絶対破廉恥ルドレン

2nd Sex. ザ・ハウンド応答せよ!

act.5

「明くん……大丈夫?」

 小鹿の声は震えていた。明は努めて明るくうなずいてみせる。

「ザ・チルドレンがバックアップしてくれているんです。平気ですよ」

「でも、超能力は使えないんでしょ……? だとしたら……」

「いざとなったらおれが戦います」

 胸を張る明だが、明の能力は実のところ戦闘向きではない。索敵と指示担当が明で、戦闘は初音に任せていたのだ。
 それでも、小鹿は表情をゆるめ、「頼りにしてるわ、明くん」とつぶやく。

 二人はバーサクテック社につながる地下坑道を進んでいた。バーサクテック社はかなり特殊な造りになっており、用途不明な地下通路がさまざまな箇所とつながっていた。その大半はよからぬ目的で作られたものだろうが、数年以上放置されているものも少なくなかった。紫穂がその存在を感知し、明がドブネズネに憑依してその詳細を探査、敵が忘れ去っていると思われる廃坑を見つけて、現在移動中だった。もちろん、周囲に光はないため、懐中電灯の光を頼りにしている。(ドブネズミに憑依していた時は嗅覚を頼りに行動することができたのだが)

 もちろん、それだけでは不十分なため、今、ザ・チルドレンが別方面からバーサクテック社の警備員を引きつけるべく行動中だ。

 だが、E−ECMを持っている相手の前で超能力を使うわけにはいかないため、かなり荒っぽい手を使わなくてはならないらしい。皆本は苦渋に満ちた表情をしていたが、薫たちはおおいに張り切っていた。何をするつもりかはわからないが、ザ・チルドレンが相手の注意を引いているうちに明と小鹿で敵内部に潜入、初音とナオミを救出する作戦だった。

「それにしても、すごい匂いね」

 廃坑の床にはたえず汚水が流れ、饐えた匂いが充満していた。たまに足もとを走り抜ける影は、ネズミかゴキブリか。最初は悲鳴を上げ続けていた小鹿も、状況を考えてか声をこえらえるようになっている。

「ここがまともに使われてたら、とても歩いて移動できなかったはず――って紫穂さんが言ってましたよ。かなりやばい研究をしていたらしいです」

「こわいわね……」

 ここは日本であって、事実上、日本の法律が及ばない外国だ。バーサクテック社はそれだけの影響力を持っている。警察もむやみに踏み込むことはできない。高度に政治的な判断が必要なのだ。

 したがって、現在の明たちの行動も、法的にはかなりグレーだった。もちろん、桐壺や蕾見たちが現在動いているのも、正式な捜査令状を取るためなのだが、それを待っているわけにはいかないのだ。それこそ、「証拠」を消されては元も子もない。

「この先に扉があって、地下研究施設とつながっています。そこまでいければ、初音のESP波を頼りに場所が特定できるはず」

 通路の曲がり角で明は言う。

「初音ちゃん、無事よね?」

「あたりまえじゃないですか」

「そうよね……あんないい子にひどいことなんて、しないよね」

 小鹿は善良で愛すべき上司だが、ここぞというところでの決断力に難がある。根本的に性善説に立っている人なので、とっさの攻撃の指示などができないのだ。明は、いざとなれば小鹿の命令を無視してでも突撃するつもりでいる。初音を救わねばならないのはもちろんだが、小鹿を守ることも明にとっては大事な任務なのだ。

「もうすぐです。この先は無人のはずですが、念のため、静かに」

「うん」

 年上の女性の体温を間近に感じながら、明は歩を進める。行く手に現れた鋼鉄製の扉。取っ手はさびついているが、蝶番がこわれかけているのを確認済みだ。

 音をたてすぎないように扉を外し、建物内部への侵入に成功する。そこは放棄された地下研究室の廃墟だった。用途のわからないガラス張りの作業台、棚に並んだ不気味な標本の数々――まるで、マッドサイエンティストの隠れ家のようだ。ガラス瓶の中味に視線をやらないように――見ると後悔すること請け合いだ――明と小鹿は進んでいく。

 部屋をいくつか抜けると、ようやく、エアコンディショニングされた空間に出ることができた。暗い廊下が続き、ぽつぽつと常夜灯があるだけだが、ここから先は人がいる区画だ。

「小鹿さん、反応は?」

 懐中電灯をオフにして、明が小鹿を振り返る。携帯電話の液晶に照らされて、童顔の小鹿の表情が浮かび上がる。未だにこの人が大学出で、過酷な選抜試験をくぐりぬけたB.A.B.E.L.のエリートであるとは信じられない。よくて高校生、へたをすれば明や初音と同じ中学生にも見えてしまう。

「かすかで、とても不安定だけど……あるわ。初音ちゃん……無事でよかった」

 心底嬉しそうに小鹿が表情を崩す。口ではいろいろ言いながら、やはり、最悪の事態について考えていたのだろう。

「方角は?」

 明は勢い込んだ。あと少しだ。初音と合流できれば――

 

 

「はぷっ……」

 初音は生まれて初めて、「肉棒」を噛みちぎらずに口から出した。

 その肉棒は、先端が笠のように広がっていて、固くて、生臭かった。おいしいものではない。だが、何度も口に突っ込まれ、舐めることを強要された。

「へたくそだな……だが、いつガブッてくるかわかんねえからスリルあるよな」
 男がせせら嗤う。手にした装置を制御して、初音の性感をコントロールしている。初音が相手のモノを食いちぎろうという気にならなかったのも、常にいやらしい気分を刺激されつづけていたからだ。

 男の肉棒の味と匂いで、さらにその感覚が増幅され、無抵抗に、従順になってしまうのだ。

「ほら、もう一度だ。こんどはちゃんと喉奥まで突っ込んでやるからな」

「むぷ……っ」

 初音の頭をかかえ、奥まで突っ込んでくる。

「オオカミ少女……いまはウサちゃんだけど……ノドマンコ、なかなかいいぜ」

 初音は、異物感に耐えながら、なんとか自分を取りもどそうとしていた。

 自分がさせられていたそれがフェラチオというものであり、今されていることがイラマチオである――といったことは初音にはわからない。ただ、これが自分を屈服させるためのプロセスであることは理解していた。

 マウント行為の変形だ。獣は、群れのなかでの順位を確認するために、下位のものに服従を求める。オオカミであれば、上位のものが下位のものの上に乗る。腰の上にのっかり、性交そっくりの姿になる。

 現に初音はよつんばいにされ、屈服のポーズをとらされている。肉棒をしゃぶらされながら、尻をいじくられている。

 マウントされるのも時間の問題だ。初音は、負けたのだ。

「あああ……ケダモノ中学生の初フェラ……たまんねえ」

 男がめちゃくちゃに動き、初音の口の中で爆発する。初めての味に初音がとまどううち、男は射精の名残を初音の顔にぶっかける。

 白濁液にまみれる初音。

 その後頭部を押さえつけられ、尻を掲げるように強制される。

「ほら、ちゃんとおしりあげないと、オマンコ映んないだろ」

 他の男の声、大きな掌が初音の尻肉をわしづかみ、左右に広げている。

 ライトを当てられて、ビデオカメラで狙われているそこは、初音の性器にほかならない。

「今回はハイビジョンだよ−。光ファイバーの人は急いでゲットしてねー」

 にちり、音をたてて広げられる初音の粘膜。桜色の中学生の膣口だ。

「プロフィールは、犬神初音ちゃん、14歳……こりゃ立派な処女膜だなあ」

 顔に光があたり、思わず顔をそむける。それをむりやり固定される。

「もうぶっかけ済みだけど、こんな顔してるんだね、野性味あふれる美少女だね……八重歯、じゃなくて、これ牙? おいおい、勇気あるなあ、こんなのにしゃぶらせたのかよ」

「勝ち負けがはっきりしたら、動物は素直になるもんさ。いいしゃぶりっぷりだったぜ」

「じゃあ、おれも後でやろっと」

 撮影役の男は言い、さらにカメラを寄せて、初音の乳房――他の男がさっきから揉み倒している――を映し、さらにカメラをくぐらせて、へそからワレメを映す。ふたたび、性器をしつこく映し、クリトリスの皮がむかれて、突起が露出するところを接写する。

「うっ……」

 初音がうめく。こんなマウント行為は知らない。どこまで屈服すればいいのか、わからない。それに、全身をいじくられ続けて、ふしぎな疼きが強くなっている。ただでさえ、超能力を使おうとするたび、鋭い感覚が脊髄をかけぬけていく。

 もちろん、初音はおのれの発情した性器がネットを通じて、高解像度で放映されていることなど気づいてはいない。無数の男たちが初音の恥部を見て自慰を始めていることも、もちろん理解の外だ。

「B.A.B.E.L.の特務エスパーは、中学生の処女でもド淫乱ってわけだ……すげぇ濡れっぷりだぜ」

「クリもでけえな」

 男たちがかわるがわるクリトリスをつまみ、こね、小陰唇をひっぱり、大陰唇をもみ、尿道孔をくすぐり、膣口に指を入れる。

 そのたびごとに初音の意識が混濁するほどの快感がはしり、われがわからなくなっていく。

「はひっ、ひんっ! やはっ! あ、あきら……」

 その名を呼んでも返事はない。ここには明はいない。それに――この姿は明にだけは見られてはいけない――朦朧とした意識のなかでも初音はそう思っている。

 初音は負けてしまった。このオスたちに屈服してしまった。いま、マウントを許している。この姿だけは明に見られたくない。

「彼氏の名前、あきらくんってのか? 残念だったなあ、あきらくん。初音ちゃんの初まんこは、おれたちがいただくよ」

「だって、こんなによだれを垂らして欲しがってるんだもんな」

 男の指が処女膜ごと、左右に穴を広げていく。

 処女膜が伸びて、奥の聖域を垣間見せる。

 奥からにじみでた愛液が、隘路を通って、たれてゆく。

「真っ赤に充血してんなあ。発情しまくりだぜ」

「こんなトコ、映されてるのに、初音ちゃん、恥ずかしくないのぉ?」

「恥知らず、淫乱娘におしおきっ!」

 ばしんっ、男が初音の尻を叩く。

「ひっ!」

「おっ、ちょっとは懲りたかな? 肛門がきゅっとなったぜ」

「でも、アソコはトロトロのまんまだ。もっとおしおきが必要だな」

 勝手な理屈をつけては、かわるがわる初音の尻をはたく。たちまち、赤らんでいく双球。その中心の肉の華の赤さと調和しているようにも見える。

「これって、アレだな、猿の雌のケツみたいだよな」

「猿にもメタモルフォーゼできるのか、初音ちゃん」

 ばしん、ぱしん――男たちは戯れに初音の尻を、性器を、掌で殴打する。もちろん、強すぎはしない。初音を感じさせる絶妙な強さのスパンキングだ。

「あうっ! うあ……いたい……のに……やだっ! やあああっ」

 初音の意識に鋭い痛みが走る。打擲からのがれようとおしりを動かすが、男達におさえつけられて、どうにもならない。超能力を使おうとすればするほど性感が高まる。逃れようがない。

「ドーブツを躾けるにゃこれがいちばんだな」

「しっかし、こんなにされて、物欲しそうにケツ振る中学生ってどうよ。エスパー女に慎みはないってことだな」

「じゃあ、そろそろいただくとするか。これだけの人数がいるしな。時間がもったいねえ」

 男の一人がペニスを取り出す。半立ちのそれを初音の性器にこすりつけ始める。

「うっ……ああ……」

 まさにマウント状態だ。おしりに男がのっかっている。初音は改めて屈服のポーズを取らされる。

 いや、これは単なるマウントではない。交尾だ。初音は自分の穴が広げられ、異物が侵入してこようとしているのを感じた。

 強制的に発情させられている初音だが、その感覚にも意識の一部は醒めた。交尾なんかしたくない。交尾するしたら――明と。

「あ……あきらッ! あきらーッ!」

 初音はおさえつける男たちを振り払おうともがく。

「往生際が悪いぜ!」

 男たちは初音をねじ伏せにかかる。超能力を使えない初音はふたたび制圧される。太股をかかえられる。脚をばたつかせることもできない。

「いくぜ……っ」

 めりめりと粘膜が押し広げられていく。その刹那――

 

「初音!」

 

 明の声が聞こえた。

つづく