うたかたの天使たち 第七話

まふゆのファンタジスタ
真冬の幻奏者

気恵編

4

 気恵くんのファイトスタイルはスピードが身上だ。全身のバネを駆使した空中殺法で相手を幻惑しつつ、的確な打撃でダメージをあたえる。

 HHHHに対しても臆することなく攻め込んでゆく。

 相手は筋肉の鎧がわざわいして気恵くんを捕捉することができない。その隙に背後にまわりこんで高い打点のドロップキック、そして、ひるんだところにトラースキック。

 おれはエプロンサイドで気恵くんのファイトを見物していた。いやはや、たいしたもんだ。水を得た魚ってやつだな。

 特別レフェリーを買って出たマクガバン会長も満足そうだ。

 何とか気恵くんを捕まえようとするHHHHだが、逆にスライディングしてきた気恵くんに足をすくわれ、リングに尻餅。観客からは失笑がもれた。

 さすがにHHHHの顔から余裕の笑みが消える。

 気恵くんに対して殴りかかるが、むろん空振り。だが、一発でも食らったらおしまいだぞ、油断するな。

「おい、かわれ」

 アンダーファッカーがタッチを要求する。HHHHは頭をふりながら、タッチに応じる。

 のっそりとリングに入ってきた巨人レスラーは、気恵くんに力勝負を挑むかのように両手を差し上げた。四つに組もう、とでもいうのか。応じるなよ、罠だ。

 だが、これもレスラーの本能か、気恵くんも両手をあげた。だが、高さが合わない。なにしろ、身長差が30センチ以上ある。

「しょうがないな」

 蔑みの表情で、アンダーファッカーは手を下に下げた。気恵くんでも届く高さだ。

 気恵くんはアンダーファッカーと指をからめ、全身に力をこめる。

 ロックアップ、プロレスの王道ともいうべき力比べだ。なんでも、この組み方だけで、レスラーとしての実力が見て取れるというから驚きだ。

「腕をへし折ってやる」

 アンダーファッカーの余裕の笑みも一瞬。かさにかかって身を乗り出したファッカーを気恵くんは投げ飛ばした。巻投げのような形だ。柔道なら一本で勝負がついている。

 おおおお、というどよめきが会場から起こる。エニウェア・ドアの社員たちは、もっと違う展開を期待していたのだろう。かよわい少女レスラーが外人レスラーにぼてくりまわされる、というような。だが、リング上の展開はそれとはまるで違っていた。

 起き直ったファッカーの表情も変わっていた。憤怒だ。おめき声をあげつつダッシュする。

 突進するファッカーをかわすと、気恵くんはその背中に膝をうちこむ。ファッカーは苦鳴をあげつつ、コーナーポストに激突した。リングが数センチ動くほどの衝撃だ。

 これが本当のタッグマッチだったら、ツープラトンの攻撃だとか、攻勢に出るところだが、なにしろおれは素人だ。気恵くんもまったくおれをあてにしていない。

 コーナーに寄りかかっているファッカーに、さらに攻撃を加える。

 ファッカーは膝をつき、許しを乞うポーズをとる。気恵くんは一瞬攻撃の手をゆるめる。おいおい、それって外人レスラーのいつものパターンだぞ!

 不意をついてファッカーがローブロー。幸い気恵くんにはタマがなく、ダメージは軽微だが、顔を赤らめて二三歩後退。こりゃ、女子中学生に急所攻撃するなんて、犯罪だぞ、犯罪。

 だが、ここはプロレスのリング。なんでもありの世界なのだ。

 ファッカーの怒濤の反撃だ。ローブローの次はサミング、捕まえてのチョーク攻撃。何とか身をかわして、大ダメージを受ける前に逃げる気恵くんだが、そろそろ息があがってきた。なにしろ、気恵くんは二人あいてに攻め続けていたからな……

 気恵くんがおれの方を見る。うーん、替わってやりたいのはヤマヤマなんだが、おれは頭脳派だからなあ。

 覚悟を決めたらしい気恵くんは、突進してくるファッカーに真っ向からぶつかった。厚い胸板に渾身の頭突きだ。さすがにこれは効いたらしく、膝をつくアンダーファッカー。そこに得意のシャイニングウィザードだ。ズズン、と地響きをたてて倒れるアンダーファッカー。そしてすかさずコーナーポストにのぼった気恵くんが決め技のシューティングスタープレスを敢行する。

 どよめきと続いての歓声。観客もその一連の動きの鮮やかさに魅了されたらしい。ドリエモンも半立ちになっている。

 ファッカーをフォールし、マクガバン会長のカウントが入る。ワン、ツー、ス……

 だが、これはタッグマッチだ。HHHHがリングに乱入し、気恵くんを蹴りつける。ほんとうならおれがHHHHを押さえなきゃならんのだが――無理。

 苦鳴をあげる気恵くんをHHHHは羽交い締めにした。

「もう勘弁ならねえ、お仕置きタイムだ!」

「なっ……!?」

 気恵くんが信じられない、というような声をあげた。

 巨大なHHHHの手が気恵くんの胸元にまわり、ふくらみを握りしめたのだ。

 まさか、冗談だろう!? 宴会の余興とはいえ、プロレスの試合中だぞ!?

「やっ、やだっ! は、はなせっ!」

「やわらかいぜぇ……ガキのくせに胸はあるじゃねえか」

 マジ揉みだ。観客が下卑た声をあげる。おれにも揉ませろ、と叫んでいるようだ。

「こっ、こんなのっ、プロレスじゃな……いっ!」

 乳首のあたりをつままれて、気恵くんが声をあげる。おい、レフェリー、セクハラだ、セクハラ! 反則カウントとれや!

 マクガバン会長が大げさな手振りでHHHHに注意し、反則カウントを取り始める。だが、それをアンダーファッカーが背後から襲い、殴りつける――まねをする。実際には当たっていないはずなのに大げさにマットに転ぶと、マクガバン会長は大の字になって気絶してしまった。おい、なんだ、これ。これも演出なのか?

「これで邪魔は入らねえ」

 アンダーファッカーはせせら笑うと、自由を奪われた気恵くんの胸をHHHHと一緒になってなぶりはじめた。

「いやっ! やめろぉっ! 揉むなよぉっ!」

 脚をバタつかせる気恵くん。その太股をアンダーファッカーはおさえつける。

 やんやの歓声だ。なんだ、このノリは? 俄然盛り上がってきたぞ。

「いい手触りだ。思ったよりあるじゃねえか」

 こねるように気恵くんのふくらみを味わいつつ、HHHHはある一点に指をはわせる。

「おっと、このへん、固くなってるぜ?」

 白スクール水着の布地をすかして、気恵くんの乳首が隆起しているのがわかる。その部分を指でつまむHHHH。

「や……やめろぉ……」

 敏感な場所を刺激されて、身をよじる気恵くん。だが、そうすればそうするほど、乳首のポッチが浮き上がってしまう。

「おお、固い固い」

 乳首を集中攻撃だ。指でこすりたて、乳輪の部分をマッサージする。

 もう、白スクール水着を通して、気恵くんの乳首の形がはっきりとわかる。

「ここ、どうなってるか、みんなに見てもらおうぜ」

 HHHHが気恵くんのスクール水着の肩紐に手をかけた。

「だ、だめ! やめてぇ!」

 抵抗する気恵くんだが、2メートル級レスラーの力にかなうはずはなく――

 ずるん、と水着をずらされてしまう。

「や……っ、いやあっ!」

 さらけだされる気恵くんの生おっぱい。たちまち沸き起こるシャッター音。ただし、みんなケータイだ。さすがIT企業だ。

 いじくられて充血した乳首もモロに見えている。

「いい色してるぜ」

 じかに、乳首をいじくるHHHH。クリクリ、クリクリ……。

「は……あ……ああ……だ、だめえ、見ないで……クリクリしないでぇ……」

 素肌を見られているという恥辱と、性感帯に加えられている刺激とに同時にさいなまれ、気恵くんは熱い吐息をもらした。

「乳首、ピンピンだぜ」

 昂奮した気恵くんの乳首は、たしかにツンと尖っている。その部分を凝視していたアンダーファッカーは上体を曲げて、おもむろに口をつけた。

「あっ、やめっ」

 音をたてて乳首を吸う外人レスラー。気恵くんはのけぞった。内股がヒクヒクしている。

 ちゅっ、ちゅっ、ぢゅうう……

「ひっ……ぅあ……ああ……」

 ファッカーの唾液で濡れた乳首がさらに体積を増したのがわかる。

「乳首が感じるらしいな……ファッカー、下はどうだ?」

「ウム」

 巨人はうなずき、おもむろに気恵くんの太ももを左右に割った。

 白い気恵くんの腿があらわになるとともに、その間に挟まれていた部分が衆人の目にさらされる。

 アンダーファッカーは、思いの外ソフトなタッチで、気恵くんの股間をいじくった。

「クリトリスの位置がわかるぜ、ここだ」

 ちょっと尖った部分を指先でつぶすようにする。

「ああっ! そこは……だめぇ!」

「かたくなってきたぜ」

 気恵くんが脚を閉じられないように固定した上で、水着ごしにクリトリスを刺激する。

「あうっ、だ、だめっ! さわんないで、そこはぁ……」

 ひくっ、ひくんっ!

 気恵くんの腰がはねる。

「楽しんでるようだな。じゃ、次は」

 アンダーファッカーは気恵くんの水着の股間部分をひものように細くして、ワレメに食い込ませた。

「ひっ!? や……見えちゃう」

 陰毛がはみ出す。さらに大陰唇までまる見えだ。観客たちの歓声と拍手がさらに大きくなる。

「見えちゃまずいよな。隠してやるよ」

 言いつつファッカーは、その紐状の布を指でつまんで、前後に――

「いやっ! やめろぉっ! こするなぁ……」

 ゴシゴシと、気恵くんのおまたの亀裂を摩擦する。

 スク水の材質はちょっとざらついている。それで敏感な部分を刺激されたら――

 しかも、その間もHHHHが乳首をいたぶり続けている。

「はっ、あうっ……はう……っ」

 気恵くんの息が荒くなり、顔が上気する。

 白スクの股間の部分――色が変わっている。

「濡れてるぜ」

「う、うそ……」

「うそじゃない、ぬるぬるだ」

 ファッカーは自分の指についたぬめりを観客に見せた。

「なあ、みんな、水着の下がどんなになっているか見てみたくないか?」

 ファッカーの呼びかけに観客が反応した。

「みせーろ! みせーろ!」

 大コールだ。こんな時ばかり一致団結しやがって……

「よし、じゃあ、リクエストにお応えするとするか」

 ファッカーが気恵くんの水着のまたぐりに指をかけて持ち上げる。

 気恵くんのワレメに密着していた布が離れて、そこに空隙ができる。

「いやぁっ! 見せないで! やめてぇっ!」 

 気恵くん、必死の抵抗。衆人環視のなかで恥ずかしい部分をさらされ、しかも何十――いやそれ以上のカメラに狙われているのだ。動画投稿サイトに投稿されたら大変な祭になってしまう。

「ゆういちっ! ばかあっ! たすけろよぉっ!」

 悲鳴をあげる気恵くん。

 よしっ、まってろ、気恵、今いくぞ!

 おれは勇気を振り絞り、ロープをくぐってリング内に――入ろうとしてロープに引っかかってこけた。

「ぷぎゃっ」

「なにしてるんだよ、ばかーっ」

 気恵くんの罵声。そして、次の瞬間。

「ご開帳だ!」

 ファッカーは気恵くんの水着の股布を横に大きくズラして、ピンク色の粘膜を露わにした!

「いやあああっ!」

「おおおおおおおっ」

 観客は大喜びだ。フラッシュがまたたく。

 気恵くんの大事な場所が丸見えになってる。

 ファッカーはご丁寧にも、四方向すべての向きに気恵くんの大股開きを向けて、サービスにこれつとめる。

 さらには、指で、ワレメを開いて、中の具がよく見えるように――いくらなんでもやりすぎだ! 「やるっきゃ騎士」じゃあるまいし!って、ネタ古すぎない?

 こんなことしたら、観客の要求がエスカレートするのは目に見えている。

「おーかーせ! おーかーせ!」

 案の定、観客がわめき出した。リング上でのファックを求めているのだ。

 ど……どうなっちまうんだ……っ!?

つづく