ビデオ屋本舗(1)

妖精たちのシエスタ(仮題)

 

 さくらが戸惑っている。赤くした頬が愛らしい。ためらいと好奇心がせめぎ合っている。顔を伏せながらも、視線だけはちらちらとおれの股間に向けてくる。

「まあ、さくらちゃん、恥ずかしがり屋さんなんですね。それでは、わたしが――」

 知世が手を伸ばす。

 指がおれに触れる。

 ひくん。

 前立腺に快感が走り、ペニスがゆらいだ。

「と、知世ちゃん、い、いま動いたよ、おち……」

 言いかけてさくらは口をつぐんだ。自分がとんでもない単語を口にしかけたことに気づいたのだろう。

「よくごらんになっていてくださいね」

 知世はさくらに笑いかけ、それからおれの股間に顔をよせた。

 両手でうやうやしくおれを支えると、亀頭に唇をよせた。まさか、と思う。次の瞬間、あたたくやわらかい少女の唇の感触につつまれて、不覚にも声をもらしそうになる。

「このようにすると、男のかたは気持ちいいんですって。この前のビデオでも女のかたがしていたでしょう?」

「す……すごい、すごいよ知世ちゃん」

 さくらは目をまるくして、知世の行為を見ている。

 知世は舌をだして、ちろちろと茎を付け根からなめあげる。時折、唇をおしあてて、吸いつく。巧みだ。

 こんな少女がどうして……とは思うが、知世であればどんなことを知っていても不思議ではない気がする。

 ちゅぶ、ちゅば――音をたてながら知世の唇がまた亀頭に戻ってくる。くわえる。唾液がからむ。舌が亀頭のへりに沿って動き、刺激をあたえる。

 知世は上目使いでおれを見ている。試すような、挑発してくるような。

 ――わたしはいま指示をだせませんけれど、あなたはどんな絵を撮るのかしら?

 おれはカメラをさくらに向けた。上気した顔、開いた小鼻、ピンクの唇は濡れて、舌がひらめく。恥じらいつつも、発情した気分をおさえられないようだ。

 さくらは、知世がおれに対して舌をつかい、指を動かすのに合わせて、自分の乳首と股間をいじくり始める。くりくりと、ちゅくちゅくと。

 そのいやらしい姿を知世も横目でチェックしている。おれのカメラにも満足したようだ。微笑んで、鈴口を舌先でこじる。ごほうび、だろうか。

「さあ、つぎはさくらちゃんの番ですわ」

 知世がいざなう。

 ためらいながらも、今度はさくらも拒絶しない。好奇心が勝ったようだ。

「ど、どうするの?」

 おずおずと膝をすすめたもの、いざおれのモノを間近にすると、固まってしまった。

「まず、触れてごらんになって。大丈夫、かみついたりはしませんわ」

「う……うん」

 さくらは工作の時間、粘土細工の仕上げをするときのような慎重さで、おれのモノに手を近づける。

 触れたか触れないかで、さっと手をひっこめる。泣きそうな顔。

 当然だろう。その部分は変な色と形をしていて、とてもではないが人体の一部とは思えない。

 だが、知世はそっとささやくようにさくらをたしなめた。

「いけませんわ、さくらちゃん、監督さんに失礼ですわよ。その部分は、男のかたのいちばん大事なところなんですから、うやうやしく扱わないと」

「ごめん、知世ちゃん……監督さんも……ごめんなさい」

 ――なんて素直な子なんだろう。本気で反省しているようだ。

 さくらは真剣な面持ちで、おれのペニスに触れてきた。

 小さな手の感触。すこし冷たくて気持ちいい。最初はおっかなびっくり、それからじょじょに大胆に、おれのモノの感触を確かめる。

「いかがです、さくらちゃん?」

「うん……思ってたより、あったかくて、柔らかくて、でも芯があるみたいに固くて、ふしぎな手触り」

 自分にはない器官との初接触に、さくらは興味津々、どうやらお気に召したらしい。

「もっとお好きに触っていただいてかまいませんわ。ね、監督さん」

 おれは無言でカメラを上下させた。うなずいた、ということだ。

 さくらはおもちゃを与えられた子犬のように、おれのペニスにじゃれつき始めた。

 亀頭をつまみ、ほええ、と声をもらした。茎に浮かんだ静脈にそって指を動かして目を細めたかと思うと、陰嚢を掌に乗せて重さを量るようにした。

「おもしろーい。すごいよ、知世ちゃん、監督さんのこれ、さっきより大きくなったみたい」

 さくらみたいな可愛い子に弄ばれればだれでもそうなる。

「おくちでしてあげたら、きっともっと大きくなりますわ」

「さっき、知世ちゃんがしてたみたいに?」

「ええ」

 知世がすずしい顔でうなずく。

「や、やってみるよ」

 さくらが唇を湿した。

 唇をとがらせる。目をかたく閉じている。まるでファーストキスに臨んでいるかのような。

 ――そうかもしれない。

 これは、さくらにとってはファーストキスなのかもしれない。知世以外の人間――あるいは――家族以外の男との初めての接触なのかも。

 さくらの動きがとまった。やはり、こわいのか。

 ああ。髪に触れたい。髪をかきあげ、優しく導いてやりたい。

 だが、それはおれの役目ではない。

「さくらちゃん、わたしもご一緒しますわ」

 知世がさくらの顔に頬を寄せ、肩を抱いて、最後の数センチの距離をゼロにした。

 ちゅっ。

 ちゅ。

 それぞれの唇が音を鳴らし、おれの亀頭に押しつけられる。

「さあ、さくらちゃん、舌を」

「うん」

 れろ。

 れろん。

 ちゅぴ。

 ちゅる。

 ふたつの舌が動きはじめる。

 一方は巧みに、もう一方は拙く。おれのカメラは、ふたりの顔のアップを撮り続けていた。二枚の舌の動きと表情の変化を。

 さくらは熱心だった。ていねいに丹念に、心をこめてなめている。

 知世はそんなさくらにお手本を見せるように、次々に基本形をみせていく。まるで、雛に飛び方を教える母鳥のように。

 さくらがみるみる馴れていく。飲み込みがはやい。きっと学校でも努力家で通っているのだろう。

 おれの亀頭はふたりの少女にかわるがわる食べられた。陰茎は競うように甘噛みされた。陰嚢は左右から頬張られた。

 ふたりの指がからむ。おれのペニスを一本のバトンに見立ててか、ふたり息を合わせて、あやすように、責めるように、こすりたてる。

「知世ちゃん……」

「さくらちゃん……」

 たがいの名を呼びつつ、見つめ合う。

 ふたり同時に亀頭に舌をはわせ、勢いあまって舌どうしをからめる。

 亀頭をはさんでの、ディープキスだ。

 さくらの表情はうっとり蕩けている。

「えっちな味がするよ、知世ちゃん」

「男の方のミルクの味ですわ」

 たしかに。先端からにじみ出している。

「ミルクって? 男の人からも出るの?」

 びっくりしたようにさくらが言う。知世はおれを一瞥する。

「出ますわよね?」

 カメラを上下動させる――イエス。

「さくらちゃんにミルクが出るところを見せてあげてくださいね――さあ、さくらちゃんも」

 知世はおれをしごきたてた。細くて繊細でおどろくほどしなやかな指をからめて、ぬめる亀頭を刺激する。

 さくらは真剣な面持ちでそれを見つめている。まるで理科の実験を観察するように。

 その顔を撮っているうちに高まっていく。裏筋がひくつき、陰嚢がせりあがる。

「さくらちゃん、おくちをあけてくださいな」

 知世がなにげなく言う。さくらは意味もわからずしたがう。

「いきますわよ」

 きゅっ、亀頭の付け根を絞る。

 びくん! 茎が跳ね上がり、白い粘液を飛ばした。

「はにゃっ!?」

 口のなかに粘弾が飛び込み、さくらが目を白黒させているうちに、その愛らしい顔を精液でマーキングしてゆく。

 たっぷりと。

 さくらのシロップがけのできあがり。極上のスゥイーツだ。

「……うええ」

「だめですわ、せっかく監督さんがお出しになったミルクですもの。ちゃんとごっくんしてくださいね」

 顔をしかめたさくらの頬に舌をはわせ、精液を舐め取りながら知世が言った。

「う……ん」

 さくらは舌にのせた粘液を口のなかにおさめる。

「ん……んく」

 目をとじる。いっしょけんめい飲み込もうとしている。

 こくん。

 飲んだ。

 おれの精液を。それだけで背筋に震えがはしる。

「ほええ、へんな味だったよ」

「けなげで可愛かったですわ」

 知世が褒める。

「でも、男の人のミルクって、あんなに飛ぶんだね。びっくりしたよ」

 さくらは無邪気に言った。好奇心が燃え立っているのがわかる。

「それは、さくらちゃんが魅力的だからですわ。ねえ、監督さん?」

 おれはカメラの動きだけで、その通りだと答える。

「でも……しぼんじゃったよ」

 すこし残念そうにさくらは言った。

「さくらちゃんがセクシーなポーズをとってさしあげたら、また、きっと大きくしてくださいますわ」

「え……それって、どうすれば」

「指導いたしますわ」

  

 知世はさくらを四つん這いにさせた。

 尻を高く掲げさせる。扇情的なポーズだが、さくらがそれをすると、不思議に愛らしい。

「こ、こんなかっこう、はずかしいよう」

「すてきですわ、さくらちゃん。いろんなところが丸見え」

 知世はさくらのヒップに手をかけて左右に大きくひらく。

「あ……」

 さくらのアヌスは肌色だった。色素の沈着がまるでない。とても排泄のための場所のようではなかった。

 先刻、さんざん撮ったさくらの恥部だが、角度をかえるとまた違って見える。

 その部分に指をあて、舌をはわせる知世の表情も、さらに艶っぽさを増している。

 尻穴を広げ、内側の敏感な粘膜をなめる。それだけでさくらの括約筋が収縮をくりかえし、ワレメから愛液がたらりとこぼれる。

「知世ちゃあん……そこ……そこはだめだよう……きたないよう」

 だが、声はいやがってない。

「さくらちゃんのおしり――おいしいですわ」

 親友の肛門を賞味しつつ、黒髪の美少女が微笑む。

 指はクリトリスにかるく添えられ、ソフトに刺激を与え続けている。

「き……きもちいいよ、きもちいい……知世ちゃん……ふぁあっ!」

 甘い切迫した声をあげるさくら。頭の芯をとろかすようなあえぎ声だ。

「ほうら、さくらちゃん、監督さんをご覧になってくださいな」

 くすくす笑い声をもらしつつ知世がささやく。欲望にうるんだ目で、さくらはおれの股間を見た。

「ほんとだ……大きくなってる」

「さあ、さくらちゃん、そろそろ準備ができましたわ」

「う……うん」

 知世がさくらをうながし、仰向けにさせる。

 脚を大きく広げさせる。もう幾度もカメラに股間をさらしてきたさくらはもう抗わない。今まで、たっぷり時間をかけてさくらを慣らしてきたのだ。カメラにも、ペニスにも。

「監督さん、さくらちゃんをそれで可愛がってあげてくださいな。さくらちゃんは一度、男のひとのモノで気持ち良くなってみたいとご所望でしたのよ」

「いやだ、知世ちゃん……それ、冗談だよう」

 耳まで赤くするさくら。その股間に知世は指をあてがい、つるんと。

「はあ……ん」

 知世の指がさくらの充血した花びらに侵入し、ゆっくりと動いた。

「ここに……このなかに……いれてみたいって、この前さくらちゃんはおっしゃいましたわ」

「あ……知世ちゃん……だめ……ぇ」

 感じる場所を刺激されたのか、さくらの声がうわずる。

「そ、そんなこと、いってないよぅ……」

「おっしゃいましたわ。わたしと、ビデオをいっしょに見ていたときに。わたしに抱きつきながら、熱い息をお吐きになって」

「あ、あれは……」

 さくらの息継ぎが速くなる。

「あの日は、わたしの指や舌では、さくらちゃん、満足されなかったようでしたわ。あんなの、いれたらどうなるんだろうね、知世ちゃん――っておっしゃいましたわ」

「……」

 さくらは黙る。否定せず、知世の指を締めつけている。はあ、はあ、と吐息だけ荒い。

「いれてみましょうか」

 魔性の響きをふくんだ、誘惑。

「でも……」

 さくらは知世を見た。裸の股間を見直す。むろん、そこには深い亀裂があるだけで、さくらの純潔を切り裂く肉棒をそなえてはいない。

「ええ。もちろん、さくらちゃんのはじめてを、おもちゃなんかで汚すことはできませんもの」

 知世は微笑をうかべていた。長い黒髪をはらうしぐさ。汗ばんでいるはずなのに、肌に髪がはりつかないのは不思議だ。

「これでもさくらちゃんのご希望にできるだけ沿ったつもりですのよ」

 知世がおれを見た。

「だって、さくらちゃんがいれてほしい、っておっしゃったときに見ていたビデオの、監督兼主演男優の方をお連れしたんですもの」

つづく