「いやっ、なに?」
唯を抱きかかえたまま、澪はステージにしゃがみこむ。
腕をつかまれる。悲鳴が喉にひっかかる。唯を奪われた。ふにゃふにゃの唯は男たちにステージ脇に連れて行かれる。
男たちに押さえつけられた唯の白い脚がばたばたしているのが見える。だが、力のない動きだ。
キーボードの前にぼーっと立っていた紬は後ろから男に抱きかかえられている。男の手が紬の巨乳を揉みしだいている。無造作にドレスを引き下げられ、釣り鐘型の乳房を露出させられる。薄ピンクの乳首を男の指がつまみあげ、こねはじめる。
「あ……あんっ」
紬は甘い声をあげ、身体をくねらせる。その紬の唇を別の男が奪っていく……
「律、たすけて……っ! 紬と唯が……」
澪は必死の思いでドラムの方に目をやる。
律ならば、律ならばなんとかしてくれる。
だが――
そこには、呉竹に組み敷かれている少女の姿しかなかった。
律のドレスの肩紐ははずされ、ブラが剥き出しになっていた。呉竹は律のブラを引きちぎった。こぶりなオッパイが露出した瞬間、呉竹のひげだらけの顔がそこにむしゃぶりついていた。
「ひゃあ……っ」
律の色っぽい声。初めて聞く幼なじみの悶える声。
「澪ちゃん、お友達、みんな楽しんでるよ」
澪をおさえつけている男が顔をゆがめた。
一人だけではない。三人がかりだ。
「澪ちゃんってキスしたことあんの?」
鼻ピアスをしたチャラ男ふうが聞いてくる。
澪は必死で顔を左右に振る。
「えーっ、じゃあファーストキス、いただきー」
鼻ピアスは澪の顔を両手で固定し、唇を合わせてくる。
「ぅーっ」
必死で顔を背けようとする澪。だが、しっかり固定された滋養対では避けようがない。せめて唇をしっかりと引き結んだ。
男の顔が間近にある。違和感が唇にある。ぬるっとして、煙草と酒の匂いがする。それよりも強いのは動物の匂い。
これが、夢見ていたファーストキスなのか――鼻の奥がツンとなりかける。
「澪ちゃん、力抜いて、リラックスリラックス」
男は笑いながら、さらに唇を押しつけてくる。唇をそのものを吸い込まれ、甘噛みされる。抵抗しようと拳を打ち付けるが、相手はひるむどころか、「澪ちゃん、かーわいい」と相好を崩す始末。
さらに別の男二人が、澪の服を脱がせにかかる。
「いやっ……だめ」
男たちは手慣れていて、すっぽりと脱がされてしまった。
澪は、ブラとパンティ、そしてタイツに靴だけの姿になる。
「おーっ、エロいブラしてんなぁ」
「清純そうな顔して、いちばんのエロ子ちゃんだったり?」
金髪にカラーコンタクトを入れたガリガリの男と、日サロ通い詰めっぽい筋肉質の男が、口笛をピューピュー吹く。
「にしても、なかなかの美乳だな」
「乳首ピンコ立ちだ」
男たちは左右の乳首を指で弾き始める。澪の背筋に鋭い快美感が走る。
「すきあり」
鼻ピアスが澪の口に舌を挿し込んでくる。もう拒めない。
夢のまた夢の先だったディープキスだ。男の舌が澪の口の中をなめ回す。
「んふっ……んんっ……んぅぅぅぅ」
「あら泣いちゃった」
「うれしいんだろ?」
涙を流している澪を男たちが楽しげに論評する。
「じゃあ、いろいろいじくって、もっと喜ばせてあげよう」
三人の男たちは、澪をおさえつける役、キスする役、そしていじくる役を分担して、楽しみ始めた。
乳房を乱暴に揉まれ、乳首を吸い上げられた。澪のバストは男達の唾液に濡れ、キスマークだらけになった。
もちろん、下半身も容赦されなかった。
まずは下着の上から指で刺激された。
「どう、澪ちゃん、気持ちいいでしょ?」
「特製下着からしみ出すお薬で、オマンコ敏感になっちゃってるしね」
薬がより深く浸透するように、下着の布を澪のワレメに押し込むようにする。
「ぅっ、ぁっ……!」
腰が勝手に動いてしまう。股間からしみこんでくる熱がそうさせるのだ。
「へっ、指にあわせて、腰くねらせてやがら」
男があざ笑い、さらに指を激しく動かす。
澪は混乱していた。恥ずかしいのに――いやなのに――死にたいくらいに悲しいのに――気持ちがいいのだ。
キスも――舌の動きに心地よさを感じるようになっていた。三人の男たちにかわるがわるディープキスをされて、それぞれの舌の動かし方の違いに好みさえ出てきていた。鼻ピアスが――ファーストキスの相手だからなのか――いちばんいい。
鼻ピアスの時は、自覚はないが、自分でも舌を動かしていた。
「へっ、澪ちゃんも、その気になってきたぜ」
「そろそろ、フェラとかやってもらうとするかな
男たちは、下半身裸になり、屹立したモノを澪に見せつけた。
澪は、正真正銘の処女だ。もちろん、男の勃起したモノを目の当たりにする機会になど恵まれなかった。
だから、それが最初なんなのかよくわからなかった。
人体の一部などとは思わなかった。股間から棒が生えている。なぜ? という感覚だ。
だから、その赤黒くてグロテスクな亀頭だとか、血管が浮き出た竿だとか、毛むくじゃらの陰嚢だとか、それらをアップで見て、脳の許容量を超えた。
瞬間的な脳貧血だ。意識が遠くなる。
だから、それを無抵抗に口に受け入れさせられてしまった。
最初は金髪カラコン男のペニスだった。反り返っていて、亀頭も尖っていた。味はえずくほどではなかったが、しょっぱかった。カラコン男は勝手に腰を使っていた。
「澪ちゃんのお口……ああ、ナンもしてくれねーけど、そこがまたいいぜ」
澪は口を蹂躙されるしかなかった。何をどうすればいいのかわからない。おそるおそる男を見上げた。その表情がツボに入ったのか、カラコン男は勝手に激しく動き出し、「うっ」と呻いた。
口の中にねばねばしたものが広がる。何か出された、と思った次の瞬間、むせていた。手に受けたそれは白くてどろっとした粘液だった。これが――精液なのか。
「あーっ、澪ちゃん、ゴックンしてくれよ。傷つくなあ」
尿道から残りの精液を絞り出しながら、金髪カラコン男が言う。
「まあ、最初だからしょうがないっか。じゃ、次」
次は日サロマッチョだ。今度のは黒くて太い。亀頭も暗紫色に近い。
「舌をちゃんと動かして、なめるんだぞ」
澪はもうわけがわからず、言うとおりにした。男の人のそういう部分を舐める日が来るとは、まったく想像していなかった。しかも複数を相手にだ。オチンチンっていろんな形と色をしているんだ……ぼぅっとした頭で澪はそう思った。
竿を舐め上げ、亀頭を口に含む。その状態で舌を動かすと、うまいとほめられた。手でしごくことも教わった。
細くて長い澪の指は気持ちよかったらしく、日サロマッチョは手コキで射精した。澪は男が射精する瞬間を目撃することになった。
男の呼吸がせわしくなり、腰をカクカク動かしはじめ、手の中のモノが一段とはりつめたかと思うと、先端の切れ目から白いものが勢いよく飛び出す。それは澪の顔にかかり、目に入りそうになった。
初ぶっかけまで体験したことに、もちろん澪は気づいていない。ただ、精液の匂いにむせそうになった。
三人目の鼻ピアスがフェラの卒業試験だった。澪は過去二人のペニスに対しておこなったことをそのペニスに対して施した。鼻ピアスは自分のしてほしいことを澪につたえ、澪は機械的にそれに従った。陰嚢までしゃぶらされた。
キンタマという言葉は澪だって知っている。ここがそうなのだ、というのは改めて教えられて、「そうか」と思っただけだ。
わたし、いま、キンタマ……舐めてるのかぁ……すごいことしてるなあ……
でも、なぜ?というところまで思い至らない。ずっともう身体がふわふわしっぱなしだ。
「澪ちゃん、上手になったねぇ……じゃあ、仕上げだよ……っ」
鼻ピアスは澪の手コキとフェラを楽しんだ後、澪の顔を両手ではさんで、激しく突きはじめた。
「これさ……イラマチオっていうんだ……っ! 澪ちゃんのクチマンコに、たっぷり出すからね!」
喉を突かれながら、澪は「ふわふわ時間……」というフレーズを繰り返していた。
「うっ!」
鼻ピアスがうめき、大量のザーメンを放出したとき、歌詞はひととおりできあがっていた。
飲み込んだザーメンはとても苦かった。
唯は指でかきまぜられていた。
もちろん、とっくに全裸にされている。
ステージの端に寝かされ、二人の男にもてあそばれていた。
二人ともこの店のスタッフらしい。一人はスキンヘッドで、もう一人はモヒカンだった。あまり店員に向いているとは思えない。
「唯ちゃんは素直でいいこだねぇ」
スキンヘッドが唯の右側にねそべり、右手で唯のクリトリスをこすっていた。
「そうそう、全然抵抗しないし」
モヒカンは左側に寝そべって、左手の中指を唯の中に入れていた。
「あんっ……はっ……」
「おっぱいも小さくてかわいいし」
スキンヘッドが右側の乳首をぺろん。
「感度はすごくいいしね」
モヒカンが左側の乳首をちゅうちゅう。
「ああっ……気持ち……ぃぃ」
演奏とボーカルのエクスタシーで、すでにトランス状態だった唯は、男達の愛撫をわりとあっさりと受け入れてしまっていた。こんなコトしてていいのかなー、という気がほんの一瞬だけしたが、全身をまさぐられて、ペロペロされると「ま、いっか」と流してしまった。
「唯ちゃんの肌、すべすべー」
「ほんと、赤ちゃんみたいだ」
男たちは唯の脇の下に顔をうずめ、舌を動かした。ほんとうならくすぐったいはずなのに、今の唯の身体はそれを快感として受け取ってしまう。
「ひゃんっ、はぁっ……すごっ……ぃぃよぉ」
指で乳首を弾かれ続ける。ピンピンピンっと刺激を受けることで、いっそう充血していく。
「じゃあ、唯ちゃん、もっとあんよを開こうね」
「うや?」
モヒカンが唯の腰を抱え上げ、赤ちゃんのおしめを替えるようなポーズにさせる。
「や……はずかしぃ」
さしもの唯にも羞恥心がよみがえる。
こんなポーズ幼稚園児以来だ。幼稚園のころ、おもらしをして、こういうポーズで下着を替えられたことがあるのだ。
カスタネットをほめられた頃である。うんたん、うんたん……そんなリズムで。
「ほら、唯ちゃんのオマンコ、パクパクしてるよ−」
広げられている。
「ひょー、処女まんこのパックリ初めて見たよ。写真とっとこ」
スキンヘッドがケータイで唯のアソコを接写。唯は条件反射的にピースサインを出していた。
「唯ちゃん、サイコー! おれこれ待ち受けにするわ」
「えへへ」
現在の唯の思考能力は幼稚園児レベルに退行してしまっていた。