うたかたの天使たち 外伝

美耶子のお仕事シリーズ Part3

 「びっちなおしごと」

 

 それにしても――なんでこんなコトになってしまったんだ?

 おれは出番を待つ形でセットの側で待機させられている。

 女の子の室内風に組まれたセットのベッドの上には美耶子と桃山園。

 美耶子はパジャマ姿でベッドに横たわり、背広姿の桃山園――はげしく似合っていない――がベッドサイドに腰掛けている。

「じゃあ、本番始めるわよ――スタート!」

 役者を兼ねつつ、桃山園が宣言し、いっせいにカメラが回り出す。

 オンエアから先行すること数分。「マズイものが映っていたら別のものに差し替える」という、桃山園スタイルだ。

 美耶子は熱を出して伏せっている。その見舞いに訪れた担任教師役が桃山園だ。

 桃山園が美耶子の額に手を当てる。

「熱、高いわねえ――薬、塗ってあげるわ」

 ヴィックスヴェポラップ――これを娘の胸に塗り込む、というのは全国のお父さんの夢ではないだろうか。

 それを、桃山園が実現することになる――

 美耶子のパジャマのボタンが外され、裸の胸がカメラにさらされる。

 これが数分後には全国のお茶の間に届く。

 ぺったんこの印象があるが、実際の美耶子の胸は少し脂肪の蓄積がある。さわってみると、芯はかたいが、ふわんとしたボリューム感は多少ながらある。

 将来、美耶子は巨乳にはなるまいが、美乳には育つだろう。大きさ的には一子ちゃんと気恵くんの間くらいかな――

 その美耶子の萌芽を桃山園の手が揉みしだく。

 正確には薬を塗っているだけだが、視聴者の期待に応えるために、ふくらみを絞るように手を動かす。

 乳首をつまんで、引っ張る。

「あ……んっ」

 美耶子が声をあげる。顔が赤い。熱があるという設定だけではない。実際に頬に血の気がさしている。

「小学生のおっぱいをモミモミする映像は、視聴率取れるわよう」

 桃山園が楽しげに呟く。桃山園の音声は、別録りした実際の役者のものに差し替えられるから、気楽なものだ。

「美耶子、ちょっとおっぱい大きくなってきたんじゃない? 成長期だから? それともあたしが揉んであげてるから?」

 桃山園演出のドラマだと、たいてい女優はおっぱいを揉まれたり、乳首を弄ばれる。ほぼ、お約束のようになっている。

 美耶子のような子役も例外ではない。

 コイツの凄いところは、子供相手の愛撫でも手を抜かないことだ。

 全国ネットの地上波でも、しっかり小学生の乳首をクリクリする。

 子役が感じて甘い声を出すまでやる。だから視聴率も取れるのだ。

 桃山園の指に刺激されて、美耶子の乳首がぷっくり勃起する。その突起の先端を指の腹でこする。

「あ、ひっ」

「いい声よぉ……こうしたらどうかしら?」

 小さな美耶子のふくらみを親指と人差し指でつまんで、ぷるぷる震わせた。

「はッ……やッ……ああん」

 美耶子の感じている表情がアップで撮られる。どんな予告編なんだよ……こんなの……みんな見ちゃうだろ!?

 

 

「じゃ、次は、熱にうかされて美耶子がおもらしをしちゃうシーン」

 うん。聞き間違いじゃない。

 桃山園ドラマの最近の流行は、子役のおもらしシーンだ。

『ちっちゃい時、あんたらだっておもらししたことあるでしょーに。そんな幼少期の記憶を刺激するのよ。ノスタルジーよノスタルジー』

 などとほざいていたが、実際は、試しにやったらウケたので、パターン化しただけだ。

「う……ああ……だめえ……でちゃ……」

 ベッドの上で大股開きした美耶子の股間をカメラが接写する。パンツの部分が大写しになる。

 その布地に、広がっていく黄色いシミ――

 美耶子のやつ、ほんとにしっこしてやがる。

 全国ネットだぞ? ほんの5分後くらいに放送されちゃうんだぞ?

 本番前にペットボトルのジュースをがぶ飲みしていたのはこのためか――

 プロ根性恐るべしだ。

「お……おしっこ……も、もれちゃった……ぁ」

 泣きべそをかく美耶子。本当に恥ずかしそうだ。

 カメラは美耶子の股間に黄色いシミが広がりきり、さらに流れになって漏れ出すところまで接写している。

「まあ、だめじゃない、シーツがびちょ濡れよ?」

 桃山園が美耶子の股間を左右に広げる。

 ちっちゃなパンツの布地から、美耶子の大陰唇がはみ出て、秘肉の内部に布地が貼り付く。

 たぶん、モザイクが入らないギリギリラインまで、美耶子の秘部がさらされている。

 さすがにテレビでは、小学生とはいえ性器をはっきりとは映せないのだろう。

 だが。

「でも、おしりの穴は性器じゃないからセフセフよ」

 四つん這いになった美耶子のパンツがずらされて、肛門が露出させられる。

『お兄ちゃん、大好き!』が空前の大ヒットとなったのも、「女子児童の乳首や肛門が合法的に見られる」というのが大きな要因だったらしい。おかげで、その後、美少女子役がテレビや雑誌で乳首や肛門を見せてくれるようになったのは、資本主義社会のありようとしてはごく自然なことだった。最近は、あのNHKでさえ、子供向け料理番組で進行役の女の子に裸エプロンを着せているくらいだ。あの葦田マナ(七歳)も「クリクリトリトリ」というCDを出し、小学生低学年クリトリスを披露している。どういう基準かしらないが、八歳くらいまでは、クリトリスはセーフ、らしい……

 その時代の最先端を切り開いている宇多方美耶子は、今も全国ネットで肛門をさらし、

「体温はココで計るがいちばんいいの」

 温度計をぶっさされている。

「つ……めたあぃ」

「すぐに体温に馴染むわ」

 桃山園が楽しそうに言う。

 こいつ、ことあるごとに「あたし、ロリコンじゃないしぃ」と言うが、信じがたいよな。

 美耶子だけじゃなく、JSの子役数十人を自分の番組に使ってるんだぜ? ウジの子供番組、「くぱあポンキッキィ」で小学生子役のマンコを放送して、さすがに降ろされたのは記憶に新しい。でも視聴率は記録的で、すぐに他局に移ってJS子役を脱がせる番組を始めたんだよなあ……。今ではそっちのが視聴率で上に行って、「くぱポン」は打ち切り、担当プロデューサーは今は早朝のミニ番組担当になったらしい。

 いまや、「脱げない子役に価値なし」とさえ言われる時代、幼稚園児や小学生の「なりたい職業」のダントツトップが「子役(脱ぎ系)」で、親たちも目の色を変えているというのが現実なのだ。

 美耶子の、あるいは、桃山園の成功がなければ、子役の裸の商業化がこうも進んだかは怪しい。

「あんたのアナは数字取れるから好きよ」

 桃山園が美耶子の肛門を指で左右にひろげ、その粘膜の色と形を視聴者にたっぷり見せつけながら囁く。

「そ……そう? ちょっと照れる……かも」

 まんざらでもなさそうな美耶子――

 放送は続く。

 CM中……

 地上波のドラマで小学生の裸がどこまで許されるのか――

 その基準は、美耶子と桃山園が創っているといって過言ではないだろう。

 ヴェポラップ塗り塗りで乳首露出。勃起した乳首をさらに刺激してピンコ立ちさせる。

 そして、パンツ越しのおもらし。正直、小学生まんこの色も形もスケスケで見えている。

 さらにおしりもろ出し、肛門露出。アナルくぱあだ。

 美耶子のすべてが、内臓レベルでお茶の間に流される。

「ふふ、ネット調査ではまたも記録更新よ。ドラマの成功は間違いナシね」

 満足そうに桃山園はうなずく。リアルタイムに視聴率の近似値が取れるネットリサーチの途中経過が満足いくものだったらしい。

「でも、念には念を入れないと、ね」

 さらにエスカレートさせるために、CMの合間に桃山園は美耶子をペッティングしている。

 美耶子のパンツの手を突っ込んで、直接、性器をいじくるのだ。

「これはぁ、演技指導よ。し・ど・お」

「そ……そなの……ゆ、ゆういち……おこらないで」

 中年おやじにアソコをくじられながら、息を弾ませる美耶子。文句を言おうにも生放送だから、すべてをメチャクチャにする勇気がなければ声もあげられない。

「CMあけまぁす!」

 ADが叫び、桃山園が美耶子のパンツから手を引き抜く。ひくんっ、と震える美耶子。いま、軽くイッたのがわかる。

 美耶子の愛液をにちゃにちゃ指先で糸引きさせつつ、桃山園は半笑いだ。

「イッた直後の顔のアップで再開よ……はい、スターッ!」

 ほぼ生放送の番組宣伝。

 一瞬のミスが命取りになる。

 だが、美耶子もスタッフたちもミスをしない。

 直前まで指マンされていた美耶子は、上気した妖しいアヘ顔の余韻を見事に役柄に落とし込んだ。濡れて貼りついた白パンの股間アップを視聴者にプレゼントした上でだ。

 イキ顔美耶子のパンいちヌード。

 またお宝ハプニング映像として話題になり、ネットがお祭りになるだろう。

 だが、おれとしてはそれどころではなかった。

 出番がきたのだ。

 ほとんど生放送に近いシチュエーションで、亀有和也の役どころをこなさなければならない。

 ああと、ええと。

 市役所広司演じる担任教師の魔手から美耶子を救い出し――

 熱にうかされる美耶子を全裸にして、身体を拭いてやる――

 おいおい。

 台本には美耶子の性器を広げて、中身まで見せつけるように書いてあるぞ。

 正気か?

 地上波なんだぞ。普通に放送事故だろ、これ。

「大丈夫よ。あんたの肩が隠すように撮るから。そもそも代役のあんたの顔を撮るわけにはいかないからね」

 たしかにその通りだ。

 代役のおれの顔を撮らないようにするにはおれの背中越しに撮るしかない。

 それであれば、美耶子の性器もカメラから隠すことができるだろう。

「ゆ……ういち……」

 うるんだ瞳で見上げられると正直辛い。

 股間が張り詰める。

 美耶子は、おしっこと愛液に濡れたパンツを自分で脱いでいた。カメラに映らない角度を知り尽くした手慣れた様子で。

 さすがに恥ずかしいのか――いや、演技だ――顔を赤らめて顔をそむける。

 おれは、美耶子の脚を広げさせる。

 真っ白な内股が目に飛び込んでくる。何回、何十回、いやそれ以上見ていても慣れない。美しすぎる、10歳のあそこ。

 白い谷間に薄紅色の陰裂が縦に走る。

 発毛の兆しさえない10歳のつるまんこだ。

 わずかに陰唇が飛び出しているのがいやらしい。

「あ……ん」

 おれの指がクリトリスの包皮を剥いたときに美耶子が漏らした声。

 ひくんっと腰がはねたために、一瞬、美耶子の性器がカメラに捉えられたかもしれない。

 だとしたら放送事故だ。

 だが、始末書を書くのは雇われプロデューサーだ。

 おれはおれで、亀有の行動を台本に沿ってレースせねばならない。

 これは仕事だ。おれのミスは美耶子の失敗となる。美耶子の女優としての経歴に傷はつけられない。

 おれは、美耶子の性器を左右に広げた。

 くぱあ、と美耶子の性器が口を広げる。

 カメラマンがおれのすぐ背後にかぶさってくる。お、おい、それだとおれの手元も映るだろ!?

『監督、具、映ってますけど――』

 モニターチェックしているらしいADが報告しているのが、つけているインカムから聞こえてくる。

『あ、じゃあ、そこ、さっき撮った桜貝と小薔薇の映像と差し替えて』

『あ、はーい』

 なんだそれ。

 ともかく、美耶子のモロ性器が全国放送されずにすんだことにホッとする。

 ええと、この先の段取りは……

 亀有は、熱にうかされた美耶子の性器を指で愛撫――

 マジかよ。地上波ドラマだろ、これ。

 このシーンの撮影はあしただっけ。亀有にもまんこいじられるのかよ、おれの美耶子が――

「きょ……今日は……ゆういちがして……」

 美耶子の必死の声。

 目が合う。

 どきりとするほど真面目で思い詰めた表情。いつも思う。女優のときの美耶子は、いつものお馬鹿でワガママな美耶子とは違う生き物だ。一瞬にして脱皮した蝶のようだ。

「お……ああ」

 圧倒されながらうなずき、美耶子の性器に指を――

 くちゅ。

 おあっ、もう濡れ濡れじゃねーか! す、吸われる!?

 おれの中指が美耶子の膣に飲まれていく。ヒダを指に感じる。熱くて狭い美耶子のだいじなところ。何万、いやそれ以上のファンたちが想像してやまぬ桃源郷。

 おれはこの奥まで知ってる。それが誇らしい。恋人の特権だ。

 子供なのに、小学生なのに、美耶子のまんこはこんなにイヤらしい。

 それを視聴者に伝えるのが、今のおれの仕事――なんという苦痛と矛盾に満ちた仕事だろう。

『なにしてるの? 時間ないのよ!? はやく美耶子をイカせなさい!』

 インカムから桃山園の指示が聞こえてくる。

「い、いかせるって、いま!?」

 台本にはそこまで書いていなかったぞ。

『ノリよ! つーか、さっきあたしがイカせたのにあんたがイカせなかったら、市役所より亀有がヘタってことになるでしょ? それだと困るのよ、事務所的にも!』

 そんなの知るか!

 でも、むかつく!

「ゆういち、いつもみたいに、して」

 美耶子が甘い声を出す。

 いつも――最近はすっかりご無沙汰だが、美耶子を開発したのはおれだ。それだけは譲れない。

 おれは美耶子の中で指をくねらせる。ヒダをかきながら、クリトリスを表と裏から――

「あっ、あっ、おにいちゃん、それ……っ! それ……やっぱ、いちばん気持ちいいっ!」

 美耶子が一気に快楽のステージを駆け上がる。初めてのころ、ペニスがなかなか入らなかったときに、指で美耶子を愉しませるために使ったテクニックだ。美耶子はクリトリスが敏感すぎたために直接愛撫だと痛がった。だから、裏から――膣側からも刺激するようにしたのだ。そうやって性感を持ち上げてやってから包皮を剥いて責めてやると面白いようにイッた。

「あっ! ああっ! あああああっ! あーっ! あーっ! いっ……くっ!」

 テレビ的にはいささかヤバイ表情と声。指マンされているそのものズバリは映っていなくても、容易に想像できるシチュエーションだ。

 だが、今回のドラマでは、セックスしていることを隠さない。映さないが、設定上も美耶子は兄と担任教師と性行為をする、というシナリオなのだ。

 そのリアルさは、この予告編ではっきり伝わるだろう。

 センセーションを巻き起こすことは確実だ。

 なんてことだ――おれは、いちばん好きな女の子を、いったいどうしたいんだろう……

 おれは、イキながらおれにしがみついてくる美耶子の髪をなでながら――美耶子のイキ顔はアップで撮られ続けている――泣きそうになっていた。

   

つづく