「逃げられませんぞ。珠子先生の所有権はいま、カジノにありますからな」
珠子の膣口に亀頭をめりこませながら荒重が笑う。
楽しむように、味わうように、いたぶるように――侵入していく。
「ああ、せまい……だが、この窮屈さが少女の醍醐味」
「むぅ……ぅぅぅうううう」
覚悟はしていたろうが、その瞬間、珠子の瞳から涙がこぼれおちた。
荒重の亀頭が膣の中にもぐりこみ、出たり入ったりを始める。
膣が狭くて、すぐには入り込めないのだ。じっくりとほぐさなければ――
だが、浅い部分だからといって、珠子の秘部が汚されているでことには違いがない。
「こ……これは……極上」
荒重が鼻息を荒くしつつ、珠子の入口を大人の性器で広げていく。
めくりあげられたピンクの粘膜が、亀頭とこすれあいながら、濡れて光っている。
「おしりも、すばらしいですぞ」
美樹本もアナルに亀頭をおしつけている。ローションをぬりつけた上に指でさんざんかきまわして拡張したせいか、亀頭を半ば呑みこんで、まだ余裕のある珠子のアヌス。
ぬるっ、と入り込む。
「うぅっ……うくっ」
珠子は石坂のモノをくわえ、金田のペニスで脇の下をこすられながら、前後の穴への侵入に耐えている。
「そろそろ……ほぐれてきましたかな」
「そうですな……奥まで……いきますかなっ」
荒重のペニスが、美樹本のペニスが、それぞれ奥をうかがいはじめる。
――コロン
「……っ」
ディーラーがコールしない。固まっていた。
「赤の7――だな」
かくかくとディーラーの首が動く。おれが賭けた目に玉は落ちていた。
「もう一度、赤の7だ。すべて賭ける」
次のベットが始まる前――ディーラーが玉を投げ入れる前におれは言った。
ディーラーの目が驚愕に見開かれる。チップでテーブルのほとんどが埋まりそうな状況で連続一目賭け。ギャンブルの常識にそんなスタイルはない。
18,000枚の36倍は648,000枚。最高位のプラチナチップの換算レートを算入すると、おれの今までの負け分を取り返し――さらにこのカジノを買い取れる金額に達する。
ディーラーはおれに視線を合わせることさえできず、おれの斜め下を凝視していた。信じられないように目をぱちくりさせ、モニターを振り返る。いま起こっていることが信じられないかのように。
「その……勝負は……オーナーたちに相談を……」
「無理だろう。お偉方はステージで夢中になってる」
荒重たちが実質のオーナーであることは見抜いていた。すべては奴らが操っていたということも。そして、今は――今だけは、やつらの支配力がカジノに及ばないということも。
警備員たちさえ、この瞬間、ステージで繰りひろげられている陵辱ショーに注意を奪われている。
珠子が身体を張って作り出した「隙」だ。
ディーラーはモニターの中の光景と、いま起こっている現実とを見比べて、自分の目が信じられないかのように何度も瞬きをした。
「ゲームを続けるんだ。早く」
手遅れになる前に――
おれはぎゅっと手を握りしめる。しっとり、汗をかいている。
「……あ……うう……おおっ」
ディーラーが震える手でルーレットを回転させはじめる。
赤の7に入れないようにすることは容易だ。反対側に落ちるようにコントロールしたらいい。でも――もしも、半回転、読み間違えたら?
プロである自分がそんなミスをするはずがない――そう思ってはいるだろう。
だが――もしも、魔がさしてしまったら?
すでに信じられないような敗北が続いているのだ。長い経験の中でも起こったことのないような。
ディーラーの額に汗が浮かぶ。ふだんの投入タイミングが過ぎても躊躇していた。
「入れろよ! ほらっ!」
おれの声にはじかれたようにディーラーは玉を投げ入れた。
カランッ! カラ……ッ、カラカラカラカラカラ……
最後の賭け――賽は振られたのだ。
「――っ!」
声なき声をあげる珠子。彼女のサイズでは、荒重のペニスはあまりに大きすぎる――はずだ。
「おおっ!? こ……これは……! 子供にしては、なんという豊かなおまんこ……っ! 名器ですぞ、珠子先生っ!」
荒重が奇声をあげつつ、腰をつかう。太いペニスが少女の秘肉をえぐっている。結合部からは白く泡だった愛液がぷぢゅぷぢゅとあふれ出す。
「なんという密着感――そして、適度な締めつけ……おおっ!」
「荒重さん、ご堪能ですな。ですが、尻穴の具合もなかなかですぞ」
美樹本は珠子の肛門を貫通している。情け容赦のない前後2本責め。
「うははっ! これはキツい、これはたまらん!」
下卑た笑いで悦びを吐露する。
「火傷しそうに熱くて……きゅんきゅん締めつけが……うははははっ」
荒重と呼吸を合わせるかのようになピストン運動だ。
「珠子先生のおまんこは、ヒダが子供のものとは思えぬほどいやらしい感触――愛液も多くてぬるぬるっ! まるで使い込まれた大人の女を思わせるが――たまらんっ」
「うはははっ、アヌスのほうは入口でギュッと締め付けられて奥の抵抗がすっとなくなり――体内の熱を感じる瞬間がたまりませんぞっ!」
腰を使いながら小学生児童の前後の穴比べをする初老の男たち。
「いやいや、なんといってもお口がいちばんですよ! たどたどしいかと思えば、ツボを知り抜いたかのような絶妙な舌づかい!」
「くくくく、女の子の腋でしごく快感に比べれば、浅い浅い……っ」
石坂、金田も会話に加わる。
どうしようもない変態たちの饗宴。四本のペニスで少女の肉体を責め立て、快楽に酔っている。
バックから珠子のアナルを犯す美樹本、下から膣を突きあげる荒重、石坂は珠子にイラマチオを強い、金田は腋にはさませた上に、珠子に手での奉仕を強いていた。
珠子は薄目をあけた状態で息をはずませ、奥を突かれるたびに甘い声をあげるようになっている。
「はんっ……んっんっ……ひ」
ちぎれそうなほど引っ張られ、こねくりまわされ、男たちに吸われまくった両の乳首が痛々しいほどに勃起している。乳房そのものもふくらんでいるように思える。
クリトリスも愛撫されはじめとは比べ物にならないほどに膨張し、子供サイズではなくなっている。根元までむきだしにされているせいかもしれないが。
「ひぃ……ん……あうっ」
「ああ……珠子先生のおまんこ絶品だあ」
「あっ……ああっ……んぅぅぅぅっ」
「おしりの穴も、す、すばらしい」
「くひぃっ……ひゃあ……」
「おしゃぶりも上手になって……」
「はむぅ……れろれろ」
「腋もツルツル、あばら骨がコリッとして、最高ぉっ」
「……っ……ぅううううっ」
全員が夢中で興奮の極みだ。
見物人たちも同様だ。手近なバニー少女を抱き寄せ、札束を握らせるとレオタードに手を突っ込んでいる。借金で縛られた少女たちは、セレブたちの性欲のはけ口になるしかないのだ。
あちこちで性行為が始まっていた。
ステージ上の珠子の動きに合わせるかのように――腰をくねらせ――うちつけ、粘膜をこすらせあい――快感を高めていく。
少女たちが口々に叫び、達していく。男たちは野獣のようにペニスをたぎらせ、少女の膣奥に精を流し込んでいく。
「たっ、たまこせんせぇっ! わしらもっ!」
荒重がわめき、珠子の一番奥にもぐっていく。本能が、子宮への種付けを求めるのか――
「おおっ!」
「い……いくっ……いくぅぅっ! いくうううーっ! ああああああっ! あーっ!!!!!」
快楽の声が交差し、男は放ち、女はそれを吸い上げる。子宮の奥に吸い上げる。受精可能な子宮であるかはこの際関係ない。身体のメカニズムがそうできてしまっている。排卵の有無は些末な問題に過ぎない。女の中に男はおのが生命の一部を遺す。その瞬間が絶頂なのだ。
その瞬間――
ルーレットが静止する。
ディーラーの顔が弛緩した。笑っている。すべての緊張から解放されたように。
「あ……あ……」
よだれをたらしている。精神的に崩壊したのか。
「あかの……なな……」
言うなり、テーブルに突っ伏してしまった。
おれはテーブルから立ち上がった。ゲームは終わりだ。換金するために支配人を呼ぶように命じる。むろん――結末はわかっている。
「おおおっ! あああっ! 珠子先生、いきますぞっ! 子宮の奥に……っ!」
「わたしも……出そうだ! 小学生のおしりの中に……っ!」
「出るっ! 出るっ! いっぱい……出るっ!」
初老の男たちがわめき、残りの人生を考えると過大なほどの精液を放出してゆく。
少女の胎内に、顔に、胸に――熱い体液をほとばしらせた。
「き……きもちよすぎる……」
「まったくだ……こんな快感は……体験したことがない……」
「まさに天女……すばらしい……」
「こんな少女と、これからずっとセックスできるなんて……」
男たちはぐったりと崩れ落ち、口々に至上の感嘆を吐露する。だが、次の瞬間――
「全員、動くな!」
ステージが煌々たるライトで照らし出された!
こおりつく男たち。
その頭上に拡声器の怒声が降り注いだ。
「ここで賭博と少女売春、人身売買がなされているとの通報があった! 全員、動くな!」
警官隊がいつの間にかカジノ内部に入り込んでいた。
「そんな……」
荒重が惚ける。
「ここが……この場所が警察に解るわけ……それに賄賂だって……」
「言っておくが、通報者はこのカジノのオーナー自身だそうだぞ! 従業員たちはすでに全員自首した! あとはおまえたち、客だけだ!」
警官たちの指揮官らしいコート姿の男が嫌悪感もあらわに言う。
「その……ステージのクズども。おまえらはそういう趣味なのか?」
「は?」
荒重はステージ上に横たわっている精液まみれの少女を見る。いや――それは少女などではなく――
「クマのぬいぐるみ?」
目はボタン、もこもこの大型のクマのぬいぐるみが四人分の精液に汚されて横たわっていた。
五分だけカジノのオーナーになり、全権を握るとただちに警察に連絡――もともと秘密カジノは警察にマークされていたらしく、周囲を張っていたらしい――秘密の通路もオーナー権限で解放し、警官隊を迎え入れた。むろん、おれと珠子はその混乱の直前に抜け出している。
「エクトプラズム――か。それをぬいぐるみの表面にまとわせていたというわけか?」
ラウンジのティーコーナーで、並んでジュースを飲みながら、おれは珠子に問いかけた。
スツールに座って脚をぶらぶらさせている珠子の姿はいつもと変わりがない。ただし、羽織らせたおれのコートの下は裸のままだ。
「そう」
どうやら珠子は自分に霊をおろすだけではなく、無生物を依り代にすることもできるようになったらしい。エクトプラズム――霊媒物質をまとわせれば、姿形も自由に変えられるのだ。それこそ、珠子そっくりにも。あとは、霊に動きを任せ、自分はステージから降りて、ルーレットテーブルのおれと合流したというわけだ。むろん、最後の大勝負も、珠子が側にいたからこそできたのだ。最後の一目がけも、充分勝算があったのだ。
「依子さんが協力してくれた
オレンジジュースを小刻みに吸い上げながら、珠子がぽつりと答える。
「依子さんが?」
「家を出るときについて来た」
依子さんというのは、以前知り合った霊体――つまり幽霊だ。そういえば、出がけになんか霊体らしきものが珠子に乗りうつったような気もするが――あれがそうだったのか。にしても、伏線としては弱すぎだ。反省しろ。
「依子さんなら喜んでやってくれたろうな。あの人、エッチ好きだからなあ……」
というか、ほとんど色情狂に近い霊体だ。生前、貞淑な妻だったから、幽霊になってからはやり放題――珠子に憑依してはおれに性行為を強要したりしてたしなあ。
「依子さんにも礼をいわなくちゃな……どこにいるんだ?」
「上」
指を天井に向ける珠子。
はい?と上をみあげるおれ。
「昇天した」
男4人からいっぺんに責められたんだしな。まあ、これで成仏するタマじゃないし、またじきに戻ってくるだろう。
それにしても、よくやつら気づかなかったもんだ。いくらエクトプラズムをまとっているからといって、実体はぬいぐるみだからな……
「興奮――思いこみ――性行為中は判断力も鈍る」
しょせん人間の感覚は、視覚や嗅覚、触覚さえも、「脳」で情報処理しているものだから、そのおおもとをだましてしまえばいいわけだろうが――乱暴すぎるよなあ、とも思う。
まあ、しかし、興奮しまくっている時には、人間は実は何も見えていないのかもしれない。
それでか――それで珠子はやつらを昂ぶらせるようにし向けたんだ。
「ということは、前半は、おまえ……やつらに触らせたってことだよな?」
珠子はこくんとうなずく。
どこまでが本当の珠子で、どこからがぬいぐるみwith依子さんだったのか――珠子がおれと合流したタイミングを思い出せばいいのだが――あまりそれはしたくない。
これ以上その話をするのもやめておこう。珠子が泣くとは思わないが――もしも泣いたりしたら世界が滅んでしまいそうだ。
「ごめん……今回は全面的におれが悪かった」
「かけごと、もうしない?」
珠子はおれを見上げていた。無垢な瞳だ。邪気などひとかけらもない。
その眼を見つめつつ思う。珠子がいれば、パチンコで生活できるかもしれないなあ……と。いやいや競馬でも、競輪でも――たぶん勝ち続けられる。もしかしたら宝くじだって……
「ああ、しないとも」
「……うそつき」
さらっと言って、珠子はまたジュースを吸い上げる仕事にもどった。ちょっと笑っていたような気がする――
見透かされているのか――あるいは――やっぱりとり憑かれているのかもしれないな。