うたかたの天使たち 第四話(8b)


8.おしりに正炉丸

 やっぱり、おしりでもうちょっと遊ぶことにしよう。割れ目もいいけど、こっちの穴も捨てがたい。

 苑子の肛門は、きれいな菊の紋所の形をしている。

 美耶子とはちょっと形が違うな。やっぱり、浣腸プレイをしていると、変形するものなのかな。まあ、美耶子の名誉のために言っておくが、べつに美耶子の肛門が「わや」になっているわけじゃないぞ。

 と、目による鑑賞はそれくらいにして、指で入り口を探ってみる。

 入り口をちょっと開いてみた。

 内部の粘膜が姿を現した。鮮やかな紅色だ。排泄のための穴なのに、正直、かわいい、と思う。

(見てるの、おにいちゃん、見てる……?)

 苑子の声がおびえている。懐中電灯の光は布団のテントのなかで、煌々と輝いている。光が自分の剥き出しになったおしりに当たっていることも、苑子にはわかっているはずだ。

(ああ、苑子のお尻の穴が、ばっちりだ)

(やっ、やだよう……見ないで)

 苑子がもぞもぞしはじめる。パンツを戻そうと、もがきはじめる。

(だめ。じっとしてろ)

 おれは、苑子の腕の動きを封じつつ、叱った。

(……うん)

 素直な苑子は、がまんすることにしたらしい。膝を抱えた腕が小刻みに震えている。

 おれは苑子のおしりチェックを再開する。

 匂いを嗅いでみる。お風呂で使ったのだろう、石鹸の残り香が、わずかに苑子自身の肉体の匂いとブレンドされて、鼻腔をくすぐる。

 苑子は清潔好きな女の子だから、ウンチの拭きわすれなど、ありっこないのだ。

 おれは、粘膜の部分に指で触れた。熱には鈍感な指先にも、苑子の体内の熱が感じられる。

 さらに粘膜をめくってみる。直腸検診って、こういうのを言うのだろうか? なんでも、人間ドックでは、直腸を指でチェックするらしいしな。苑子のような女の子の肛門いじりは楽しいが、人間ドックに入るようなのは、中年すぎのおっさんが多いだろうからなぁ、医者もたいへんだ。

(おにいちゃん……そこ……もう、いや……)

 がまんづよい苑子だが、度重なるおしり攻撃には耐え切れなかったらしく、弱々しくはあるが抗議してきた。

(だめだ。病気があったらいけないからな、ちゃんと調べてやる)

 おれは抗議を男らしく退け、指をひと舐めすると、穴の入り口にあてがい、思いきってえぐった。

「ひぃっ……! いたっ……い……」

 苑子が悲鳴じみた声をあげた。いかん、いかん、ちょっとあせってしまった。

 ちょっと反省して、周辺をなぞるようにしながら、ゆっくりと沈めていく。

(う……ううう……)

 苑子の声のトーンは今度は低い。なんとかこらえているようだ。けなげだな。

 おれは中指の第二関節までを、苑子の中にうずめていた。

 指先に、直腸の粘膜を感じる。

 それにしても――熱い。熱のあまり、指が溶けてしまいそうだ。それに、周囲の圧迫がすごい。おれの指がとろとろに溶けて、苑子の体内に取りこまれてしまうような錯覚さえ覚える。

 指を動かしてやる。

(あっ……あ……?)

 苑子がびっくりしたような声をもらす。

 指を抜く段になると、あわてて入り口を締めてくる。指が痛いくらいだ。おそるべし、括約筋。なんとか、指を引き抜く。

(どうした? 苑子)

(おにいちゃん……わたし、もらして、ないよね?)

 囁き声だが半泣きだ。そうか。指を抜かれる感覚が、脱糞の時と似ていたのだろう。それで、もらしたのではないかと慌てたのだ。

 ふと、おれの胸に爽やかなアイディアが浮かんだ。

 ポケットから、探検時の必須アイテム(たぶん)、正炉丸を入れたケースを取り出す。

 ケースから数粒の正炉丸を取り出すと、それを苑子の肛門に押し込んでやる。

(ちょっと漏れたみたいだぞ?)

(う、うそ)

(大丈夫、舐めてきれいにしてやる)

(だっ、だめだよ、おにいちゃん、きたないったら)

 さすがにびっくりする苑子を、おれは抑えつける。

 正炉丸を詰めた肛門に舌を挿し入れる。

 苦い――だが、これは健康にいい苦みなのだ――万能薬だしな。

 苑子のおしりの穴の粘膜を舌で清めていく。

(お、にいちゃ……だっ、だめ……)

 苑子の囁き声が今や切迫している。

(だっ……声……がまん……できっ)

 やばいかな。苑子のやつ、おしりがすごく感じるみたいだ。まあ、おれだって、尻の穴を剥かれて、たんねんに粘膜を舐められたら、ちょっと声をこらえる自信はないが。

 見れば、苑子の割れ目もぐっしょぐしょだ。外側まで、たれてきている。

 アヌスを責められて濡れる小学生か……。苑子のやつ、やるなあ。

(声が出そうだったら、おれにしがみつけ)

 そう囁いて、アニリングスを続ける。正炉丸が溶けてきて、なんか本物のアレっぽくなってきた。だが、匂いと味はすごいね、ほんと。

(し、しびれる……よぉっ……も、もぉ……っ)

 苑子が懸命におれにしがみついてくる。いてて、尻肉を握りしめるなよ。だが、それくらい、苑子の身体には強烈な感覚が襲っているということなのだろう。

 てゆうか、粘膜から正炉丸が吸収されているのかもしれない。考えてみれば、この薬は虫歯に詰めて、痛みどめに使うくらいなのだ。痺れて当然だ。

 ――はっ。

 そこまで、考えていなかったが、これはもしや……

 いかん。

 いかんぞ、おれ。

 そこまでしてはだめだ。鬼畜すぎる。

 でも……

 痛みどめ使ったわけだしぃ……

 てへ。

つづく……