絶対破廉恥ルドレン

2nd Sex. ザ・ハウンド応答せよ!

act.4

「敵はバーサクテックだってぇ!?」

 皆本の元に再集合したザ・チルドレンと、小鹿、明のザ・ハウンドは、皆本から作戦対象を聞かされて絶句した。

「じゃっ、じゃあ、初音は今……」

 明が勢い込んで、すぐにもバーサクテックビルに向かおうとする。

「待つんだ、明くん」

 皆本が制止する

「なんで止めるんだよ、皆本」

「せや、敵がわかったんやったら、一気に乗り込んだらええんちゃう?」

 薫と葵も勢い込む。

「危険があるのね、皆本さん」

 紫穂が静かに指摘する。皆本はうなずく。

「敵は、対エスパー戦のプロだ。真っ正面から行っても殲滅されるのがオチだ」

「でもっ! あそこにはナオミちゃんや初音が捕まってるんだろ!?」

 薫が激した様子で言いつのる。薫なら、一気に能力を解放して、ビルごとへし折りかねない。

 だが、そんなことをしたら――

「薫――この戦いに超能力は使えない。いや使ってはならないんだ」

 皆本の沈痛な言葉に薫はショックを受ける。

「な、なんでだよ! あたしの能力を見くびってんのか」

 超能力を否定されたと思ったのだろう。子供っぽい不満を爆発させる。

「そうじゃない。薫や、葵、紫穂――強力な超能力を持っていればいるほど、今回の戦いでは不利になるんだ」

「たしか……バーサクテックにはECM開発部門もあったわね」
 紫穂が何か思いついたように言う。

「わたしたちの知らない、新型ECMがあるとか?」

「そうだ。まだ推測の域を出ないが、旧日本軍が研究していた極秘プロジェクトのひとつに、E−ECMというものがあったらしい」、

 エスパーの能力は、脳内における電気の流れ、すなわち脳波が異常昂進した状態――ESP波の発動による。通常のECMはそのESP波を打ち消す波を送り出すことによって成立する。だが、このExtra-ECMは、エスパーの脳内にESP波の働きを狂わせる付加情報をつけくわえることで、その能力を違ったものにねじ曲げてしまうのだ。

「なんやて……テレポートはちょっとでも座標演算が狂ったら、とんでもないことになってまうのに……こわぁ」

 葵の顔が青ざめる。テレポートで壁に閉じ込められたり、地中に埋まってしまったり、さまざまな危険が予測される。

「実際、どんな作用をするかはわからないんだ。その研究は未完成状態で終戦を迎えたから……ただ、それをバーサクテック社が研究員ごと取り込んで、数十年かけて完成させていたとしたら……」

「その研究員って? まだ生きてるの?」

 紫穂が問う。

「蕾見管理官によれば、その研究の中心人物は旧日本軍・超能力開発研究所・特別研究員、鎌切十四夫。生きていれば九十歳らしい」

 

 

「まあ、人工的に超能力者を作り出すための研究の副産物だの。もちろん、実用化は容易ではなかった。数多くの超能力者を実験台にした。大半が廃人になったがの……

 でも、それだけの価値はあった。単にESPを無力化するECMでは防御はできても攻撃はできない。それじゃあ兵器としては売れん。それに、原理が簡単すぎて対抗措置も容易だ。

 その点、わしのE−ECMは違う。超能力者の能力そのものを逆手にとってしまう。脳内の生存本能中枢に働きかけて、自殺するように仕向ける。そうすれば、超能力者どもは自分の能力で仲間を傷つけたあげく、自殺してしまうという仕組みだ。

 その実験はかなりうまくいきかけたのだが……ひとつ誤算があった」

 車椅子のやせこけた老人・鎌切は、そこまで言うと、のびているチューブのひとつをくわえ、ぢゅぢゅぢゅと吸い上げた。

「むふぅ……新生児から取り出した濃度の高い成長ホルモンはやはりいいのぅ」

 そうつぶやくと、「テープレコーダー」への口述を再開する。どうやら、最新式のボイスレコーダーなどはお気に召さないらしい。

「この干渉波は、超能力者の女には強力な催淫効果があったのだ。まったく意外だったし、最初は使い道に困った。だが、うまい使い方が見つかった。これによって、超能力者の男どもは激高し、普通人の男を殺し、女を犯すようになるだろう。そうなれば後は勝手に憎しみが連鎖し、よい塩梅で火の手があがることじゃろう。楽しみ、楽しみ……」

 

 

「ん……は……くっ……」

 初音は耐えていた。

 自分自身の体内からわき起こってくるエロティックな波動に、押し流されないように。

 初音だって中学生だから、性的な知識はゼロではない。自分自身ではそれをあまり切迫したものとは感じていなかっただけだ。

 好きになった男女がするコトについては、それなりの知識はある。初音は、表面的な言動ほどバカでもおぼこでもない。

 健康で健全な中学生なのだ――変身能力とかはあるが。

(明が助けに来てくれる……それまで、我慢するんだ!)

 それでも、股間のうずきはとまらない。むしろ、ますます強くなる。下着のうえから、そこを押さえつけて、声をこらえるのが精一杯だ。「オマンコがうずくんだろ?」

 男がささやきかける。

(オマンコ……オマンコって……なに……?)

 初音は、まさにその部分に指を押し当てながら、ただ思う。このウズウズを何とかしてくれたら、おやつを百回、我慢してもいい。

「イジってほしいんだろ?」

 男が初音の太股をなでた。

 ビリピリビリッ! 電流が走り、初音は思わず声をあげる。

「は、ひぃっ!」

 かつてあげたことのない色っぽい声。初音の声質は、実のところ、甘い。B.A.B.E.L..で萌え声コンテストでもやれば優勝しそうなくらいに。

「ほー、いい声だねお嬢ちゃん。もっと鳴せてやんよ」

 中年男たちは思い思いに初音の身体をいじりはじめる。

 若い乳房をスポーツブラごとに手でこね、脇腹をさする。太股をなであげ、内股に侵入、その肌を存分に味わう。

「やっ! くすぐ……やはぁぁっ!」

 くすぐったさの先にある感覚を呼び覚まされたのか、初音は声を続けざまにあげる。

「かわいい唇だ」

 男は初音の乳首をこねながら、唇に吸い付いた。

「んむっ……むぅ……ふはっ」

 初音からすれば、いきなり口をふさがれ舌を入れられた形だ。

(あ、明にもまだしたことない……)

 それから、ゆっくり、ファーストキスという言葉が浮かび上がる。

 舌をもてあそばれながら初音は思う――明、ごめん。

 なぜ詫びたい気持ちになるのかわからない。

 それはたぶん、ディープキスが気持ちいいからだ。

 いまや、初音はスポーツブラをたきしあげられ、オッパイ丸出し。七十六センチのバストを男たちになぶられている。

 なぶるという漢字は嬲と描く。

 だが、いまの初音は、

 男
男女男

 状態だ。

 左右から乳首を刺激され続けている。

 じかにいじられ、吸われ、転がされている。

 初音の乳房は敏感だ。

 成長期にあるからだ。毎年、いや半年ごとにサイズに変化がある。いきなりブラのカップが変わるほどではないにせよ、日々体積を増しつつある乳房は、男のねちっこい刺激には免疫がなかった。特に、乳首は。

 あっという間に膨張し、小指の先ほどにも勃起する。その突起を指で小刻みに弾かれて、初音は自分でも知らなかった甘い声で喉を鳴らす。

「やっ、あっ、あっ、あくっ!」

 その唇に別の男が舌をはわせる。

 むっとするような匂い。雄の唾液の匂い。明確な意思表示。

 オマエヲ、オレノ、オンナニ、スル

 欲情した雄が放つ陵辱のサイン。

 明の顔だったら、いままで何百、何千回も舐めてきたのに。

 こんな匂いは感じたことはなかった。

 明が初音に欲情していなかったのか。それとも、初音がそのサインを感じ取れるほど成熟していなかったのか。

 わからない。

 でも――

 でも、どうしていままで、「そこ」だけは舐めなかったんだろう。

 明の「唇」だけは。

 初音だってわかっていた。

 男の子の唇を舐めたら、それはキッスだ。

 それをしたら、その相手と「結婚」しなくちゃいけない。

 狼ふうにいえば「つがい」になるしかない。

 初音は明のことが好きだった。そんなことくらい自覚してる。初音は頭は良くないかもしれないが、バカでもない。でも、明への想いが「お母さんみたいに好きなのか」「男の子として好きなのか」まではわからなかった。まだ結論を出さなくてもいいと思っていた。大人になるまでは充分時間はある。それまでに、明が自分の側からいなくなるなんて、ありえない。明だけは絶対そばにいてくれる。だから、時が来れば自然に――

「お嬢ちゃんのお口、うまいぜぇ」

 見も知らぬ男の舌が初音の中にもぐりこみ、舌とからみ、口蓋を舐めている。

 音をたてて、唇を吸い、歯の裏まで舐められる。

 牙をたてれば、相手の舌など容易に噛みきれるのに。

 初音は、乳首を責められながらのファーストキスに、興奮してしまっていた。

 彼女は、常にメタモルフォーゼして、反撃をしようとしていた。その結果、彼女自身が発するESP波が性感を刺激するという循環が続いていた。

 あらがおうとすればするほど、身体が快楽を求めてしまう。

 それが、EECMの恐ろしさだった。強力なエスパーであればあるほど、無抵抗になってしまうのだ。

「はふぅ……はぁ……」

 男の舌から解放されて、初音が息をつく。

「そろそろ、名前を聞こうかな? ワイルドなお嬢ちゃん?」

 男がインタビューよろしく小型マイクをつきつける。

「はつ……ね……いぬがみ……はつね……」

 朦朧とした意識のなかで初音は答える。男は小型端末を素早く操作して、どうやら検索をしたらしい。

「ほほぅ……コードネームは、ザ・ハウンド。犬神初音ちゃん、14歳か……オッパイは小さめかな? にしても、B.A.B.E.L.の特務エスパーは可愛い子が多くて嬉しいよ。おじさん、こんな子とこれからエッチしまくるかと思うと、チンチンがバッキバキになっちまうよ」

 カメラに向かってわざとらしく屹立したペニスを見せつける中年男。その男根のそそりたつさまに、初美はついつい目を向けていた。

「なに……これ……こんなの……」

 黒々と節くれ立った竿。暗紫色の亀頭。リアルな中年チンポは、初音の想像を超えていた。こんなものが人類の股間から生えているなんて。

「じゃあ、まずはお口でしてもらおうかな……」

つづく