4 放課後

 

 女子柔道部の練習に真由美は出た。サボるわけにはいかない。強化選手の指定を受けているということは、さまざまな便宜をはかってもらっているということだ。

 そもそも、女子柔道部自体、真由美のためにだけ作られたようなものだ。

 だから、女子部には真由美と乱取りで相手になる部員がいない。

 仕方なく、男子部員の乱取りに加わる。

 組んだ男子部員はほぼ確実に真由美の胸や尻に触れてくる。ほかの部員もいやらしい視線を送ってくる。

「今朝、よかったぜ……」

 耳元でささやいてくる者。

「明日はケツからやってやる」

 実際に尻穴のあたりをなでながら宣言する者。

「今度はメイド服とか来てこいよ」

 コスチュームのリクエストをしてくる者。

 真由美は無言で全員投げ飛ばす。

 これも取り決めのひとつだ。「朝練」以外ではいやらしいことはさせない。

 だが、このストレスによって、男子部員はさらに「朝練」での責めをエスカレートさせていくのだ。

 それもわかってはいるのだが、女子部員や顧問の目もあるので、真由美としてはそう振る舞わざるをえない。

 部活が終わると、真由美は制服に着替えて旧校舎にある映画研究会の部室に向かう。

 今の真由美は柔道部と映画研究会の掛け持ちをしている。時間的にはキツいが、そうせざるを得ない理由がある。

 映研の部室は美少女アニメのポスターがべたべたと貼られ、なかにはかなりいかがわしいものもある。もともとあるのかないのかもわからないほどの弱小部活だったが、ここのところ、自主制作映画を作るようになっており、一部には知られるようになっていた。

 特に「少女解体新書シリーズ」という短編映画は、その映像の美しさとシュールさで「中学生が作った映画としては異常なできばえ」という評価を受け、学生映画コンクールでもそれなりの評価を受けるようになっていた。もっとも、それは主演(というかキャストはだいたい一人だけ)の真由美の美しさによるところが大きい。映画を見た芸能プロダクションの人間がスカウトに来たことも一度や二度ではない。むろん、芸能界にまったく興味のない真由美は話さえ聞かなかったが。

「真由美くん、今日のぶんを回収するよ」

「うん……ちょっと待ってて」

 真由美は長崎と小出に背を向けるとスカートに手を入れて下着をするっとおろす。

「おっと、出すところもちゃんと撮るよ」

 長崎が言い、小出がカメラを準備をする。

「いいよ、真由美ちゃん」

 小出がビデオカメラを手に真由美の後ろにしゃがみこむ。

「……」

 真由美は無言でスカートをめくりあげ、おしりを突き出す。

 性器も肛門も丸出しだ。

「わあ、すごいね、外までべとべとじゃん。何発出されたんだい?」

 性器からは白く泡だった精液がこぼれだしている。

「……12……13、くらい」

「それは人数だろ? 回数を聞いてるんだよ」

「さっ、30回くらいよっ!」

「一人あたり3ミリリットルとしたら90ミリリットル。精子の数だと60億とか? すげーな、もう地球の全人口分くらい絞っちゃったか」

「それだけやっても……きれいなオマンコしてんぜ……」

「もっ……もういいでしょ? 早く出してよ……っ、カメラっ」

「わかってるよ。こうやってひり出していくのがまた……おっ、引っかかった」

「やっ、す、すぐ抜いてよ……いたっ……」

「うそつくなよ、真由美くん。気持ちいいくせによ?」

「そんなことないよ……これ入れられてるとお腹痛くなることあるし……それにやなの、あそこにカメラ入ってるって……ぜんぶ撮られてるのって……」

「そのかわり、リングみたいに、精子を殺すんだから、役にたってんだろ? でなきゃとっくに妊娠してるぜ?」

「くっ……」

「へへっ、カメラがあおくっせぇ精子でどろどろだぜ? ま、これのおかげで、射精の瞬間っていう、生命の神秘な映像が撮れちゃうわけだがな」

「これで、次の美少女解体新書が完成するぜ。またバカ売れしちまうな。で、つかえねえクズカットをつないでコンテストに出せば、それはそれでバカな審査員がほめてくれて、おれたちは校長からご褒美がもらえるってわけさ」

「じゃ、きれいになった真由美ちゃんのおまんこに、今度はおれたちのザーメンをぶちこんでやるか?」

「おれは、今日は真由美が脱糞するまでアナルを犯すことにすんぜ」

 ――もちろんそれは実行され、一部始終が記録され、わずかな目線の加工だけされて、ネットに垂れ流された。