裸の少女ふたりがからみあっている。
ねっとりとしたキスが続いている。
知世がさくらを抱きしめて、その唇を吸っている。
シャワーのあたたかいしぶきのなかで、ふたつの妖精がむつみあう。
「ああ……知世ちゃん……そんなことしたら、身体洗えないよ」
「わたしが洗ってさしあげますから、だいじょうぶ」
立ったまま、さくらの背後にまわり、そのスレンダーな身体をスポンジで洗いはじめる。
さくらの裸身がカメラの正面にくる。
おさない胸、ふたつの乳首、なだらかなおなかに穿たれたおへそ、そして柳腰というにも細すぎる未成熟な下半身まで。
きれいなワレメ。
シャワーのしぶきに濡れしたたって、とれたての果実のようにみえる。
その各パーツにカメラを誘導するように、知世の手がうごめく。
胸をなで、おへそをくすぐり、そして、ワレメは、すっ、と飛ばして、ふとももをさすり洗う。
おれは、よい演出家には忠実だ。そのとおりにカメラを動かした。
「や……監督さんが」
撮られていることを意識して、さくらが泣きそうな声をあげる。
「だいじょうぶですわ。きれいに撮れています。だって、プロの方ですもの」
かまわずさくらの脚をスポンジで洗いながら、知世は言った。
「そういう問題じゃないよう」
「どういう問題でしょう?」
スポンジは内股にまわった。
「どうして、わたしだけ映るようにするの?」
「だって、いつもそうしてますもの」
「それは、知世ちゃんが撮ってるから……あっ」
知世のスポンジがさくらのふとももの内側を這いのぼってゆく。
「ここもきれいにしましょうね。だって、監督さんがアップで撮ってらっしゃるから」
たしかに。
「ほえっ!?」
ワレメをスポンジがこすりあげ、さくらがビクンと反応する。
「そ、そこは自分で洗うよ」
「いけません。わたしにまかせてくださいな」
知世はさくらを背後から抱き締めながら言う。
「と、知世ちゃん……」
当惑しながらも、さくらは抵抗しない。
スポンジがきゅっきゅと音をたてる。さくらの股を押し広げるようにしながら。
思わずおれの足は動き、カメラを寄らせた。
さくらの無毛のワレメがスポンジにこすられて、形をかえている。亀裂が開き、中の粘膜が垣間みえる。
「ああ、だめ、撮らないで……」
さくらが消え入りそうな声をだす。
その耳元に唇を寄せながら知世はささやく。
「だめですわ。今日はさくらちゃんのすべてを撮りますから」
「ああ……あ、とも、よ、ちゃん」
さくらの表情をアップでとらえる。濡れて、火照って、蕩けそうな表情。感じているのだ。股間をスポンジでこすりあげられて。
「ほんとにかわいい表情ですわ……さくらちゃん」
おれが撮っている画がみえているかのように、知世は吐息をもらした。
さくらを抱き締めていたほうの腕を知世はゆるめ、掌でさくらの胸をもみしだく。いや、もむほどの大きさはないから、さする感じだ。
「う……」
「さくらちゃんの乳首、しこってますわ」
知世が手をどけると、ピンクの尖りはたしかにつんと上を向いている。
「知世ちゃん……そっちはだめ」
「どうして?」
「だって、そこ、ひりひりする」
「ごめんなさい。治してさしあげますわ」
知世はさくらの前に回り込むと、膝を折り、処女の胸に唇をつけた。
乳首を口にふくむ。
優しく舐め、吸う。
「あっ……あ……」
さくらが天井をあおぎ、知世の頭を抱きかかえた。
「き、気持ちいいよ、知世ちゃん」
知世はうれしそうにおいしそうに目を細める。幸福そうで、それでいて次の悪戯を考えているような、そんな表情だ。
ちゅず、ちゅず、知世が音をたてて、さくらの胸を吸いあげる。
キス・マークがつくかつかないかのギリギリのところ。
ほんのりと跡が残る。まるで花びらが散るような――知世は唇でさくらの肌に絵を描いているのだ。乳首の周辺に桜もようを。
「あ、ああ……ふぅ」
さくらは感じている。もともと敏感なのか、知世が仕込んだせいか――たぶん両方だろう。
「なんてきれいな肌なんでしょう」
自分が描いた絵をうっとりと知世がみつめる。白い少女の胸元に舞い散る桜の花びら。乳首さえその構図の一部だ。
「知世ちゃんのほうがきれいだよ。色も白いし」
さくらが肌を上気させながら言う。知世の頬に手をあてて、頬に、それから、鼻にキスする。さくらなりのお礼なのだろう。
「知世ちゃん、こんどはわたしが洗ってあげる」
さくらはおれの存在を忘れたのか、それとも順応してしまったのか、大胆にふるまいだした。きっと、これがふだんの彼女なのかもしれない。
ボディシャンプーを身体にまぶすと、自分の手でのばして、泡立てる。
「きて、知世ちゃん」
「はい」
いそいそと、知世はさくらの腕のなかに入っていく。
さくらと知世の身体が泡の皮膜をへだてて密着する。
ふたりは抱き合って、身体をこすりあわせる。
石鹸の芳香がたちのぼる。そのなかにふくまれる少女ふたりの興奮のエキスがおれを汗ばませる。
さくらと知世の小さな胸と胸が触れあう。
大きさも形もことなる二組の乳首が微妙にこすれあって、泡にまみれていく。
「さくらちゃん……あ……」
知世の声が初めて興奮によじれた。
そうか。
最初のリードは、このさくらの振る舞いを引き出すためだったのか。
さくらのためらいを消し去り、大胆にするため、あえておれのカメラにさらすようにし向けたのだ。
最初はレンズを意識していたさくらも、常に撮られることによって、それに慣れ、あるいは受け入れ、それとも忘れ去って、いつもの姿をあらわしたのだろう。
なるほど。
これからは、さくらと知世、同じだけ撮ってやろう。
ふたりの美少女が乱れくるうさまをぞんぶんに写し取ってやる。
さすがは超高級スイートの浴室だけあって、ジャグジーもあった。
ふたりは泡立つ湯に全身を浸し、おたがいの唇を吸いあった。
さくらはキスが大好きらしく、まぶたをとじて、必死に知世にくちづけている。そんなさくらが愛しくてならないように、知世は目を細めている。たまにさくらの唇から遠ざかり、さくらが求めてくるのをかわして、じらすようにする。それから、たあっぷりとディープキス。さくらは夢中で知世にしがみつき、肌をさらに紅潮させる。
おたがい、舌先をつきだしてからみあわせる。
少女たちの小さな舌と舌のあいだに透明な唾液の橋がかかる。
「さくらちゃんのつば、おいしいですわ」
「知世ちゃんのも、おいしい」
また少女たちは唇をかわす。
いつ果てるともない口唇のまじわり。だが、知世はじゅうぶんにカメラを意識していた。
キスを続けながら、さくらの背中に腕を回し、さくらを湯に浮かせるようにする。
「ふにゃあ」
泡立つ湯のなかで、赤ん坊のようにさくらはリラックスしている。
裸身が湯にたゆたう。
すんなりと伸びた脚が、わずかにくびれた腰が、なだらかで柔らかそうな胸が、泡になでられて心地よさげにゆれている。
まるで泡から生まれたアフロディテのような――と言ってしまうには少女たちは幼すぎるが、十分に芸術の主題になりうる美しさだ。もっとも、このような美しさを表現できる芸術のジャンルは存在しない。少女の裸の描写は禁じられているからだ。禁じられているからこそ地下にもぐる。このおれのように。
そうか――知世がおれを選んだ理由の一端がわかったような気がした。
「知世ちゃん、なんだか、わたし、フライのカードを使ってるみたい」
うっとりとした口調でさくらが言った。
どういう意味だ? だが、知世にはそれで通じたらしい。
「ふわふわするような感じですのね。わたくしもですわ」
ふたり、天使が飛翔した。さくらと知世の裸身がならんで、泡にもまれながらゆらゆらと。
知世はうつ伏せになり軽くばた足をする。なんというおしりだろう。
白くて。
まあるくて。
小さい。
ぷりっとした半球が真ん中で割れている。おれは目眩がした。
「このおふろ、おっきくて、泳げそうだね」
さくらも半回転してヒップを向けた。さらにクラリ、とくる。
むきたてのゆで卵のようなつるんとした質感。絶妙としかいいようのない曲線。
世界で最も美しい小尻がふたつ、ならんでうごめいている。
そこからすらりとした下肢が伸び出して、まるで二人は脚のある人魚のようだ。
おれは唾を飲み込んでいた。わかっていても手が震えそうになってしまう。
そんなおれを知世がちらりと見やった。
口元だけで笑う。
それから、さくらに話しかける。
「さくらちゃんたら、おしりまるだしで、かわいいですわ」
泡立つ湯面からつきだしたさくらのヒップ。上気して、まるでもぎたての桃の実のようだ。
そこに知世のこぶりなおしりが近づいて、触れる。
おしりがふたつ、ぶつかっては離れる。
「知世ちゃんのおしり、すべすべしてる」
さくらは仕返しのつもりか、自分からおしりをぶつけていく。
つんと突き出したふたつのおしり。
むにむにと押し合っては、離れる。
たまらない光景だ。
おしりの割れ目が開いたり閉じたりして、ふたりの大事な部分が見えそうになる。
だが、泡立つお湯が微妙に局部を隠している。もどかしい。だが、とてつもなく扇情的だ。
いますぐ浴槽に飛び込んで、このふたつの果実をむさぼってみたい。
カメラを構えていなければそうしていたろう。しかし、おれは撮り屋だ。カメラの構図の巧拙がすべてに優先する。
少女の小尻がふたつ並んで揺れているという、この極上の絵を壊すなんてとんでもない。
おれはビデオを回しつづけた。