らんま1/2
その朝に……
(仮題)


第二章 それぞれに、企むひとびと(承前)

*

*

「ば、ばかっ、胸が当たる、先っちょが」

 シャンプーの乳房がらんまの胸に押しつけられている。柔らかいもの同士がふれあい、押し合う感覚。ふわふわなものがくにゅくにゅと変形している。

「女らんまの胸、なかなか気持ちいいあるな」

「やめろっ、ばかっ」

 シャンプーは自分の乳首で、らんまの乳首をタッチする。くりくりと乳頭がからみあう。

 むずがゆい感覚が閾値を超えて、声が出てしまう。

「くうっ、あはっ」

 シャンプーがケラケラ笑う。

「いい声ある、乱馬。女の子みたいあるな――いまはほんとに女あるが」

「ふざけやがって……あっ、ばか、吸うなっ」

 シャンプーが唇にらんまの乳首をはさんでいる。

 吸いあげられる。

 らんまの意識が白熱する。背筋から後頭部にかけてが痺れたような感じだ。

 シャンプーの舌が転がしている。らんまは身体をよじった。逃げようとしている、というよりも、胸からもたらされる快感に対処できないのだ。

「ああっ、やめろ、やめてくれ……ふああっ!」

「女らんまは感じやすいあるな。思ったとおりある」

「な……なんだと……」

 シャンプーは猫科の笑みを浮かべている。唇から唾液が糸を引いて、らんまの充血した乳首につながっている。

「性欲も《気》も似ているある。《気》は強いほうに集まるもの。乱馬は男と女の身体を使いわけているうちに、性欲のより強い女の身体のほうに集中してしまたね。だから、女らんまは大淫乱になる、これ必然ね」

「そ……そんなバカな理屈……」

「それを証明するある。これから――」

 シャンプーは乱馬のスラックスのベルトを外し、ファスナーを下ろす。

「ばかっ、よせっ!」

 らんまは抗おうとする。が、シャンプーの唇が乳首を包みこむと、抵抗できなくなってしまう。

「あ……あ……あン」

 女らんまは喉を鳴らした。スラックスを脱がされているのを感じる。トランクスもだ。

 股間に何かが分け入ってくる。らんまは思わず声をたててしまう。

「ほうら、やぱり濡れてるある」

 シャンプーが嬉しそうに言う。らんまの脚の間に入れた指を動かす。くちゅくちゅと音が鳴る。

「ううっ……あ」

 らんまのその部分が他人に触れられたのはもちろん初めてだ。女の姿になったとき、好奇心でちょっと触ってみたことはあるが、すこし触れただけで恐ろしいまでに気持ちよくなってしまうことを知り、控えていた。それをすることで、本来の男としての誇りが揺らぐような気がしたからだ。女のほうがいい、なんて認めたくなかった。

 だが、いま、むりやりそれを認めさせられようとしている。

「女らんまの弱点はここあるか」

 くりくりと指がらんまの敏感な芽をほじくりだす。

 そこから莫大な量の快感が押し寄せてきて、らんまは窒息するのではないかと思った。

「さすがに大きいある。男になたときが楽しみね」

 シャンプーは、らんまの芽を可愛がりながら頬をゆるめる。

「あっ、あんっ、ああっ、あはあっ!」

 もうらんまは声をこらえられない。シャンプーの指遣いに翻弄されていた。

 女の子の亀頭をぬるぬるのついた指でつままれ、擦られて、気が狂いそうに気持ちがいい。

「女らんまのココ、もうびしょびしょある」

 シャンプーの指がらんまの入り口を探っている。

「どういうふうになているか、興味あるね」

 シャンプーは意地悪く微笑むと、指を、らんまの中に――

「うああああっ!」

 らんまは叫んでいた。その部分が、その部分が――溶けてしまいそうだ。

「気持ちいいあるか? すごいね。女の身体でここまで感じられるなんて――でも、ここまである」

 シャンプーはどこからともなくやかんを取り出した。もう、その出所をとやかく問うような野暮な人間はいない。

「今度はわたしを気持ちよくしてもらうある」

 シャンプーはやかんのお湯をらんまに注いだ。

 らんまの姿が瞬時に乱馬に変わる。

「やっぱりすごいある、乱馬……」

 シャンプーがうっとりと乱馬の股間を見つめる。

 その部分は女の身体のときに与えられた刺激をそのまま引き継いで、見事に屹立して、びくんびくん震えていた。

*

「さあ、天道あかね、あんよを開きなさいねえ」

 小太刀は楽しくてたまらぬというように、あかねをうながす。

 息もたえだえのあかねは、もう小太刀のなすがままだ。

 上半身をテーブルにうつぶせにさせ、ドレスのすそをからげる。

「あ、あかねさんっ」

 良牙は助けに駆け寄ろうとして、あかねのドレスがまくりあがった瞬間に足をとめた。固まってしまったのだ。

 真っ白なヒップがむきだしになっている。すでに矯正下着は小太刀が外した後だ。

 あこがれの少女のあられもない姿に、自律神経が麻痺でもしてしまったようだ。

「尻だ」

 九能帯刀の喉仏が上下する。唾をのみこんだのだ。

「てっ、天道あかねのっ、尻だ」

「そうよぉ、おにいさまが焦がれていた、天道あかねが、もうこんなになって、殿方のお越しを待ちかねているのよ」

 小太刀があかねのヒップを左右に開き、その内側のセクションを男たちの目の前に晒した。

「おうっ」

 良牙は両手で顔を覆った。

 帯刀は一歩前に出た。

「しっ、尻の穴まで……」

「そう、こんなところまで、ま・る・み・え」

 小太刀の指があかねのアヌスの入り口を開いた。少し肌色の濃い部分が裂けて、サーモンピンクの粘膜があらわになる。太刀に開かれた刺激から、ひくひく動いている。

「もちろん、こ・こ・も」

 さらに下にある少女の花唇をめくり、襞の奥までに光を入れる。

 そこはとろとろと愛液にまみれ、湯気さえたてそうだ。

 九能はそこを凝視しながら、かすれた声をもらす。

「だめだっ、天道あかねとは交換日記からはじめて、しかるべき手順をふまなければっ……」

「でも、殿方の目的はココに入れることなんでしょう?」

「もちろんそうだ! ではなく、あううっ、悩むっ、悩むぞおっ」

「だめねえ、おにいさまったら。いざとなったらてんでだらしない。これじゃあ、天道あかねに一番乗りするのは良牙どの、かしら?」

「おれ?」

 視線をそらしていた良牙が弾かれたように振り向く。そのとたん、小太刀の指で全開にさせられたあかねの恥部を見てしまう。顔が真っ赤にゆであがる。

「そうよお、こんなに濡れて、ほしがっているじゃあない」

「そんなっ! こんな卑劣な方法であかねさんと……あかねさんと……」

「えらそうなことを言っても、殿方はみんなおなじ」

 小太刀はあざ笑う。

「――実力では乱馬さまから天道あかねを奪えなかったんじゃないの、あなたたちは。だから、こうしてチャンスをあげたっていうのに――とんだ意気地なしね」

 その言葉に、九能が鋭く反応する。

「聞き捨てならんぞ、小太刀! この九能家次期当主たるぼく、九能帯刀を意気地なし呼ばわりするとは!」

「だったら、殿方らしいところをお見せいただきたいものですわ、おにいさま。天道あかねを見事モノにして、乱馬さまの前には二度と出られないようにしてあげてくださいな」

「よしっ! みていろ!」

 九能は袴を脱いだ。むろん、下は日本男児の魂、ふんどしである――と言いたいところであるが、なぜか黒のビキニブリーフだ。

「まあ、おにいさま、勝負パンツ?」

「男のたしなみだ」

 九能はブリーフも脱いだ。このへんは男らしいというべきか。

「さあ、天道あかね、いよいよお待ちかねの殿方のアレを入れていただけるわよ」

 小太刀はあかねにささやきかける。楽しそうだ。

「あ……あ……なに?」

 あかねはまだ朦朧としている。最初のアクメの続きにいるのだ。

「ここに、ほしいでしょ? 指なんかより、もっと、太くて、硬いもの」

 小太刀はゆっくりとあかねの秘部を指でこねまわす。敏感になっているあかねのその部分は、鋭い感覚をあかねの意識に伝えてくる。

入れて……「うあっ! う……っ、うう……」

「ね? ほしいでしょ? 殿方の、オチンチン」

 クリトリスを指先で弾く。

「ひうっ!」

 あかねはまたも軽く達してしまう。

「ほしい、と言いなさい」

「……ほしい」

 あかねは返事をしていた。なにがなんだかわからない。シャッフルされた意識のなかでは、優しく語りかけて、快感をあたえてくれる小太刀の声は絶対的だった。逆らうことなんて、できない。

「どうか、あかねのココにオチンチンを入れてください――って言うのよ」

 あかねの入り口を大きく開きながら、小太刀が命じる。

「……どうか……あかねのココに……オチンチンを……入れて、ください……」

 意味もわからず復唱する。ただ、そう言うことで、さらに気持ちいいことが起こる、という期待はおぼろにはあった。

「い、いくぞ、天道あかね」

 九能は緊張ぎみだ。そりかえったペニスはぴくぴくと動いている。

「どうぞ、おにいさま」

 小太刀があかねのヒップを固定する。

 九能はペニスの先端をあかねの割れ目に当てた。

 入り口をさぐる。

「うっ……は……んん」

 あかねが鼻を鳴らす。快感の予感に声がうるんでいる。

 小太刀はけたたましく嗤う。

「挙式前に処女を失いなさいな、天道あかね。二度と乱馬さまの前には出られない身体にしてあげるわ」

「入るぞ……うっ、からみついて……っ」

 九能が腰を進める。真っ赤に充血した亀頭が、あかねの体内にもぐりこんでいく。

「あっ、うっ、入って……くるぅ……」

 あかねが声を放つ。あまい声。

 ずぬぬ。ぬうっ。

「あああああっ!」

 満たされた瞬間、あかねは声をはなった。

つづく!