薔薇色の涙


 ゲームセンター<ラビアンローズ>はガラがよくないことで有名だった。だから、午後六時をすぎると、まともな客は足を踏み入れなくなる。不良のたまり場になることがわかりきっているから、店員も控え室に引っ込んだままのことが多い。

 しかもとんでもないBGMの音量だ。まゆが泣き叫んだところで、どうなるものでもなかった。

「いやあっ! やだよおっ!」

「しっかりおさえとけ。へっ、おとなしくしてろよッ!」

 ヒムロとタクローがまゆをテーブル筐体の上にうつぶせに押さえつけている。

 脚をジタバタさせるが、二人の中学生に押さえつけられては逃げようがない。

「約束どおり、パンツを脱がすぜえ」

 ジェフリーがスカートをまくりあげる。

「やだーっ!」

 真っ白なパンツがあらわになる。

「さすが小学生、新鮮だなあ、かえって」

 ジェフリーはスカートの裾をつまんだままニヤついた。

「さーて、パンツもズルっといこうかね」

「やああーっ!」

 まゆの叫びもむなしく、ジェフリーは容赦なくまゆのパンツをひきおろした。

 ヒップがむきだしになる。まゆはなまぬるい空気が股間に当たるのを感じた。

 じゃまっけなスカートもパンツといっしょに引きおろされてしまい、もはやまゆの下半身を守るものは一枚もない。

「ひゅー、いいながめ」

 ジェフリーがしゃがんで、まゆのヒップを下からのぞきこむようにしている。

「まゆちゃんのおまんこまる見え!」

 ヒップの肉をつかんで左右にひらく。

「うあっ……」

 空気が――たぶんジェフリーの吐く息が粘膜にあたり、まゆはうめき声をあげた。

「まゆちゃん、おケケはまだかあ。んー、ちょっと産毛が濃くなってきたって感じかな」

「やだあ……」

「さて」

 ジェフリーが舌なめずりする。

「プリクラしよっか、まゆちゃん」

 下半身むきだしのまゆを少年たちがかかえあげた。

 プリクラの機械のところまで運ばれていく。まるで騎馬戦のようだ。まゆは暴れようとしたが、大きく脚をひらかされた状態で固定されて、身動きすることもできなかった。

「フレームはどうしよーかなー。ハワイとかにしてみるか。まゆちゃん、それでいい?」

 ジェフリーが楽しそうに訊いてくる。

 まゆは返事どころではない。プリクラのまわりにほかの少年たちも集まってきて、なにごとが始まるのかと見物している。みんな、まゆのあそこを見ようとしているようだ。

 返答がないのを勝手に肯定ととったのか、ジェフリーはフレームをセットした。

「おい、タクロー、もちっとまゆちゃんの左足をあげて、おい、ヒムロ、しっかりささえてろよ。おまんこが写んないじゃないかよ」

「やめてよ……ほんとにするの?」

 まゆはかぼそい声をだした。モニターのなかで、おおきく脚をひらかされたまゆが泣きベソをかいている。あそこがはっきりと映っている。

「たりめーじゃん、約束したろ。プリクラ代は特別におごってやるから、つべこべ言うんじゃねえよ」

 ジェフリーは急に声を低くする。すごみのある声だ。

「映すぜ」

 まゆは目をとじた。機械の動作音がはじまる。

 その音を聞きながら、まゆの背筋に戦慄がはしった。

「まずは第一弾、できあがり。んー、いい色だね」

 プリントアウトしたシールを見て、ジェフリーがうなずいた。まゆもそれを見せられた。まゆの股間が並んでいる。ほかの部分の肌色よりやや濃い色をした大陰唇がわずかに左右にひらき、ピンク色の粘膜がのぞいている。まゆは顔をそむけた。

「でも、構図がイマイチだな。これは失敗だ。しょうがないから、見物しているやつらに売ろうかな」

「おう、買うぜ!」

「おれもだ」

 ギャラリーたちがさわいだ。

「おーし、じゃ、一枚500円だ。ほしいやつはここにならべ」

「やめて……やめてよお……」

 泣き声をあげた。自分の股間のプリクラがばらまかれるなんて、信じられない。

「だいじょうぶだって、これで資金かせぎして、次はもっとちゃんとした構図にするからさ」

 少年たちは、買ったプリクラを手帳に貼ったり、携帯電話に貼ったりした。わざわざまゆの顔を覗きこんで、股間の持ち主の顔形を確認する者もいた。

「よし、第二弾だ」

 プリクラ撮影が再開された。

「こんどはちゃんとケツの穴も映せよ。よし、そうだ。おまんこも全開でいくぜ」

 ジェフリーはまゆのワレメを指で左右にひらいた。

「ああ……」

 外気が当たっている。まゆの性器に。

「中まで見えてるぜ。おや?」

 ジェフリーが中指をまゆの膣にうめていく。

「なんでこんなにすんなり入っちゃうかなあ? まゆちゃん、ほんとに小学生?」

「う……う、ぬいてえ」

「濡れちゃってるぜ、こいつ。けっこーやりこんでじゃねえか?」

 ジェフリーが指をうごかす。まゆの背筋がはねる。声がでる。

「あうっ!」

「こりゃいいや、濡れてるおまんこをバッチリ映すぜ」

 調子にのって、ジェフリーはまゆの小陰唇の内側のセクションを指先でいたぶりはじめた。

「あああ、やめてええ……」

「へへっ、濡れてきた、濡れてきた。なかからドンドンわいてくるぜ」

 ジェフリーの指先から透明な糸が引いていた。まゆの愛液だ。

 シャッターがおりる音がしている。プリクラに撮られている。まゆのびちょびちょのあそこが、アップで。

 それを想像するだけでまゆは身体の奥底がうずく感じがする。こんな、こんなすがたを写真に撮られて――

「こいつ、クリトリス、ぷっくりさせてるぜ……マジ感じてやがる」

「んん……あ……」

 否定できない。少年たちに抱きかかえられながら、むりやり開かれていたはずの脚が閉じられなくなっている。おしりがうねっている。

 その動きにあわせて、ジェフリーの指がまゆの股間をなぶっている。

「いやあ……うう……」

「こいつ、すげえ、濡れてるぜ」

 入り口を左右にひらく。

「マジかよ、奥まで見えるぜ」

 その部分さえ、プリクラのフレームにおさまってしまう。

「ここまで来たら、やっちまうか」

 ジェフリーが目をぎらつかせた。

「でもよ……」

 ヒムロがさすがにあたりを見回す。ギャラリーがすごい数になっている。

「奥に行こうぜ。店長はどうせパチンコだ」

 タクローが言い、かかえていたまゆをおろす。まゆはバランスがとれなくて、よろめいた。内股にぬるいものを感じる。汗と、そして愛液だ。

「もう終わりかよお」

「おれ、まだプリクラ買ってねえぜ」

 少年たちが不満げな声をあげるが、ジェフリーがねめつけるとみんなだまった。

「いくぞ。まゆのパンツとスカートも忘れんな」

「おう。ほら、こっちだよ」

 タクローがまゆの手を引く。

「やだ」

 まゆは唇をかんでふんばった。

 だが、だめだ。

 中学生に本気で引きずられたら、どうしようもない。ノーパンのまま、まゆは店の奥に引きこまれた。

つづく