さて、いよいよ今週の仕事も大詰めだ。ドラマ撮影である。
今日は大御所・南小路欣也との濡れ場がある。
映画、ドラマはむろん、最近はCMでのナレーションでも露出が多い。あの「お父さんネコ」の声といえば誰もがわかるだろう。芸能界の大御所の一人だ。
だが、年齢はもう七十を越えているはずだが、できるのか?
「だから、あんた、スタンバっておいてね」
ディレクターの桃山園にはそう言い渡されている。
濡れ場の代役だ。南小路欣也とおれは年齢も顔もまったく違うが、それでも南小路欣也と同じ衣装とヅラを着けさせられた。おい、これすげー蒸れるんだが。それに、着物の重たいこと。それだけで身動きできないくらいだ。
男優が撮影現場できっちり勃起させ、射精までいくのは、けっこう難しい。
多くのスタッフに囲まれ、ライトが煌々と輝く中で、段取りを間違えずにセックスするというのがいかに難しいことか。AV業界でも、女優のなり手はいくらでもいるが、男優はとても少ないのだ。
ましてや、子役を相手にする場合は、体格の違いや性器のサイズなども考慮に入れなくてはいけない。実際、おれも撮影現場をそれなりに見てきたが、しっかりと最後までできる俳優はほとんどいない。
そのため、挿入シーンの代役が必要になるのだ。
だいたい、ペッティングまでは俳優で撮影する。
美耶子は演技の天才だから、へたくそなペッティングでも、演出家が望むとおりの濡れっぷりを示す。
だが、俳優の方はフニャフニャのままということがままある。たとえ勃起しても、うまくイケないことも多い。逆に、入れたとたんに射精する早漏もいる。イケなくても早すぎても必要なシーンを撮ることができない。
そんなときは代役の出番だ。
子役の業界用語で「スタンドマン」という。「スタントマン」ではない。「勃つ」という言葉を「立つ」に移し替えて、「勃起状態をきちんとコントロールできる代役」のことをそういうのだ。
スタンドマンは芝居の進行を見つつ、きちんと勃起を維持しておき、挿入シーンだけを受け持つ。挿入シーンはたいてい結合部のアップだから、顔が似ていなくても大丈夫なのだ。
きちんと美耶子をイカせて、射精までいけるスタンドマンはそうはいない。おれと桃山園、あと数人というところか。さまざまな役者の代役ができるよう、年齢や体格にはバラつきがあるが、いずれも美耶子と身体の相性がよく、美耶子本人が選んだ男たちだ。中には、美耶子のファンクラブ会員から抜擢された変わり種もいる。
今日の南小路欣也は、年齢は高いががっしりした体格で、身長はおれとほぼ同じ。そういったところからおれにお鉢が回ってきたのだろう。
だが、仕事とはいえ、美耶子と濡れ場撮影となると、ちょっと期待してしまうな。
忘れてもらっては困るが、日本では未成年者とのセックスは禁じられている。相思相愛であってもだ。それに自宅では美耶子は普通の小学生だ。一子ちゃんをはじめ、家人の目もある。
つまり、美耶子とはプライベートではなかなかエッチできないのだ。
それに、撮影などが入ると、肌のコンディションも整えておかないといけない。キスマークなどもってのほかだ。美耶子の身体はもはや日本の芸能界でもトップクラスのコンテンツなのだ。
そう思うと、こう、チンチンがみなぎってくるな。
「今日のスタンドはゆーいち? やたっ」
美耶子も嬉しそうだ。
仕事は仕事と割り切ることができる美耶子だが、最初のうちは知らない男と撮影でからむことにナーバスになったり、泣きべそをかくこともあった。
そんな時はカメラテストと称して、おれは美耶子を抱いた。カメラテストなどといった建前をつかわないといけなかったのは、未成年者とのプライベートでのセックスは犯罪だからだ。
おれは美耶子専用の鎮静剤として珍重されるようになり、スタンドマンの仕組みも整っていったというわけだ。
いまでは、美耶子はおれがスタンドに入るのを心待ちにしている様子がある。
「じゃあ、今日、がんばるね。おじーちゃん相手だけど!」
南小路欣也が現場に入ると空気が一変した。
さすが、数多くの映画、ドラマに出演し、日本映画界の大御所と呼ばれる大物俳優だ。彼の名前が出演者欄に並ぶだけで作品に箔がつく。
ギャラも業界トップクラスらしいが、よくキャスティングできたな。さすがは窪塚プロデューサー。
「それがね、意外にリーズナブルだったらしいわよ、話によるとね」
桃山園が雑談のなかでそんなことを言っていた。
「共演者が美耶子だって聞いたら一発OKだったらしいわ」
なんでも、美耶子と同い年の孫娘がいるらしく、その子が美耶子の大ファンらしいのだ。
その時点では濡れ場があるとは知らなかったようだが――
美耶子は南小路欣也のところにすぐさま挨拶しに行った。このあたりはずいぶん世慣れてきた。
「ほほう、きみが美耶子ちゃんかね。大活躍しているそうだね」
目を細めて美耶子を見つめる視線は、孫を見る祖父のようだ。
「今日はよろしくお願いします、南小路先生」
「はは、先生はよしておくれ。そうだな、おじいちゃまと呼んでくれないか? うちの孫はそう呼ぶんだよ」
「はい――おじいちゃま」
にっこり微笑む美耶子。ほんとうに外面いいな、こいつは。
撮影が始まった。
このドラマのタイトルは「美耶姫異聞・あやかし砦の三悪人」。
ヒロイン・美耶姫は亡国の姫君で、霊能力を操る力を持つ巫女。珠子のキャラがちょっと入っている感じがするが、それは偶然だ。
あらすじは、こんな感じだ。
美耶姫は悪徳大名によって国を滅ぼされるが、忠義心の強い若侍に助け出され、母方の有力大名の領地を目指す。その途中で知り合った盗賊、破戒坊主、賞金稼ぎたちとともに旅をすることになる。悪党たちは美耶姫の影響で改心していく。
一方、若侍と美耶姫は互いに惹かれあうが身分の違いもあり、プラトニックなまま。そうこうするうちに、美耶姫は悪徳大名の手に落ちてしまう。
筋立てとしてはそこから若侍と悪党達による美耶姫奪還作戦につながっていくのだが、今日撮影するのは、その作戦が進む間に、囚われの美耶姫の身に何が起きていたか、だ。
このドラマ最大の見せ場でもある。
大御所・南小路欣也の出演シーンでもあるだけに、現場のピリピリ感はすごい。
「はい、では、美耶子さん入ります」
絢爛な衣装をまとった姿で美耶子がセットに入る。
もう、降りてきている。
美耶子の双子の妹・珠子はガチの霊感体質だが、美耶子にもそういう才能があるのかもしれない。役どころにハマると、子役離れした演技力を見せる。
以前はその状態になるまで時間がかかったが、今ではスタートがかかるとスッと役に入れる。
美耶姫は明るく天真爛漫なところがありつつも、芯が強く、お家再興のために悪徳大名の寵愛を利用しようとするしたたかさも兼ね備えている、という設定だ。いわば、もともと二重人格的なキャラなのだ。
悪徳大名に扮した南小路欣也は寝具の上に座っていた。今週頭のカメラテストでは桃山園が代役をしていたが、まったく比べものにならない存在感だ。オーラが違いすぎる。
美耶子は三つ指をつき、南小路にあいさつする。もう戦国時代の姫君になったかのような所作だ。
「おじいちゃま、よろしくお願いいたします」
「うむ……まさか孫と同い年の女優とからむことになるとはな」
さすがの南小路のキャリアでも、十歳の女優と濡れ場を演じたことはあるまい。
「だが、いい目をしているな、美耶子ちゃん。女優の目だ。わたしも本気でいかせてもらおう」
言うなり、ふっと姿勢がかわる。傲岸で好色な悪徳大名そのものだ。
桃山園が演出の説明をする。
「ここは南小路先生におまかせしますわん。基本好きにやっていただいて、いけるとこまで、どうぞ」
いや、それ丸投げすぎるだろ。
「ふむ? 台本から外れてもいいのかな?」
南小路が確認する。
「もちろんですとも」
大物に弱い桃山園はへいこらしまくりだ。
「じゃあ、流れで最後までやっても平気かな?」
「大丈夫です。美耶子もそれでいいわよね」
「はい……おじいちゃまのしたいように」
美耶子もうなずく。静かだが、もう美耶姫になっている感じがする。
「そうか。では、始めよう」
南小路欣也と宇多方美耶子の濡れ場が――いや、戦いが始まる。
スタートがかかった直後だった。
美耶子の頬が鳴った。
いきなりの平手打ち。美耶子が呆然としているところに、南小路がのしかかる。
「ほうら、美耶姫、抗ってみよ、あやかしの力でわしを倒してみよ――できぬか、できぬだろう?」
南小路はガチに美耶子を押し倒し、裾を乱暴にはだける。
カメラテストの時と同様、美耶子は下着をつけていない。
「どぉれ、美耶姫のお大事を検分させてもらおうぞ――あの若侍に散らされておるか、おらぬか」
美耶子はまだショック状態らしく、演技もへったくれもない。
南小路によって股間を開かれて、恥ずかしげな演技も哀しみの演技もできないまま、ただただ、圧倒される。
性器を乱暴に広げられる。小陰唇を左右に限界まで引っ張られ、膣内がめくり上がりそうなほどに。
それ自体は台本にもあるシーンだ。広げられた美耶子の膣口には処女膜がCGで追加されるはずだ。
南小路がその部分をのぞき込む。
「たしかにあるぞ、乙女のあかし。それはそうであろうのう、こんなに小さな女陰(ほと)では、男のモノなど入らぬわ」
指を、ぐりん、と。
美耶子の中に挿し込む。
「あひっ! ひゃうっ!」
演技ではない、マジの悲鳴だ。
本来なら、ここで美耶子は自ら純潔を示すシーンのはずだ。だが、南小路のアドリブは、それを許さない。
「どうら、穴を広げてやろう、わしのものでもおさまるようにな」
いきなり、指で美耶姫の乙女のあかしを破ってしまった――
指で乱暴に突き上げる。
「あああああ、いたい! いたいいいぅ!」
美耶子の悲痛な声。演技で出せる声ではない。
「ふはは、でてきたぞ、乙女の涙、赤いしずくが」
血だ。南小路が指を出し入れするたびに、美耶子の性器から赤い液体がにじみ出る。
実際の美耶子に処女膜などない。乱暴にされて粘膜が傷ついたのか――
これはむちゃくちゃだ、暴力行為だ。やめさせないと――
おれが出ていこうとしたとき、桃山園がものすごい形相でおれの行く手をさえぎる。
「あんた、この現場を壊したら、殺すわよ」
囁き声ながら有無を言わせぬ強さを秘めている。あの桃山園が。しかし、黙ってられるか。
「美耶子が痛がってるじゃないか、ケガまでしてるんだぞ! いくらなんでもやりすぎだ」
「南小路欣也が女優にケガなんかさせるわけないでしょ。五十年以上のキャリアで、南小路欣也が女優を傷つけたことは一度もないのよ。信じなさい」
断言された。しかし。
セットの中、褥の上では、南小路が痛がる美耶子をおさえつけ、指で性器を乱暴に掻き回している。
血が出ているのは、確かだ。
「しかし――」
「美耶子も、我に返ってないでしょ。むしろ、元の台本より、ずっと美耶姫になっている。あの子は女優の勘でわかってるのよ、これは、必要なシーンだって」
たしかに、美耶子も逃げようと思えば逃げられるはずだ。
「ふふ、膜を完全に破けたのう、どれ、手当をしてやるか」
南小路は美耶子の膣から抜いた血まみれの指を舐め、おもむろに美耶子の性器に口をつけた。
「あ……ああああっ」
美耶子が声をあげる。
「お、おとのさまの……ベロがぁ……」
舐めまわされている。南小路欣也に、美耶子の膣内が。
「あっ、あっ、あんん……うっ」
南小路が顎をうごかし少女の胎内を舐めしゃぶる度に、ぴくん、ぴくん、美耶子の身体が震える。
「ふふ……だいぶん、愛液もでてきたのう」
血と愛液で顔をべとつかせながら南小路が笑う。
「ずいぶんと女陰(ほと)もきれいになったわ」
これみよがしに美耶子の性器を見せつけるようにする。もちろん、今度はカメラもすかさず接写。
いやらしく充血し、血と愛液と唾液でぐちゃぐちゃになった美耶子の膣内がはっきりと映る。
「な……なるほど」
桃山園が呟くように声を漏らす。
「これなら、CGで処女膜をつくらなくても、あきらかに、まちがいなく、美耶姫は処女喪失してるわ」
な、なんだと。
性器を映してもとがめられない子役の撮影で、逆に一番難しいのが処女喪失シーンだと言われる。チャンスは一度しかない。何回も現場をこなすと、もちろん処女膜はなくなってしまう。なまじ全部見せられるから、その時だけ見せないと不自然になる。
苦肉の策としてのCG合成だったが、後から聞いた話では南小路は一言で切り捨てたらしい。「CGなど無粋」だと。観客は本物を見たがっている。「虚構」をギリギリまでつきつめて「真実」にするのが役者の力だ、とも。
それが、このアドリブだったのだ。
結果、カメラは美耶子のありのままの性器を映しとっているのに、観客には処女喪失直後の生々しい膣にしか見えない、という結果が生まれたのだ。
それでは血は――
おれは、南小路がさりげなく指先を褥でぬぐうのを見た。カメラ的には美耶子の膣内を映しているから、シーン的には問題ない動きだ。
あの血は南小路の指先からのものだったのだ。おそらくあらかじめ小さく傷をつくっておき、美耶子の膣内で傷口を開かせたのだ。
おそるべし、南小路欣也。
カットがかからないままカメラはまわりつづけている。
南小路は美耶子の着物を剥いだ。
美耶子は破瓜のショックで抵抗もできない――ように見えた。実際、ショック状態は続いていただろう。
全裸にされ、カメラにおいしいショットをたくさん提供しつつも心ここにあらぬ様子だ。
「さて、次はわしのものを使えるようにしてもらおうかのう」
南大路も脱ぐ――七十歳を越えているとは思えぬ肉体だった。腹筋はおれより締まっているかもしれない。
だが、さすがに股間は萎んでいた。陰毛も白髪が多い。
おれの出番か、と思った。正直、すでにカチカチだ。自分の恋人が男優とベッドシーンを演じているのを見るのは職業がら馴れているといってもいいが、今日のは強烈すぎた。
だが、おれへの指示はこなかった。
南小路が続行したからだ。彼が芝居をやめない限り、カメラも止まらない。
「ではの、美耶姫、次はわしのを使えるようにしてもらおうか」
美耶子は犬のように四つん這いになり、おしりを掲げて、南小路の股間に顔を埋めていた。
カメラは美耶子の尻から撮っている。ほんとうの犬のように、肛門と性器が見えている。
大人の性器は映せないから、そういうアングルになってしまうのだ。
だが、美耶子はガチに南小路をフェラしていた。しなびた竿を吸い、大ぶりだが張りのない陰嚢をしゃぶった。
南小路は勃起しないことにあせる様子もなく、美耶子の乳首をくりくりと弄んだかと思うと、美耶子の尻をぴしゃぴしゃ叩き、たわむれに肛門を広げて見せたりした。
映像的な変化を常にあたえるテクニックだ。
「ふふ、さっきまでの未通女(おぼこ)がもう男のものをしゃぶっておるわ。まこと、雌犬だのう。ほうら、雌犬らしく尻を振らんか」
などと言われ、懸命に小尻を振る美耶子である。
だが、南小路の男根はしなびたままだ。これでは性器ではなく、単に小便を出すための器官に過ぎない。
やはりおれの出番か――と思ったが、桃山園は複数のモニターをチェックしつつ、うなっている。
「おそるべし……おそるべし、南小路欣也……まさかそんな手があったとは」
桃山園がチェックしているいくつかのモニターでは、南小路欣也のフニャチンがばっちり映っていた。美耶子が懸命にくわえたり、しゃぶったり、手でシコシコしたりしている。複数のカメラを使ったマルチ撮影が桃山園の常套手段だが、絶対に使えない映像のためにカメラをそんなに割くのはめずらしいことだ。
「お、おい、そんなとこ撮ってもオンエアでは使えないだろ……」
「――なぜ、子供の性器がノーカットで放送できるようになったか知ってる?」
桃山園がモニターから目を離さないまま問う。
「それは……初潮前の子供の性器は生殖につながる行為ができないからだろ。なんでそんな理屈が通ってしまったのかわからないが」
全く意味がわからないロジックだが、この国の現在の放送コードでは、「生殖活動につながらない」という理由で初潮前、精通前の子供の性器を映してもおとがめはない。そのルールを作ってきたのは桃山園であり、美耶子だ。その結果、空前の子役ブームが訪れ、現在に至っている。
「で、あればよ、こうも考えられるじゃない? 生殖活動ができない老人の性器も、また映しても問題ない、と」
な、なんだってええええええ!?
おれは大声を出しそうになって、手で口をおさえた。
実際のところ、もしそれが通ったとて、老女の性器には世間的な需要はほぼないだろう(一部マニアはいるかもしれないが)。
しかし、爺の場合、子役の少女と組み合わせれば、その絵的なインパクトは大きい。
まさか、それを計算して――
「さて、そろそろ美耶姫の女陰(ほと)を使わせてもらおうかな」
しなびたままの股間をさらしながら、名優・南小路欣也は、美耶子をゆっくりと押し倒した。
くにゅ、くちゅ……
湿った音がする。
美耶子は赤ちゃんのように開脚させられ、褥に仰向けになっている。広げられた性器はすでに濃いピンク色に火照り、粘膜の奥から分泌される液体でぬめっている。
その美耶子のワレメの内側に、南小路は柔らかいままのペニスをこすりつけている。赤紫色の亀頭だけが膨らんでいるが、全体的には小さいサイズだ。
それが、いまやあらゆる角度から撮影されている。放送のために角度をうまくつけて見えなくする――というカメラは用意されていない。このシーンはノーカットで放送するつもりなのだ。
「どうだ、美耶姫? 気持ちいいだろう?」
クリトリスと膣口の間を往復させるようにしつつ南小路が言う。
「あ……はい、おじいちゃ……おとのさま……いいですぅ……」
美耶子は言い直したが、おじいちゃん、と言ってもシチュエーション的にはおかしくはない。
悪徳大名は設定上、美耶姫の祖父の元家臣で、美耶姫の「じい」でもあったのだから。
「やわこいままじゃが、中に入れさせてくれるか? ああ?」
膣口を亀頭で刺激しつつ、指でクリトリスを擦りたてる。
「あんっ、あっ! あっ! あうんっ……!」
美耶子の吐息が早く、切なくなる。裸の薄い胸を上下させる。隆起のほとんどない胸に乳首だけが屹立しているのがいかにも少女らしい。
「あ、あああっ、へんに……へんになるぅ……おじいちゃま……っ」
「そうか、おさねがそんなに気持ちいいか。よしよし、初めてだからな、やわこい魔羅でも痛いかもしれぬのう。ならば、せめて気をやりながら受け入れるとよいぞ」
南小路は美耶子のクリトリスの包皮を剥いて、二股の付け根部分に指の腹を押しつける。
「く、くひっ、くぎぃっ!」
脳幹を純粋な快感に灼かれたかのように美耶子が声をはなつ。
同時に南小路のペニスが美耶子の膣に潜りこんだ。
そのシーンが克明に記録されていく。
おそらくはテレビ史上初のシーンになるだろう。
モザイクなしの大人ペニスが子役のヴァギナに入り、動いているさまが公開されるのは。
やっていることはセックスそのものだ。
だが、南小路欣也は70歳を過ぎており、もはや生殖機能がないとすれば――挿入されているペニスも勃起しておらず、射精もしないならば――現行ルールの上ではセーフなのだ。
南小路は美耶子に覆い被さり、その小柄な身体を引き寄せた。簡単に持ち上がる美耶子の細い身体。
唇を合わせる。
「はむう……はうう……ふは」
老優と舌をからめ、蕩ける美耶子。
孫が祖父に抱っこされているような姿勢。対面座位。
南小路は美耶子のおしりをつかんで、上下させる。
結合部がアップで抜かれる。
美耶子の子供まんこは、いつものように大きく広げられてはいない。入っているペニスが細いからだ。だが、長さはあるらしく、ゴムのように伸び縮みしながら出たり入ったりを続けている。
「しゅほい……な……なかれ……ペロペロされてるみたい……ぃいいっ!」
どうやら南小路のペニスは、美耶子の膣内では舌のように感じられるらしい。
「しゅご……ほんなお……はじめれ……っ」
「美耶姫はほんに淫乱よ。こんな爺のやわこい魔羅でよがるとは」
南小路は立面座位のまま、よいしょと立ち上がる。一瞬、南小路の腰を心配したが、美耶子は十歳児としても軽い方だ。問題はなかったらしい。振り落とされまいと美耶子は必死で南小路にしがみついている。まるで小猿のようだ。
「さても美耶姫は赤子の頃と変わらぬのう。こうして抱っこしてやったときのことを思い出すわい」
駅弁ファックをしながら南小路は笑った。
そして、また――こんどは美耶子からキスを求めるのに応えてやる。
舌と舌をからめ、唾液をたっぷりと交換する。
美耶子はだらしなく舌をのぞかせ、あえぐ。
「ふぁああ……きもちいい……おじいちゃんの抱っこ……すきぃ……」
退行してしまっている。もはや台本は関係なく、美耶姫になった美耶子は、かつてじいやとして自分を抱っこしてくれた悪徳大名の腕の中に安らぎを感じているのだろう。
「そうかね、美耶姫、わしが好きか?」
美耶子を揺さぶり、ペニスを美耶子の胎内深くまで挿し込みながら南小路は訊く。
「あっ! あっ! あっ! なか、しゅごぃ……おじいちゃん、しゅきだよぉ……だいしゅきぃ……」
非勃起状態のペニスによって、なぜそこまで性感を与えられるかわからない。わからないが、明らかに美耶子はアクメに達していた。それも絶頂状態がいつまでもだらだら続くタイプのアクメだ。
こんな蕩けた表情の美耶子はそうそう見たことがない。台本の内容も全部飛んでいるだろう。
「ならば、わしの女になるか? 側室にしてやるぞ。どうだ?」
さらに激しく腰を突き上げる。
「あああああっ! なるっ! なるよぉ……っ! おじいちゃんのおんなに……してぇ」
「あの若侍はどうする? 身分違いの恋などと言いつつ、おまえを抱くこともできなかったあの男は――」
その言葉を投げつけられて、美耶姫の表情が歪んだ。わずかに戻った理性が心をさいなむのか。
「あの方は……」
「その様子だと未練があるのか? たったいま、おまえはわしの女になると誓ったところだぞ? あの男より、わしを選んだのだ、そうだろう?」
「あの方のことは言わないで……あの方は特別……わたしにはもったいない……」
「あの方、だと? 笑わせる!」
「や、やめ、そんなにしたら……っ! うあああああっ! おじいいちゃああああああっ!」
悪徳大名は美耶姫を激しく突き立てて気をやらせると、まるでモノのように、ぽいっと褥に投げ出した。
笑っている。鬼のように笑っている。
美耶姫は股間から愛液を垂れ流しながら、うつろな表情で胸を上下させている。
「さんざんわしの魔羅で楽しんだあげく、あの方は特別ときたか。まったく美耶姫の強欲には舌を巻く」
「そんな……わたしは……」
「いいか、おまえの大切な男はな、あの間抜けな悪党どもといっしょに、おまえを助け出そうと画策しておるらしい――おまえがわしに初物を摘まれ、さんざん女としての悦びを教えられたとも知らんでな」
悪徳大名は顔をゆがめ、野太い声で若侍たちを罵倒する。
「やつらは今にこの砦にくるだろう。おまえを助け出すためにな。だが、その時にはもうおまえは身も心もわしのモノになっておる。わしの種で孕ませてやる――」
「で、でもおじいさまは――あっ」
美耶姫は仁王立ちしている悪徳大名を見上げ、声を上げる。
屹立していた。
悪徳大名の男根が邪悪なまでに大きくそびえ立っていた。
「なんて……おおきな……」
呆然とする美耶姫。その声におののきだけでなく崇拝の色が混ざったことを姫自身は自覚していたかどうか。
「おお、よみがえったぞ! 美耶姫よ、おまえのおかげだ――いや、あの若侍のおかげかもしれぬな。さて、わしの怒髪天を突く魔羅を存分に味わうがよいぞ!」
「い、いやああああああっ!」
まるで、それこそが現実のようだった。
おれは完全に引き込まれていた。カメラや照明、音声その他のスタッフがいることも忘れ、ただただ、南小路と美耶子の演技――完全に即興だ――に見入っていた。
スタッフたちもきっとそうだったろう。ギリギリのプロ意識で自分の仕事は果たしつつも、目の前の情景に心を奪われていたにちがいない。
南小路は、逃げようとする美耶子を背後から押さえつけた。
もがくが、美耶子は小柄な少女。尻を掲げさせられ、屈辱的な姿勢をとらされる。
南小路欣也の股間は隆々とそそり立っていた。勃起不全など、とんでもない。使い込まれた、現役バリバリのペニスだった。亀頭は大きくエラをはり、竿は反り返り裏筋が見えるほどだった。
「まさか……勃起しないようにコントロールしてたとはね……」
桃山園が驚愕の声をもらす。
「これが大御所クラスの俳優の実力……」
南小路欣也は、美耶子をバックから貫いた。
「あっ――あぁぁぁぅやぁああーーーーーっ!」
美耶子がのけぞり絶叫する。
巨根が美耶子の膣を限界まで押し広げているのがわかる。
竿の半分どころか、三分の一くらいしか埋まっていないのに、子宮まで亀頭は届いているだろう。
かるく出し入れするだけで、子宮ごと貫かれている。
「おお、美耶姫――やわ魔羅でほぐしておいただけあって、いい具合に馴染んでおるぞ。子袋も巾着のように締めつけてきて良い具合じゃ」
南小路は笑いながら美耶子のおなかをさする。
「おう、こうすれば、中に入っておるわが魔羅の形もよくわかる」
「うっ、ああああああっ!」
美耶子の身体を持ち上げる。今度は逆駅弁の形で、美耶子のお腹をカメラに見せつける。
南小路のペニスが美耶子の胎内を擦り立てるさまが、腹部の陰影でわかる――
結合部は見えないのに、ガチ交尾の様子が見て取れる驚愕のアングルだ。
「いっああああああ! や、やばい、やばいよおおおおっ!」
美耶子の声がうわずり、現代語が思わず混ざる。
「おなかのなか……ぐちゃぐちゃになっちゃ……うふっああああああっ!」
「いい具合だ、気持ちいいぞ、美耶姫。そうら、もっと感じろ、はらわたの感覚に身をゆだねるのだ!」
美耶子の両の腕をつかみ、前に投げ出すようにする。両腕と結合部の三点だけで体重を支えることになり、挿入がさらに深まる。
「あああああ……つき……ぬけるぅ!」
子宮を槍で突き上げられているような形だ。美耶子は涙とよだれをたらして虚空を見ている。
「危険だ! やめさせよう!」
幼い美耶子の膣は大人にくらべれば狭く短い。そこに並外れて大きな南小路のペニスを根元近くまで挿し込まれたら、最悪の事態も考えられる。
飛び出そうとするおれを桃山園がまたもさえぎる。
「行かせないわよ――あたしにとっても一世一代の撮影なのよ。こんなものすごいシーン、二度と撮れないわ」
「美耶子が死んじまうぞ!」
「だから、だいじょうぶなのよ。南小路欣也を、そして宇多方美耶子を信じるの――ね、お願い!」
桃山園が泣きそうな顔で懇願する。ばかな。だって、美耶子はあんなに苦しそうに――
「あ……ああ……はああ……」
美耶子は蕩けていた。
激しく南小路にバックから、逆駅弁で突かれながら――突かれる度に脚をぴーんと伸ばし、足指をきゅっとさせながら。
「すごい……これすごい……よぅ……おなかとけちゃうよぉ……」
子宮を突かれ続け、そこに快感を発生するようになったのか――
ボルチオオーガズムを覚えてしまったのか。
年端もいかない少女が――
いや、違う。子宮を性感帯に変えられたのは美耶姫だ。
美耶姫は巫女で、特別な力を持っている。
これまでの行為はすべて、この状態に美耶姫を導くためだったのだ。
「子袋の準備が整ったか――今こそ見せてもらうぞ、その巫女の力――その幼きはらわたにわが種を注いで、あやかしどもの主を孕ませてくれる」
さらに激しく男根を突き立てる。まるで、子宮そのものをかきませるかのように。
「あああああっ! いくううっ! おなかのなかがトロけて、いくぅうううっ!」
美耶姫が絶叫する。
「こ、こんなのすごすぎるよおおっ! おじいちゃんのおっきいチンポが、美耶のおまんこのなかでいっぱいになって……おなかのいちばん奥をぐちゃぐちゃにしちゃってるのぉおおおっ!」
「よおおし、では出すぞ、美耶姫! わが子種を、受け取るがよいわ!」
悪徳大名はひときわ大きく美耶姫を二度、三度と突き上げる。
「いくっ! いくうっ! いきつづけてりゅううううううっ!」
「おうっ!」
びぐっ! びぐびくびぐっ!
美耶姫の痙攣的な動きで、大量の精液が美耶姫の子宮内に撃ち出されたのがわかる。わかってしまう。
「でてりゅ……しゅごい熱いのが……おなかのおくでぇ……ああああああっ! いくっいくっ、いくぅーーーーーーっ!」
断末魔のような声をあげつつ、美耶姫は壮絶に気をやった。
太腿を伝い落ちるしずくは失禁のためだろう。
悪徳大名は美耶姫の腕を離した。人形のようにぶらり美耶姫は倒れこむ。その動きに合わせて、膣から男根が抜けていく。こんな長いものが少女の胎内に収まっていたのか、と驚嘆するほど長い竿だった。
ちゅぽん、と音をたてて亀頭が抜けると、美耶姫はそのまま褥にうつぶせになる。気をやったまま、失神したようだ。おしりを高く掲げた格好で、結合部がどうなっているかがよく見える。
男根の形にぽっかり口を開いた膣口からは、胎内におさまりきらなかった精液が泡立ちながら、どろどろと零れ出ていた。量といい濃さといい、老人とは思えない。これならば排卵前の少女でも妊娠するのではないか――そう思えてしまうくらいに。
悪徳大名は、美耶姫を見下ろしている。だが、その視線には今までのような昂ぶりや荒々しさはない。
まるで初孫を見つめる祖父のような、優しいまなざしだった。
「美耶――よくがんばったな……あとは天命を待つのみ。運命がわしらを引き裂こうと――あの若侍がここにたどりつく時が来ようとも――わしは――美耶、おまえを愛し続けるだろう」
そのまま悪徳大名は動かない。まるで、燃え尽きた彫像のように、ぴくりとも動かない――
「カーット!」
しばらくのあいだ静止していた時間が、桃山園のその声でようやく動き出す。
スタッフはようやく我に返り、ルーティンの作業に復帰する。
南小路欣也は、駆け寄ってきたマネージャーが手渡したバスローブに悠然と袖を通した。
そして、セット脇で固まっているおれに視線を向けた。
表情が動く。
「わたしのスタンドかね? ご苦労さま。出番がなくて申し訳なかったね」
おれの扮装を見てそう判断したのだろう。
「実のところ、勃たなかったらどうしようと思ってたんだ。でも、相手役に恵まれたおかげでうまくできたよ。宇多方美耶子ちゃんか――まだ十歳だなんて信じられないね」
軽く溜息をつく。つくづく驚いた、とでも言うように。
「とっくに枯れていたんだよ、わたしは。実際のところ最後に射精をしたのはいつだったか思い出せないほどだ。つまり、あのシーンは、わたしではなく、美耶子ちゃんが導いたものだったんだよ」
まさか――信じられない――この撮影の間じゅう、ずっと美耶子は圧倒されていた。名優・南小路欣也の掌の上で転がされていた。だが、そうではない、と南小路自身が告白したのだ。
「ともあれ、美耶子ちゃんと共演できて、孫にも自慢できるよ。困ったことにうちの孫は子役志願でね、美耶子ちゃんみたいになりたいんだそうだ。いつか、きみたちとも仕事を一緒にすることがあるかもしれないな」
南小路欣也は軽く手をあげかけた。
「それではね、若侍くん――」
「え?」
おれは南小路の言葉に疑問の声をあげた。おれは南小路のスタンドで、格好も悪徳大名のそれだ。若侍はキモタクの役で、今日は撮影はない。そもそもキモタクはスタンドを必要としない。
「ああ、いや――美耶子ちゃんがね――自覚していなかったようだけど、若侍を思い浮かべて演技するシーンでことごとくきみの方に注意を向けていたんだよ。むろんはっきり視線を動かすようなミスはしていなかったけどね、きみをとても気にしていたよ。最後のシーンなんて特にね。よほどきみのことを想っているんだね。まあ、その気持ちを誘導して、こちらも芝居を組み立てることができたのだがね――」
おれは思わず美耶子の方を見た。美耶子もバスローブを着せてもらい、女性ADからホットミルクのカップを受け取っているところだった。偶然だとは思うが、モロに目が合ってしまった。美耶子が「どうだった?」というように表情を動かし、おれはどぎまぎして視線をそらした。
「ね? 若侍を見る目だろ?」
南小路はあげかけた腕をおろしておれの肩をぽんぽんと叩いた。親愛の情をこめた――しかし、明確な敵愾心も秘めた――
「近いうちに美耶子ちゃんとは共演したいね。もちろん、スタンドなしで」
まるでおれをライバル視するかのような茶目っ気たっぷりなウィンクをかの名優はして見せたのだった。
この日の撮影での悪徳大名と美耶姫の濡れ場は、実に2時間を超えていたため、テレビ放映では大幅にカットせざるを得なかった。それでも、テレビ初の老人×子役・生挿入はばっちり放送され大反響となった。そこで、悪徳大名とのエピソードを中心にまとめなおした劇場版が作られることになった。
追加シーンの撮影のために南小路欣也と再会した美耶子が「おじいちゃま大好きっ子」になっていたことや、この作品で子役デビューを果たした南小路の孫娘・果歩が色々な意味でとんでもない逸材だったこととかは――また別の話。