うたかたの天使たち 第七話

まふゆのファンタジスタ
真冬の幻奏者

一子編

「あぁっ……はぅん……くふっ」

 一子ちゃんはとろけそうな表情で男たちの愛撫を受けていた。本人は念入りなマッサージだと信じているから始末が悪い。

 ああくそ、前回「おれ以外の男に裸を見せたり、いっしょにお風呂に入っちゃイカン」ということは教えたのだが、「エステで裸になったらイカン」とも「エステシシャンが男だったら怪しめ」なんてことは教えてない。つーか、そんな高度な内容、一子ちゃんが理解してくれるとも思えないしな。あーくそ、頭は悪くないのに(それどころか中学時代は成績よかったらしい)、エッチ関係にはどうしてこうも鈍いのか?

「ほらー、お客さん、美容のためには、ハチミツをなめるのが一番ですよ」

 田中が、自分のイチモツに媚薬入りと思われるハチミチをまぶし、一子ちゃんに舐めさせる。

 テラテラ光る亀頭をちろっと舐め、味が気に入ったのか、かぷっとくわえる。媚薬はどうやら甘いらしいな。一子ちゃんは甘いモノには目がないのだ。

 とはいえ、一子ちゃんもいつもの状態じゃない。目がとろ〜んってなってる。

 口からも媚薬、そして全身を強力な媚薬入りのオイルでくまなくマッサージされ、さらには性感帯という性感帯を刺激され続けている。

 感じないはずがない。ただでさえ、おれが日々のお風呂で仕込んでいるから感じやすい一子ちゃんだ。

「お客さん、どうですか、ココ」

 山本が一子ちゃんのアナルに指を抜き差ししながら首筋をなめる。

「あひっ! や……おしりは……きたないです」

「でも、身体の内側からほぐさないとねえ」

 オイルのおかげで、指二本がぬるりと――第二関節まで――ぬっ、ぬっ、と入っては出る。ピストンだ。

「ふあっ! あっ、あっ……おしりがぁ……」

「気持ちよくなってきたんでしょう?」

「あああ……は……はい……」

 まさか、一子ちゃんのおしり調教、他人に先をこされるとは……っ!

 とっといたのに! とっといたのに! 今まで周囲をさわさわってするだけで、とっといたのに!

「もっと、おしりで気持ちよくなりましょうね」

 ぴしゃん、尻っぺたを叩き、一子ちゃんを鳴かせて、さらに指で拡張していく。山本、殺す。

「前の穴も気持ちいいでしょうが」

 ペニスの先で一子ちゃんのワレメをこすこすしているのは佐藤だ。

「入口ぬるぬるで、はいっちまいそうですよ」

 亀頭で、ピンクの膣口を――そこはぴたっと口を閉ざしている――をほぐすようにする。

「う……くぅ……むずむずしま……す」

「入れてほしくなってきたでしょう?」

 よだれをたらしそうな表情で、佐藤は亀頭を入口の上ですべらせる。

「ひゃうっ……な……なにをですか?」

 首をかしげる一子ちゃんだが、アソコからは愛液が後から後からしみだしてきている。

「チンポですよ、ほらほら……」

 佐藤の指が一子ちゃんの花びらをこじあけ、膣の入口を露出させる。その粘膜に亀頭を当てて、ぬるっと。

 うわ、一瞬入ったかと思った。ある意味、すげー忍耐力だな。もしも入れてたら、どんな方法を使ってでも殺してたけど。

「おまんこにコレ、欲しくなってきただろ?」

 膣口とクリの間を亀頭でこする。一子ちゃんの愛液が佐藤の亀頭をぬらし、さらにすべりをよくする。

「ほらほら? 入っちゃうぞ。入れていい?」

 反射的に一子ちゃんがうなずく。にたり、笑う佐藤。まさか。

「でも、お預けだ」

 クリトリスを剥いて、そこに亀頭をこすりつける。

「うああああっ! あううっ! あーっ!」

 のけぞり、腰を打ち振る一子ちゃん。

 イッてる。一子ちゃん、またイカされてるよ……

 考えてみれば、この三人は性感マッサージのプロだ。媚薬もたっぷり使われている。おかしくならないはずがない。

 もともと一子ちゃんには性知識がなくて――心理的な障壁もないし。

「おしりの穴も本番になるのかな」

 山本がペニスを一子ちゃんのアヌスに押し当てながら試すように言う。

 亀頭が一子ちゃんのローションまみれのおしりの穴になかば消えかける。

「おい、おまえ、やっちまったら、おれもしちまうぜ」

 佐藤が脅すように言う。ペニスを一子ちゃんおまんこに押し当てて、ぐりぐりする。膣口に亀頭が触れて、半ば侵入している。

「わ、わかってるよ」

 協定があるのか、山本はアヌスの表面を亀頭で撫でるにとどめる。

 ほっ。

 もうすこしで、一子ちゃんが二本串刺しになるところだった。

「そろそろ仕上げだ、いくぜ」

 佐藤が言い、田中と山本がうなずく。

 男たちが動き始める。

 佐藤はペニスで一子ちゃんのクリトリスと膣口をこすりたてる。

 山本はアヌスとおしりの谷間をペニスで摩擦する。オッパイもまめに揉んでる。

 田中はフェラだ。一子ちゃんの喉奥をつくように腰をつかっている。

「んんんんっ! んふっ! んぐぅぅぅっ!」

 ペニスをほおばりながら、前後から素股責めをされて、うめく一子ちゃん。顔は上気しきって、汗ばんでいる。

 素股っつっても、チンポがぐりぐり膣口や肛門に押しつけられているんだから、ほとんどセックスしているように見える。三本のペニスを同時に受け入れているようにしか――

「はうんんっ! ふぷっ! ひゃうううっ!」

 はねる。もだえる。くねり、くねる。一子ちゃんは快感の嵐に翻弄されていた。

 クリトリスを佐藤の亀頭がこすりたてる。肛門は山本が亀頭を使って刺激している。田中のペニスが頬の内側を突き、口蓋を蹂躙する。

「んふぅぅっ! ひくっ……ひっちゃ……ふうううっ!」

 何度目のエクスタシーだろう。一子ちゃんはガクガクと腰を揺すり、駆けあがっていく。

「おうっ!」

 田中が一子ちゃんの口の中に精液をビューッと勢いよく注ぎこむ。

「出るぞっ!」

 佐藤が竿を一子ちゃんの谷間に押しあてるようにしつつたっぷり射精。

「おあっ!」

 山本が一子ちゃんのおしりの穴に半ば亀頭をめりこませながら昇天。スペルマを飛ばす。

 一子ちゃんの顔も――あそこも――アヌスまで――白濁液にまみれている。

「はあ……ああ……あ……」

 一子ちゃんは絶頂の余韻に酔いしれながら寝台にくずおれた。

「……今なら、誰のチンポでも受け入れオッケーだろうぜ、クソッ」

 佐藤が肩で息をしている。さすがのプロもこたえたようだ。

「……にしても、ガキのくせに、なんて身体してやがる」

 山本と田中も荒い息をしている。

「まったく……仕事を忘れてのめりこんじまった」

「ヨメにしてえ……」

 男たちは、一子ちゃんの肌からザーメンを拭き取りはじめる。まるで、何かの支度をするかのように。

 脚の間も念入りにだ。

 そして、ゆっくりとドアが開き――日柳があらわれた。

「――準備はおわったようだな。少々やりすぎのようだが」

「だが、注文通りだ。本番ナシで、処女をトロトロにしてやったぜ」

 佐藤が眉をしかめて言う。

「なんだ、その態度は――雇い主に対して」

「ふん」

「もしもおまえが一子に入れていたら――命は無かったぞ」

 日柳が言う。うーん、そこんとこは同意だ。複雑な気分だが。

「まあいい。確かに一子の準備は整っているようだ。孕ませてやるよ、わしのタネでな」

 言い忘れていたが、日柳は全裸だ。隣の部屋でモニターでもしていたからだろう。

 この野郎――手の込んだワナをしかけて、一子ちゃんをモノにする気か。しかし、なぜそうまでして――?

「一子にわしの子を産ませれば、宇多方宗家はわしのものになる。そうすれば、宝もすべて思うがまま……」

 寝台によじのぼりつつ、日柳がほくそ笑む。あいかわらず悪だくみをモノローグでバラしたがるオッサンだぜ。

「見てろよ……わしをのけ者にした報いを受けさせてやる……一子をわしの肉奴隷にすることでな」

 そんなことさせるか、エイエイ! とおれは日柳を殴ったが、生き霊の悲しさ、拳は空を切る。

 日柳は、ぐったりした一子ちゃんの裸身をみおろすと、ぐへへと笑った。

 脚を広げさせる。力の抜けた状態の一子ちゃんは赤ちゃんのような無防備な姿を日柳の前にさらす。

 あそこをくぱっと広げる。

 顔を近づけ、吟味するように確認する。

「――処女膜は無事だな。興奮して充血はしているが、破れてはおらん」

 ほっ……よかった……って、全然状況よくなってねえ!

 日柳の野郎、自分のチンポで膜を破くつもりだ。

 一子ちゃんのその部分は媚薬と快楽の余韻の愛液がしたたって、湿潤になっている。

「なるほど、これならわしのモノでも入るだろうて」

 竿を握りしめ、一子ちゃんのその部分にこすりつける。

 にゅるん、ぬるん。

 うわっ……日柳のきたねえチンポが一子ちゃんのワレメをかきわけるようにして――半ばまでめり込んで、出たり入ったりしている。

「な……なるほど……っ、この媚薬は男にも効くのだな……おおお、こんなに」

 息を荒くしながら自分の股間を見つめる日柳――目がイッちまってる。

 すごい効き目のオイルだな。日柳のイチモツが見る見る大きくなっていくぞ。

 そんな日柳を、性感マッサージ師の三人は面白くもなさそうに眺めている。

 性感マッサージ師たちのエロっぷりもこの薬の力を借りてたのかもな。でないと、あんなに大量の精液を出しまくれないぞ。

「前戯は不要――邪魔が入らぬうちにさっさと仕上げるか」

 日柳は笑い、カチカチになったペニスを無抵抗の一子ちゃんのアソコに押し当て、ぐいっ――と

 やめろ……っ! おねがいだ、やめてくれっ!

 だが、止めようがない。亀頭がまっすぐ一子ちゃんの膣口に食い込み、飲み込まれていく――

 一子ちゃんの処女膜が亀頭の圧迫を受け、徐々に裂けていく――

「あ……あ……あああ……いたぁ……っ!」

 一子ちゃんがずり上がる。

 ぴりっ……と粘膜が裂ける!

「これが……! 一子の処女の味か……っ! おおおっ! キツい! チンポの先で一子の処女膜がほころんでいくぞっ!」

「あっ! あああああーっ!」

 ずぷうぅぅぅッ!

 ――それと同時に、おれの視界が暗くなっていく――

 

 冷たい感触が額にあたる。

 ずっとふわふわしてとらえどころのなかったおれの意識が明確な輪郭をとりはじめる。

 手足の存在を感じる。身体にあたるふとんの感触や匂い――

 身体があってのはいいなぁ、しみじみ。

 ――っていうか、おれ、身体にもどってきたのか?

 まずっ!

 すぐにエステコーナーに行かなきゃ! でないと一子ちゃんが――

 起き上がろうとしたおれは額に衝撃を受けた。と、同時に。

「きゃ!」

 のけぞる少女の姿を認知する。

「いたたた……ゆ、遊一さん、大丈夫ですか?」

 おでこをおさえつつ、一子ちゃんが涙目でおれを見ている。一子ちゃん?

「……あれ、なんで、ここに?」

「よかった……目がさめたんですね」

 一子ちゃんがほっとしたように言った。浴衣姿で、おれのふとんの側に座っている。氷を入れた洗面器に絞ったタオル――おれのすぐそばにも濡れタオルが落ちている。さっきまでおれのおでこでひんやりしていたのは、どうやらこれらしい。

「エステから帰ってきたら、遊一さん、床に倒れていたから、びっくりしました。あわててホテルの人を呼んで、お医者さんに来てもらって――でも、ただの風邪で、眠っているだけだろうって、言われて……」

 それで、そのあとは看病してくれていたってわけか。だが、そんなことよりもだ。

「い、一子ちゃん、エステ、大丈夫だった!? いや、大丈夫なわけはないけど……ごめん……っ! ほんとうにごめん!」

 おれはふとんの上で土下座した。これ以上ないってくらい完璧な土下座だ。

 守れなかった。生き霊だったから、なんて、理由にはならない。おれは守らなきゃいけなかった。大好きな女の子を。

 がんばるって約束したのに……それなのに……

「遊一さんはがんばってましたよ?」

 え?

「だって、熱があって、たいへんだったのに、わたしのために出かけてくれたじゃないですか」

 一子ちゃん、笑っている。でも、そんな問題じゃないだろ?

「エステなんか、すすめて、ごめん……っ!」

「え……? エステですか? 気持よかったですよ?」

 ほよほよとした口調で一子ちゃんが答える。

「なんだか不思議なオイルでマッサージしてもらって、パックしてもらったり、いろいろでした。一時間の無料体験にしては充実してて――遊一さんありがとうございます」

「は?」

 そう言えば一子ちゃん、肌がいつも以上にツヤツヤしていて、フェロモンを感じるくらいに色っぽい。

 だが、しかし、日柳が――

「あんまり気持よかったから、つい寝ちゃって、目がさめたら次のお客さんが来てたんです」

 一子ちゃんがてへっと舌を出す。

「だから、あわてて出てきました。なんとなく、日柳のおじさまに似ていたけど、別人ですよね。おじさまがエステなんて……くすくす」

 え? なに、それ。そんなことで危機回避したの?

「そのお客さん、待たされて怒ってたのか、裸で何かわめきながらわたしのほうに迫ってきたんですけど、エステシシャンの人たちが羽交い締めにしてくださって……それで逃げてきちゃったんです」

 ――なるほどな。

 あの性感マッサージ師たち、日柳が一子ちゃんをヤッちまうのを見過ごせなかったんだろう。一子ちゃんには、なんというか、保護欲をかきたてる何かがあるしな。

 佐藤に山本に田中……だっけ。もとはといえば日柳に雇われただけだし、そんなに悪いヤツらじゃないのかも……

「エステシシャンの人たちもとてもいい人で、またタダでやってくださるんですって……ほら、無料券がこんなに!」

 ニコニコしつつ一子ちゃんが何枚ものタダ券を取り出す。

 ぐわぁ、前言撤回だ、性感マッサージ師ども、殺す!

 

 結局、その日は一子ちゃんに看病されつつ、一泊しましたとさ。

 くそーっ、体調さえ万全なら、フェロモン出まくりの一子ちゃんとあんなことやこんなことを……

 でも、おかゆ食べさせてもらったり、身体ふいてもらったり、おれが寝入るまで添い寝してもらったり……

 楽しかった……

 なーんつか、一子ちゃんといると気が休まるというか……癒やされるなあ。

 だが、しかし、日柳のやつも財宝をねらっているとわかった以上、「くぼうのたから」の秘密を早く解明しないとな。

 宝をどうこうするとかじゃなくて……一子ちゃんを守りたいから――

おしまい