偉大なる助平FF(7)


「二人めが始めたぜ。ケツ舐めてら」

 ビデオカメラを手に、柔道場の通風窓から中を覗きこんでいた長身の小出が言った。

「真由美のやつ、ほんとに十人相手にするつもりらしいな」

「そりゃあ、あいつは女優だからな。ホンにそう書いてありゃ、ブタとだってヤる。恥垢まみれの童貞十人斬りくらいどってことねえ」

 身長の面では小出とは対照的な長崎は、壁にもたれかかりながらうそぶく。

「ま、企画的にはありがちだが、モデルがマジ中坊だから、ニーズはあるぜ。前作とあわせて、注文殺到だな」

「へっ、売れようが売れまいが、ネットにバラまくつもりのくせによ」

「MXで共有するのもいいな。それも人助けってやつさ」

「ズリネタは天下のまわりものってか?」

 男たちはたがいに下卑た視線を交わして、いひひと嗤う。

「にしても、いいのか? こっちの声が入ったらまずいだろ」

 長崎が小出を見あげて訊く。ビデオカメラのマイクが生きているとしたら、柔道場の内部の音よりも、小出と長崎の会話ばかりとらえることになってしまう。

「大丈夫さ。音は、真由美に仕込んだマイクで拾ってるからな。それどころか。真由美のオマンコに入ってきたチンポが射精する瞬間さえ、ばっちり映像で捉えてるぜ」

「そうだったな。スペシャルカメラとマイクを真由美に仕掛けてあったっけ。それにしても、なんでそんな機材がおれたちに……」

 長崎はしばし言葉を止めた。眉根を寄せて、頭をおさえる。

 と、晴れやかな顔をついと上げる。

「まあ、いいか」

「ああ、問題ない」

 小出と長崎は顔を見あわせてうなずきあう。

「まあ、機材はいいとして、女優が一人ってのはつまらんな。早いとこ補充しようぜ」

「そっちはまかせとけ。最初の補充はもうすぐ届くはずだ」

「あいつの妹か?」

「そうさ。あいつが実験環境の中心らしいからな。どうしても、そうなる」

「実験環境か――意味は、おれたちにはわからんがな」

「ああ、わからん。だが、おれたちは映像が撮れればそれでいい」

「キレまくったやつがな」

「アナがちぎれるようなやつがな」

「そうとも」

「そうさ」

 くけけけけけけ。

 小出と長崎は白目を剥いて笑いつづけた。

**

「好男のバカたれ、今度はなにをしくさった」

 色事極太は、走る骨董品、78年式のトヨタ・カリーナのハンドルを握りしめながら毒づいた。すでに現在では消滅してしまったクルマだが、かつてはファミリー向けの乗用車として一世を風靡したこともあるベストセラー車だ。むろん、現状としては「走ればめっけもん」といったポンコツである。

「おにーちゃんの学校に寄るの?」

 助手席に座っている沙世が父親の携帯電話をひねくりながら言った。着信履歴を示す液晶表示には「静香先生(はあと)」と出ている。

 ついさっき、極太の携帯に中条静香から呼び出しの電話が入ったのだ。

 それで、学校帰りに娘をピックアップして、息子にはナイショでおいしいものを食べに行くという極太の「娘かわいがり作戦」は頓挫してしまった。

「しょうがないな。静香先生からの連絡じゃ無視するわけにはいかん」

 しかつめらしく言った極太は、やや口調を柔らかくする。

「それに、メシに誘えるかもしれんしな。静香先生なら一緒でもいいだろ?」

「いいけど……。おにいちゃんの先生に手を出すのはだめだよ」

 沙世は腕を伸ばして父親の耳を引っ張る。極太は視線を横に動かして、半袖セーラーから覗く愛娘の胸チラを鑑賞する。まだふくらみはほのかだ。下は超ミニスカートで、子供ばなれした脚がすらっと露出している。

 女と少女が混在する、小学生高学年の微妙な身体の線が、はっきりとわかる服装だ。

 むろん、それは極太の趣味だ。そういう、露出度の高い服しか買い与えないことにしている。理由は、極太の目がそれによってなぐさめられるからだ。

 逃げた女房にどんどん似てくるなあ、と極太は思う。

 千をはるかに超える数の素人女と寝た極太だが、いまだに別れた妻以上の女を見つけられない。

 その沙世が妻に似ているのは、嬉しい反面、複雑な心境だ。

 いつか、よその男に取られてしまうかもしれないからだ。

 その時はいさぎよく、相手の男を半殺しにしよう、と決意している極太であった。

「それにしても、おにーちゃん、なにやったんだろ……」

「ふん。まさか、あいつ、どっかの女の子を妊娠させたりしたんじゃないだろうな?」

「まさか、おとーさんじゃあるまいし」

「わはは、そんなにほめるな」

「ほめてないって」

 沙世が眉をひそめる。

 カリーナは夕闇せまるなか、学校の父兄用の駐車場にすべりこんでいった。

**

「じゃあ、ちょっと先生と会ってくるからな。クルマのなかで待ってろよ。あと、好男と顔を合わせないようにな。あいつに見つかると、厄介だからな」

「なんで? おにーちゃんも一緒にゴハン食べにいこーよ」

「あいつが一緒だと、ふだんの食卓とかわらんじゃないか。あいつにはなにか買っていけば充分だ。今日はパパとデートの約束だろ?」

「はいはい、わかりました」

 この父親に道理を説いても無駄だ。根っからだだっ子なのだ。沙世はそのことを経験上知っているから逆らわない。

 極太はサイドミラーで身だしなみをチェックし、それから沙世に手を振り振りしながら、校舎の方へ向かって歩いていった。

 沙世は父親の姿が校舎に消えるのを待って、クルマを降りた。

「やっぱり、おいてけぼりは可哀想だもんね」

 つぶやいて、グラウンドの一角に向けて駆け出した。

「とりあえず、真由美ちゃんをさがそっと」

 何度も兄の学校をおとずれたことのある沙世は、兄の幼なじみで、沙世自身も親しい大河原真由美が在籍している柔道部の練習場を目指して、走った。

**

「えっと……確か、こっちだったよね」

 沙世は目印となる建物を確認し、進む方向をさだめた。

「真由美ちゃん、いるといいなあ……。お兄ちゃんの居所、知ってたらいいけど」

 兄がつかまらなかったら、真由美を食事に誘おうと思っていた。沙世にとって真由美は実の姉も同然だったし、極太も真由美のことは大のお気に入りだ。

(それに……ほんとうにお姉ちゃんになるかもしれないしね)

 と、まあ、これは口にはしないが思っている。

(でも、うちのお兄ちゃん、ああ見えてユージューフダンだしなあ)

 好きなら好きとはっきり言えばいいのに、わが兄ながらじれったくなることもある。

 沙世は体育館の角をまがって、講堂の前に出た。勝手知ったる建物だ。来年には沙世もこの学校の生徒になるのだから。

 講堂の建物の外階段をのぼったところが柔道場と剣道場だ。奥には更衣室やシャワー室などがある。

 その時間帯では、剣道部の練習はもう終わっているようだった。だが、柔道部にはまだ人がいるようだ。畳を叩く音がしている。

 沙世は廊下を進み、うがたれた窓から柔道場の様子をなにげなく見た。

 柔道着を着た部員たちが畳のまんなかあたりに固まっている。

 ふつうの乱取りではないようだ。ペアになっていない。ひとりのまわりをたくさんで囲んでいるように見える。

 真由美の声が聞こえた。気合いを入れる声ではない。悲鳴のような――

 沙世の心臓がはねる。

 窓に近づいた。目をこらす。

 柔道場の内部は電灯がついていなので見えにくい。だが、そんなに距離が離れているわけではないから、そこでなにが起こっているのか、わからないほどではなかった。

 それは――

 真由美は全裸だった。犬のように四つん這いになっている。

 そのヒップをつかんで、腰を打ちつけている男子がいた。全身、汗みずくだ。

 さらに、真由美の身体をまさぐっている男子が数名いる。乳房を揉んでいるようだ。

 そればかりか、真由美の顔に、股間から生え出た棒状のものを押しつけている者もいる。

 声が、聞えている。

「おらっ! もっとケツ振れよ、大河原!」

「乳首とがらせてんじゃねーよ、淫乱女!」

「ほら、舌やすませんじゃねーよ、もっとていねいにしゃぶれよ」

 真由美はおしりをくねらせ、乳房を男の手にゆだね、男根を唇に受け入れていた。

「んふっ、んふぅっ! これれ、これれ、ひひ?」

 舌を亀頭にからませ、唾で口のなかをいっぱいにしながら、上目づかいに訊いている。

「よおし、出すから全部飲めよ」

 男子部員が真由美の顔を手ではさみ、残忍に腰を振る。真由美は目を閉じて耐えている。男子部員が頂点に達したようだ。二度三度、腰をふるわせる。ちゅるんと真由美の口から外れた瞬間も射精は続いていたらしく、白い粘液が真由美の顔にかかった。

「おれも、出すぜ!」

 真由美のヒップを抱いていた男子の腰の動きも速まっていく。

「はぷっ、ふわっ!」

 真由美が唇のまわりを白い粘液で汚しながら、首を激しく震わせる。

「また……また……いっちゃうっ!」

「うあっ!」

 男子が放ったらしい。真由美の中に一滴残らず流し込もうとするかのように、深々と挿しこんだまま、小刻みに尻を動かしている。

「おいっ、あとがつかえてんだ、はやくしろよ」

 順番まちらしい男子部員が、射精の余韻にひたっている部員の肩をつかんでひきはがす。そして、すぐさま、真由美の中に性器をねじりこむ。

「ひいっ! いひいいいっ!」

 真由美が哭く。その口許に、新たな男根がこすりつけられていく……

**

「うそ……」

 沙世の細い脚がかくかくと震えた。

 あまりに衝撃的なシーンだった。

 姉同然の大河原真由美が、沙世が見たことのない姿勢と表情で、男子部員たちの性欲に奉仕している。

 沙世は、その行為の意味するところを知っている。性知識をたくわえるには、色事家はあまりに環境がよすぎるのだ。それにしても、実際に、よく知っている人物が目の前でそういうことをしているというのは――ショックだった。

「真由美ちゃん……うそだよね……」

 窓ガラスごしに沙世はつぶやいた。

 それに応えるかのように、真由美の声が聞えてくる。ほとんど絶叫だ。

「あんんんんんあ! いぃぃぃっ! もっとぉお! もっと、突いてぇえっ!」

 真由美は同時に三人の部員を相手にしていた。

「おしりにぃっ! おしりにも、入れてっ!」

 真由美の白いヒップに、男根が二本同時に侵入していく。一本は性器に。もう一本は排泄の穴にだ。

「おくちにも、おちんちん、ちょおだいっ!」

 おいしそうに目を細め、反りかえった男子中学生の陰茎にむしゃぶりつく。唇で包皮をむいて、亀頭をぐるりと舌で清掃する。

「んぐうう、チコーの味、すきぃっ! だい、すきっ!」

 明朗活発にして成績優秀、スポーツ万能で、男女問わずにたくさんの友人に恵まれている少女、大河原真由美は、いまや穴という穴を男根でふさがれて、なおかつそれを悦んでいるのだ。

「真由美っ! おまえは、おれたち全員の奴隷だ! いいなっ!」

 真由美のアヌスを犯している扁平な顔をした男が言った。

「これから、毎日、こうやって、犯してやるっ! うれしいだろっ!」

 膣に男根を挿入している長身の男が続ける。

「はひっ! はひいいっ! わたしはみなさんの、ドレイですっ! いつでも、こうやって、おかして、くださいひっ! だから、もっと、もっと、おまんこしてっ! 真由美のこと、いじめてっ! おねがいいっ!」

 真由美は、男たちに隷属する言葉を吐きながら、全身をつかった奉仕を続ける。けんめいに下腹部をうねらせて、胎内の男根に刺激のパルスを送ろうとしているかのようだ。

 その真由美の唇に男根をこすりつけながら、三人目の男が言う。自分でしごいて、放出する。

「おまえは、柔道部のっ、精液便所だっ!」

「はいっ! ああっ! うれ、しいっ!」

 どぷどぷとかかる精液を顔面に受けながら、真由美は歓喜の声をあげる。同時に、おしりでも、膣でも、男たちの欲望が爆発していた。

**

「すごい……真由美ちゃん……」

 沙世は下腹をさすった。その部分が恐ろしくなるほど熱くなっている。

 どっどっどっ、と心臓が鳴っている。頭の芯がくらくらと歪んでいるように感じられる。

「しんじ……られ……な……」

 沙世は自分のその部分に起こっている現象に混乱していた。

 スカートのなかに手を入れる。下着が、おしっこをもらしたかのようにぐっしょり濡れてしまっている。

「これって……」

 指で割れ目のあたりをなぞってみる。

 電流のようなものがその部分から腰に、さらに背筋を駆け抜けて後頭部に達する。

 ぞくぞくする感覚に息を荒げながら、沙世はわきあがってくる感覚に抗った。

「だめ……こんなこと……。真由美ちゃんを、助けなきゃ……」

 でも、どうやったら真由美を助けることになるのか、沙世には判断がつかない。だれか人を呼んでくる――として、こんな光景を他人に見られたら、真由美にとってそれは決してよいことではないだろう。

 おそらく――男子部員が立ち去るのを待って、真由美を助けてあげるのがいい――

 ても、それはもしかしたら、この光景をずっと見ていたい、という沙世の願望なのかもしれない。

 沙世は、自分の指の動きにおびえさえ感じていた。どうして、自分の指なのに、動かすことをやめられないのだろう。そして、ちょっと触れただけで、どうしてこんなにどきどきしてしまうんだろう。

「も……がまん……できっ……」

 性的にはオープンな家庭で育った沙世だから、オナニーの経験はあった。

 でも、それは好奇心のなせる業であって、こんなに切迫した気分で自分のその部分に触れたことはなかった。まるで、その部分がお腹がぺこぺこな仔犬かなにかで、沙世の指が餌であるかのように――求めている。

 指が、触れる。下着の上からでも、割れ目の中がよじれて、くちゅり、粘膜が鳴るのがわかる。

「はあっ」

 沙世は白い歯を見せて、吐息を吐く。小さな小鼻がふくらんでいる。

 指が、勝手に、動きはじめる。

 ちゅくちゅくちゅく。

 内部の複雑な部分には怖くて触れることはできないが、そこに届く以前に、充分に強い刺激を得ることができる。ぷくっとふくらんだ部分は、指先で軽くひっかくようにしただけで、声が出てしまう。

 小学生の、エッチな声だ。

「はあ、はあ、んうん」

 柔道場では、真由美が犯されている。白い粘液――それが精子なのだということは沙世も知っている――で体中ぬるぬるになっている。どんな匂いがするんだろうかと沙世は思う。どんな味がするんだろうかと沙世は思う。

 ――オチンチンがあんなかたちになるなんて、と沙世は歯をかたかた鳴らしながら、指で自分自身をいじめながら、思っている。父や兄のその部分は見たことがある。半立ちくらいなら、よく目撃する。だが、完全に戦闘態勢になったものは見たことがなかった。

 ――先っぽがすごくへんな形だよ、色もおかしいよ、どうしてあんなものが人間に生えてるの? 沙世は考えてみる。答えはすぐにわかる。なぜって、目の前で真由美が実演してくれている。

 ――あそこに入れるために、あんな形に、あんな大きさになっているんだ。だって、おしっこするだけなら、あんなふうにならなくてもいいんだもん。

 指が、とまらない。妄想も、とまらない。

 真由美がしゃぶってあれ、自分がくわえたらどうなるだろう。くちいっぱいになって、喉まで押しこまれて、息もできないほど苦しくて――

 脚のあいだにも入ってる。二本も。どうやって? あそこと――おしりに――入ってるんだ……あ、抜けた……また入った……出たり入ったり――してる……

 いつしか柔道場でくりひろげられている真由美と柔道部男子部員の行為と沙世の指がシンクロしはじめる。

 はあはあと息を荒げながら、沙世は窓枠に手を突き、おしりを突き出していた。じゃまっけなスカートはめくりあげてしまっている。

 左手の指を股のつけねから割れ目の上に当ててぐりぐり圧迫をあたえつつ、右手をおしりにまわして肛門の部分をくじっている。

 いずれの指も周辺をなぞるだけだが――それでも、幼い身体に沸き起こる感覚は、それまでの十年とちょっとの沙世の経験のなかでも隔絶していた。

 だが、刺激はさらなる刺激への欲求を生む。

 ――も、もっと……いじりたいよぉっ!

 沙世はパンツの下に指をくぐらせた。

「うあっ!」

 思わず声が出る。

 直接割れ目にもぐりこんだ指は、沙世自身知らなかったおのれの肉体の熱を感じ取っていた。指の腹に当たる複雑な凹凸を、沙世は不思議な果実のように思った。蜜に包まれた、異国のフルーツだ。

 しかも、それは、触れれば触れるほどに気持ちいい。

 まるで魔法だ。沙世は魔法にかかってしまったのだ。

 ――もっと、もっと、もっとしたい!

 そのためにはパンツがすごく邪魔に思えた。指が動かしにくいし、それに股のところがべとべとして気持ち悪い。

 せっつかれるように沙世はパンツを下ろした。

 ――なんか出てる……よう

 沙世は股間に直接触れてみる。ぬるぬるしたものが内股にまでひろがっている。パンツが気持ち悪かったわけだ。

 沙世は思いきってパンツをひざのところまでおろした。

 下腹部を守っていた布がなくなることで、さらにぞくぞく感が増していく。

 ――すごいよう、すごいよう

 沙世は、性器をおさめた亀裂と排泄の穴を思いっきり外気にさらしつつ、指で刺激しはじめる。お子様パンツによる遮蔽はすでにない。柔らかくて熱くて水分たっぷりの穴に、じかに指が触れて、そして、もぐりこんでいく。

「んくうううっ! うひぃ!」

 おしりがはねる。

 顔を窓に押し当てた。冷たいガラスが気持ちいい。

 中から見られるのではないか、そんなおびえが一瞬胸に兆すが、中の饗宴は最高潮で沙世に気づくどころではなさそうだ。それに、廊下は柔道場よりも暗く、内部からはわかりづらい。もっとも、沙世にそんな論理的思考ができたわけではなく、ただ、指を動かすのをやめられなかっただけだ。

 ――なぜ、指が止まらないんだろう。

 それは、真由美の痴態と同じだ。

 窓のむこうの真由美も、男子生徒たちのペニスをあかずにくわえ、しゃぶり、そしてあそことおしりにも受け入れて腰を動かしている。

 だから沙世の指も動くのだ。

 真由美と同じように、あそことおしり、ふたつの穴を同時に刺激しているのだ。口があいているけれども――沙世は唇を舐めた。そこに肉棒があることをイメージしつつ、舌を動かす。

 完全に真由美の動きに合わせて身体を揺すっていた。

 真由美がのけぞる。

 沙世ものけぞる。

 真由美が絶叫する。

 沙世も声を放つ。

 そして、真由美が三人の男子生徒の精液を――通算何度目かはわからない――全身に受けてわなないたとき、沙世の意識もホワイトアウトした。

「あっ、ああああっ、はああっ! くうううんっ!」

 がくがくと腰が動くのをどうしようもなかった。その部分を触っているのがすでに自分の指なのかなんなのかも、わからない。

 いく、という自覚はなかったが、沙世の意識はたしかに爆発していた。

 だから、自分が漏らしていることにも気づかなかった。

 ちゃあああっ、としぶきが内股を濡らし、ひざのところまでおろしたパンツにかかり、床に流れを作っても、しばらくはなにがなんだかわからなかった。

 腰が抜けそうになって、窓枠にしがみつく。

 はあはあはあ。息は苦しいままだ。

「いまの……なに……?」

 沙世がつぶやいたときだ。

 背後でパチパチパチと拍手の音がした。

 ゆっくりと沙世は振りかえった。まだ、正常な認識はもどってはいない。

 沙世の目の前には、ふたりの見知らぬ中学生がいた。ひとりは長身でやせっぽちで、ビデオカメラらしきものを構えている。そしてもうひとりは沙世とさほどかわらぬくらいの短躯で、いかつい顔をしていた。

 長身の男が言った。

「いやあ、いい絵が撮れたよ、最高のオナニーシーンだ。なにしろ、小学生がおしり丸出しにして、おまんことアヌスを必死でいじくってるんだもんな。最後はおもらししてイッちゃうし。ファンがつくぜぇ、このビデオ」

 沙世は硬直した。恥ずかしいシーンを目撃されたばかりか、さらに撮影までされていたらしい。

 さらに、短躯の男の言葉が追い打ちをかける。

「沙世ちゃん、色事好男くんの妹さんだっけ。かわいいねぇ……六年生かぁ」

 にたにたと嗤う男は沙世の名前と素性をあっさりと言い当てた。

「沙世ちゃんのオナニー見てたらおにいちゃんたちもエッチな気分になっちゃった。沙世ちゃんがさっきしたいと思ってたこと、たっぷりしてあげるよ」

 じりじりと中学生ふたりがにじりよってくる。

 沙世の膝が震えて、かくんと腰が落ちた。

**

第二章 おわり