満たされた毒牙


 準備はずいぶん前からしてあったのだろう。手配は迅速だった。三脚に乗ったビデオカメラを正面にセットし、ファイダーをのぞいて構図を確認すると、録画スイッチを入れた。カメラは最新型のデジタルビデオカメラだ。

「ビデオ撮るの?」

 ソファの上で、弁護士に抱き上げられながら、まゆは訊く。

「だって、さっき、まゆチャンも見ていたじゃないか。練習のためなんだから、ビデオに撮っておかないと、意味ないだろ?」

「……そっか」

 まゆは納得した。

「さあ、練習をはじめるよ。まずは服をぬがせっこするんだ」

 弁護士ははしゃいだ声をあげて、まゆのトレーナーに手をかける。

 遊び感覚だ。最初はためらっていたまゆも、はしゃいだ声をあげて、弁護士のネクタイに手をかけるようになる。

 軽く汗をかく運動で、弁護士はみにくい段腹をさらし、まゆもパンツ一枚になった。

「まゆチャン、おっぱいおっきいじゃないか」

「えっ、やだあ」

 まゆは両腕で胸をかばう。まだ、遊び感覚が残っていて、ほんとうの羞恥ではない。

「だめだよ、隠したら、ほら、テレビをごらんよ」

 画面では十五歳くらいの少女が張り切ったバストを男たちにもみしだかれ、乳首を吸われている。

「まゆチャンもああしなくちゃ。ほら、こっちへ来て」

 弁護士はまゆを抱き寄せると、子供用のおちゃわんよりわずかに大きいくらいのまゆの膨らみを掌でこねはじめた。

「やわらかいよ、まゆチャン。でも、乳首はかたいなあ」

「あっ、やん」

 指の腹で、敏感な芽をこすられて、まゆは声をあげた。

「くすぐったい、おじさま」

「がまんしなきゃ。練習なんだから」

 少女の耳たぶに唇をよせながら、弁護士はおさない胸への愛撫をつづける。乳首を指でつまみ、こねるようにしながらぎゅっと引っぱる。

「くはっ」

 かるい痛みを感じた瞬間に指がはなされて、反動で胸の先端がぷるると震える。それをなんどか繰り返されると、まゆの乳首はいつもの倍以上の体積を持つようになっていた。

「乳首がこんなに立っちゃったよ。まゆチャン、エッチだなあ」

「そんなこと、ないよぉ」

「いいや、ビデオの女の子たちにも負けていないよ」

「やだあ」

 まゆは手で顔をかくす。

「さて、ここも練習しないとね」

 弁護士はおもむろにまゆの太ももに手を這わせはじめる。まゆの身体がぴくりとふるえ、やや身体がかたくなる。

「ほら、力をぬかないと。みんな、ふつうにしていることなんだよ」

「……そうだった」

 注意されて、まゆは身体から意識的に力を抜こうとする。が、うまくいかない。

「じゃあ、ほら、腿をかかえるようにしてごらん。ひざをおなかの方へ引きつけて……そう、いいよ」

 弁護士は、自分のひざのうえで、まゆにポーズをとらせた。そうすると、自然にM字開脚のようになる。

「こうすると、ほうら、まゆチャンのココがさわりやすいよ」

 下からヒップに手をのばす。パンツの生地におおわれたまゆのぷっくりとふくらんだ部分を指先にとらえる。

「……あっ」

 びくっと首を動かしたまゆだが、ポーズはくずさない。

「そのままでいるんだよ。しばらくがまんして」

「うん……」

 すでにその部分は熱くなり、生地は湿り気をおびている。そうだろう。媚薬入りのジュースを飲み干した上に、いやらしいビデオをかなりの時間見ていたのだ。しかも、まゆには性体験がすでにある。ふつうの子供の濡れかたとはちがっていて当然だ。

 弁護士は、太い中指をその亀裂の部分に押し当て、めりこませるように圧力をかけていく。

「んん……んぅぅ」

 なにかをこらえているようなまゆの声。

 苦悶の表情をうかべているようにもみえるまゆの頬をぺろぺろと舐めながら、弁護士はさらに指先を溝に沿って上下に動かすことで、まゆの声を絞り出していく。

「ううう……んああああ」

「気持ちいいかい?」

 指にくねらせる動きをくわえながら、意地わるく弁護士は質問する。

「答えなさい、まゆチャン」

 まゆは首をたてに振る。何度も振る。

「だめだ。ちゃんと言葉で言わないと」

 親指と人差し指で、すっかり色のかわったパンツの生地ごと土手の部分をぎゅっとつまみ、きゅっきゅっとねじくるようにする。おそらく包皮から飛びだしたであろうクリトリスが生地にこすれる快感に、まゆの小さな身体がビクビクッと動く。

「さあ、言いなさい」

「……きもち……いい」

 まゆは答えていた。

「まゆチャンのどこが気持ちいいか、ちゃんと言わないとだめだよ。ほら」

 弁護士の指に力がこもる。

「ひうっ! まゆの……お、おまんこが……きもちいいんです」

「へええ、おまんこが気持ちいいんだ、まゆチャンは。じかにさわってほしいかい?」

「……ほしい」

「なら、自分でパンツを脱ぎなさい」

「……はい」

 まゆは弁護士のひざのうえからおりると、自分からパンツをひきおろしはじめた。

「そのまま。ちょっと止まりなさい」

 まゆは指示にしたがった。パンツをひざ上までずらした格好だ。

「脚を広げて……」

 そうすると股間と布地のあいだに、透明な糸が引いているのがわかる。まゆの股間にずっと密着していた布には、粘液がしみついて光っていた。

 そのぬめりを弁護士は指ですくい、口にはこんだ。なんともいえない少女の甘酸っぱい味が口中にひろがる。何度も鼻から息を吸い、香りを堪能する。

「もういいよ。さあ、ぜんぶ脱いだら、またおひざの上においで」

 まゆはおとなしくパンツをぬぎすてると、弁護士のもとにもどる。今度は股を開かれても抵抗はしなかった。

 弁護士は手をのばしてテレビのリモコンをつかむと、ビデオチャンネルを操作する。すると、いまカメラで撮影している画面に切り替わった。

「ほうら、あの画面にちゃんとまゆチャンのあそこが映るように、自分で開いてごらん」

「……うん」

 もう、自分もビデオの出演者になっているつもりなのか、まゆはすなおに指示にしたがった。だって、さっきまで、もっとずっと過激なシーンが画面からはたれ流されていたのだ。

 テレビ画面のなかで、瞳が印象的にかわいい女の子が中年男のひざのうえにすわって、脚をひらいている。その中心には、赤い花が咲いているようにみえる。飾り毛さえない、少女の裂口が、興奮に濡れそぼっているのがわかる。

「画面を見ながらならできるだろ? 自分の指で、そこをひらくんだ」

「……うん……んん」

 自分では、位置さえさだかではなかったはずのその部位を、いま少女は自らの指でひろげていた。わずかな色素の沈着さえ見られない真っ白な大陰唇が左右にひっぱられ、ピンクというにもけなげすぎる色合いの小陰唇がその姿をあらわす。勃起しているはずのクリトリスはほとんど姿が見えないほどに未成熟だし、膣口のありかさえさだかではない。だが、そこはたしかに性的に興奮し、愛液をさかんに分泌している。

「きれいだ……きれいに撮れているよ、まゆチャン。ごほうびをあげよう」

 弁護士は高ぶった声で言い、まゆの広げられた部分に指を埋めていく。

 あるかなきかの膣への入り口は、しかしおとなの太い指を受け入れることができた。湿った音とともに、弁護士の指は、まゆの肉体のなかにのみこまれる。

「あうっ……うううっ」

 まゆが身体を折り曲げるようにしながら、弁護士の指の侵入に耐えている。ひさしぶりの体内への異物の挿入には、やはり痛みがともなうのか。

「まゆチャンのなかで指を動かすよ、ほうら、ほうら」

 くちゅくちゅと湿った音をたてて、弁護士の指がまゆのなかをかきまぜる。ひだが多いまゆの膣壁からは、その攻撃から身を護るようにさらなる愛液が染みだしてきて、どんどん指の動きはスムーズになる。

「はっ、あっ、ああっ、あっ、ああああ」

 まゆの息があらくなり、声が大きくなっていく。

 薄い胸が空気をもとめてふくらみ、肋骨が浮きだす。

「あっ、ああっ、あん、あん、あんあんあんっ」

 ガクガクと首が前後に動く。弁護士の指がピストン運動になったのだ。

 まゆは自分でも腰を動かして、その指の動きに応えはじめる。

 そんなまゆの姿を満足そうに見おろして、弁護士は笑う。

「さあ、まゆチャン、そろそろべつの練習をしようかね」

つづく