らんま1/2 新婚編?

第一章 〜ドキドキ初夜パニック! 乱馬とあかねが初えっち!?〜

   

 甘い息が香る。

 口づけのあとの余韻に満ちた吐息。

「はあ……」

 あかねの部屋で二人きり。

 式を挙げたからといって、いきなり夫婦のように振る舞えるはずはない。

 おたがいの気持ちがわかっていても、それを言葉にしたり、実際の行動にすることは、ひどくむずかしい。乱馬もあかねも意地っ張りな点では人並はずれているからだ。

 それでも、乱馬があかねの部屋で寝泊まりするようになって数日が過ぎると、男と女のこと、それなりに雰囲気は熟れはじめてきた。

 そして、今夜、ついに抱き合って、キスをするところまで「進展」したのだ。

 しかし、問題はその先だ。

 乱馬は緊張の面持ちで、あかねのパジャマのボタンに指をかけた。

「い、いいよな?」

「う……うん」

 あかねがかすかにうなずく。

 肌に直接触れていないのに、あかねの鼓動がわかる。どきんどきん、激しく打っている。それは乱馬も同じだ。苦しいほどに鼓動が速くなって、視界が狭くなったような気がする。

 うまくボタンが外れない。アガってしまって、指先をうまくコントロールできないのだ。

 あかねはあかねで、背筋を伸ばして固まっている。自分で脱ぐ、ということを言い出せない様子だ。

 なんとかふたつまでボタンが外れた。パジャマの下はノーブラだ。胸の谷間が覗く。

 あかねは反射的に腕で胸元を隠した。

 耳たぶまで赤くしてうつむく。

「あの……手、どけて……」

 乱馬の声がかすれる。

「おねがい……電気、消して」

 あかねがうつむいたまま言う。乱馬はあわてて立ち上がって、電灯のスイッチをオフにする。

 部屋が闇に落ちる。

 ベッドの方にもどろうとした乱馬は、ごみばこに足をとられてよろめいた。

 柔らかい感触が手に当たり、そのまま押し倒してしまう。

 ベッドのマットが弾んだ。

 乱馬の身体の下にはあかねがいた。自分で肩を抱くようにして、小さくなっている。

「あ……あかね」

 暗闇のなかで抱いた感触は、想像していたよりずっと華奢で、それでいて柔らかかった。

「乱馬……」

 あかねの声が震えている。

「触って……いいか?」

「うん……」

 乱馬は唾を飲みこみ、手探りであかねの胸元に触れる。

 頼りない感覚。手を動かすと大くて柔らかな感触が。

「あかねの胸……大きいな」

「え?」

「ふかふかしてる……」

「乱馬、それ、枕よ」

 どうやら見当違いのところを触っていたようだ。

「わ、わかっててやったんだ。き、緊張を解いてやろうと思って」

 乱馬の下で、あかねがくすっと笑ったようだ。

 少し闇に慣れてきた乱馬の視界に、微笑んでいるあかねの顔が白く浮かびあがる。

「乱馬、わたしはここよ」

 あかねが自分をガードしていた腕をほどいて、乱馬の手を取った。

 そして、乱馬を自らの胸元の――やや上あたりに誘った。さすがにふくらみに直接誘導するのは恥ずかしかったのだろう。

「あかね……」

 今度こそは確実にあかねの肉体を感じる。

 黄色いパジャマも夜目には灰色にしか見えない。だが、その下のあかねの肌の白さとのコントラストは明らかだ。乱馬はあかねのパジャマの残りのボタンを外していく。

 パジャマの前をはだける。あかねの裸の胸だ。明るければなぁ、と乱馬は思う。でも、たぶん、それがもろに視界に飛び込んできたら、かえって何も見えなくなってしまっていたかもしれない。明るい部屋ではボタンをうまく外せなかったように。

 乱馬は右手であかねの胸のふくらみの上においた。

 ふにゅっという柔らかい感触と、その奥にある弾力の両方が伝わってくる。

 もちろん枕なんかとは手ざわりがちがう。

「あ……らん……ま」

 あかねの声がため息のようになる。乱馬はたまらない。

「あかねぇっ!」

 顔をあかねのふたつのふくらみのまん中あたりに埋めた。

 双丘に頬をこすりつける。

 風呂上がりのあかねの肌からは石鹸の香りがする。

 なめらかでしっとりとした肌の感触は、まるで赤ちゃんのそれのようにみずみずしい。

「乱馬ぁ……」

 あかねが乱馬の頭を抱えるようにする。

 乱馬はあかねの乳首を唇で探した。ちゅっちゅっ、音をたてて乳房に口づけしながら、その頂点をサーチする。

「はっ……あ……」

 白い肌の一点に色の濃い部分が見つかる。その部分に唇で触れた。

 ちょっとだけ硬さが違う。プチンと立ちあがったちっちゃな尖り。乱馬は、それを唇で挟んだ。

「あんっ!」

 ふくらみそのものに吸いつく。吸い上げつつ、じょじょに吸引のポイントを絞りこんでいく。乳首の感触が唇に残ったところで、さらに強く吸う。

 ちゅうう。

「ん……あ……あ……」

 あかねの身体に力が入る。なにかをこらえている気配。

 ちゅぽっ。

「はあ……」

 乱馬の唇が離れると、あかねの背中から緊張が抜ける。

 だが、今度はもう一方のふくらみに乱馬の攻撃は移る。キスしながら、乳首を探り、やはり吸いあげる。

「うくっ……ん……ふ……」

 あかねが息を詰めている。

 少し余裕が出てきた乱馬は、片手であかねの乳房をもみしだきながら、乳首にキスの雨を降らせた。

 舌に当たる尖りの感じが変わってきた。指でつまむと、明らかに大きくなっている。

「あかね……乳首立ってる。気持ちいいんだ?」

「ばか……」

 あかねが小さくつぶやく。

「乱馬がしつこく触わるから……でしょ」

「だって、あかねの胸、触ると気持ちいいんだもん」

「自分のほうが胸が大きいって、いつも自慢してるくせに」

「バーカ、自分の乳触ったって、面白くもなんともねーぜ」

 乱馬はあかねの乳房を握って中央に寄せた。左右の乳首を交互に舌で刺激する。

「あっ……だめ……乱馬……」

 あかねの声が裏返る。

「そんなにされたら……いや……はずかし、い……っ」

 声を出すまいとするかのように、あかねは自分の指を歯に当てた。もじもじと膝をすりあわせながら、身悶えしている。

「もしかしたら、あかね、感じてる?」

「ばかっ、もお……」

「じゃあ、こっちも……」

 言いつつ、乱馬はあかねの両の腿のつけねに手を伸ばした。

「あ」

 ぴくん、とあかねの身体が震える。乱馬は息が荒くなっていくのを自制できない。中指に全神経を集めて、その部分の感触を確かめる。

 パジャマのズボンの股のあたり、ちょっと厚めの布地を通して、あかねの大切な部分の凹凸とその柔らかさが伝わってくる。そして、ちょっぴり湿った感触も。

「あかねの……ここ……濡れてるみたいだ……」

「あ、汗よ」

「ほんとかよ? 確かめるぜ」

 乱馬がパジャマのズボンに手をかけた。ずりおろそうとする。

「あ、だめ」

 あかねがあわてて乱馬の手首をつかむ。

「あかね、手を離せよ」

「だって……」

 あかねの声が消え入りそうにゆらぐ。

「恥ずかしいんだもん、すごく」

「これ脱がないと、続きできないぞ」

「でも……」

「あかね!」

「……はい」

 強い口調で名前を呼ばれて観念したのか、あかねは手を離した。

 乱馬はあかねのズボンを脱がしていく。あかねはちょっと腰を浮かして、脱がされるままになっている。

 白いショーツがあらわになる。乱馬は指でそれに触れてみる。つるつるとした感触はシルクだろうか。もしかしたら、あかねも今夜のことを意識して、とっておきのを身に着けたのかもしれない。

 乱馬は平静を装いながらも、心臓が喉から飛び出しそうなほどに興奮している。

 今から、あかねの大事な部分をいじくるのだ――

 はあはあと息を吐きつつ、乱馬はショーツごしにそこに指を当ててみる。

 峡谷の存在を感じる。両側から迫る土手の部分のぷっくりとした感触と、その奥のやわやわとした感触が同時に伝わってくる。

 あかねが腿を動かした。脚を閉じようとする反射的な動きだ。乱馬はそれを片手で封じる。

 乱馬は無言であかねのその部分を探りつづけた。たぶん、形相も変わっているだろう。胸を愛撫していた時の余裕はすでに微塵もない。

 布ごしに、陰毛の存在がわかる。カサカサと音がする。その下から亀裂が始まりがある。その付近にクリトリスがあるのだろうが、ショーツごしにはよくわからない。

 乱馬はショーツの股ぐりの近くに顔を寄せた。

 布の下に、指を――くぐらせる。

「あっ……ん……」

 あかねが声をもらした。

「あかねぇっ」

 乱馬の理性の糸が音を立てて切れる。その部分がデリケートであることも忘れて、強引に指を食い込ませる。

「いたいっ、いたいよ、乱馬」

「でも、おれ、もうがまんできねえよ」

 乱馬は自分のパジャマのズボンとブリーフをいちどきにずり下ろした。

 屹立したペニスは痛いほど腫れあがって、仮性包茎の包皮もめくれて、亀頭があらわになっている。

「あかね……あかねっ」

 乱馬は少女にのしかかっていく。

 指を秘所に入れて、場所もよくわからぬままにかきまわす。

「いやっ、痛い、乱馬……やめてっ!」

 抗おうとするあかねだが、乱馬に押えつけられて、身動きもできない。

 ショーツを脱がす精神的なゆとりもないままに、乱馬は布をずらしてあかねの股間を露出させ、亀裂の部分にペニスを押し当てた。

 予習の知識も、イメージトレーニングも、どこかに行ってしまっていた。乱馬の頭のなかには、あかねとひとつになる、その欲望だけしかなかった。

「乱馬……乱暴はいや……」

 あかねが泣き声になる。それでも乱馬は性急に挿入を求めた。

 入口とおぼしき場所に先端が当たる。

「いっ」

 あかねがうめく。

「そこ……ちが……」

 ぐいっ!

「ひぃっ!」

 その部分は濡れつつあったけれども、まだ男性器を受け入れるには充分ではなかったようだ。乱馬は粘膜の壁の突破点を見出せぬまま、亀頭をいたずらにこすりつけていた。

「あ……あ……」

 ベッドの上で、あかねがずりあがっていく。痛みと恐怖が、あかねにそうさせているのだ。

「あかね……あかね……っ!」

 乱馬は亀頭をあかねの性器の谷間に埋め、ぐりぐりと押しつける。これが挿入したということなのか、そうではないのか――それすらもわからないままに、腰を動かす。

「あっ、おれ……」

 敏感な乱馬の亀頭は、それだけでも充分刺激を受け取ったらしい――

「ああっ!」

 びゅくびゅくと震えながら、乱馬は放出した。

 精液があかねのお腹にかかる。

「ひぃ……い……」

 あかねは泣きじゃくりながら、クッションを抱きしめていた。

 放出して正気にもどった乱馬は、あかねの泣き顔にショックを受ける。

「ご……ごめん……あかね」

「ら、乱馬の……バカぁ」

「悪かったよ、あやまるからさ」

 乱馬はベッドの上で土下座のような格好になる。

「最初から、や、やり直すから」

 だが、あかねはふるふると首を横に動かす。

「痛いし……怖いし……もうやだぁ」

「いかんなあ、乱馬くん」

「そうだ、情けないぞ、乱馬」

 電灯がパッとついた。

 そこには、ほっかむりをした早雲と玄馬がいる。

「まったく……がっついちゃダメって男の子雑誌にも書いてあるでしょうに」

 ビデオカメラを構えたなびきも、乱馬をなじるように言う。

「女の子はデリケートなんですからね、むりやりはダメよ」

 ネグリジェ姿のかすみも、めっ、とする。

「あかねちゅわん、わしが慰めてやろうか?」

 そう言いつつベッドににじり寄っていったのは八宝斉だ。

 あかねはかけぶとんを引き寄せて、身体を被っている。あまりのことに思考停止しているようだ。

 乱馬もフルチンで茫然としている。

 ペニスを勃起させていた血液が抜けていくにしたがい、状況が頭に格納されていく。ようやく、言語野に命令がとどく。

「てめーらっ! いったい、ここでなにしてやがんだ!?」

「父はおまえとあかねくんがきちんと事を致せるかどうか心配してだな」

「そうそう。最初が肝心だからね」

 玄馬と早雲が腕組みしつつ言い訳をはじめる。

「ビデオは記念のためよ。ほら、やっぱり人生の一大イベントだし」

「なびき、それはちょっと行きすぎだと思うわよ」

「いいじゃない、減るもんじゃなし」

「あなた、通販の予約を取っていたでしょう?」

「だって、売れるんですものっ」

 なびきとかすみがのんびり会話をしていたりする。

「てっ……てめえら……」

 怒鳴り声をあげるために乱馬は息を吸った。それを炸裂させようと胸郭に力をこめた時、背後であかねが爆発した。

「ばかあっ! みんな最低っ! 出てってよぉっ!」

 いろいろなもの――ぬいぐるみや枕や、目覚まし時計、本、花瓶などなどが投げられる。早雲たちはほうほうの態で部屋から退散していく。

 乱馬は口をぱくぱくさせた。あかねに機先を制されてしまったせいだ。頭をかきながら、あかねを振りかえる。

「……ったく、困ったもんだよな」

 その顔面に小型のバーベルが命中する。

「あんたも出てくのっ!」

 

 乱馬はその夜、廊下で一夜を過ごすことになった……

 

つづくような気も……