偉大なる助平FF(15)


「な……なんなんだ、これは……」

 好男は絶句した。ありえない光景だった。

 真由美が――好男の幼なじみの少女が、映研の部員――長崎と小出が真由美を犯している。真由美を緊縛して、好き放題になぶっている。真由美が失禁する。いきまくっている。

 この映像は――

 好男は恐ろしい事実を思い出す。

 この映像は、自分自身で撮ったものだ。

 真由美の処女喪失の瞬間を撮影していたのだ。

 画面が切り替わる。やはり真由美だ。見知らぬ少年たちとセックスしている。真夏の海辺だ。バックから挿入され、口も犯されている。白い粘液にまみれて真由美が喜悦の叫びをもらしている。

 さらに映像が移り変わる。自分が映っている。静香と性交しているシーンだ。背後で美琴が息をのんでいるのがわかる。

 好男の姿がさまざまなモニターに同時に映った。相手はいろいろだ。同級生もいる。アイドルタレントもいる。女子高生作家もいれば、有名な女子スポーツ選手もいる。某国の王女まで身体を開いている。助平のテクノロジーの実験の映像ライブラリーをランダムに再生しているらしい。

 と、いうことは。

 美琴の映像が飛びだした。助平が美琴をソファにやんわり押し倒している。

 好男はわめきながらコンソールのスイッチをでたらめに押した。なんとかしてこの映像を止めなければならない。でないと、破滅だ。もう手遅れかもしれないが、美琴の心を破壊するわけにはいかない。

 いくつかのモニターが消えた。だが、美琴と助平の行為を映し出したモニターは消えなかった。好男はコンソールの下に転がっていた機械のパーツを拾いあげた。モニターを破壊するしかない。パーツを振りあげる。

 だが、そのとき――

 モニターのなかで、虚空からのびた腕が美琴の裸の胸にふれた。その腕から肩が生え、上半身となった。そして、全身があらわれる。

 それは、好男自身だ。

 画面がとぶ。

 切り替わった画面では、好男が目隠しされた美琴の口を犯していた。

 悲鳴がこだました。

 その声は好男の口からもれていた。

 パーツをコンソールに叩きつけた。がしゃんとパネルが割れる音がして、内部のメカニズムが垣間見える。だが、映像は止まらない。

 美琴が声をもらした。どんな表情なのかは、おそろしくて振り返ることもできない。

「わたし……思いだしたわ……」

 昂ぶりのない、いつもの美琴の声だった。

「あの島で――わたし、助平さんのヨットのキャビンで、これと同じ映像を見たわ。真由美ちゃんが――中条先生が――そして、色事くんが――みんな別人のように振る舞ってた。そして、わたし自身も――」

 好男のすぐ背後まで美琴が近づいてくる。呼吸を感じる。

 モニターでは、好男と美琴の交合の瞬間が鮮明に映し出されている。好男はわずかに顔を動かして、美琴を見た。

 美琴の大きな眼はどこも見ていなかった。たぶん、自分の記憶を見ている。

「――自分が自分じゃなかった。ただ気持ちよくて――それだけ。そして、色事くんとも――」

 好男は我にかえった。

 どうしたらいいかわからないままに美琴を見た。

 美琴は涙を流しながら、それでも、好男を見つめていた。

「色事くんは覚えているの? わたしと――先週――したことを」

 否定はできない。だが、肯定も――できない。

 その表情だけで、美琴は悟ったのだろう。

 口許が笑った。泣き笑いだ。

「知ってたのね――助平さんと――グルだったんだ」

「それは……」

 ちがう、とは言えない。好男には言えない。

「助平さんと一緒になって――どうして? どうして、こんなことをするの? 真由美ちゃんは色事くんのことが好きだったのに!」

 美琴の言葉にあらためて好男はショックを受ける。柔道部員たちに貫かれ、いやらしく悶えながら果てた真由美のその瞬間の映像がよみがえる。

「それは……助平が……」

 それ以上は口にできない。すべては助平が仕組んだことなのかもしれない。だが、その尻馬にのってさんざん放埒に振る舞ったのは他でもない自分自身なのだ。

「どうして……なぜ……?」

 美琴は泣き崩れてしまう。それは、しかし、怒りのためだ。力ない涙ではない。

「助平さんは、なぜ、こんなことを……!」

「兄は――試そうとしていたのです」

 静かな声が言った。朱理だ。感情の起伏を極力おさえた口調だった。

「朱理ちゃん……」

 いつのまにか、好男と美琴の側に移動してきていた。

「すべてのことをお話しします。その結果、みなさんがわたしのことをどう思おうと――もう、時間がありません。すべてのとりかえしがつかなくなる前に、せめて――」

***

「沙世……っ」

 極太は、沙世をつないでいる紐を引っ張った。首輪ごとひきずられて、沙世が悲鳴をあげる。

「お、おとう……さんっ!?」

 その細い身体に極太は触れはじめる。頭を撫で、頬に触れて、首を、肩をさすって裸の胸をつまむ。

「あっ……おとうさん……なに?」

 沙世はうろたえている。

「こんなに腫れて……痛かったろう?」

 極太は沙世のぷっくりとした乳首――それは小出たちに強く吸われたために、キスマークまみれで、全体的に赤く染まっている。

 ぷにぷにと、先端をいじくる。指二本で乳首を軽くはさんで、上下に動かす。おさない乳房自体がくにゅくにゅと変形する。

「やっ……おとうさん……やめてよぉ」

「沙世が痛いところを撫でてやってるだけじゃないか?」

「だって……」

「指じゃ痛いというのなら、口でしてあげよう」

「あっ!」

 極太は愛娘の尖った乳首に、ちゅっちゅっと吸いついた。

「おっ、おとうさん、だめっ! 吸っちゃ、だめ!」

 ちゅぱちゅぱ音をたてながら、極太は心のなかで叫んでいる。沙世のおっぱいを吸っている――舐めている――ずっと、ずっとこうしたかった。

「沙世のおっぱい、かわいいよ。ふくらみかけで、甘い匂いがして――おいしいよ」

「でも……でも……親子でこんなことするのはいけないんだよ……」

「どうして? どうしていけないんだ?」

 極太は沙世の乳首を舐めあげながら問いかける。

「だって……だって……」

 沙世は答えられない。

 しかし、極太にはわかっている。近親相姦という禁忌がなぜあるのか。

 父にとって、自分の娘は魅力的すぎるからだ。

 自分が愛した女が産んだ娘だ。好みの女にならないわけがない。妻はどうしても年老いる。若さをうしなっていく。かわりに娘が成長していく。匂いが女のそれになっていく。

 まして、自分の面影も娘には受け継がれている。だれだって、自分自身の姿に愛着がある。鏡を本気で憎む人間はいない。それも愛しさの源泉となる。

 いちばん好みにあう女が、いちばん身近にいるのである。

 禁忌がなければ、すべての父親がおのれの娘を妻にしてしまうだろう。

 おそらく、母にとっての息子も同じだ。

 近親婚を禁じなければ、ひとは家族で睦みあうのがあたりまえになってしまう。

 伴侶を得るための努力が不要になる。家族のなかでひたすら愛しあえばよいからだ。それでは社会が維持できなくなる。

 人間は社会を守るために、近親婚を禁断のものとしたのだ。個の愛より、全への奉仕をもとめたのだ。

 だが、すべてを快楽に転化した世界では――人間が真に解放された世界では――そんなしがらみはなくなる。痛みは快となり、罪も悦びになる。父は娘と、母は息子と、兄は妹と、姉は弟と――好きなように、心おもむくままに交わればよい。

 極太は沙世の成長途上の乳房を可愛がりながら、恐ろしいまでに冷静な自分を認識する。肉体は昂ぶっているが、精神は冴えている。

 自分がいまなにをしているか、なにをしようとしているかを完璧に把握していた。

 いまから自分の娘と性交する。

 もう、誰にもとめられない。

***

 極太は沙世の股間をひらいた。

 愛らしい肉の亀裂を目前にする。

 これこそ、愛の世紀の始まりを祝う宴席のメインディッシュだ。

 恥垢の匂いさえ愛おしく香しく感じながら、無毛のヴィナスの丘に鼻をうずめる。

「あっ……おとうさん……だめ……そこは……」

 沙世が泣いている。最も恥ずかしい部分を父親の手で開かれて、どうしていいかわからないのだ。

「そこ……痛いよお……」

 極太は脂肪の蓄積の少ない大陰唇を左右に開き、粘膜を露出させる。桜色の淡い花びらが傷ついている。小出や長崎の蛮行の跡だ。膣口を覗く。

「中がぐちゃぐちゃだ……痛かったろう、沙世」

 極太は指を入れる。人差し指一本で、壁が迫ってくるほどの狭さだ。ここに、中学生の硬化した性器をねじこまれ、中で幾度も射精されたのだ。

「う……あ……おとうさん……指入れちゃ……だめ」

「中がねとねとしてるよ、沙世」

 指をぬく。精液と沙世の分泌したもの――そして破瓜の血がブレンドされた粘液がこびりついている。その匂いをかぐ。なんともいえぬ異臭――だが、いまはその罪の匂いがたまらなく香しい。極太はその指を沙世の口許に持っていく。

「沙世――おまえのお腹のなかのジュースだ。お舐め」

 沙世の表情がゆがむ。理解を超えた要求に対応しきれないのだ。

「ど、どうして……沙世をいじめる……の?」

「いじめる? いじめてなんかいない。愛してるんだよ。心の底から――いや、細胞レベルで愛している。だからこそ、沙世にもわかってほしいんだ。おとうさんの愛を」

 極太は愛娘の唇に指をむりやりこじ入れた。

「んむ……う……」

 泣きながら、沙世は父親の指を受け入れる。

「沙世、しゃぶってごらん? 赤ちゃんのころ、よくおとうさんの指をしゃぶっていたじゃないか。同じように、してごらん」

「うあ……しゃぷ」

 沙世は舌を動かして、極太の指を舐めはじめる。指についた体液のブレンドを唾と一緒にのみくだしていく。

「へ……んな……味……」

「おいしいだろ? おいしいはずだ」

 極太は笑いながら、沙世の股間に顔をうずめ、膣口に舌を挿しいれた。

「ふあっ! おとうさんが……なめて……る」

 極太は舌を動かして、沙世の胎内にとどろっているものを味わう。つきぬけるにがみと臭み――それが味蕾の上で甘露に変化し、臭気が鼻腔を通り抜ける際に薫香にかわる。

「おいしいよ……沙世のジュース……最高においしい」

「だっ……だめぇ……飲んじゃ……ああああっ!」

 ぴくんぴくん小さなおしりを上下に振って、沙世は激しく感じている。

 その部分を父親の舌に委ねることの罪悪感と悦楽が激しく脳を灼いているのだ。

「沙世のココはなんて可愛いんだ。赤ちゃんのようだ。覚えているかい? おとうさんがずっとおまえのおしめを替えてきたんだ。お風呂でも、この部分を指で開いて、中を洗ってあげていたんだ――この血の色をしたぷよぷよの部分を――おしりの穴だって、いつもきれいにしてあげていたんだよ」

「そんな……こと……」

 覚えているはずがない。でも、その舌の感覚――指の動きも――記憶のどこかにしまわれていたような気がする。小出や長崎の接触には違和感しかなかったのに、極太にされているこれは――どこか懐かしい。

 極太は沙世のおしりをもちあげて、肛門にも舌を這わせた。そこにも血と精液の味がする。沙世は全身を凌辱されたのだ。極太には小出と長崎の味の違いさえ感知できるような気がした。

 ほかの男の精液の匂いをかぐと、極太の血がざわめきたった。男根に流れこむ血量が増大していく。対抗意識か――所有欲か――いや、たぶんちがう。いまの極太は小出も長崎も憎悪していない。むしろ、自分の精液も早く沙世のなかでまぜあわせたい。ぐちゃぐちゃに混合させて、さらに致命的に沙世を凌辱したい――

 極太は沙世の肛門に両の親指を入れた。ぐりっ、と開く。

「ひぎゅぃっ!」

 奇妙な悲鳴をあげて沙世が内股を突っ張らせる。

「痛みもすぐによくなる――沙世――おしりの穴の中が見えてるよ。なんてきれいなんだ――ここに、おとうさんのも入れさせておくれ」

「おど……おどうざっ……らべっ……ぎぃぃぃっ!」

 沙世が引きつけを起こしたように身体を突っ張らせる。だが、極太は指で拡張した愛娘のアヌスに、巨大なペニスをあてがって、容赦なく侵入を開始する。

「あがあああああっ! いぎっ! いぎぃぃっ!」

 沙世がわめく。排泄のための穴に、許容量をはるかに超えた容積の異物が挿入されたのだ。

 極太は沙世を抱きしめながら侵入を続ける。それはほとんど肉体の破壊と同義だった。

「おとうさああああッ! ゃあああああッ!」

 絶叫する実の娘の身体を固定した極太は、一片の慈悲もなくピストン運動を開始する。沙世の肉体の内部がめくれあがり、また押し込まれる。

「あぅあああぅああああああぅぅぅぅ」

 うなるような、身体そのものが楽器になったかのような声だ。極太のペニスが押し込まれると発声する――抜かれるときに息を肺に入れる――それを繰りかえす。

「かわいそうに沙世――でも――すぐだよ――おとうさんの愛を受けとめておくれ」

 極太はうつろな沙世の顔をべろべろ舐めながら、直腸の奥にまで先端を届かせて、さらに震動をくわえる。

「あっ……あっ……全部……でちゃ……う」

 沙世は顔の筋肉を弛緩させながら、父親の剛直により凌辱を甘受していた。

 身体の中からはらわたをかき出されるような感覚を得ているのだろう。

「ああ――良子」

 極太は妻の名を呼んでいた。粘膜の感触がもたらす既視感が、その名を無意識に発声させたのだ。

 沙世の瞳に光がもどった。

「おとうさん……いま、おかあさんのこと……思いだしたの?」

「ああ。沙世のかわいい顔を見ていたら、つい、な」

「わたし……おかあさんに似てる?」

「よく、似ているよ」

「おかあさんとも……したの? おしりで……」

「大好きだったよ、かあさんも」

 極太はほほえんだ。沙世の顔が泣きそうにゆがんだ。

「なら、いい。がまんする――おとうさん、もっと動いて」

「ありがとう」

 極太は沙世に口づけた。赤ん坊のころからくりかえしてきた親愛のキスではなく、舌を挿入する性的なキスだ。

 小さな舌を味わいながら、実の娘とのアナルセックスを継続する。男根が受け取る刺激がさらに増していく。

 沙世も高まっている。自分と母を重ねあわせているからだろうか。

 父と娘の粘膜同士が火花をちらすほどの刺激を受け止めあっている。

 裂ける寸前まで肛門を拡げられ、血がにじむほど粘膜をこすりあげられているというのに、沙世のあげる声はすでに苦鳴ではなくなってきていた。

「ひっ、ひぃ、ふぅ……ううううっ、おとうさんのがおしりの中でうねって……るぅ」

「沙世、気持ちいいかい? 沙世」

「んっ……痛かったけど……痺れて……痛くない……ああっ、抜けそうになると気持ちいいよ! いひぃっ! あああああっ!」

 少女は小さな身体をピンクに染め、人生三度目のアナルセックスで初めてのオルガスムスを迎えようとしていた。

「おっ、おとうさんっ! おしりがっ! おしりがトロけちゃうよぉっ! あああああっ! ウンチでちゃうかも……っ! だめっ! おとうさん、だめぇっ!」

「出したかったらぜんぶ出していいよ。おとうさんも沙世の中にいっぱい出すから――いくよ……!」

 極太は愛娘を抱きしめてやりながら、肛門を激しく突きたてる。

「ああああっ! うあああっ! 焦げちゃう! おしりが焦げちゃうううっ! やあああああああっ!」

 沙世の悦楽の絶叫を効きながら、極太は発射した。

「うあっ……あつ……ああああああっ!?」

 沙世の身体が爆発的に震える。がくがくがくっと骨格そのものが揺らぎながら、そのまわりの腱に、筋肉に、脂肪に、内皮細胞に衝動が伝わり、膚に鳥肌を立てさせながら全身をかけめぐっていく。

「おとうさん――いま――」

 沙世がまぶたをあげる。

「見えたかい?」

 父親の顔で極太は沙世にささやきかける。

 沙世は満ち足りた表情を浮かべつつうなずく。涙も、鼻水も、よだれも、その快楽の大きさを物語っている。

「ぜんぶ溶けて、頭のなかが真っ白になって――おとうさんとくっついて――うれしかった」

「そうだよ。いま、沙世とおとうさんはひとつになったんだ――もっと、続けるよ、いいね?」

「うん――おとうさん……して。沙世のこと、もっといやらしく……して」

 肛門から激しく出血しながら、その痛みさえ快美であるかのようにうっとりと微笑み、沙世は父親の胸に顔をうずめた。