偉大なる助平FF もうひとつのエピローグ 〜真由美〜


もうひとつのエピローグ
〜真由美〜

 すべては夢――だったらいいのに。

 通学路を歩きながら、真由美はぼんやり考えている。

 昨日あったことはなにもかも夢にすぎなくて、ビデオなんか撮られていなくて、いつものように部室に顔を出して男子部員ともバカ話ができる――そうだったらどんなにいいだろう。

 でも、スカートの下になにも着けていないのは現実のことだ。スースーする頼りない感じ。

 通行人とすれちがうたびに、視線が気になって内股になる。

 ぬるっ、とした感触がある。

 ノーパンで歩くだけで、濡れてきているのだ。

 その部分は昨日からずっと火照り続け、疼きが止まらない。

 昨日、体験したことが身体に刻みつけられているのだ。

 けっきょく、あの後、夜になるまで相手を変えて交わりつづけた。長崎、小出、極太がかわるがわる真由美の上に乗った。静香と沙世とも抱きあった。六人で、輪のようになってつながりさえした。

 男たちは何度射精しても衰えることを知らず、女たちも絶頂から醒めることがなかった。

 それでも肉体的な空腹には耐えられず、極太のクルマでファミリーレストランに移動して、六人で食事をした。

 ファミレスの座席でも、真由美は長崎の、静香は小出のペニスをしごき、たまにテーブルの下に顔を沈めてフェラチオをした。沙世は極太の膝の上に乗っていた。傍から見れば仲のよい父娘だが、その実、生殖器同士でつながっていたのだ。

 長崎は食事の途中で真由美をトイレに引っ張っていった。真由美は抗ったが、むりやり男子トイレに連れ込まれてしまった。

 個室がふたつ、小便器がみっつほどの小さなトイレだ。個室のひとつに真由美を押し込めて、長崎は笑った。

「いいか。次に誰か入ってきたら、そいつとやるんだ。どんなブタじじいが相手でも、ガキでもな」

「そんな……」

「淫乱な真由美にならできるだろ? 明日の朝の予行演習さ」

 真由美のスカートの中に手を入れて――その下はノーパンだ――指を動かしながら長崎は言う。その細い目で睨まれると、真由美は抵抗できなくなってしまう。

「……長崎くんは?」

「おれは隣で撮影しててやるよ」

 小型のビデオカメラをここまで持ち込んでいるのだ。レンズに狙われていると思うと、真由美の身体の奥底がぞくぞくと震える感じがする。

「やれるよな?」

「……うん、やって、みる」

 真由美はうなずいた。歯が知らず、カチカチと鳴る。

 長崎が隣の個室に移動し、真由美は一人になる。入口のドアを見つめながら、鼓動が速まるのを自覚した。

 入口のドアが動く。

 真由美は耐えきれず、個室の戸を引いた。だが、完全には閉ざさずに、細目にあけた隙間から様子をうかがう。

 恰幅のいい中年男性だ。個室がふたつともふさがっているのには目もくれずに、朝顔に向かって立って、ジッパーを下ろしたようだ。

『いけよ――真由美』

 隣の個室との仕切りの上から長崎が顔を半分のぞかせてささやく。たぶん洋式便器の便座に乗っているのだろう。

 真由美は息を荒げながら、脳の奥が痺れる感覚を味わっている。心臓がどうにかなってしまいそうなほどに跳ねていて、指先だけが冷たい。

『はやく、しろっ!』

 ささやき声が叱責に近くなり、真由美の脊髄に強い刺激をもたらす。背中を押されたように、真由美は個室から歩み出ていた。

 気配に気づいた中年男が振りかえって、目をまるくする。

 当然だろう、ここは男子トイレなのだ。制服姿の中学生の女の子が立っているべき場所ではない。しかも、その女子中学生は頬を赤く染め、目をうるませてこう言うのだ。

「――おじさま、オチンチン、しゃぶらせて、ください」

 中年男性は驚きのあまり、放出していた尿のコントロールを失い、床に黄色い水たまりを作ってしまった。

「なっ、なんや、きみは……いったい……!?」

 わずかに関西風のイントネーションがある。

「お願いです……ほしいんです」

 真由美は男に近づいていく。スカートをたくしあげる。

 陰毛の薄い、くっきりとしたワレメが露出する。男の視線はそこに釘付けだ。

 排尿を終えた真っ黒なペニスにはまだ反応はない。驚きのほうが先に立っているらしい。

「おじさまぁ……」

 真由美は男にすりよっていく。

 指でペニスに触れる。

「やっ、やめなさい……こんなところで……っ」

 男は真由美を押しのけようとするが、腕に力はこもっていない。

「おじさま、こっち……」

 真由美は個室に男を誘いこむ。男は唇を舐め、それから真由美の肩を押すようにして個室に入って戸を閉める。

「なんでこんなことを? おこづかいがほしいんか? ん?」

 個室に入ったとたん、男の口調がかわる。猫なで声に近くなる。真由美の身体にまわした手をさわさわと動かしはじめている。

「おかねなんかいらない。ただ――オチンチン、ください」

 真由美は熱い息をはきながら、指をペニスにからめていく。

「うっ……でも、きみ、まだ中学生やろ? すごいかわいいし……。ボーイフレンドに不自由しているようには見えんけどな」

「あたし……オチンチンが好きで好きでしょうがないの……だから、こうやって、しゃぶるの……っ」

 真由美は便座に中年男を座らせて、その股間に顔をうずめた。

 口のなかにまだ半立ちのペニスをおさめて、舌をからませる。初めての匂いと味だ。形も色も人によってぜんぜんちがう。

 男のものがじょじょに膨らんでいく。真由美は根元の部分に指を添えて、流れこんでいく血流を感じながら舌を動かす。唾液がいっぱい出てきて、じゅぷじゅぷと音が鳴る。

「おああ……きみ、えらいじょうずやな……」

 男がうめきながら、真由美の身体をさぐる。制服の上から肩を、腋を、そして胸をさすっていく。制服の下はノーブラだ。男の指が乳首の位置を確かめるように動く。

「んふっ、んうう」

 胸の先端を制服の生地の上からクリクリ刺激されて、真由美は鼻から声をもらす。

「お嬢ちゃん……名前は?」

「ま……まゆみ……」

「まゆみちゃん、大きくなったで――どうや?」

 濃い紫色の亀頭で、真由美の顔をぺたぺた叩く。

「まゆみちゃんのオメコに、これ、入れてええか?」

「オメコって……?」

「お嬢ちゃんの大事なとこや」

「おまんこ?」

 男の顔が興奮で引き歪んだ。真由美が無邪気に淫語を口にするのに、いたく刺激を受けたらしい。

「そうや――オメコっちゅうんや。ゆうてみい、オメコに入れてってせがんでみい、ほら」

 昂ぶっているせいか、男の訛りが強くなった。

 真由美は立ち上がり、スカートをまくった。座っている男の目の前に股間を突き出すようにする。

「真由美のオメコに――おじさまのチンポを――入れてください」

 その言葉を口にすることで、真由美の体内に小爆発が起こっていた。見ず知らずの中年男性に自分の性器をさらけだして、日常口にすることのない言葉を吐く――いやらしい気分がかきたてられて、身体を熱くさせていく。

「入れたる、入れたるで」

 男は真由美を引き寄せた。真由美は脚を開いて、男の上にまたがるようにする。

「なんちゅうきれいなオメコや」

 男は真由美の股間を見て感嘆の声をあげた。真由美もいやな気分ではない。

 ペニスとヴァギナが触れ合い、接合した。

「うくっ! ううううっ!」

 真由美は男にしがみついた。薄い頭頂部に頬をこすりつける。父親がつけているのと同じ整髪料の匂いがする。

 対面座位の形だ。挿入が深い。

「ああ……まゆみちゃんのオメコ……ぴっちりしてて気持ちええわ……」

「おっ、おじさまのも……大きくて……気持ちいい」

「まゆみちゃん、動いて」

「うっ……うんっ」

 男の首に腕をまわしながら、真由美はヒップを上下動させる。くちゅくちゅと粘液質の音をたてながら、膣の中を男の肉棒が出たり入ったりする。

「あっ……ああっ、こすれるっ」

 声をあげた真由美の唇を男が奪った。ねちっこく舌を入れてくる。と、同時に真由美のおしりの山を両手で抱えるようにして、動きをサポートしている。

 男が尻の肉をつかんで動かすたびに、真由美の肛門までが刺激を受けて、さらに頭のなかが白く熱くなっていく。

「あっ、あっ、い、いきそうっ!」

 その時だ。トイレにだれかが入ってきた。男の表情がかたまった。

 ちろちろと、小便器に尿が当たる音が聞こえはじめる。

 真由美はいったん男から離れ、戸に手をつくように、おしりを突き出した。

『おじさま……うしろからオメコして……』

『でも……外に聞こえると……』

『はやくぅ……』

 真由美は自分でスカートをたくしあげ、ヒップの双球を開いて見せた。濡れそぼって、充血した花びらが男をさそっている。

『お、おう』

 男は便座から立ちあがり、真由美の尻肉をわしづかみにした。真由美の分泌物でぬるぬるになっているペニスを、真由美のからだの中心に突きたてていく。

「はっ! はあっ!」

 真由美の声が個室のなかに響く。外にも漏れたかもしれない。

 小便の音がやみ、ジッパーをあげる音がする。靴がタイルを鳴らし、手を洗う気配が伝わってくる――そのさなかにも、男は真由美をバックから突きあげ続けていた。

「うあっ、あっ! おじさまの……っ、すごいっ……」

 いやらしい落書のある戸に顔を押しあてながら、なんとか真由美は声をかみ殺そうとする。後ろから突かれるたびに、蝶番がカタカタ鳴る。

 また、だれかがトイレに入ってきたらしい。叫びだしたいのを必死でこらえて、真由美は鼻を鳴らしつづける。

 ん、んうっ、ふうんっ――こんな場所で、見ず知らずのひととセックスしてる……外に人だっているのに……いやらしく腰を振ってる――んくぅぅっ!

「はあっ、はぁっ、まゆみちゃん……出そうや――出してええか」

 腰の動きを速めながら男が荒い息をふきかける。

「だ、出して、おじさま……っ! 真由美のオメコに、いっぱい……っ!」

 そう言葉にすると、たまらない。お腹のなかをかきまわされる快感に、泣き出したくなる。

「くっ……締まる……っ! あかんっ、もうっ!」

 ぱん、ぱん、ぱんっ! 男が力いっぱい腰を叩きつけてくる。真由美の身体が浮き上がるほどだ。

「ひあっ! あっ! オメコ熱いっ! おまんこ溶けちゃううっ!」

 戸に手をついて真由美は喉を鳴らす。もう、外に聞こえようが、どうしようが、かまわない。

 その時、隣の個室で水が流れる音がした。どばっ、という水流。その音に触発されて、真由美は声を放った。

「いっ、いっちゃうっ! 真由美、おまんこイっちゃううっ!」

 真由美のなかで男が爆発した。熱いしぶきがぶちまけられる。

「あ……ああ……」

 内股にとろとろとした粘液の塊を感じながら、真由美は吐息をもらした。

 ふっと現実にもどる。

 道にはサラリーマンやランドセルをしょった小学生がいて、いつもと変わりない朝の情景が広がっている。

 だが、真由美は下着も着けずに、いやらしい体験を追想しては股間を濡らしているのだ。

 ペニスが欲しい――いや、それだけではない。カメラのレンズがほしいのだ。視線でもいい。だれかに見られながら――たくさんの視線にさらされながら、いやらしい自分をあらわにしたい。ヒダをひらき、自分の恥部がどうなっているかを見てもらいたい。

 たとえば、ここで――見ず知らずのサラリーマンの前で、スカートをめくりあげ、下半身を剥き出しにしたら――授業中、ノーパンのままで、教壇の机の上に座らされ、股を広げさせられたら――クラスメートに、先生に、柔道部のみんなに――めちゃくちゃに犯されたら――

 想像するだけで頭のなかが真っ白に弾けてしまう。

 なんていやらしい子なんだろう――

 思いつつ、角をまがった――真由美の心臓がはねあがる。

 好男と美琴がいた。好男がいるのは不思議ではない。もともと近所に住んでいるのだ。だが、美琴がそばにいるのはなぜだろう。

 ふたりは仲がよさそうだった。照れている好男に、美琴が寄り添うようにしている。

 嫉妬――というにはあいまいすぎる感情が真由美の心を満たした。

 なにが起こったのか、なんとなくわかってしまう――ふたりの距離で。

 真由美は動揺を表情に出すまいと思いつつ、ふたりに声をかける。

「おはよ」

「あ、真由美ちゃん、おはよう」

「こりゃまた変わったツーショットね。不釣り合いっていうか、美少女とダメ男コンビ」

 真由美は自分でも引きつっていることを感じつつも、笑顔をつくろうと努力する。そして美琴に向かって片手を立てる。

「美琴ごめんね、昨日、助平くんちに行けなくてさ。ちょっとクラブの練習抜けられなくなっちゃって……」

「それならしょうがないよ」

 屈託なく微笑む美琴の隣で、好男が真剣な表情で真由美を見つめている。

「おい、その練習って――なんの練習だったんだ?」

 真由美は息が詰まった。柔道場でのあの出来事が、ばれているのだろうか。

 美琴が、なんてそんなことを、と言いたげな口調で言う。

「そんなの――柔道にきまってるじゃない」

「そ、そうよ、当たり前でしょ。バッカじゃないの!?」

 美琴の言葉にかぶせるように真由美は声をあげた。だが、うわずっていることが自分でもわかる。

 さらに好男が質問をつづける。

「練習のあと、沙世たちとメシを食いに行ったって、ホントか?」

 一瞬の間。トイレのなかでの痴態を思い出す。中年男の体臭――

「え? あ、ああ――そうよ」

「どこに食いに行ったんだ?」

「なんで、そんなに根掘り葉掘り訊くわけ!? あんたには関係ないでしょうが!」

 追求に耐えきれず、真由美は視線をそらし、早足で歩きだす。

 好男の顔をこれ以上見ていたら、きっと泣いてしまう。

 自分はなんてことをしたんだろう――とりかえしがつかない。もう、もどれない。

 そのまま、会話がとだえた。

 学校がじょじょに近づいてきて、同じ制服の生徒が増えてくる。両脇に緑の残された一本道だ。

 真由美はスカートのすそが動くたびに神経質になった。めくれたらどうしよう。こんなところで、下着を着けていないことがバレたりしたら……

 知らず脈拍が速くなり、喉がかわく。その一方で股間が疼いて、しゃがみこみたくなる。

 このままではだめだ、引き返そう――真由美がそう思ったとき――ぶあつい身体が行く手をはばんだ。

「よお、真由美じゃねえか」

「……金原くん」

「朝っぱらから悪いんだけどよぉ、ちょっくら乱取りの相手をしてもらおうと思ってよぉ――センパイたちも待ってるんだぜぇ」

 あごをしゃくったあたりに、どうやら柔道部の男子部員たちがたむろっている。皆いちようにニタニタ笑いを顔に貼りつけている。

 真由美は反射的にスカートの前を手で押さえた。

「今日は朝練の予定はないはず、でしょ……」

「かてえこと言うなよぉ、おれと真由美ちゃんの仲だろぉ?」

 大きな手で真由美の肩をつかんで引き寄せる。なれなれしく肩を撫でまわす。真由美は金原の汗の匂いに嫌悪を感じるより先に陶然となってしまう。

 好男と目が合った。

 一瞬のうちに好男の心の揺らぎが伝わる。不安、猜疑、後悔――あきらめ――

 もうだめ。

 真由美は金原の手を取った。自分から胸のふくらみに近づけていく。金原のニヤニヤ笑いがいっそうだらしなくなって――

 金原の掌が真由美の胸を握りしめる。ブラは着けていない。セーラー服の布地の下で真由美の胸の形がかわる。

「なんだよ、真由美ちゃん、こんなトコで発情しちまったのかよ?」

 通学路のど真ん中だ。同じ学校の生徒がたくさん歩いている。

 金原の顔が歪んでいく。

 手をセーラー服の下からもぐりこませ、直接バストを揉みはじめる。

 みんな見ている。目を丸くしている。好男も、美琴も見ている。なんといって言いかわからないようだ。口をぱくぱくさせている。

 もう、おしまいだ。

 衝動に駆られ、真由美は自分からスカートをまくりあげる。

 ――見てぇっ!

 声に出さず、叫んでいた。

 ――あたしのココ、見てぇっ!

 剥き出しになった股間に風が当たる。

「真由美、おまえ、心の底から変態なんだな……。ノーパンで登校してきやがって」

 金原が指をワレメにねじりこんでくる。もうその部分は潤っていて、ずぷずぷと指を飲みこんでいく。真由美は息が止まりそうなほどの快感にのけぞり、声を放つ。

「みんなの前で、いやらしいことをされたくて、しょうがないんだな?」

 はい――そうです。

 真由美はうなずいている。

「色事の前で、おれのチンポをぶちこんでほしいんだな?」

「は、はいっ! 入れて……ほしいっ!」

「じゃあ、地面によつんばいになれや。犬っころみたいに。そんで、ケツをかかげて、せがんでみな」

「よ、よろこんで」

 真由美は鼻を鳴らしながら、アスファルトの路面に膝をつき、手をついた。スカートをまくって、むきだしにしたヒップを高く突きあげる。

 ちら、と好男のほうを見る。幼なじみの少年の顔は、信じられないものを見るように引きつっている。

 あああっ!

 真由美の脳で連鎖的な爆発が起きる。見られている、あさましい姿を。軽蔑されるんだ、好男くんに。

 同級生の顔も見える。立ち止まって、なにごとが起こっているのか確かめようとしているのだ。尻を露出しているのが真由美だと認識したのか、みんなの表情がさまざまに変化する。

「いい格好だぜ、真由美。じゃあ、せっかく犬になったんだ。そこの電柱にしょんべんしてみろや」

「お、おしっこ……?」

「できるだろ? 犬っころなんだから」

 靴で真由美のヒップを踏みつけながら金原がせせら笑う。

「は、はい……」

 真由美は四つ足でアスファルトの上を進み、植え込みから突き出している電柱のところに移動する。

 植え込みのなかには、ニタニタ笑いを浮かべた長崎がいて、ビデオカメラを構えていた。すぐ側に、小出もいる。

「ちょうどいい。ビデオに撮ってもらえや、放尿シーンを」

 金原が笑う。

 真由美は片脚をあげた。

「くっ……う……」

 突然、尿意を催すものではない。真由美は歯を食いしばった。みんなの視線が下半身に突き刺さっていた。

「は……あっ……」

 ちょろ。

 真由美の亀裂のなかの一点が決壊して、水流が飛び出す。

 ちょろろろ。

 電柱まで届かず、太股を伝ってしたたり落ちていく。

 ざわめきが――笑い声が――真由美の名前を呼ぶ声が――さまざまに聞こえてくる。いつのまにか、まわりに人垣ができている。

 ――おしっこしてるところ、みんなに見られてる……っ!

 真由美の脊椎を大量の電流が流れて脳髄を痺れさせる。

 ぴゅっ、ぴゅぴゅっ!

 尿が切れ切れに勢いを増し、まるで射精のように距離をのばす。その瞬間瞬間、真由美は気をやっている。ぴくんぴくんと身体を震わせる。

「ひゃはははぁ! しょんべんしながらイッてやがるぜ、このド変態」

 金原の声が真上から降りそそぐ。

 真由美は随喜の涙でにじんだ視界に金原をとらえる。金原の指がズボンのジッパーにかかるのをドキドキしながら見つめた。

 はやく、はやく、はやく――

「ごほうび、ちょうだいっ!」

 尻の山を左右に広げて、おねだりする。もう、切迫して、どう、しようもない。

 金原のズボンから、肉棒が露出する。そりかえった、太いペニスだ。

「ああ……」

 よだれをたらしている自分をおぼろに感じつつ、真由美は自分から入口の粘膜を開く。膣口が外気に触れている。みんな、見ている。ビデオにも撮られている。とろとろになり、放尿でさらにびとびとになった秘部が――いや、もうそこは秘部なんかではない。学校のみんなに――通行人たちすべてに――公開されてしまっている。

「入れてやるぜえ、真由美ちゃん」

 金原がよつんばいの真由美の尻の上にまたがる。

 当たる。真由美は挿入の予感に全身が熱く灼かれている。

「よせっ! やめてくれえっ!」

 好男の声が真由美の耳に届く。視界の端に、人垣をかきわけようとする好男の姿が映る。

 人垣の一角を占めていた柔道部員たちが好男の突入を阻んだ。西田がヘラヘラ笑いながら好男の襟を取り、路面に叩きつける。

「好男くん!」

 倒れた好男に美琴が駆けよる。その美琴を佐々木が羽交い締めにした。

「大河原のダチなら、あいつが気持ちよくなるトコロを見ててやれよ」

 美琴の胸を背後からわしづかみにしながら、佐々木が言う。美琴がかぼそい悲鳴をあげる。

「お前も、ちゃあんと見るんだよ」

 西田が好男の髪をつかみ、持ちあげる。

 頬をひくつかせながら、好男が真由美を見ている。その唇が動いている――ま、ゆ、み、と。

 好男くん――

 真由美は叫ぼうとする。だが、次の瞬間、巨大な快感にすべてが押し流されてしまう。

「ぬるぬるマンコに、ぶちこんでやったぜぇ」

 金原の声が聞こえてくる。おしりの肉を痛いほどに掴まれ、広げられた柔らかい粘膜の穴に、牡の棒状の器官を挿入されている。

「か、はっ!」

 真由美は好男の方を見ながら、口を大きく開いて呼吸する。

 道端で、犬のように犯されながら、真由美は幼なじみの顔が弛緩していくプロセスを目撃した。好男の目が死んだ。表情が抜け落ちて、顔の肉そのものがたれさがっていくようにさえ見える。

 真由美の内部が毀れていく。と同時に鮮烈なまでの快感が脳を灼き、神経細胞をオーバーロード状態にしていく。

「真由美ぃ、どうだ!? みんなの前でハメられて嬉しいか!? ああ!?」

 乱暴なピストン運動を始めながら金原がわめく。

「はいっ! うれしい、ですっ! もっと――もっと――してくださいぃっ!」

 真由美は顔を路面にこすりつけながら、わめきかえす。

「おお、してやるとも! 今日も、明日も、そのあとも――おまえはみんなの便所だからな。おまえの穴という穴ぜんぶ、精液溜めにしてやらあ!」

「うあああっ! ひいいっ! うれ、しいっ!」

 自分のなかでいっそう大きくなった金原のペニスを締めあげながら、真由美は絶頂に達する。子宮が蠢いて、精液を欲しているのがわかる。

「おっ! 吸いこみやがるっ!」

 うめきながら、金原はペニスをさらに奥に沈めていく。射精が始まっている。熱いしぶきを胎内に感じて、真由美の意識が白濁していく。

「さい……こぉっ……!」

 震える尿道口から透明なしぶきを撒き散らしながら、真由美は悦びの叫びを放っていた。