ジャリン戦記 ドリーマー編

最終話

ラ プ ン ツ ェ ル

 

 村は無人にみえた。

 ひなびてはいたが生活感には事欠かなかった家並みから、生気がうせている。

 そのかわりに、うっすらと白い靄がかかりつつある。

「これは――マナか」

 小鼻をうごかしてキースが眉をひそめる。わずかなオゾン臭を感じたのか。

「舞台を整えて来たということだ」

 おれは短く言う。

 村の通りを突っ切ればアルセアの森が広がり、その奥に塔はある。

 ゾーシュライの家を出てから、念のため宿屋に戻ってみた。すでにそこはもぬけの殻で、おれたちにあてがわれた部屋には暴徒に踏み込まれた跡が歴然と残っていた。

「なあ……シータどのとアシャンティのことだが」

 思い詰めた表情でキースが言いかけるのを、おれは言葉で阻んだ。

「ディーが言ったことがハッタリじゃなかったってことだ」

「そのことだが――やつらにとってもシータどのは大事な存在、アシャンティもわれらに対する人質に使える――つまり、危害を加えることは、やつらだって……」

 ああ、もう、いちいち確認させるなよ、うっとおしい。

「手足の一、二本がちぎられても人質にならないわけじゃあない。ましてシータの場合、やつらが欲してるのは愛液だ。おれなら、速効犯して愛液を採取するな。それでドリーマーの力を自由にできるようになるんなら、どんな反撃も恐れることはない。つまり、人質さえ不要ってことだ」

 おれの言葉に黙りこむ。

 ややあって、キースはおれの横顔を覗きこむようにした。

「――もしも、シータどのやアシャンティが……その……だったとしたら、ジャリン、おまえはどうするんだ」

「質問になってないぞ」

 キースが唾を飲み込み、それからようやく言う。

「――言葉にできないような目にあっていたら、だ。そうしたら、おまえは――」

 答える必要はない。

 おれは無言で歩き続けた。

 

 

 引きつづき、アシャンティなのにゃ。

 めんぼくない。

 シータおねいちゃんをおっちゃんたちがイタズラしまくりなのを、あちしとしては見ているしかなかったのにゃ。

 おっぱいをもんだり、乳首をすったり、あそこのビラビラを広げて、中をいじったり、吸ったりしているのにゃ。

 でも、シータおねいちゃんは眠ったまま、うんともすんともいわない。人形のように反応しないのにゃ。

「むぅ……なんで濡れない?」

 トマリがシータおねいちゃんのあそこから口を離して、くやしそうに言ったのにゃ。

「あんたがヘタクソなのね、わたしがやるよ」

 ゼンジーがトマリと場所をかえて、シータおねいちゃんのおまめさんをコネコネしはじめた。そこは効くんにゃ……

 シータおねいちゃんの足の指がひくんとした。

「ちょっと反応したね」

 言いつつ、ゼンジーはおまめさんを包むさやを動かして、赤い突起を飛び出させた。その先端を舌でぺろぺろしながら、指でおまんこをぐりぐりと――

 ひくひくっ。

 シータおねいちゃんの太ももの内側が動いたのにゃ。

「少し――ぬるぬるしてきたかな?」

 ゼンジーは指を抜いて見る。わずかに光っているのにゃ。

「おい、それがほんとうに媚薬なのかどうか、試してみないか?」

 ソタノがあちしのほうを見て言ったのにゃ。

 

 

 進むほどに靄が濃くなった。

 ゆら。

 人影がうごいた。

 ゆら。

 ゆら。

 ゆら。

 増えてゆく。

「村人!?」

「傀儡だ」

 おれは断じた。

 ゾーシュライがそうであったように、村人たちはすべてザシューバの操り人形だ。人のよさそうな顔を仮面のように貼りつけた、中年から初老の男女が行く手を遮る。

 指をひらめかす、唇を動かす、護符を掲げる――それぞれ思い思いの方法で呪文を構築する。自己流の魔法の数々――だが、威力はばかにできない。周囲に立ちこめたマナが術者たちの能力を増幅している。

「突破するぞ」

 おれは刀を抜いた。しゅらん、という手ごたえに、おや、と思う。どうやら、マモンのやつ、戻ってるな。だが、刀身は冴えた銀の色合いを保ったままだ。どうやらつきあってくれるつもりらしい。

「ま、まて、ジャリン、斬るのか? もとはふつうの村人たちだぞ!」

 おれは視線を後方に流し、すぐにもどした。隙は作れない。剣士が相手ならともかく、魔道士はどんなに低レベルでも危険だ。

 呼吸を練る。

 殺気がふくらんでゆく。

 それを感じてか、キースの声が切迫する。

「ほんとうに殺すのか――操られているだけなんだぞ!?」

「――おまえ、人を斬ったことがないのか?」

「魔物ならば、ある! 悪人を成敗したこともな! だが、ひ弱な老人を殺すなど――しかも、操られているのに!」

「じゃあ、そこで見物してろ。それから故郷に帰って子供でも産みな」

 おれは剣をかまえる。

 キースが必死な声をあげる。

「子供はおまえと――ち、ちがう!――そうじゃなく、くだらない人殺しになるなというんだ、ジャリン! おまえならば、殺さなくても――」

「話し合いですむ相手じゃねーよ。意志さえないんだ」

 老人たちの魔法が構築されていく。大気が渦をなし、邪悪な力を秘めて、巨大な壁をつくりだしてゆく。

 どうやら、魔法の防壁で塔そのものを囲んでしまおうとしているらしい。

 塵もつもれば、ってやつだ。一人一人の魔力はたいしたことがなくても、それを束ねる意図が堅固であれば、おそろしい魔法として結実する。

 いわば、生身でできた構造魔法だ。

 これを破るには、面倒でも構成員を一人ずつ斃していくしかない。皆殺しだ。

 呪いの剣たるマモンは喜々として血にまみれるだろう。斬れば斬るほど鋭さが増し、使い手の精神さえ支配して、ついには狂戦士(バーサーカー)にしたててしまう。狂戦士の剣(バーサク・ソード)――それがマモンの正体だ。

 おれは一番近い場所で呪文を唱えているじじいに向けて剣を振り上げた。

「よせ、ジャリン!」

 キースがおれの背中に体当たりをしてくる。

「邪魔するんなら――」

 振り返ったおれの目の前で、キースが剣を抜き放っていた。

 魔剣ヴュルガーの刀身が赤く輝いている。こいつも回復していたか。

「ジャリン、おまえはシータどのたちを救え! 汚れた殺し屋になるな!」

 キースは魔剣を掲げると、一気に魔法の壁に突進した。正面突破か――あほか、こいつ。

 だが。

 ヴュルガーの切っ先が壁に触れると、壁を構築しているエネルギーが白熱光とともに飛散して、穴があいた。

 そうか、魔法剣であるヴュルガーは、魔力そのものを斬ることができるのだ。また、それを操る特殊な力をキースは身につけている。

 いわば、魔法に対する抑止力を持っているがゆえに、キースは監察官になったのだろう。

 キースは全身をたわめて、剣を壁にこじ入れている。魔力を斬る、ということは、ヴュルガーの魔力を使うのと同時に、術者の体力・生命力を消費することにつながる。

 魔法使いはマナを利用することで強力な魔法を使うことができるが、魔法使いでないキースはヴュルガーを使いこなすためにおのれの肉体を酷使しなければならない。ヴュルガー自身もマナを食うとしても、だ。

 圧倒的に不利な戦い。

 だが、剣の力かキースの頑張りか――その両方だろうが――魔法の壁にわずかに亀裂が入った。術者たちが補強のためにさらに術を強める。

「く、おおおおおッ!」

 キースが裂帛の気合を発する。

 幾人かの術者が吹き飛ばされる。

 一気に穴がひろがる。

「今だ、行け!」

 必死の形相でキースが叫ぶ。女が浮かべる表情じゃねえぜ。

「なんで、おまえ、そう不器用なんだ?」

「うるさい! 騎士とは、こうあるべきもの! 理のない殺生はせぬ!」

 膝が折れかける。術者が移動し、呪文の再構築が始まったからだ。穴が修復されていく。

「わたしの……力は……ここまでだ……急げッ!」

 死相さえうかべ、キースが最期の力を振り絞る。壁の復元の速度が鈍っている。キースが呪文に干渉しているのだ。にしても、限界は近いな。

 おれの脳裏に、要らない記憶がめぐった。かつて一緒に旅をしていた女たち――三人の巫女――スペルキャスターとヒーラー、そしてアーチャー――

 あいつらもあんな顔をして散っていったのだろうか――ばかばかしい。

 使命だとか義務だとか誇りだとか――くだらない。

 世界は原子レベルで利己的にできあがっている。素粒子さえ、自分の実在のためにエネルギーを浪費するのを厭わない。まして生命は、利己主義だけでできあがっている――その権化たる人間が時折こうも愚かになるのはなぜなんだ。

 おれにはわからない。わかりたくもない。だが――

 

 

「ほら、なめるね」

 ゼンジーが指を突きつけてきた。

 ガブっ、かんでやりたいのにゃ。でも――

 指を突きつけられると、ついついにおいをかいでしまうのにゃ。しゅーせいなのにゃ。

 いい匂いがするのにゃ。

 ぺろ。

 なめてしまったのにゃ。

 やばっ。

 ほんの少しなのに――

 からだが熱くなって、何かがつきあげてきたのにゃ。

 たぶん、シータおねいちゃんはしばらくエッチしてなかったから――そのぶん濃いのかも――

 またぐらが――へんにゃ。むずむずしてきて――

「おい、そのケダモノ、おれたちで芸を仕込んでやろうぜ」

 ソタノが言い、ゼイオがどこからか乗馬用のムチを持ってきた。

「げへへ、げへ、ケダモンはこうやって調教するにかぎるんだな」

 ビシッ!

 いたいにゃっ!

 スパンっ!

 ひいっ!

 あちしはムチの攻撃をかわそうとしたけど、ウーゾとムーゾにつかまってしまった。

 おさえつけられた背中に、おしりに、ようしゃなくムチが降ってきた。

 服がやぶれて、肌があらわになる。ミミズ腫れになってることが感覚だけでわかる。じんじん痛くてしびれる感じ。

「や、やめるにゃ! いたいにょお!」

 たまらずあちしは悲鳴をあげたのにゃ。

「げへへ、なら、尻をあげな。ムチはやめてやるぜ、げへ」

 ゼイオに言われて、あちしはそのとおりにしたのにゃ。ほかにどうしようもないのにゃ。

 ウーゾとムーゾがあちしのパンツをずりおろす。おしりをかかげているから、しっぽの付け根も、アソコも、まるだしなのにゃ。でも、しょうがないのにゃ。

「げへへ、か、形は人間の女とかわんねーな」

「子供のまんこっす」

「ツルツルのワレメっす」

 言いつつ、ウーゾとムーゾが左右からあちしのおしりの肉をつかんで、ぐいっと――さ、さけちゃうのにゃ!

「げへっ! 中身はけっこう熟れてるじゃねーか。やっぱ、媚薬の効果か? クリがでかくなってるぜ」

 ゼイオは手にしたムチの柄で、あちしのおまめちゃんをぐりぐりと――いぎっ! いたいのにゃ、いたい――

「げへぇ? なんだ、おまえ、ここヌルヌルしてきたぞ?」

 ムチの柄が動いて、広げられたおまんこの穴をこじこじしてきたのにゃ。そこは、だめにゃ――にゃるうぅ……

「げへへへ、ガキのくせに、まんこに突っ込まれて感じてやがるぜ。こりゃあ、とんだ淫乱メス猫だな」

「おしおきっす」

「おしりペンペンっす」

 ウーゾとムーゾがかわりばんこに、あちしのおしりを平手で叩きはじめたのにゃ。

 パーンッ!

「ひぃ!」

 バチッ!

「びゃっ!」

 スパーン!

 ――いたいのにゃ、しびれるのにゃ。

 尻ぺたをぶたれるたびに、あちしの中でムチの柄が動いて――にゃあああ――おしりが熱くなって、頭がぼうっとなっていくのにゃ……

「げへへ、こいつ、ぶたれるほどに、濡れていくぞ? 奥まで入るんじゃねえか?」

 ゼイオのムチの柄があちしのなかに入ってくる……のにゃ。

 奥に、あたる――にゃ。

「げへはは、こいつ、ムチをすっぽりくわえ込んだぞ? とんだ変態だぜ、ぶたれて感じるなんてよお」

 ちがうのにゃ、アシャンティ、マゾじゃないのにゃ! シータおねいちゃんのおツユをなめたからにゃ――

「しょせんはケダモノっす」

「尻の穴も試すっす」

 ウーゾとムーゾが、あちしの後ろの穴を広げたのにゃ。二本の指が同時に入ってくる――おしりの穴をいじくられるのは、いやにゃ! やめるにゃあ!

「熱いっす」

「締めつけてくるっす」

 ずこずこ、いれたり出したり、おしりの穴がこすれて、ふにゃあ、気持ちよすぎるのにゃ……

「げひ? まんこも蠕動しはじめたぞ? こりゃあ、本格的に変態だな。ケツでよがって、まんこをべとべとにしてやがる」

 ゼイオは笑いながら、ムチの柄でおまんこをえぐるのにゃ。

 おしりをいじくられるのと同時で――こ、声がでちゃうのにゃ。

「にゃああ、なごおおおお!」

 あちしは首をふりたくって、鳴いたのにゃ。発情したときの、交尾をねだる声なのにゃ。

 ほんとはあちしはしたくないんにゃ。ジャリンじゃないオスとはいやにゃ。

 でも、刺激されて、発情のスイッチがはいってしまったのにゃ――おツユのせいで――それともぶたれたせいで――あちしってやっぱりマゾなんにゃ?

「げへへっ、ねこちゃんのまんこがぶわって腫れて、濡れまくりだぜ。こんな細い棒じゃなくて、ぶっといチンポがほしいんだな?」

 ムチの柄を抜くと、ゼイオは前をひらいて、あちしのおしりにまたがったのにゃ。

 く、屈辱にゃ。マウントされたのにゃ。

 オチンチンが、まんこにあたってる、にゃ――

 あちしは涙でゆがむ視界に、シータおねいちゃんを見たのにゃ。

 シータおねいちゃんは上半身を起こされていた。薄笑いをうかべた三人の男たち――トマリ、ゼンジー、ソタノ――が、おちんちんを取り出して、シータおねいちゃんの顔にこすりつけていたのにゃ。

 シータおねいちゃんは、完全に無反応で、そのりょーじょくを受けてるのにゃ。

 ウーゾがあちしの顔を両端からはさんで、おちんちんをつきつけてきた。

「しゃぶるっす」

 ムーゾも、横から。

「くわえるっす」

 二本なんてむりにゃ、口さけ女になってしまうのにゃ、ジャンルがちがってしまうのにゃ!

 でも。

 熱くて、ふとくて、くしゃいおちんちんが口に入ってきたのにゃ。亀頭ふたつで、もういっぱいいっぱい――

 それにあわせたかのように。

「げへへっ、入れるぜっ!」

 おしりからゼイオが入ってくる――にゃあああっ! 

 ジャリン、助けるにゃっ!

 えああっ!?

 も、もう最終回なのにゃ!? バッドエンドなのにゃあっ!

 

つづく