偉大なる助平FF(10)


「んじゃ、沙世ちゃん、のけぞってみようか――そーそー、かわいいよ」

 小出がビデオカメラを構えている。

 そこは柔剣道場の隣にある更衣室だ。

 作りつけの照明は貧弱な蛍光燈だけだが、撮影用の照明器具が持ちこまれており、昼のように明るい。

 小出が使っているのはDVのハンディだ。小型だが、画質はプロ用のものと遜色ない。

 沙世はこの部屋に連れ込まれ――そして撮影と称して色々なポーズをとらされていた。

 セーラー衿の上着は着たままだが、スカートとパンツは取られてしまっている。もっとも、パンツはおしっこまみれになってしまったから、あっても穿けはしないのだが。

 ボトムレスで、ソックスと靴は履いたまま、というアンバランスな姿だ。といって、局部を手で隠そうとすると罵声が飛んでくる。

 沙世は半べそをかきながら、小出の指示に従っていた。

「腰に手をあててー、振りかえって笑って――はやく笑えよ」

 沙世の対応が遅れるとたちまち口調が険しくなる。沙世は怖くて泣き笑いになる。

「……あの……サツエイ、終わったら……帰してくれる?」

 むりやり笑顔をつくりながら、沙世はたずねる。

「もちろん。お兄ちゃんたちが満足できる絵が撮れたらね」

 小柄な長崎がフラッシュを焚きながら言った。長崎はさっきから、ローアングルで沙世のワレメの接写をしている。使っているのはデジカメだ。

「こういう写真やビデオは違法なんだけど、世界中の変態さんが必要としているんだよ。沙世ちゃんはかわいいから、たくさんの変態さんを悦ばせることができるね。よかったよかった」

 口調は優しいが、内容は極悪で卑劣極まりない。

「インターネットにのっけてあげるから、沙世ちゃんはあっという間に世界中の変態さんのアイドルになれるよ?」

「いや……いやだ……そんなの……」

 沙世の作り笑顔がこわれる。涙がこぼれる。

「おいおい長崎、沙世ちゃんを泣かすなよ。そんな泣き顔見たら――ボッキしちまうだろ? 今回はソフト路線でいくって決めたのに」

 小出がひょろっとした顔を歪めて言う。

「おっ、わりいわりい。かわいい子を見るとついついいじめたくなるんでな――ごめんよ、沙世ちゃん」

 長崎がひしゃげた顔をさらに縦に縮める。笑っているらしいが、とてもそうは見えない。

「まあ、ポーズもつけてもらったことだし、あと自己紹介をやってもらってお開きにすっかな」

「そうだな。沙世ちゃんのお父さんやお兄ちゃんも心配してるだろうしな」

「じゃあ、さっさとやろう――沙世ちゃん、こっちにきて、そこに座って」

 長崎がパイプ椅子を指し示す。

 一瞬躊躇した沙世だが、動かないままでいると、また叱られてしまう。それに、これが終わったら、おしまいらしい。沙世はおとなしく椅子に腰かける。

「沙世ちゃん、自己紹介をお願いします。名前と、歳……学年もね」

 長崎はふつうにしゃべると、高くて優しそうな声になる。

「い、色事沙世、です。11歳で……六年生です」

 小出がカメラを構えている。沙世はワレメが見えないようにぴっちり膝を閉じて、手を股間に置いている。

「じゃあ、身長、体重……んーと、靴のサイズを教えて」

「い、一学期の時のでいいですか?」

「いいよ」

「身長は…139センチで……体重は27キロ……靴は21センチ……です」

「それって、おっきいほうなの?」

「ち……小さいほうです、前から二番めだし……」

「ふうん……。自分のスリーサイズっていえる?」

 沙世は首を横にふる。

「じゃあ、測ってみようか」

 長崎が言い、ポケットから巻き尺を取り出した。採寸用のビニールのものではなく、バネで巻き取るタイプのほうだ。

「おいおい、どっからガメてきたんだ、そんなの」

 カメラを構えながら、小出が笑った。

「四次元ポケット男と呼んでくれや」

 長崎はすまし顔で言い、沙世に向きなおった。

「さ、立って、両手をあげて」

「え……え……」

 沙世は困ってうろたえる。長崎がヘビのような目で睨んでいる。口許だけは笑っているようだが、それは笑顔なんてものではない。

 けっきょく、沙世は立った。前は手で押さえたままだ。

「それじゃ、胸囲がはかれないでしょ。ばんざいして」

「う……」

 下半身はさっきから何度となく撮られているのだが、それでもためらいはある。

「早くしろよ、うぜえな」

 あっさりと猫なで声をかなぐり捨てて、長崎が沙世の腕をつかんだ。

「は、はいっ」

 弾かれたように沙世は両手を上げた。

「じゃ、はかりまーす」

 また柔らかい声にもどって、長崎が巻き尺をすらりと引きだす。

 セーラー衿のうしろをくぐらせて、前に待ってくる。

「このへんかな?」

 巻き尺の金属製のテープが、沙世の胸の先端あたりをうろうろする。

 上着の下は素肌だから、布ごしに金属テープが沙世の乳首にあたる。

「ひ」

 沙世は身体をちぢこませる。

「よくわからないなあ? ここか」

 長崎は巻き尺を沙世の胸に巻きつけて、上下に動かした。

 テープのへりが、沙世の乳首を削ぐように当たる。

「いっ……!」

 痛みを感じて沙世はうめく。ただでさえ、沙世のその部分はしこりがあって敏感なのだ。

「ああ、ごめんよぉ、痛かった?」

 長崎は言いつつ、沙世の胸を手でさすった。

「はやく、はかって……」

「はいは〜い。ええと、59センチ……えい、おまけして60センチにしとこう。続いてウェストはー」

 巻き尺がさがる。

「50センチ? 細いねえ。じゃあ、最後はヒップだね……」

 そこは剥き出しだ。掌がおりてくるのを察知して、沙世はきゅっとおしりを締める。

「あれ、65センチもあるよ? おしり、おっきいんだねえ、沙世ちゃん」

 長崎の身体が離れ、巻き尺をポケットにしまったので、沙世はホッとする。これで終わりかもしれない。

「じゃあ、計測の第一段階は終わりね、続いて第二段階!」

 長崎の声が明るさを増す。そして、プラスチック製の物差しを取り出す。筆箱に入れるための比較的短くて薄いタイプだ。

「ほんとうに四次元ポケットだな」

 小出がカメラの液晶を覗きながら感心する。

 長崎は物差しの両端をつまんでたわませた。カメラを意識したポーズだ。

「こんどはこれで沙世ちゃんに大事なところのサイズをはかりまぁす!」

「えっ……?」

 沙世は意味がわからない。長崎の顔を見あげた――小兵の長崎でも、さすがに沙世よりは大きいのだ。

「はい、沙世ちゃん、椅子に座って、脚をひろげてくださいねえ」

 さすがにそこまで言われれば意味がわかる。沙世は内股になって前を押さえた。

「だめ! だめだよ! 自己紹介で終わりにするって言ったじゃない」

「なにいってんの。これこそ真の自己紹介でしょ? 沙世ちゃんの一番大事なところの大きさをみなさんにお伝えしないと、暴動起きちゃうよ?」

 長崎は沙世の顔を覗きこむ。物差しでぴたぴたと沙世の頬を叩く。強くはないが、あきらかな害意がこもっている。

 沙世は長崎に見すえられて恐怖した。長崎の目は――小出もそうなのだが――色が薄い。人間以外の者が特殊メイクで人間にばけてでもいるみたいだ。

「早く、座りな」

 沙世は長崎に押されて椅子におしりを落す。

「股、開いて」

 自分では開けない。まん前から小出がビデオカメラで狙っているのだ。

「しょうがないなあ。手伝ってあげますよ」

 長崎は言いつつ、沙世の太股に手をかける。

「やだっ」

「やだ、じゃない。ほら!」

 中学生の力には抗えない。沙世は脚を広げさせられてしまう。

「ふええ……」

 沙世は気の抜けたような声をもらす。

 自分からは白いお腹の先がなだらかにスロープを描いて消えていくようにしか見えない。が、そのスロープの先にある縦に割れた場所が、いま、広げられてしまっているのだ。

「じっとしててね。でないと、あそこの穴にずぼっと物差しが入っちゃうかも。尖ってるから、痛いよぉ」

 長崎の声が聞えてくるが、ちゃんと言葉は理解できない。ただ、動いたらひどい目にあうことだけはわかる。

 ぴち。プラスチックが股間に当てられた。沙世は目を閉じる。頭のなかで数字をやみくもに数えはじめる。10数えたら解放される、いや、100数えたら、絶対にだいじょうぶ。お父さんかお兄ちゃんが助けてれる。きっと――

 長崎は、物差しを沙世の割れ目に沿って、そのカーブに沿って曲げた。

「外側のぽってりした部分――いわゆる大陰唇の長さは……6センチと……5ミリかな。厚さは……ちょっとこの目盛だとむりだな。ただ、触った感じはよく詰まってる感じがしてよろしいですよ。ちょっと充血してきてるのかな?」

 長崎はコメントしながら、その部分を左右に割っていく。

「ほうら、いよいよ、みなさんお待ちかねの場所ですよ〜。カメラさん寄ってくださいね〜」

 小出がすり足で近づいてくる。機械的なズームよりもライブ感ある映像を重視しているのだろう。

 沙世はひたすら数を数えている。

 それでも、そこが開かれた瞬間はわかった。露出させられた粘膜が外気に触れて、冷たさを感じる。

「へええ、これが色事沙世ちゃんのアソコですかあ……。さすがにきれいなもんですねえ、おにいちゃん、感激です」

 長崎は、わざとらしく言いながら、左手の指で大陰唇を広げ、右手の指で内部の小陰唇をかきまぜるようにする。ピンク色の花びらは透明感さえ感じさせるが、指にいじられると微妙に色が変化した。おそらく、血流量が増大したせいだろう。

「ひ……ぐ」

 しゃっくりのような声が沙世の喉を鳴らした。数字はもう百を超えたあたりでぐるぐると回っている。

「えーと、どこ測るかな……ピラピラは広げたらサイズかわるしなあ。そうだ。クリちゃんを測りましょう!」

 長崎の指がもぞもぞと動く。次の瞬間、沙世はまったく体験したことのないたぐいの衝撃を受けた。下半身が熱をおびて、電撃が走るような。

「あっ!?」

 数字は吹き飛んだ。一瞬、なにがなんだか、わからなくなる。

「あ――ああっ!?」

「おやおや、沙世ちゃんはクリの皮を剥いたことなかったのかな? こうやって剥いたほうが気持ちいいだろ? ほらほらほらっ!」

 長崎の指が動いて鞘の部分を前後に揺する。そのたびに赤い先端がくにゅくにゅと変形して、沙世の身体に許容量をはるかに超える刺激をあたえる。

「ひあっ! やめっ! やめてっ! うああっ!」

「さっきあんなに激しいオナニーしてたのに、クリがこんなに弱いなんて、信じられないなあ」

 長崎は笑いながら、椅子の上でじたばたしている沙世を押さえにかかる。

「さ、じっとしてないとクリちゃんの先っぽ、ちぎれちゃうよ?」

「ひうっ……!」

 しゃくりあげて沙世は身体を凍りつかせる。こんなに敏感な場所が自分にあるとは知らなかった。指で触れるだけでも身体が震えるほどなのに、まして傷でもつけられたとしたら、その痛みは想像を絶する。

「そう、いい子、いい子……」

 物差しの角の部分が尿道口がある前庭の粘膜に触れる。沙世がひくひくと動く。

「い……いたい……よう……」

「がまんがまん」

 長崎は楽しくてたまらぬように笑いながら、クリトリスの先端に物差しの辺が当たるように角度を調節する。

「3……4ミリくらいかな。よし、4ミリだ。沙世ちゃんのクリの直径は4ミリ! でも、たぶん、こうしたら、もっと大きくなるんだろうな?」

 物差しのへりを軽くその部分に押し当てる。それだけで。

「いぎっ!」

 悲鳴だ。

 その瞬間、沙世の尿道口が開き、しぶきが飛ぶ。量は少ないが、しぶきははねて、ビデオカメラのレンズに水滴をつけた。

「あーあ、また漏らしちゃった。沙世ちゃんってば、おもらしっ子だね」

「ひう……ひ……ふ……」

 沙世はぴくぴく震えながら呼吸のために胸を上下させている。

「さて、いよいよクライマックス! 沙世ちゃんのあそこの中を測りまぁす!」

 長崎は宣言し、右の中指を立てて、カメラに向かってFuck Youのポーズをする。その指には、よく見ると目盛が刻んである。事前に、指にマジックで目盛を書いておいたらしい。

「いつの間に……」

 小出がつぶやいた。

 長崎は明らかに躁状態で嬉々として中指を回した。

「マイ・中指は8センチあります。さて、これで計測可能でしょうか? 早速、実験したいと思いますっ」

 ぐったりしている沙世の股間に指をのばす。むろん、カメラが映しやすいように、自分自身は脇に位置して邪魔にならないようにしている。

 指の目盛の数字が読める位置まで小出のビデオカメラは接近する。

「いきます……! ダラララララララ」

 口でドラムの真似をしているのだろう。

 指の先端を沙世のラビア――花弁に当てる。長崎が指をめりこませていくと、沙世のラビアはくにゅくにゅと変形して、指を呑みこんでいく。

「おほ、中はしっとり、もちもち、ですな」

 長崎はずりずりと指を沈めていく。

「う……」

 半失神状態にあった沙世が意識を取りもどしたらしい。うめき声をあげている。

 だが、まだ、自分の身に起こっていることは理解していないようだ。

「処女膜は無事通過……3センチ、4センチ……まだまだ行きますね。しかし、ちょっと曲がってますよ。どうかなあ、届くかなあ……」

「うっ……あっ……」

 沙世が身をよじる。指の侵入を感じているのだ。

「お、沙世ちゃんが悶えてますね。おにいさんの指がきっと気持ちいいんでしょう――沙世ちゃん、見える? 今、沙世ちゃんのおまんこの深さを測ってるよ」

 長崎は沙世に笑いかけ、それから小出に目で合図する。うなずいた小出は、デジタルビデオカメラの液晶表示パネルを回転させて、いま映っている映像がどんなものかを沙世に見えるようにした。

 沙世は薄目をあけた。よくわからない光景だ。自分のその場所をそんな角度から見たことなんかない。他人の身体の部品のように思える。だが、そこに長崎の指が食い入っていて、そして指が動く――と、沙世の体内で同時に動くのだ。その同時性は疑うべくもない。

「ひっ……!」

 沙世はどうしていいかわからなくて、固まってしまう。指を、入れられちゃってる――どうしたらいいんだろう、こんなとき。だれも教えてはくれた者はいない。

「5センチ……6センチ……まだまだあるぞ……。こりゃあ、底なし沼か? ん?」

「あ……あうう……」

 身体を固くしたままうめく沙世を尻目に、長崎は小学生の膣を指で探る行為を続けている。

「ちょっと、いま指先に天井を感じたなあ……7……7.6センチかな? どう、沙世ちゃん? 当たってる?」

 沙世の中で長崎が指を動かしている。沙世はお腹のなかを引っかかれているような感覚に襲われる。なんなのだろう、これは。苦しい、圧迫感はあるけど――痛みはそんなになくて――むしろ――むしろ――

「いやぁ……お腹のなか、さわらないで……やだやだやだ……っ!」

 沙世は拒絶の声をあげる。そうしないと、自分で認めてしまいそうになったからだ――そこを触られると不思議に気持ちがいい、と。

「当たってる、みたいだね。沙世ちゃんの膣の長さは7.6センチに決定!」

 長崎が高らかに宣言し、指を抜く。引き抜かれる時の擦過が鋭い火花になって沙世の頭のなかに飛び散った。

「ひうっ……うっ!」

 その衝撃が下半身を跳ねさせた。椅子の上でがくがくと身体を震わせてしまう。

「あやや、指ぬいた時に、軽くイッちゃった? 沙世ちゃんは子供なのに膣で感じるんだ。エッチな身体だなあ」

 そんなことはない――沙世は夢中で繰り返しているが、身体のぞくぞく感は止まらない。

 でも――もう測る場所はないはずだ。おしりの穴は指で測るには深すぎるし。

 やっと終わる――そのはずだ――沙世は祈るような思いで長崎を見あげる。

 だが、長崎は言った。

「さあて、次は、太さ、だね」

 長崎は歯を剥き出しにして、ひひひ、と笑った。

「沙世ちゃんの穴、どれくらい太いものが入るのかな?」