最終回じゃねえーっ!
バッドエンドでもねえっ!
と、意味もわからず叫んでみる。
まあいい。
キースが広げた穴におれは突っ込んだ――っつても、おまんこしたわけじゃねえぞ。
魔法の防御壁に穿たれた突破口――そこに飛び込んでいったのだ。
穴の向こうには塔へと続く道がみえる。
振りかえると、満足したようなキースの顔があった。
「後は……頼んだぞ……」
つぶやくと同時にその表情から生気が抜けていく。膝が折れて腰が沈む。
うわ、典型的。ジャ○プのマンガの登場人物か、おまえは。
おれは穴を通りぬける寸前できびすを返した。
崩折れたキースの身体を強引に抱えあげる。
「な……っ、ばかな! わたしがせっかく……!」
るっせー。バカはてめーだ。
この程度の魔法壁に干渉するだけで死にかけやがって。
壁が回復してゆく。開口部がすぼまってゆく。
おれは魔法力そのものに干渉はできない。だから、壁を切り裂くこともできない。さっき、魔導士を皆殺しにしようとしたのも、それが理由だ。
だが、物理的に存在する「構造」なら叩くことができる。
魔法壁は、個々の術者の力をとりまとめる「構造呪文」によって成り立っている。
一人一人の術者の力はたいしたことがない。それを増幅しているのは「構造」――すなわち術者の配置だ。
壁の向こう側で、術者たちは等間隔をあけて並んでいた。穿たれた開口部を通じて、その構造をおれは見破った。各人を頂点として線を引くと――五芒星になる。それが一ユニットで、いくつかのユニットが組み合わさって全体を形作っている。
人を使って書かれた術式だ。それを根本から崩せばいい。
おれは片腕でキースを抱えたまま、右手の刀を振った。
無造作に地面を薙ぐ。
が、切っ先の速度は音速を超えている。
なにが起こるか――衝撃波が生じる。空気を媒介して、エネルギーが疾走するのだ。
ほとんどふさがりかけた魔法壁の穴に、そのエネルギーが到達する。
おれの攻撃は、魔法壁自体にはダメージを与えられない。それはさっきも言った。だがな。
衝撃波はせまい開口部でも通り抜けることができるのだ。
轟音とともに、見えない力が大地そのものを切り裂く。
たとえて言うなら、頭上すれすれをジェット機が駆け抜けたようなもんだ。
大地が震え、大木が根っこから吹っ飛び、じじいたちの身体が跳ねとばされてゆく。術者どうしをつないでいた、見えない術式が破壊されていく。
要するに、消しゴムで消せないなら、紙をひっちゃぶいてやれ、ってわけだ。強引だが、しょうがねえ。
おれは斬って斬って斬りまくった。衝撃波、出しまくり。術者を殺せば楽なのに、うるせーやつがいるから思わぬ重労働だ。
それでもなんとか。
魔法壁を構築していた力場が、すうっ、と減衰した。
構造魔法の仕組みが一部破壊され、流入する魔力が減ったからだろう。
広がった開口部を、おれは余裕で通り抜けた。ち、ちょっと肩で息してるがな。ぜーはーぜーはー。
あちこちに村人たちが転がり、うめいている。でも、まあ、これで死ぬやつはいまい。
だが、村人たちはこれがすべてではない。あちこちに同様の構造魔法が構築されているらしく、力場が回復してきた。
背後で魔法壁がよみがえる。つまり、退路もなくなったってわけだ。ここから先は敵の本拠のただ中ということになる。
ともかく、おれはこの場から離れることにした。応援でも来られたら厄介だ。キースを小脇に抱えたままで、「殺さずに」局面を変えるのは、このおれをもってしても楽ではない。
森を切り開いただけの曲がりくねった道をすたこらさっさと駆け抜ける。
「なんて……力だ」
おれの腕のなかでキースが声をもらした。
「わたしの力など足下にも――ジャリン、おまえはいったい何者なのだ?」
「おれは、おれだ」
まあ、おれさまの実力にビビってたじろぐのは当然だが、その質問にはそう答えるしかない。
「どこで修行したのだ? 師匠は? 流派は? あんな剣技、見たことないぞ!」
言いつのるうちに興奮してきたらしい。こいつ、剣術オタかなんかか?
「ああ、なんてことだ、わたしはおまえのことをまるで知らないではないか!」
「チンポのでかさはよく知っていると思うが?」
「そんなことを知ってどうする!」
いや、大事なことだと思うぞ。
「か……考えてみれば、わたしのこともほとんど話していない。なんてことだ……」
なんかショックを受けているらしい。
「わ、わたしのことを知りたくはないか、ジャリン」
「乳首の色とか、おまんこの感度とか、知っているしなあ。ほかに知りたいことはそんなにないな……あ、アナルの感度をまだ確認してないな」
「そういうことでは、なーいッ!」
いやいや、すごく大事なことだぞ。男にとっては。
それにしても、いくら走っても塔が近づいてこない。なんでだ?
これも魔法の仕業か?
なんとかしたいが、キースが邪魔だ。どうやら体力を完全に使い果たしてしまったらしく、自力で動くこともできないようだ。ヒットポイント換算、2くらいだな。むろん、ゲージは真っ赤だ。頼みのヴュルガーも魔力が尽きてなまくら刀に逆戻り。
つい、勢いで連れてきてしまったが、放置しときゃよかったと反省する。
そういう雰囲気は口にしなくても伝わるらしい。
「捨てていけ、ジャリン。クラウゼヴィッツ家の騎士は他人の足手まといにはならん」
おれの腕のなかで、キースがいまいましげに声をもらした。
渡りに船ってやつだ。
「その言葉、待ってたぜ」
おれは、小道の脇のしげみにキースを放り投げた。
キースの身体はゆるい斜面を転がり落ちて、灌木に引っかかった。
「ば、ばか! ほんとに投げ捨てるやつがあるか!」
抗議する声だけが聞こえてくる。
ふむ、隠しものには最適だな。だが、このままでは、荷物がわめいて自分から居場所をばらすかもしれない。
おれは斜面に足跡を残さないように軽く跳躍した。
キースの側に着地。
「どういうつもりだ、こんな――」
すごい見幕で言いたててくるキースを地面にねじ伏せた。
「な、なにを」
「思い出づくりだ」
胸甲をこじあけて、乳をほじくりだす。白くてたっぷりとした乳だ。
「ばかな、こ、こんなときに――こんなこと――」
「安心しろ、特急コースでやる」
邪掌をつかって揉みたてながら、おれはささやいた。
「これが、最期、かもしれないからな」
「ジャリン……」
キースの眉がうごく。
乳首を吸い上げながら、手を太ももに。そこはしっとりと汗でぬれている。
抵抗はない。
「……死ぬ気か」
いや、おまえがな。
「そうか……そこまでの覚悟を」
つーか、死にかけてるのはおまえだっちゅーの。ヒットポイント2だぞ、2!
「わかった……ならばわたしを自由にしろ。おまえの想い、うけとめてやる」
おれの顔を胸に押し当てるように、強く抱きしめてくる。これは……かーちゃんっぽいな。いい匂いだ。
まあ、勘違いしているあいだに、やることやっちまおう。
キースの両脚の付け根を左手で愛撫する。下着の中にもぐりこむ。
――もう濡れてやがる。指でポイントを刺激すると、ひくひくと反応してきて、おれを誘う。邪掌の力を使うまでもない。
「ジャリン……あつい……へんだ、わたし……」
蕩けるような表情でキースがつぶやく。自覚はないようだが、物欲しげな眉のひそめかたをして――誰に教わった?
中指で扉の合わせ目をひたひた叩くと、粘っこい水音がする。
「あう……やぁん」
色っぽいな。勃起しちまうぜ。
反り返ったモノを取り出して、キースに見せる。
「どうだ?」
熱っぽい目でキースは見上げてる。
「うん、すごい」
素直に感嘆の声をもらす。
「男って、すごいな。こんな時でもそんなになるんだな」
「おれがすごいんだ。並の男ならこうはいかねえ」
「そう、しておこう」
白い歯が覗く。笑顔か。こいつの笑うところをこんなシチュエーションで見ることになるとは――
「そういや、おれを殺すんじゃなかったのか?」
「――もういい。おまえはひどい男だが、悪党ではない。息子に、おまえの父親はなかなかの男だった、と教えてやれるくらいにはな」
子供ができるのはデフォルトですか。それも、「息子」なのね。
にしても、こういうイベントの後って、よく死ぬんだよな。ほんとうに死亡フラグがたたなきゃいいが。
ともかくも、入れよう。こういう雰囲気は苦手だ。
「ジャリン……こい」
キースが両手を広げて受け入れ態勢をとる。
「そして、わたしの中で、存分に子種を吐き出せ」
おお。そうさせてもらう。
「よいしょ」
キースの腰を持ち上げて、おっぴろげ。
目標確認――っと。
「お、おい、ジャリン、そこは」
キースの声が初めて動揺する。
「ま、まて、そこは違う場所――ぉ、あぃっ!」
「やっぱり、相互理解のためには、いろいろ知っておかないとな」
キースのおまんこから噴き出す愛液を塗りたくって、強引にアナルに挿入。
「うあああっ! い、いたい……いたい、ジャリン――!」
「ここならいくら中出ししても子供はできねーしな。おお、いいぞ、キース、おまえのケツ――極上だぞ」
ほんとに。括約筋の鍛え方が尋常じゃねえ。
「ぜ、前言撤回――やっぱり、貴様ッ!」
キースが絶叫する。
こ
ろ
し
て
や
る
う
ッ
!!
――はいはい。
気を失ったキースを見下ろす。複雑な表情を浮かべてキースは眠っている。
結局、アナルでイッちまった。全身の性感帯を邪掌で刺激したせいだが、おしりのほうの素質もあったってことだ。
まあ、時間をかければもっとすごい世界をみせてやれるんだが、それはまた別の機会に、だな。それまで生きていればだが。
おれは、不器用な女騎士の寝顔にキスするかわりに、尿道に残った精液を絞り出してハートマークを書いてやった。
……ほっぺにチューなんて、するわけないだろ、おれが。
キースの身体を草木で隠すと、おれは、心なしか軽くなった身体を一気に跳躍させた。