ジャリン戦記 第二話

めがねっこ世にはばかる!(第四回)


 

 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ。

 ん、何の音かって? 気がちるだろーがよ、覗きこむんじゃねーよ。

 こーゆーのは集中しないといけないからな。

 れろれろれろ。ちゅぴっ。

 ひくっ。

 おっ、反応したぞ。んけけけ、こっちはどうだ。

 くり、くりりっ。

 んくっ、くうっ。

 眉をしかめて、声をかみ殺してやがる。ふん。

 ――擬音ばっかだとやっぱあれだな。リニューアルオープンとしては地味だよな、という時事ネタを入れ込みつつも、物足りないな。ん、そろそろ画像もダウンロードできた頃かな。

 おまた。

 いまおれが弄んでいるのは新品のおもちゃ、エメロンだ。本名はエメランディア、通称はエミィだと本人は主張しているが、おれ的にはエメロンということにしている。

 このエメロンがどうしても処女をおれに捧げたいというので、まあボランティアのつもりで遊んでやっている、というのが前回までのあらすじだ。多少脚色しているが。

 とりあえずは裸に剥いて、おっぱいを揉んだり、乳首を舐めたりしている。まあ、小手調べだな。

「いやあ……いやですう……」

 涙声でエミィが抗議する。か弱い力でおれを押しのけようとしているが、むろん、そんなもんでビクともするはずがない。

 おれの自慢の左の掌で、エミィのあばらのあたりをなでてやる。

「ひゃうっ」

 声がうらがえる。くすぐったさが猛烈な快感にかわったのにとまどっているようだ。

 そうだろうな。にやにや。おれの左手は、どんな女にも猛烈な快感をあたえるのだ。なぜなら――

 まだ秘密。

 おれはエミィの片側の乳首を吸いながら、もう一方の乳首を指で転がした。

「んうっ! うふうう」

 顔を真っ赤にして、エミィが声をもらす。けっこう感じてきたようだぜ。

 興奮のためにぽっちりと立った乳首を引っ張ってやる。けっこうおおきめのおっぱいが乳首を頂点にきれいな三角錐をかたちづくる。

「い……いたいですう……」

 エミィが抗議の声をあげる。だまれ、とばかりにもう一方の乳首もつまんで引っ張る。

「う……ああああ……」

 エミィの背中が床からはなれた。乳首をつままれたまま、上体を持ち上げられているという格好だ。いや、むろんエミィもみずからの腹筋で身体を起こしているのだよ。

「マスター、乱暴すぎます。エミィさんは初めてなんですよ」

 近くから見守っていたシータがたしなめるように言う。

「うるさいな。ソフトSMだ。これくらい、いいだろ」

「マスターにそんな趣味があるなんて知りませんでした」

「るせーな、おまえのぺったんこの胸じゃ、こんなことできねーだろーがよ」

 シータは不満そうにだまった。胸のことを言ったのはまずかったかもしれん。本人もそれなりに悩んでいるのかも。

 しかし、男はやっぱりおっぱいが好きなのだ。エミィの推定70のCカップでもけっこう楽しい。

 おれはさんざんエミィの胸をおもちゃにした。乳首は真っ赤にはれあがり、白いふくらみのあちこちがキスマークにそめられた。

 エメロンは与えられる痛みと快感の波状攻撃に混乱しているようだ。痛みばっかじゃないのだよ。そこらへんが、並の男とおれのちがいだよな。

「さあて、結果発表」

 おれはエミィの脚のあいだに手を差し入れた。膝をしめて抵抗してきたので、むりやりひらく。

 下着の股間の部分に指をめりこませた。

 やわらかくて熱い。すでに湿っているのが布ごしにでもわかる。

「なかはどうかな〜」

 股の部分の布の下に指をくぐらせる。

「ひっ」

 一瞬身体をかたくするが、おれはかまわず指を動かした。

 くちゅっ、と、音をたてながら、ぬるっとしたものが指にからみついてくる。

「濡れてるぜ、エメロン、感度いいな」

「エミィですう……くすん、はずかしい」

 涙をうかべた大きな眼がメガネごしにおれをみつめる。

「なんだよ、なにがはずかしいんだ」

「だって、会ったばかりで、あなたのことなにもしらないのに……」

「ああ、そういや」

 名乗ってさえいねーな。

「ま、いいじゃん。一発やって、ここから出たらお別れなんだし」

 エメロンの眼がうるうる度を増す。

「そんなあ……初めてなのにい……」

「るっせー、もとはといえば、おまえが悪い! そーだ。そーだ、それに決まった」

 おれは決めつけて、エミィの下着をはぎとった。これで完全に素っ裸だ。きひ。

「罰として、ケツの穴まで開いて舐めてやるからな!」

 力任せに両脚をひらかせる。

「いやあん!」

 エミィは手で顔をおおった。へんな反射行動だ。顔をかくしたって、全部見られることにはかわりないってのに。

 これを映像でお伝えできないのはまことに残念である。きみらの住んでいる国の法律をうらむがよいぞ。ほほほ。

 ヘアはいっちょまえに生えている。だが、ちょぼちょぼだ。毛も妙にヘナヘナしている感じがする。剛毛モジャモジャじゃないとやだ、という人向きではないな。おれはこっちのほうがいいけど。

 あそこは――ちっちぇえな。まるでガキのみたいだ。未成熟というか、ぴったりと閉じた肉の合わせ目は、充分潤っているくせに、入り口がほのかに見える程度だ。

「おおい、シータ、おまえここに横になって股開いてみせろよ。おまえのほうが入り口でかいんじゃないか?」

「しりません」

 シータはそっぽをむいた。怒っているらしい。胸は小さいのにアソコはでかい、と言われりゃ、ホムンクルスでも傷つくんだろうか。

「だが、安心しろ、ケツの穴はおまえの勝ちだ」

 ホムンクルスは排泄にその穴を使わないぶん、清潔で、かつ粘膜もきれいなのだ。うんこの匂いもしないしな。

 まあ、べつにそれはエミィのケツが不潔で粘膜が汚く、うんこの匂いがする、というわけじゃないぞ。ねんのため。

 だって、エメロン泣くし。

「うえっ、うえ、うわわあああん、おしりやだあ……」

 ヒップをふりながら、本気でいやがっている。

「わかった、わかった、とりあえず今日はケツ無しな」

「う……うん……」

 涙目で見あげてくる。うーむ、天然ながら、なかなかやるな、こいつ。

「シータ、手順は」

「マスターは下に。エミィさんを上にしてください」

 魔法書を手に、シータがぶっきらぼうに言う。やはり根に持っているらしい。

「うーん、おれはバックからブチこむほうが好きなんだが」

「マスター、ここから出たくないのですか」

 声が冷たい。ここは従うしかなさそうだ。

 おれはエミィを腿の上にのせた。緊張のためか、ぶるぶる震えている。

「エミィさん、呪文を」

「あっ、は……はい」

「シータ、いつ入れるんだあ」

 おれのモノはもう準備がととのっている。腹につくほどそりかえっているので、この姿勢でしょんべんすると顔にかかっちまう。しないけど。

 エメロンのやつ、意識的に目をそらしているなあ。見たいくせにぃ。

「挿入するのは呪文が終わる瞬間です。わたしが合図をしますから」

 シータが段取りを説明するADみたいな口調でいう。ところで、自分で言っといてなんだが、ADってなんだ?

「――かたく、とざされた時の扉よ」

 シータが詠唱を先導する。

「か、かたく、とざされたときのとびゅらよ」

 エミィ、噛む。ドジめ。

「いまこそ開かれん、雄々しき鍵をもて」

「い、いまこそひらかれん、」

「おれのチンポで」

「マスター!」

 茶々を入れたおれをシータがにらみつける。う、こわい。

「――おおしき鍵をもて」

 エミィはもう必死だ。おれとシータのやりとりも耳に入っていないらしい。

「――時と空間のよじれをもどし、いまこそわれらをもとの世界へと導きたまえ」

 さすがは魔法使い。シータの先導なしに、呪文のつづきを口にした。

「開扉(オープン・ザ・ゲート)!」

「マスター、どうぞ」

 シータがゴーサインを出す。

 よっしゃあ、ブチぬくぞぉ、覚悟しろよお、エメロン!

 おれは震えるエミィの腰をつかみ、その入り口に先端をあわせて、一気に――

 一気に。

 一気に。

 あら。

「いっ、いったああい、いたいですうう」

 エミィが悲鳴をあげている。

「どうしたのですか、マスター」

「入らん」

「でも、エミィさんの反応ってば」

 処女を失った痛みに声をあげているように見える。が、実は先っぽがちょっと入っただけにすぎない。

「わたしの時のように、むりやり入れちゃったらいいじゃないですか」

 まじめな顔をしてシータは言う。

 おれは言葉に詰まった。この一言は、本気でシータを傷つけるかもしれない。でも、うそはつけないタチなのだ。

「――それが、おまえよりもずっとキツいんだ」

 ピシッ、とシータのポーカーフェイスにひびが入った。

つづく