっちにきいや」
右京は男を木立の中に誘った。
木立の中で、右京は男を見据えた。
「おっちゃん、覚えてへんか?」
右京はゆっくりと服を脱ぎ始めた。
男は茫然として突っ立っている。
口をあんぐりと開いたままだ。
さらしを解いて胸を開いた。白いふくらみが揺れる。
「あの時よりも大きくなったやろ」
男の瞳孔が開いている。喉がぐびり、と鳴る。
右京はパンティも脱いだ。
幹に身体を預け、大胆に脚を広げて見せる。
男は跪き、下から覗きあげた。
股間を凝視していた。
発毛は濃いというほどではないが、充分に生え揃っている。
ふさふさと若草が萌えている。
右京は股の間に指を入れ、陰唇を開いた。
その奥に覗く桜色のぬめり。
「どや、触ってみたいやろ」
意地悪く右京は言った。
男はうなずいた。
「触ってもええで」
右京の言葉に、男は弾かれたように伸び上がった。
「ふん」
右京は股を閉じた。
男は呻いた。
腕を挟み込まれていた。肘関節がたわめられている。
「そんな汚い指で触られてたまるかいな」
右京は意地悪く言った。
「裸になり、おっちゃん」
男は全裸になった。股間はすでに屹立している。記憶にあるペニスはもっと巨大だった。今、目の当たりにするペニスは、笑ってしまいたくなるほどお粗末なものだった。
右京は立木に身をもたせかけ、再び脚を開いた。
「舐めてや、おっちゃん。指は使ったらあかんで」
男は鼻息も荒く、顔を右京の股間に擦りつけた。
むしゃぶりつくような激しさだ。
「うんっ! あっ!」
右京はのけぞった。この舌づかい、感触、あの時の感じと一緒だ。
「気持ちええで、おっちゃん。もっと、して……」
男は、右京の性器に舌の奉仕を続けた。
亀裂を舌先でなぞり、鼻でクリトリスを刺激する。
「ああっ! ええ気持ちや」
右京は自分の掌で胸をこねた。
男は歯を使って器用に右京のクリの包皮を剥いた。
「ひあっ! やあっ!」
右京は声を放った。鋭すぎる感覚だった。
腰が砕ける。
男は左手で右京の身体を支え、右手を乳房に伸ばした。右京は拒まなかった。男の大きな掌が自分の左の乳房を掴み、揉みしだくのに任せていた。
(あの時は自分が垢にまみれていた。今度は逆や)
そう思うと、なんということはない気がした。それよりも、男が与えてくれる快感の方が重要だった。
男は立ち上がり、右京を抱きしめた。
主導権を奪い返した自信が態度に現れていた。
右京の唇を奪おうとした。
「あかん」
右京は顔をそむけた。語調は鋭かった。男は唇はあきらめた。首筋に舌を這わせた。
「あん……それやったら、ええ」
右京の許しを得て、男は張り切った。
丹念に首筋を舌でなぞり、耳の穴にも舌を差し入れた。
「ん……ああ……」
甘い声を右京はたてた。
男の掌は柔らかく胸を揉んでいる。時折乳首を指でつまみ、ひねる。
不意に男は顔を下にずらし、乳首を口に含んだ。
乳首は充分に勃起している。それを男は存分に吸った。
「どうや、うちのおっぱいは? おいしいか?」
「おいしい」
男は呻きながら言い、ふくらみそのものを頬張るように吸い上げた。
ちゅぽ。ぢゅっ。
左右の乳房を交互に。右京の乳房から男の唾液の匂いが立ち上る。
右京は男の前に跪いた。
目の前にペニスがあった。さっきよりははるかに膨張している。だが、記憶の中にある悪魔じみた逸物からすれば、まだまだ小ぶりだった。
「おっちゃん、もっと大きくせな、させたらへんで」
右京は悪戯っぽく笑うと、自分の掌に唾を垂らした。
「きれいにしたるわ」
唾で湿した両の掌で、男のペニスを包み込んだ。
「うおっ!」
男が腰を引いた。
「じっとしとき」
右京は命じると、掌をこねるように動かした。
唾を何度か垂らした。
そうしながら、擦る。垢がじんわりと浮き出す。
ティッシュペーパーで汚れを吸い取る。
それを丹念に続けた。
垢まみれの男の身体の中で、ペニスだけがピンク色に輝いた。大きさも増した。
「出したらあかんで」
釘を差すと、充分にきれいになったペニスを右京は口に含んだ。
「うっ!」
男は顔を歪めた。指で丹念にしごかれただけでもかなり来ているのに、右京の舌がさらに亀頭に刺激を与える。
「だめだっ!」
男は声を放った。
右京の指が男のペニスの根元を握り締める。
「まだ出したらあかんてゆうたやろ」
「ひ、ひい」
射精寸前で止められた男の額には油汗すら浮いている。
れろる。
右京の舌先が、男の反り返った根の裏筋を刺激する。
「うあ、ああ……」
男の目が血走っている。もう、これ以上の忍耐は不可能のようだ。
「頼む、お嬢ちゃん、入れさせてくれ。中に、あんたの中に……」
切羽詰まった声だった。右京は微笑した。
右京は四つんばいになっていた。あの時と同じ姿勢だ。おしりに男の顔が入っているのも同じだ。
だが、今度は自ら取った姿勢だった。
男は指を右京の膣に埋めていた。右京がそうするように命じたのだ。
中指と人差し指の二本が入っている。
「指でうちをいかせるんや。それができたら、入れてもええで」
股間を屹立させたまま、男は指を動かした。
「んっ、あっ! そうや。その調子や。おしりとかも舐めてや」
男は命じられた通り、指を動かし、舌を右京のおしりに這わせた。
「……もしかしたら……」
男は呟いた。
指を捻りながら、激しく抽送させる。
右京はおしりを高々と掲げ、振りたくっている。間断なく声をあげ、無我夢中だ。
「あの時の……少女?」
「思い出した?」
右京は頬を芝生に擦りつけながら、男を下から見詰めた。
「ああ……」
男はうなずいた。面影が重なったようだ。
「あの頃はおれも定職があった。だが、幼女を襲っていたことがばれて、職を失ったんだ。家族からも相手にされなくなった。それで、こんなになっちまった」
「おっちゃん、どうや。うち、大人になったやろ? 昔と比べて、どうや?」
右京は少し誇らしげに、男に向かってウィンクした。
「ああ……いい身体だ。おっぱいも、あそこも」
男は指の動きを再開した。
「んっ! はうっ!」
右京は眼を閉じた。男の指の動きが速度を上げた。
右京の身体を知り尽くした自信に満ちた動きになっていた。少女の頃の右京を思い出した男が、完璧に自信を持ったのだろう。
「ここを責めてあげる」
男は舌先を貪欲に右京の後ろの穴に突き立てる。肛門の入り口を開き、その内部に舌をもぐらせる。
右京の全身に筆舌尽くしがたい快感が疾走した。
「ああうっ! いくぅっ! おっちゃんっ! いくうーっ!」
右京は絶叫した。身体から力という力が抜け落ちる。
この快感だ。あの時の快感と同じ。右京は堪能した。
男は指を抜いた。右京が分泌した液体がからみついている。それを口に入れて、吸い上げる。
「約束だ。入れさせてもらうよ」
右京は荒い息をして、答えない。
男は自分のペニス一度、二度しごいた。先端から透明なしずくが盛り上がる。もう限界だ。精液がそこまで衝き上げている。
「今度こそ、中に出してやるからな」
右京のおしりの山を左右に開いた。
ぐっしょりとそぼった右京の襞に男はペニスの先端をあてがった。
「おっちゃん、あの時、うちの中に入れたんか?」
ふと、右京は訊いた。
男は荒い息をしながら、先端部を右京の襞に押し当て、入り口を探る。
ぐうっ、とその部分を押し込みながら男は答えた。