イサミのスパッツ大作戦

 

〜3時間め 保健室(続)〜

 

「約束だから、こんどはトシがいじってね」

「う……おう」

 イサミが脚を広げた。トシの目はその一点に引き寄せられる。

 真っ白な股間にすこし色づいた柔らかげな亀裂が走り、さらにその内側からピンク色の花弁があふれ出しそうに充血している。

 ナイロン越しではわからない色情報がトシの視神経を刺激し、海綿体への再充填の速度をあげる。

「すげえ……」

 トシは唾を飲み込んだ。想像していたのとは全然ちがう。割れていて、ただ穴があいている、というのではない。もっと生々しくて、複雑な組織だ。見ただけでは、そこがどうなっているのかさえ判然としない。

「うわあ、トシ、エッチな顔してる」

 頬を赤く染めて、イサミが言う。 

「そんなにじっと見られたら、恥ずかしいな」

「ご、ごめ……」

 はっとして目をそらすトシ。そのトシの手にイサミの指が触れる。

「うそ。もっと、見て。恥ずかしいけど、なんだか、ドキドキする。トシは?」

「おれも」

 心臓が跳ね回って、息が苦しい。きっと、また鼻血が出る。トシはのぼせやすいのだ。

「さわって……わたしの」

 イサミの手に導かれて、トシの指がイサミの股間のへこみのところに触れる。

 粘膜。

「あっ」

 声を上げたのは、イサミか、トシか。

 たぶん、その両方だ。

 トシは、イサミの脚の間の柔らかい部分を、自らの指先に感じていた。

(ぬ、ぬるぬる、してる)

 それでいて、あたたかい。

 指先でへこんだ部分をかきまぜるようにすると、くちゅり、と湿った音がした。

「わっ!」

 トシはあわてて手を引っ込めた。その部分が、それ自体生き物であるかのように蠢いた――ような気がしたからだ。

「どうしたの、トシ?」

 イサミがトシをのぞきこむ。トシの反応を楽しんでいるかのようだ。

「女の子の、触るのはじめて?」

「あ、あたりまえだろ!」

 虚勢を張ろうとするも、嘘のつけないトシは、胸を張りつつ泣きそうな声で言う。

「じかに見るのも初めてだっ!」

「じゃあ、教えてあげる」

 ふたたび、トシの手を取るイサミ。なぜだか、トシよりお姉さんのようだ。

 自分の股間にトシの手をあてがう。

「指、動かして」

「こ、こうか……?」

 自分がどのあたりを触っているかも判然としないまま、トシは不器用に指を動かす。

「あんまり強くしないで……やさしく……」

「うん」

 トシは唾をのみこんだ。イサミが別人に見える。姿形はいつもと変わりがないのに――

 イサミの顔が上気している。トシの右手を両手で覆うようにして、ゆっくりと円を描くようにする。

「あ……ああ……トシの指が……動いてるぅ……」

 うっとりとした表情を浮かべるイサミは、なおもトシの手を取って、自分の感じるポイントを刺激しているようだ。

「んうう、そこは、もっと強く……」

 土手の部分に指が当たったとき、イサミが懇願した。トシはふわふわの感触がおもしろくて、その充血してふっくらした部位をぎゅっとつまんだ。

「ああ……痛いよ……やさしくしてぇ……」

 トシはイサミの大陰唇をつまんでは引っ張った。

「あう……引きつる……ぅん」

 外側が引っ張られることで、内側のセクションに適度な刺激があるらしい。

 だが、そんな間接的な刺激では物足りなくなったのか、さらに大きく脚を広げると、自らヴィーナスの丘の一点を指で示した。

「おねがい、トシ、ここ……ここ、いじって」

 イサミの指が前後に小刻みに動き始める。

 ピンクの粘膜の莢がイサミの指先の下で変形している。

「ここ、いじってると、おかしくなるのぉ! トシ、お願い、ここ、ここぉ!」

「あ、ああ……わかった」

 トシは人差し指と中指に唾をつけた。

「このポッチか……?」

 女の子のスイッチに、トシは指先を当てた。

「やぁんっ!」

 かわいい声でイサミが鳴く。

 おもしれえ、トシは思った。これまでさんざん引っ張りまわされてきた――そのリベンジのチャンスがやってきたのだ。

「ど、どうだ、イサミ? こ、ここはっ!?」

 突起の部分をチョンチョンとつつく。

「うう……もっとぉ」

 イサミの反応に気をよくしたトシは、粘膜が凝集したような粒を人差し指と中指で挟んだ。

「トシの指に、クリちゃんはさまれてるよぉ……それで、ブルブルッてされたら、わたしおかしくなっちゃう……ブルブルしないで、おねがい」

「ブルブルか、よおし」

 トシは指を小刻みに動かして、イサミの突起に振動をあたえた。

「あっ! ああん! しないでっていったのにぃ」

 イサミが悶える。その表情をみて、トシは勢いづいて指を震わせ続ける。

「もっと、してやる! どうだ、イサミ」

「ああ! いいよお! トシの指、すごくいい……っ!」

「なんだよ、イサミ、オマンコからおつゆがあふれてくるぞ」

 トシは右手の指でイサミのクリトリスをいじめながら、左手を使ってその下の部分をかきわけた。イサミの膣から、透明な液体がじわりじわりと盛り上がり、とろりと流れる。

「トシぃ……ああ……指は、指だけは入れないでぇ」

「だめだ! イサミのオマンコに、指を入れてやる」

「ああん、いやあ」

 イサミは恥ずかしそうに身体をよじる。だが、それは、トシから逃げようとする動きではなく、むしろ逆――トシが触りやすいように腰を浮かせている。

「ゆ、指入れるぞ」

 左手を使って入口を広げ、右手の人差し指を膣にめりこませていく。

 熱くてピチッとまとわりついてくる感触。

 他人の肉体に初めて侵入した体験に、トシは激しく興奮する。

 ほかのだれでもない、イサミのアソコの中に、指を入れているのだ。

「す、すげえ……」

「トシ、トシ……指でかきまぜ……ないで……」

「こ、こうか……?」

 くちゅ、くちゅ、音をたてながら、トシの指がイサミの幼い肉壷を蹂躙する。

「うあ……はあ……いい、気持ちいい」

「イサミのオマンコ、ヒクヒクしてる」

「だって、トシの指がすごくエッチなんだもん」

「エッチなのはイサミの方だろ。まんじゅうこわいじゃあるまいし、やってほしいことを、しないで、しないでっていうんだもんな」

「あ……ばれてた?」

 恥ずかしそうにイサミは顔を赤くした。

「ねえ……じゃ、したいこと、おねだりしても、いい?」

 ややあって、ウィンクとともに言う。

「シックスナイン、しよ?」

「なんだよ、それ」

 セブンイレブンなら知ってるが、トシの素朴な頭にはシックスナインなどというオトナ向けの用語は入ってない。

「知らないの?」

 少女にからかうように言われると、トシの負けん気に火がついてしまう。操縦されているという自覚もあるのだが、どうしようもない。

「し、知ってるさ! でも、イサミが知ってるシックスナインと、おれの知ってるのとは違うかもしれないじゃないか」

「トシが知ってる、シックスナインって?」

 イサミが訊いてくる。トシは、詰まった。

「あ……あれはたしか、ガンバマンの第六九回に出てきた必殺技でだな……」

 むろん口から出まかせだ。イサミがトシの腿に触れる。

「いいから、トシ、横になって。わたしが上になるから」

「お、おう……でも、ほんとだからな! ほんとうに……」

「いいから」

 優しいが有無を言わせない口調だ。トシはおとなしく従う。どういうわけか、性の知識について、イサミはトシよりはるかに先達らしい。

(アメリカって、やっぱり、ススんでるのかなあ……)

 ふっと思ってしまうトシである。

 保健室のベッドの上に横たわったトシの顔の上にイサミがまたがってくる。

「お、おい、イサミ……」

 目の前にイサミの秘裂が迫ってくる。さっき、さんざん触ったとはいっても、それを間近で――ほとんど目の前で見るとなると、さすがに衝撃だ。花びらの弾けかた、どことどこがつながっていて、穴のところがどうなっているかなどの視覚情報が飛び込んでくる。

「トシ……シックスナインっていうのはね、男の子と女の子がたがいになめっこすることだよ。こんなふうに」

 イサミがトシのペニスをなめはじめる。さっき体験したこととはいえ、その快感の大きさにトシは思わず声をあげる。

「ふふ……トシ、女の子みたい。でも、こんどはちゃんとわたしのもペロペロしてね」

 そう言うと、腰を落として、恥部をトシの顔に密着させる。

「競争だよ、どっちが先に相手をまいったさせるか」

「イサミ……おれ……」

 トシも挑まれていることはわかっている。だが、勝てっこないこともわかっている。

 それでも――

 女の子のアソコを口をつける、なんて、想像したことさえなかった。

 それが、いま、目の前で、「なめてなめて」と言わんばかりに、少女のピンクの性の縦割れが誘っているのだ。

 トシはイサミのふっくらとした果実を割って、ジューシィなその内部に舌をつけた。

 味はほとんど感じないのに、不思議と匂いが鼻をついた。ちょっとチーズがかったような、粘り気のある果実のような――単純に「いい匂い」とはいえないが、そそられる匂いであることにはまちがいない。

「あ……あん……トシがわたしのアソコ、なめてるよぅ……んくっ」

 イサミが反応する。だが、その声がくぐもったかと思うと、またトシの股間への唇と舌の攻撃が再開される。

 トシも負けていない。さっきの「授業」で教わったとおり、イサミの弱い部分を音をたててしゃぶった。

 なんのことはない。好物を食べるようにがっつけばいいだけだ。そして、イサミの秘肉ほど、トシにとっての「好物」はない。

 ちゅぽん、と音をたてて、トシの唇がイサミのクリトリス周辺の粘膜組織を吸っては離れ、離れては吸う。

「んん……ふうん……くふっ!」

 イサミはかなり感じているようで、トシへの愛撫も途絶えがちだ。

(おれのほうは、今度はわりと大丈夫だな)

 トシはイサミの口唇による愛撫を心地よく感じながらも、射精衝動には駆られない。それが、「一本ぬいた」からだとは、まだトシにはわからない。単純に、自信めいたものがわきおこってくる。

「ああ……トシ……いいよぉ……」

 イサミが甘えた声をたてる。トシの目の前で、イサミの肛門付近が収縮と弛緩を繰り返す。それにともない、膣から愛液が漏出する。こころなしか、量が増え、味も変化してきたようだ。

 より濃厚さを増したように思えるイサミのジュースをトシは吸いあげた。そして、舌先でクリトリスを刺激する。

「あはあっ! トシ、上手ぅ……もっとぉぉ……」

 声を裏返しながら、イサミは自分の指で膣口をぐいっと広げた。

 イサミの身体の中がまる見えになる。赤い粘膜がひくつきながら、トシを誘う。

「中まで、なかまで、吸って……」

「お、おお!」

 トシはイサミの膣口に唇を押し当てると、舌を挿しこんだ。トシの初めてのディープキス体験の相手は、なんとイサミの性器だ。

 わけがわからないまま、トシは、舌を動かした。イサミのヒップを両手でつかみ、ぐにぐにと揉みながら、そして鼻をぐりぐりと肛門に押しつけながら。そんなふうにしているというのに、ちっとも臭くない。イサミのその部分は洗いたてのように清潔だった。

(すげえ……イサミのおまんこの中に……舌つっこんで……かきまわして……)

 ぷちゅぶちゅ、音をたてながら、熱いイサミの内部を舐めて、吸って、味わう。

 そして、ひくつくイサミの排泄の穴を広げて、直腸粘膜を間近で観察した。

(イサミのぜんぶをおれは見て……さわって……)

 たまらない。

 激しく欲望が衝きあげて来る。トシは腰を上下に揺さぶった。

「トシの、すごく……すごくなってるよ……」

 イサミがトシの亀頭に息を吹き掛けながら、指で包皮をずらしていく。

 ぴりっとした痛みを感じる間もなく、奇妙な解放感にトシは呆然となる。

「トシのオチンチン、全部むけたよ……これで、大人のオチンチンだね」

 イサミの声が淫らにゆらいだ。トシの睾丸を優しくマッサージしながら、亀頭に舌をはわせる。

「うっ……」

 射精の予感に背筋をぞくぞくさせながら、トシはうめく。

「入れて……」

 イサミが身体を入れ替えながらせがむ。

 トシは自分の股間を見た。包皮がすべて後退して、赤い亀頭が完全に姿を現わしている。われながら、変な形だ。グロテスクで、いやらしい。

 だが、それをイサミは愛しげに愛撫し、口にさえ含んでいたのだ。

「わたし、トシとセックス、したい」

 イサミが熱っぽく言う。

「トシは、したくない?」

 セックスなんて、自分には関係ないものだと思っていた。今の今まで。

 女の子の裸には興味がある。それがイサミの裸なら、なおのことだ。

 おっぱいに触ったり、あそこを見たり、してみたい。

 だが、その先となると、トシにはイメージさえできなかった。

 それなのに。

 イサミは、セックスしようと持ちかけてくるのだ。

(こ、これは夢だ……まぼろしだ)

 トシは今更ながら、ほっぺたをつねった。

 痛いのかさえもわからない。身体中が痺れてしまって、なにがなんだかわからないのだ。

「ふふ……トシ、怖い?」

 イサミがおとなのように笑いながら、トシのペニスに手を添える。

「怖いなら、わたしがやってあげる。気持ちいいんだよ、セックスって」

 なにかがちがう。

 へんだ。

 こんなのイサミじゃない!

 トシは惑乱した。世界の仕組みのどこかが狂っているとしか思えない。

「入れるよ」

 イサミが腰を落としていく。イサミの粘膜がトシを受け入れようとして、柔軟に広がっていく。

「やめろぉっ!」

 トシは喚いた。

 イサミを押しのけようとして肩をつかみ、そのまま勢いあまって押し倒してしまっていた。

「あ……っ」

「う……ん……」

 トシは股間に違和感をもった。視線を落としてみる。

 嵌まっていた。

 トシのペニスがイサミのヴァギナに、まるであつらえたピースのようにぴったりと――

 

あ……あ……なんと! 次回、トシ編は最終回?