ジャリン戦記 第二話

めがねっこ世にはばかる!(第六回)


「んなっ、なんですかあ、あなたたちはあっ」

 エミィは後ずさりしかけ、つまずいて床にへたりこんだ。生意気に服を着ていやがる。さっきボタンをちぎってやった上着の前をかきあわせるようにしている。

「ひとがっ、ひとが落ち込んでいるときにぃ、いきなりエッチとかするしぃ、なに考えてるですかあっ」

「見てたくせに」

 おれは意地悪く言った。

 エミィは赤面し、のけぞり、うっくと唾をのみこんだ。

「そんなこといったって、見えるし聞こえちゃうですう!」

「目を閉じて耳をふさいでりゃいいだろ?」

「そんなあ……」

 エミィは顔をあげかけて、そうするとおれとシータがつながっているところがばっちり見えてしまうので横にむけた。

「さて、エメロン、あーんしろ」

 おれはシータの前の穴をふさいでいる張り型に手をかけながら言った。

「はう、そりはたしか、魔王の封印っ! あなた世界を滅ぼす気ですかあ!?」

 まだ信じていたのか、こいつ。

「そーだー、このままここから出られないんであれば、魔王を召喚して、すべてをめちゃくちゃにしてやるう」

 おれは調子にのって、がおー、とか言いながらエミィに迫った。

「ひょええ、やです、やです! もうたくさんですう!」

 エミィは頭をかかえて逃げようとする。

 おれは脚をのばし、エミィの足首を払った。ぼてっ、とこけるエミィ。こいつ体育1だな。

「シータ、やれ」

 もう意識を取りもどしているシータに命じる。役割をわきまえているシータはおれから離れ、転んだときぶつけたおでこをなでなでしているエミィにしがみついた。

「シータさんっ!?」

「エミィさん、こうするのはあなたのためなんです。まずはここから出ないと……」

 言うなりエミィに激しくキス! おっ、やるなっ!

「うぶぶぶぶっ」

 目を白黒させながら、エミィはシータにディープキスされるがままになっている。

 わずかながら、眼鏡の奥のエミィの眼がとろんとしてきた。なるほろ、唾液にも多少ながら催淫効果があるのだろう。愛液も汗の一種だし、唾液もまあ似たようなもんだしな――ツッコミたそーな顔をしているキミ、退場。

「よしっ、とどめだっ!」

 なにがとどめなんだかよくわからないが、おれはシータに指示した。

 さすがに恥ずかしそうに躊躇したシータだが、覚悟をきめたか、自ら脚を大きくひろげ、エミィの顔をまたぐ。

「ラブラブジュースシャワー、発射っ!」

「そんな名前じゃありませんっ! エミィさん、ごめんなさいっ!」

 にゅぽ。

 シータは栓をぬいた。

 そのまま、その部分をエミィの半開きの口に近づけていく。

「はえ!?」

 エミィはあまりのことに逃げることもできず、かたまった。その後頭部をシータはつかみ、自分の股間に押しつける。

 たまりにたまったシータの本気汁が、ずば、どば、どぼとぼっ、とばかりにエミィの口に注ぎ込まれていく。いや、さすがにそこまでの量はないけどね。

 エミィのほっぺたがふくらんでいる。顔をいやいやしてなんとかシータのあそこから離れようとしている。吐き出したいのだ。まあ、同性のモンだしなあ、気持ちはわからんではない。

「飲んで、エミィさん!」

「びびゃべぶ〜」

 涙目のエミィが音を発する。たぶん、いやですう、とか言ってるのだろう。

「でも、そうしないとあなたが!」

 シータも必死だ。吐き出されまいとして、ますます自分のあそこをエミィの顔に押しつけている。

 必死なのはわかるが、なんかユカイな光景だなあ。

 とか言ってもおれないので、おれはふたりがもみあっている隙に、エミィの背後にまわった。

 両脇に手を差し入れる。

「ばひゃっ!?」

 エミィはのけぞった。不意打ちに思わず口のなかにたまったものをのみくだす。もっとも、半分くらいは気管にこんにちは、だ。

 げべ、ごば、べへ、べへ、べへっ!

 のたうちまわりながらエミィは咳きこむ。

 その咳がおさまったとき……

 エミィはべそべそと泣き出した。

「魔王が……魔王が身体のなかにい……」

 信じとるのか、こいつは、やはり。

 すばらしい人材の発見におれは満足しつつ、次の反応を待った。

 その兆候はすぐにあらわれた。

 かたかたと震えだし、そして、自分で自分を抱きしめた。

「どうしたあ、エメロン、魔王が暴れだしたのかあ」

 おれの言葉に、エミィは顔をあげた。頬が妙に赤く、眼もうるうるだ。

「なんでも、ないですう」

 と言いつつ、自分で胸をこねてるしなあ。

 さすがはシータの本気汁。効くねえ。

「そーか、なんでもないのか。そりゃよかった」

 おれは笑いながら、エミィを見物した。

 媚薬は激しく作用しているらしい。エミィは荒い息をしながら、床にうずくまった。しきりに膝をこすりあわせている。

 見ると、膝のところまでぬるぬるしているようだ。こりゃあ、床にもべっとりだろうな。

「うっ、ううっ」

 エミィは床に顔をつけ、おしりを高くかかげた。その姿勢だとパンツが見えるんだが、こうでもしないと身体をさいなむ欲求に抗しきれないのだろう。

 さっき、モロに見た股間だが、またこうして白い布きれごしに見るのがまたよいのであるな。んー。

 もう大洪水らしい。下着はびしょびしょで、ワレメにはりついてしまっている。充血した部分の色と形がはっきり見え、じゅ、じゅる、と液がもれてきているのがわかるくらいだ。

 ずっとこうして見ているのもオツなもんだが、かたわらに来たシータがちょいちょいとおれの袖をひく。

「あの、あまり放っておくと、かわいそうです」

「あれえ、いいのかあ? さっきはやきもちやいてたくせに」

 おれの皮肉にシータは顔をそむけた。でも、いまは満腹で機嫌はよいはずだ。怒った表情をつくろうとして失敗している。

 まあ、いい。あんまりほったらかしにして、エミィの身体がカラカラになったらかわいそうだしな。

「ほら、エメロン、さっきのつづきだ。ケツを出せ」

「あうあう……いやですう」

 言いつつ、尻をさらに高くあげている。おれの鼻先でチラつかせるように。

「この、言行不一致娘がっ」

 おれはエミィのヒップを平手で叩いた。ひゃん、と仔犬のような声をエミィは出す。

「そんなやつには、こうしてやる」

 おれはエミィのパンツの股ぐりの部分をヒモ状にした。東方の格闘士がつけるというマワシみたいにだ。

 ぽってりとふくれあがった土手がヒモの左右にはみ出した。おれはヒモの部分でエミィのワレメの内側をこすってやる。

「はあああっ! ああああっ、すごいですう、ううっ」

 喜んでるぞ、喜んでるなあ。女の子が気持ちいいと、おれも気持ちいいのだよ。むっふふ。

 ヒモの部分をわきにずらし、じかにあそこに舌をはわせる。

「あうっ、ああっ」

 エミィの声を聞きながら、おれはワレメの内部を舌で調査した。さっきはゆっくりと調べられなかったからな。

 クリトリスを発見。れろんれろれろ。

「ひゃうっ、そこ、そこぉ」

 反応良好。まあ、ここは基本だしな。

 ちゅっちゅと何度か吸ってやって、エミィにさらに泣き声をあげさせたあと、先程挫折した部位に移行する。

 エミィのおしりの穴は、ちょっとだけ色素が濃い。が、つつましやかで、きれいだ。鼻を近づけて、匂いをかいでみる。これがエミィのほんとうの匂いなのだ。

「だ……だめですう、そこはあ……」

 だが、さっきほどの強い拒絶ではない。

「さっきはかんべんしてやったが、今度はだめだ」

 おれは宣言して、指で入り口をひらいた。

「ふあああん」

 エミィが泣き声をあげる。だが、抵抗はしない。

「ほうら、広げてやったぜ、エメロンのケツの穴が、よおく見える」

「やああ……許してえ」

 なんかこんなことばっかしてるとアナルマニアと思われてしまいそうだな。でも、ちがうぞ。シータのときは媚薬を外に出すわけにはいかなかったからだし、今回はエミィの処女はギリギリまで守ってやらねばならんのだ。膣への思い切った責めができない以上、アヌスを責めるしかないではないか。ええい、反論は却下。

 おれは世間を納得させると、左手の中指にエミィのぬるぬるをたっぷりとつけて、排泄の部位に挿入していく。まあ、ケツだし、指だし、処女破りにはこれは当たらないはずだ。

「あ……あ……や……やあ……」

 はじめて他人の肉体を体内に受け入れたのがおしりだなんて、ついてるよ、この子は。

 犬のように四つんばいにさせて、おしりを指で嬲ってやる。

 ほこりっぽい床に顔をこすりつけ、年相応の胸をふるわせて、エミィはやらしい声をかなでている。

 おれの左中指は快楽の波動を発しながらエミィの身体を侵略する。シータの媚薬の効き目とあいまって、エミィの羞恥心の一切が壊れていくのがわかる。

「おしりぃ……おしりがあ……気持ちいい、よすぎですう……」

 自らヒップをふりたくり、さらに強い刺激を受けようとしている。エミィはもはや快楽の虜だ。

 おれはシータにめくばせした。シータはうなずき、呪文の詠唱の準備をはじめる。

 おしりから指がぬかれるとき、エミィは無意識にだろう、括約筋を締めて抵抗した。もっとちょうだい、とでも言うように。

「はあ、はあ、はあ」

 荒い息をしているエミィの眼鏡のレンズには涙と汗のしずくがついている。おれはそれを指でぬぐった。

 エミィはおれを見あげた。なにか、訴えるような表情。

「……切ないですう」

 熱い吐息とともに言う。上等、上等。

「呪文の詠唱だ。できるな」

 おれはエミィを抱きあげながらささやきかける。エミィはこくんとうなずいた。

 一回めと同じ姿勢。おれの上にエミィをのせる。ポーズは同じだが、エミィの状態はさっきとはまったくちがう。あそこはとろとろに溶けそうなほどだし、第一、自分から欲しがっている。やっぱり人間、やる気だ。

 シータが予備呪文の発動を終えた。

 周囲に魔力が満ちてくる感じがつたわってくる。

 エミィの髪もわずかに光を帯びて――静電気とかいうとファンタジーっぽくないんで――ふうわりと浮かびあがっている。

「かたく、とざされた時の扉よ」

 エミィが呪文をはじめる。シータも随唱する。呪文の力を増強するためだ。処女破りのチャンスは一回しかない。

「いまこそ開かれん、雄々しき鍵をもて――」

 言いつつ、おれのチンポを握る。うひょ。さっきとはえらいちがい。

 瞳をうるうるさせて、おれのものを触っている。

「こんな大きいのが、中に入るんですかあ……」

「エミィさん」

 ちょっと尖った声でシータが先をうながす。

「――時と空間のよじれをもどし、いまこそわれらをもとの世界へと導きたまえ……」

 エミィは呪文を再開する。すまし顔のシータ。なかなかかわいいぜ。

 ふたりの美少女が同時に唱和した。呪文の完成だ。

「開扉(オープン・ザ・ゲート)!」

 うおおおっしゃああーっ! おれのほうもさっきの100万倍のパワー(当社比)で行くぜっ!

 カリの部分がエミィの土手をおしひろげ、入り口に接する。

 さっきは阻まれた堅固な門も、すでに内奥部から分泌する愛液で濡れそぼり、やわらかく熟している。

 おれの男根がエミィを刺し貫いていく。

 処女膜。少女時代の宝物。涙色の花びら。その部分は、来るべき時にそなえて、少女の性の器を守りつづけている。固くて太い牡の器官が、その防壁を突破するまで。その壁が破壊されたとき、少女は女になり、その豊かないのちの第一歩を刻むのだ。

「うっ、う……あ……」

 おれの幹に血の筋がしたたった。

 巨大な扉が燐光をはなった。その合わせ目に強い光がさす。

 扉が、ひらく。

「いっ……いたいですう……」

 エミィが声をあげ、腰を引いた。

 膜の一部は破れた。だが、完全ではない。こいつ、鉄の処女膜もっとんのかい。

 扉から光が失せていく。やばい。マジでやばい。

「こらっ、エメロン、腰を引くなっ、扉がしまっちまうだろうが」

 おれはエミィの腰をぐわしとつかんで引き寄せようとする。

「でもでも、痛いんですう」

「ばかっ、痛いのはしょうがないだろうが。じきによくなるもんだ」

「じきっていつですかあ」

「じきっていえば……うーん、おまえ何回目からよかった?」

 おれは経験者に意見を求めた。

「知りません」

 シータは回答拒否。ふん、隠したって知ってるよ。三回目で失神したろうが。

「とにかく最初はガマンしろっ! そうしないと全員ここで干からびて死ぬんだぞ!」

 おれの言葉にエミィの泣き顔が凍る。

「ひーん」

 エミィの腰を引き寄せ、挿入再開だ。だが、エミィが痛がって体重をあずけないので、うまくいかない。

 そうこうするうちに扉の光がどんどん弱まっていく。

「シータっ!」

 おれの叫びに、シータが対応する。

「エミィさん、ごめんなさい」

 言いつつ、エミィの背中におおいかぶさり、体重をあずける。同時におれも腰をつきあげる。

 ぐうっ。

 めりりりっ。

 ピキッ!

「ひいいいっ」

 エミィが悲鳴をあげる。

 おれは確かにエミィの体内のぬくみを感じた。トンネル開通だ。

「エミィさん、呪文を!」

 シータが後ろからエミィにしがみつきながら、耳元でさけぶ。

「……お、おーぷんんん」

 なんとか詠唱をしようとした時だ。

 んごががぎぎ、と音がして、扉はあっさりと開いた。

 同時に会話しているらしい声が聞こえてくる。

「それにしても老師のお使いとは……。遠くから大変でしたでしょう」

 初老の男のしわがれた声。それに応じたのはまだ若い男の声だ。

「いえ、この図書館は大陸の知の要。ここの書庫をまず当たれというのが師の勧めでしたから」

「それにしても、当番のエメランディアはどうしたことか。仕事を放りだして持ち場を離れるとは」

 おれは首をめぐらせて、扉の方を見やった。

 なんの荘厳さもなく大扉は全開しており、その向こうに一団の人影があった。

 先頭にいるのはゆったりとしたローブを着た魔法博士らしい身なりの人物。白い顎髭をのばしている。

 その隣には鎧を着こんだ若い男。なんかどっかで見たような。おでこに大きな絆創膏をはっている。

 そして、彼らの後ろには図書館の職員らしき男たちが数名、お付きよろしく従っている。

 彼らの目は一様に丸くなっていた。なるほど目ん玉とはよくいったもんだ。

「こっ、こっ、これは……なっ、なっ、なんとしたことじゃ」

 先頭のじいさんがこわれたレコードのようにどもりまくった。

「かっ、かっ、かっ、館長」

 おれの上にいるエミィもどもりにつきあった。館長って、この図書館のか。

 鎧男は、おれとシータを交互に見て、顔色をかえた。

「きさまは……!」

 なんだ、ここに来る前に遊んでやった自称騎士ではないか。鎧の色がちがうからわからんかった。

「なっ、なにをしておる、破廉恥なあっ!」

 じいさんは怒りに顔を真っ赤にして怒鳴りちらした。

 エミィは、ハッとしたらしい。自分の姿を再確認して、それから悲鳴をあげておれから離れようとした。むろん、そんなことはさせない。

「はなっ、はなしてくださあい!」

「だめだ。男は最後までいかないと止まらないのだ。それが男の生理というものだ」

「そんなこといったって、みんな見ているのにぃ」

 抗議は却下。おれは腰を使いはじめた。かたわらでシータは肩をすくめ、館長は地団駄を踏み、自称騎士は剣をぬいて息巻いた。

 でも、そんなの気にしない、気にしない。おれはエミィの初物を堪能した。


「ひぐっ、ひぐっ」

 後ろから嗚咽の声がついてきている。

「なんだよ、さっきから、まったくう」

 ベルカーンツ市街のはずれ。おれはいやいやながら振りかえった。十歩くらいはなれたところで、相手はぴたりと足をとめる。

 申し訳程度の荷物を背中にくくりつけたエミィがうらめしげにおれをにらむ。

「あれはおたがい納得ずくだろ? だいたい、あそこに閉じこめられたのは、エメロン、おまえのせいじゃねーか」

「エミィですう! それに、あんなことしなくったって、館長さまが開けてくだすったじゃないですかあ!」

「そんなの知るか! あんなタイミングで開くなんて予想つかねーだろーがよ、バカタレ」

「それに、みんなが見ている前で、あんなっ……あんな……」

 続けられず、びいびい泣き出す。なんだよ、衆人環視のもと中出しされたくらいで。だから近ごろの若いもんは。

「あの状況だったら、どっちでも同じだろ。だったら、気持ちいいほうが得じゃねーか」

「あたしは痛かったですう!」

「ははあん、そうか」

 おれはエミィをねめつけた。エミィはわずかにたじろぐ。

「なんですかあ」

「おまえ、おれにまた抱いてほしいんだろ」

 ぼわっ、とエミィの顔が赤くなる。

「なっ、なんでそうなるんですう!」

「じゃあ、なんでおれたちのあとをついてくるんだ」

「それは……」

 エミィはつまる。

「ほうら、やっぱりそうだ」

 勝ち誇っておれは言いつのった。と、エミィは顔を手でおおった。ちっ、その手できたかよ。

「……お仕事、くびになったんですう。寮も追いだされて、行くところがありませぇん」

「なんだ、そんなことなら、おれが館長とやらを半殺しにしてでも復職させてやるぞ」

 おれの言葉にエミィは鋭く反応した。涙のしずくがとぶ。

「どんな顔してお仕事をすればいいんですかあっ! あんなところを見られてえっ!」

「じゃあ、目撃したやつを片っぱしから闇討ちしてだなあ……」

「マスター」

 おれの肘にシータがふれる。

「わたしはかまいませんよ」

 シータはいたずらっぽく笑っている。

「え、マジ?」

 おれは思わず訊いていた。

「ええ。わたし、エミィさんのこと好きですし、それに……」

 シータはおれの服をひっぱって、耳を貸せ、といってきた。おれがかがむと、こしょこしょと囁く。

 ――三人でっていうのも、なんだかおもしろそう。

 おれはビン、と腰をのばした。エミィにむかって快活に声をかける。

「よっし、エメロン、行くぞ! つれてってやる」

「エミィですってばぁ」

 涙目ながら、ほんのわずか表情を明るくしてエミィが言う。そしておれの顔を見て、ええと、と言った。

 おれはこたえた。

「俺の名前はジャリン。ただのジャリンさ」

 ――かくして、おれは二人目の仲間をゲットした。


 で、終わればよかったんだが。

「まてえっ! 逃がさんぞっ!」

 後方から蹄の音とともに暑っ苦しい声が浴びせかけられる。

 例の騎士モドキだ。図書館でもじゃれかかってきたので本棚ごとふっとばして埋葬してやったんだが、復活したらしい。

「この恥ずべき男め! その二人のお嬢さんを解放しろ! さもなくば、このキースリング・クラウゼヴィッツが、正義の名の下に成敗してくれるッ!」

 馬上、剣をかまえてわめいている。

 どうやら、いらんヤツまで拾ってしまったようである。

"めがねっこ世にはばかる!":THE END