偉大なる助平FF(12)


「沙世ーっ!」

 極太は喚いていた。飛び起きて、沙世の元へと走る――ことができない。

 なぜだ。

 極太は自分の動きを封じている存在を見あげた。静香だ。婉然として笑っている。

「静香先生、離してください。娘を、娘を、助けないと!」

 校内のどこにいるかはわからないが、どんなことをしてでも見つけ出す。そして、あのガキどもをぶち殺す。極太の思考はそこにジャンプしていた。

「落ちついて、色事さん。だれにだって初めてはあるものよ。そうでしょ?」

「あんた……なにを言ってるんだ」

 極太は、自分の男根を握りしめている女教師を信じられない想いで見あげた。さっきまでとはまるで別人だ。

 それに、なぜか極太の身体は動かない。グラマーではあるが、50キロあるかないかという静香の身体をはねのけることができない。

「あの子は今日、処女喪失をする運命だった――それでいいじゃない。どうせ、遅かれ早かれそうなるんだから」

「沙世は、まだ11だ! 小学生なんだぞ!」

「あら……まるで11歳の女の子とは寝たことがないと言ってるみたい。千人斬りのなかには、それくらいの子は一人もいなかったの?」

 極太は絶句する。9歳の年から始まった彼の女性遍歴のなかには、当然ティーンエイジャー手前の女の子との体験も含まれていた。

「それに、さぞかし、たくさんの処女斬りをなさったんでしょ? その子たちのお父さまは、色事さんのことをどう思ったかしら?」

「それは……昔の話だ」

 苦しい言い訳だ。

 静香は鈴が転がるような笑い声をたてた。

「因果はめぐる――そうだとしたら、見守ってあげましょうよ、あなたの娘さんが女になっていくさまを。わたしたちも楽しみながら――」

 また、静香の愛撫が始まる。極太はのけぞった。さっきまで自分にあったはずの主導権が、今や影も形もない。静香の指と舌に翻弄されて、身動きもできない。

 モニターの中では、愛娘が、誰とも知れない中学生に強姦されている。現実とは思えない。それを映像で見ながら、極太は何もできず、それどころか、硬く硬く張りつめて、今にも射精しそうなほどに昂ぶっている。完全無欠の悪夢だ。

『おとうさあああんっ! あああっ! いぎいいいいっ!』

 沙世の声だ。たまらない。極太はのけぞった。

「あら? 先っぽ、ぬるぬる。まさか、娘さんが犯されているシーンを見て、興奮してるの? 悪いお父さんねえ。お仕置きしてあげなくちゃ」

 静香は笑みを浮かべたまま、人差し指の長い爪を極太の剛直の先端に当てた。鈴口の部分を抉るようにねじこんでいく。

「うわっ! がああああっ!」

 痛みと、それを超える衝撃に極太は混乱する。

「あら? ここは初体験? 経験豊富なわりに、片寄ってるのね?」

 静香は竿に舌をはわせながら、鈴口への攻撃をやめない。

「このぉ、や、やめろ、雌犬め!」

「まあ、下品な口だこと。沙世ちゃんを見習いなさいな。痛くてもじっとがまんしているじゃない」

 さらに静香の爪の先が亀頭に食い込んでくる。

「ぐっ……うううううっ!」

 静香の紅い長い舌がカリの縁にそって動いている。痛みだけではない感覚が、極太の剛直に充満する血量をさらに増加させる。反りかえって、色も濃くなっていく。

「気持ちいいのね? 娘さんと同じように、犯されながら感じているんだわ。やっぱり親子ね」

「だ……黙れ……」

「ほうら、モニターから目をそらしちゃだめよ。娘さんの大事な初体験なんだから」

 静香の言葉に極太は視線をモニターへともどす。見たくない。許せない。なのに、見ないでいることはできない。

 モニターのなかの光景を凝視しながら、極太の感覚はひろがっていき、娘の痛みと快楽を共有している――そんな気がしていた。

***

「いっ……いたいよぉ……っ!」

 沙世は身体をかき回される激痛にただ声を放つことで抗っていた。どんなに泣いて訴えても、バックから突いてくる小出の残忍さはまったく衰えるとはなかった。

「どうだ? 小出、沙世ちゃんの処女膜をブチ破った感想は?」

 今は長崎がハンディビデオカメラを持っている。沙世の苦痛に歪む表情を中心に撮影しているのだ。

 小出は、小柄な沙世の身体を抱えて持ちあげながら、激しく腰を揺すっている。

「真由美の時は、一番のりをお前に譲ったからな……。この子の具合も……いいぜ。まん中あたりで、きゅって絞られる、みたいだ」

「ああ、ちょっといい具合に曲がってるんだよ、この子のは。さっき指で確認したからな――スペシャルカメラを入れがてら」

 長崎がニタニタ笑いながら、積みあげられたモニターのひとつを見やる。そこには、たしかに沙世の胎内が――赤い粘膜が蠕動するさまが映っている。小出もそちらにちらりと目をやる。

「こういう映像は、しかし需要あんのかね? 気味悪いぜ」

「内臓マニアってのがいるんだろ――それにまあ、本来の用途はデータ採取らしいけどな」

「ただよ、痛がってるガキの表情とはらわたの中だけだと、絵的に飽きるよな? なんとかなんねえか?」

「そうだな……自己紹介の続きをやらせるってのはどうだ?」

「やりながらか……? まあ、まかせらあ」

 小出との相談を終えると、長崎は顔を歪ませ、カメラを沙世の顔の前に移動させる。

「さあ、沙世ちゃん、お取り込み中のところ悪いけど、インタビューさせてくれるぅ? いまのご気分は?」

 涙と鼻水でぐちゃぐちゃの沙世は、悲鳴をあげるだけだ。まともに答えられない。

 長崎は片手でティッシュのパックを取り出して、沙世の顔を拭いた。

「ほうら、こうしたらもとのかわいい沙世ちゃんだ――はじめてチンポ入れられた感想は?」

 沙世はカメラのレンズを見つめた。揺れながら、息もたえだえに答える。

「いたい……よぉ……やめて……ぇ」

「いいよ、やめても」

 あっさりと長崎は言う。

「そのかわり、質問に答えてね。この映像を見てる、全国――全世界かな、ようわからんけど――のおじさん、おにいさんたちに沙世ちゃんのことがよぉく伝わるようにね」

「ほんと……に……やめにして……くれる?」

「あたりまえだろ。こんなかわいい沙世ちゃんに嘘つくわけないじゃないか」

 ぬけぬけと長崎は言う。

「第一の質問――好きな食べ物は?」

「に……肉だんご……」

「じゃあ、嫌いな食べ物は?」

「きゅうり」

「ふうん……きゅうりより太い小出おにいちゃんのチンポは大好きなのにねえ?」

「べつに……すきじゃ……ないもん」

「そう? でも、さっきから痛いって言わなくなったよね?」

「そ……それは……」

 沙世は返答に窮する。小出の腰の動きに合わせて揺れながら、小鼻をふくらませる。

「ん……く……うう……」

「気持ちよくなってきちゃったかな?」

 長崎が覗きこむ。

「そんなこと……ないよう……ああっ!」

「さっきから、腰うねらせてるぜ、このガキ」

 小出が楽しそうに暴露する。

「へえ……沙世ちゃんってやっぱりチンポ好きなんだ? エッチな子だなあ」

「ううう……う……」

 沙世は耳まで赤くする。もはや否定の言葉をはく気力もないようだ。

「じゃあ、次の質問――沙世ちゃんの初潮はいつ?」

「え……」

「初潮って……初めて生理がきたときのことだよ」

「こ……たえるの……それ? ううっ」

 沙世がうめいたのは、小出が深く突いたかららしい。さっきから、小出の腰の動きに過敏に反応をするようになってきている。そんな沙世の変化に長崎は目を細めながら沙世に回答をうながす。

「そう。大事なことなんだよ、それは」

「しょ……小5の……とき……」

 沙世は切れ切れに答える。息がせわしない。目がとろんとなってきている。

「へえ〜、じゃあ沙世ちゃんはもう赤ちゃんが産める身体なんだね! で、この前、生理が終わったのはいつ?」

「えっ……と……」

 顔を火照らせながら、沙世は指折り数えている。なぜそんなことを答えなければならないのか――というような考えかたはすでにできなくなっているようだ。

「い、一週間、まえくらい……」

「おいおい、それマジ?」

 長崎は小出を振り仰いだ。笑っている。

「気をつけろよ、小出! 沙世ちゃんは今日あたり排卵日だぜぇ。中出ししたら、赤ん坊ができちまうぞ!」

「そうか……。そりゃ、気をつけないとなあ」

 小出がのんびりと――ただ腰はせわしなく、答える。

「赤ちゃん……できちゃうの?」

 沙世がおびえた表情を浮かべる。その顔を、長崎はアップにした。

「そうとも! 中にドバドバ出されたら、すぐ妊娠しちまうぞっ!」

「いやぁ……いやだよぅ……沙世、まだ、赤ちゃん産めない……っ」

 沙世がいやいやする。小出が腰を打ちつけながら、天井を仰いだ。

「おっ、おっ! 締めつけがすごくなってきたぞ! すげえ!」

 長崎はうんうんとうなずきながら、沙世の体内のカメラ映像をモニターで見る。

「真由美もそうだったが、スペシャルカメラを入れると身体が勝手に暴走を始めるらしいからな。沙世ちゃんも、そろそろしんぼうたまらんだろう」

 赤い粘膜が激しくうねっている。たぶん、場所は子宮頸部の近くだ。大きな物体が近づいたり遠ざかったりしている――それが小出の男根だ。

「すげーな。NHKの人体スペシャルのCGみてーだな」

 長崎は意外に国営放送派なのかもしれない。

「あっ、はあ!? あっ、あっ、あくっ!」

 沙世の声の調子が変化はもうあからさまだ。小出に突かれるたびにあげる声は、もう泣き声なんかではない。

「ひ? ひいい、ひっ! なに? これなにぃ? あああっ!」

 あきらかに感じている声だ。

「いやっ! やあっ! へんだよ……へん……おなかのなかが熱くなってきて……だめぇっ! もぅ、ヘンになるうっ!」

 沙世が両手を振りまわす。何かが沙世を変えていこうとしている。肌がピンク色になって、汗がふきだして、あまずっぱい匂いをたてはじめている。性臭だ。

「沙世、沙世、もう、だめだよっ! あああっ! きもち……いいようっ!」

 小出が最後のとどめとばかり、がくがくがくと腰を打ちつける。沙世の胎内カメラにぶち当たるほどの勢いだ。

「で、でるっ!」

「やあっ! 出しちゃだめぇっ! ああああーっ!」

 沙世が絶叫する。脚をつっぱらせ精一杯腕をのばし身体をのけぞらせて、小さな身体を押し流そうとする快感に抗っている――が、それはむなしい戦いだった。沙世の意識はちぎれ、白熱し、粉々に弾けてしまう。

「あ、あ、あ――なにか、くるよぅっ! うああっ!」

 少女が昇っていく。その瞬間に、小出の男根が沙世の体内で爆発していた。

「おほっ! 受胎の瞬間かよ!?」

 長崎はハンディカメラを沙世の顔に合わせつつ、沙世の胎内カメラをモニターしていた。小出の男根が放った体液が画面を真っ白に染めていた。光のない少女の肉体の奥で精液が白く見えるはずもないが、そのメカにはそういった自然科学の常識は通用しないようだった。

 健康的な赤い粘膜を白い精液が侵食していくさまが克明に映し出されている。

「おお……いいねえ。燃える映像だぜ。今度はおれのチンポでもっとすごい絵をつくるぞ……」

 長崎は自らのペニスを露出させ、擦りたてながら、ぐったりと床に崩れおちた沙世のヒップを凝視していた。

***

「ほうら……中出しされてイッちゃったわよ。さすが、極太さんの娘さんね」

「沙世……」

 極太は茫然と映像を見つめていた。沙世は明らかに絶頂を迎えていた。信じられない。手塩にかけて育ててきた娘が、こんな形で奪われてしまうとは。

 滂沱とばかりに流れる涙を頬に感じながら、しかし、極太の男根はこれ以上ないほどに張り詰めている。

「すごい……極太さんは娘さんが可愛くてしょうがなかったのね。ほんとうは自分の手で娘さんの処女を奪いたかったんじゃないの?」

 静香は極太の男根をしゃぶりたてながら、極太の泣き顔を上目づかいに見る。

「そんな……ことは……」

 ない、とは言えない。最愛の妻に生きうつしの娘だ。しかも、どことなく自分にも似ている。そんな少女が魅力的でないわけがない。むろん、血がつながっている娘との性行為を望んでいたわけでは断じてないが、なにも想像したことはないといえば嘘になる。たぶん、どんな父親でもそうだろう。想像もしたことがないというのは、むしろおかしい。

「その願い――かなうかもよ?」

「な……に?」

「わたしたちの仲間になれば……ね。そうすれば、交わることがすべてになる。親子のしがらみも、なにもない。あるのは細胞レベルの興奮と快楽だけ」

 静香は極太の上にまたがり、指で自らのアヌスをひろげる。

「こんどはこっちに注いでね、極太さん――」

「うっ……あ……」

 静香のアナルホールは熱く、そして、おそろしく締めつけてくる。魂がとけそうだ。

「すごい……静香……先生……」

「わたしのおしり、いいでしょ? こんなこと――沙世ちゃんにもしたくない?」

 ぐぐぐと尻を落していく。

「沙世に……?」

 そのシーンをイメージしただけで極太の陰嚢が持ちあがっていく。射精が近づいてくる。

「だめだ……っ! おれは……っ!」

「仲間になりなさいな。ただ、受け入れればいいのよ。このリズムを。頭のなかにコードが書きこまれていくでしょ? それにしたがえば、どんな悪徳も快楽になるわ」

 静香は腰を落しきると、ゆっくりと揺らしはじめる。大きな乳房がぶるうぶると振り子のように振れだす。

「あああっ!」

 極太は快感のさなかに、たしかにそれを感知した。

 静香から流れこんでくるなにか。モニターから発せられるなにか。それは、高速言語のようなもの、でたらめな図像とパターン、光の明滅――いろいろな形に姿をかえながら極太の中に侵入し、脳のなかで確かなプログラムにアセンブルされていく。

 犯せ

 まぐわえ

 融合しろ

 それが宴だ。

 それが命だ。

 セックスは生命の存在の表現形式だ。

 否定するな、受け入れろ――

「われわれ」の未来のために――

「うおおおっ!」

 極太は猛然と静香のアヌスを突きあげた。

 静香はあまりの勢いに悲鳴をあげる。

「すっ、すごいっ! 極太さん、こすれるっ! こすれて、ちぎれそうっ! あがああっ! いくうううううぅっ!」

 昇りつめながら静香は壊れた笛のような音をたてる。

「おうっ!」

 極太は放っていた。激しく。大量に。

 それでも極太は悟っていた。精液が尽きることはない。生きているかぎり。そこに肉体があるかぎりは、けっして。

第三章 おわり