バーチャルフィギュア大作戦2 電子の妖精を補完せよ! |
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「艦長……」
ハーリーはベッドに横たわったまま胸を上下させていた。股間は、ルリの舌と指でさんざんに刺激されて、もうどうしようもなく屹立している。
「ハーリーくん」
ルリは、少年にまたがるように身体の位置をかえた。サブロウタの指を受け入れていた部分が真っ赤に充血して、とろとろに潤っているのが見える。
――なんて奇麗なんだ。
ルリのその部分は透明な愛液の分泌に輝き、可憐な花びらをわずかに露出させている。
――艦長の、あの、中に……入るんだ、ぼく……
ほとんど陶酔に近い感覚がハーリーの意識を支配していた。
「じゃあ、艦長、よろしく」
サブロウタがニヤニヤ笑いながら言う。
その諧謔をふくんだ声にハーリーの陶酔が破れる。
忘れていた――この行為はサブロウタに強要されてのものであり、目的といえは――そうだ――ルリのデータをバーチャルフィギュアに転用するためなのだ。
すなわち、これからハーリーが体験するルリの体内の感触を、多くの男たちも味わえるということなのだ。
――そ、そんな……!
ハーリーは、ぞっ、とする。ホシノ・ルリの秘部の精緻なデータを埋めこまれたバーチャルフィギュアが、いろいろな付属データ付きで、宇宙にバラまかれるのだ。セーラー服とか体操服にブルマとか裸エプロンとかネコの着ぐるみとか、それとか、それとか――
そんなこと、許してはならない。あってはならないことだ。ルリのその部分は――大切なものだ。かんたんに複製されたり、売られたりするべきものではない。
なぜならば、ホシノ・ルリはハーリーにとっては間違いなく――
「ハーリーくん、いくよ」
ルリはハーリーの性器に手を添えた。自ら腰を動かして、ハーリーの張り詰めた部分の先端に、おのれの入り口をあわせていく。
「ん……」
わずかに眉間にしわを寄せて、ルリが腰を沈めてゆく。ハーリーの先端に柔らかくて暖かくて湿ったものが押し当てられて――
「だめです、艦長っ!」
ハーリーは身体をよじった。先端がルリの柔らかな谷間をすべて、横にすべる。
「ハーリーくん、動いたら入らないよ?」
「艦長がこんなことしなくちゃならない必要、ありませんよ! こんなデータがばらまかれたりしたら……艦長が、可哀想です……う、うう……」
語尾は嗚咽になった。ハーリーはしゃくりあげていた。
「……ハーリーくん」
ルリが目を伏せた。
「それこそ可哀想ってもんだぜ、ハーリー」
サブロウタが肩をすくめた。無造作にルリのおしりを抱える。ひく、とルリが軽くのけぞる。
「もうこんなに準備ができちまっているってのに、入れてやんないなんて――無情だぜ」
指でルリの部分をにちにちといじる。そうするだけで雫がたれてしまうほど、そこは濡れている。
「あ……ああ……う」
ルリは抵抗しない。どころか、サブロウタの指の動きに合わせて腰を回している。
「しょうがねえな。センサーが役に立たないんじゃ、おれが実地に入れて、手入力でデータを修正するか」
サブロウタが自分のペニスを露出させる。おとなの性器だ。完全に亀頭が露出しているし、反り返っている。
「入れてやるぜ、艦長。尻を上げな」
「艦長……」
ハーリーはルリを見あげた。そんなばかな、と思う。
ルリと目が合った。いつものクールさはすでにない。うるんだ瞳が、一瞬だけ哀しそうに揺らぐ。
「ごめん、ハーリーくん……でも……もう、がまんできない」
ルリがおしりを上げていく。サブロウタのモノを自ら求めているのだ。
「高杉中尉……お願い……はやく……」
ルリがせがむ。ほんとうに切迫しているようだ。
「行くぞ、艦長――いや、ルリ」
勝ち誇った大人の男の声でサブロウタが言った。
「かんちょ……」
「は……んっ」
仰向けのハーリーの顔のすぐ上で、ルリの眉根がきゅっと寄せられた。
ぐん、とルリの身体がハーリーの方に近づく。胸がほとんどハーリーの顔のところにまできた。
「――艦長!?」
「ハーリー、おしいことしたなあ。せっかくお前に一番乗りを譲るつもりだったのに――」
サブロウタの声が聞こえた。ルリの肩ごしに、笑っている顔が見えた。
「――奥まで、入っちゃったぜ」
サブロウタが言い、また突いた。ルリの身体もそれに合わせて動く。大きいとは言えないが小さくもない胸が、ぷるぷると固そうに揺れる。
「あっ……あ……」
ルリの顔が、もどってきた。
かたくまぶたを閉じているが、唇が開いている。熱い吐息がハーリーの顔にあたる。
「気持ち……いい……」
ハーリーはたまらなくなった。もう、どうしようもない。
「艦長っ!」
わめきながら、ハーリーはルリの唇に吸いついていった。
もはやハーリーにも否やはなかった。眼前で、ただルリが犯されるのを見ているだけなんてできない。
縛めはもう必要なかった。
解かれた両手はルリの乳房をもみしだき、唇は乳首に貼りついた。
そして、少年のペニスは――ルリの中におさまっていた。
その場所をハーリーに譲ったサブロウタは満足そうにコンソールを見やった。
ルリの膣内の形状、体温、柔軟性、分泌の量、子宮頸部のカーブとざらつき感に至るまでが、精緻なデータとして採集されている。
「これで電子の妖精のデータも完璧になる。マスター・ウリバタケの仕事をおれは補完したことになる」
サブロウタは深くうなずき、それから腰を激しく上下させているルリのヒップにまわった。
「おれも楽しませてもらうぜ。こっちの穴でな」
ルリのその部分は先程すでに指と舌で開発済みだ。サブロウタは、ルリの後ろの穴に、自分自身をゆっくりと沈めていった。
「くうっ……」
ルリは声を押し殺しながら、二本目の侵入を受け入れる。
ルリは乱れていた。髪を振り乱し、声も抑えていない。
下からハーリーに突きあげられ、後ろからはサブロウタに挿しこまれている。
「どうだ、艦長? どんな感じがする?」
サブロウタの意地悪な問いに、ルリがかすれた声をあげる。
「中で、こすれて……ごりごりって……ああっ!」
二本が両方とも巨根だったら、ルリの小作りなセクションは破壊されていたかもしれない。だが、ハーリーの未成熟なこわばりと、サブロウタの充実した剛直は、セットでちょうどよいバランスだった。
「ああ、はあ……す……すごい……あああ」
ややハスキーなルリの声はさらに鼻にかかって甘さを増していた。
「こんなの……はじめて……んぅぅ」
「艦長のアナルもなかなかいいぜ。可愛い顔して、たいしたもんだ」
「あうっ……高杉中尉……いわないで」
ルリの顔は真っ赤だ。唇が開いて、赤い舌が覗いている。
「か、艦長……し、締まる」
ハーリーが悲鳴じみた声をあげる。
「ハーリーくんのオチンチンが……奥に当たって……こつんこつんって……気持ちいい」
「ああ、おれも感じる。ハーリーの硬いのが、艦長の子宮に当たってるんだろ」
「うわっ……サブロウタさんのが……」
ハーリーも叫ぶ。
その唇をルリが奪った。舌を挿しいれて、からませる。
「むうう……んぷぶ」
ハーリーは呼吸さえできない様子だ。舌を入れてきたルリは、懸命にヒップを振っている。
均衡はほどなく破れた。
「艦長っ、出ちゃいますっ」
ルリのくちづけから逃れ、可愛らしい声をあげて、まずハーリーが達した。
ルリの膣の奥めがけて、精液をロケット弾のようにほとばしらせる。びくんびくんと身体がはねる。
「す、すごい……っ」
ハーリーは虚空を見ている。呆然としていた。
「ハーリーくん……たくさん出したね」
ルリが優しく言う。だが、新しい世界に衝撃を受けたらしいハーリーの耳には届いていないようだ。
「ハーリー、早いぜ」
サブロウタが唇をとがらせる。
「ま、いいか。データは完全に集まったしな」
ニヤリと笑うと、ルリのヒップをつかんで引き寄せた。ハーリーのペニスがにゅるんと抜けて、ルリのその部分から――
「ハーリーくんのが……たれてる」
若者が放った精液がぬろぬろとこぼれ出て、ルリの太股をつたう。
「おれも、最後はこっちにするかな」
サブロウタはルリの肛門からペニスをぬくと、ハーリーの精液にまみれた膣に亀頭を押し当てる。
「あ……あ……」
ルリが切なげに声をあげる。亀頭がクリトリスをこすっているのだ。
「ヒクヒクして、誘ってるぜ、艦長」
「いじ、わるしないで、入れて……」
サブロウタがルリの花びらにペニスをねじこむ。
「あっ、おおき……い……」
肉穴の奥から白い粘液が圧し出されてくる。その漏出は、サブロウタの腰の動きにともなって激しくなり、白く泡立ちはじめる。
「すげえぜ、艦長のまんこ、さっきより具合がよくなってるぜ。ハーリーのおかげか?」
「あ……あっ……高杉中尉……お、大きいの、すごいの……」
人形のように整ったルリの美貌に淫猥の影がさす。
「きも……気持ちいいの……あっ、ああ……あそこが……あそこが……」
「艦長、おまんこがイイって言ってみろよ――スッとするぜ」
腰を叩きつけながら、サブロウタがそそのかす。ルリに淫語を言わせる――それをサンプリングして、バーチャルフィギュアにバンドルすれば、さらに付加価値がつくというものだ。
「んぅ……うっ、はぁっ、はぁ……」
ルリが自分で胸をもみしだきながら、声をはずませる。
「言えません……そんな……」
「言えるさ。『おまんこがイイ』――ほぅら」
ペニスをルリの胎内奥深くまでねじこむ。
「あはぁっ! こすれるっ……! おまんこに……っ!」
「ほうら、言えた。もっと、言ってみな」
「おまんこ……わたしのおまんこ……気持ちいぃ……っ!」
「艦長ぉ」
ハーリーが真顔でルリに迫る。股間が回復している。ぴくんぴくん震えている。
「ハーリーくん……オチンチン……ちょうだい」
バックからサブロウタに犯されながら、ルリはおろしたての少年のペニスを要求した。
包皮のなかに舌を挿しいれ、恥垢ごと削ぎ落とすように、舌べらを這わせていく。
「艦長……すごい……」
鈴口を吸われながら、ハーリーは陶然とした表情でうめく。
「たいしたもんだ。フェラもずいぶん上達したな」
サブロウタが感心したようにつぶやく。
「このデータを商品化したら、ほかのバーチャルフィギュアが売れなくなっちまうぜ……絶品だ」
腰の動きを速めていく。もう、彼自身、自分の欲望をコントロールできないのだ。
「んふっ、んぅ……むぅぅ……はぁぁ」
ハーリーのペニスから口をはなし、ルリはもどかしげに息をはく。
「ひさ……しぶりに……いき、そう……ぅっ」
サブロウタが体位を変える。ルリを仰向けにすると、足首をつかんで大きく左右に広げさせ、真上から腰を落すようにピストン運動する。
押し込むたびにペニスがルリの子宮をえぐる――それくらいの勢いだ。
ハーリーもルリの顔にまたがり、亀頭をしゃぶらせている。サブロウタと二人がかりでルリを凌辱している。
「かんちょおっ……」
泣きながらハーリーは二度目の射精を始める。ルリの唇にザーメンを注いでいる。
「ハーリーくん……んぅぅ……んふぅ……うあっ……」
精液を飲み下す余裕もないままに、ルリの表情が蕩けていく。
「高杉中尉のオチンチンが、おなかの奥に……ささるぅ……っ! しびれる……も……もう、わたし……っ!」
「出すぜ、艦長、まんこの一番奥に突き刺してやるからな……っ!」
サブロウタは顔を歪ませて、最後の一突きをルリの性器の最奥部に食らわせる。
「ああああっ! い、いくぅぅぅっ!」
ルリが絶頂に達する。わななきながら、全身をピンク色に染め上げる。
びゅくっ! びゅるびゅるびゅるっ!
サブロウタのペニスから物凄い勢いで精液が噴出し、電子の妖精の子宮を満たす。ハーリーが放ったものとルリ自身の分泌物、そしてサブロウタのザーメンが混ざり合い、ルリの体内でシェイクされていく。
「あ……ああ……はあ……」
ルリは崩れ落ち、百戦錬磨のサブロウタさえ息もたえだえに倒れ込む。
――と、コンソールで小さくチャイムが鳴った。データの読み込みを終了したのだ。自動制御のプログラムはそのデータをホログラムに反映させていく。
一六歳のルリと一三歳のルリが、完璧なフォルムで再生された。
二人は裸で、手をつないでいる。
まだ荒い息をしながら、サブロウタは自分の作品の出来栄えに目を細めた。
「これこそ、芸術だ。瞬間の美を永遠にした――しかも、うつろいゆく快感さえも――」
サブロウタの感歎の独話は、しかし、完結しなかった。
ホログラムのルリの形状が突然壊れたのだ。データの破片が四散して、文字コードに還元していく。
「なっ……なに!?」
サブロウタはコンソールに走った。
システムが完全に制御を離れて暴走してしまっている。サブロウタのコマンドをまったく受けつけない。
「げっ、マスターデータに食い込まれた!」
サブロウタの眼前で、バーチャルフィギュアのデータが破壊されていく。ルリだけではなく、ほかの女性クルーたちのデータもだ。
次々とデータが無意味な数字の羅列に変化していく。猛烈な破壊ウィルスだ。しかも、女性のホログラムデータだけを選択的に攻撃している。思兼からも独立したシステムなのに、どうやってこんなものが侵入したのか。
――その意味するところに気づいたサブロウタは弾かれたように、ベッドの上のルリに目をやった。
ルリはティッシュで股間の後始末をしていた。その、部分にグリッドが走っている。ナノマシンによる、肉体の特定部位のコンピュータ端末化――
「まさか……そんな……」
ルリが自分の身体をインターフェイスにし、ハーリーを経由してコンピュータに侵入したのはもはや明らかだった。
その結果、バーチャルフィギュアの貴重なマスターデータのすべてが消滅してしまった。
サブロウタは肩を落とした。
「真の芸術が……瞬間の美が……失われてしまった」
「その『一瞬』に複製は不要です。ひとつだけ、あればいいんです」
ルリが顔をあげて言った。ほんのついさっきまで身も世もないほどに感じていた、その気振りさえない。
「ま、悪の野望は潰えるってことで」
サブロウタはまじまじとルリの顔を見た。
「最初から、そのために――?」
「いえ、その場のノリで。最初は強制的にハックするつもりでしたけど」
ルリは小首を傾げた。もしかしたら、かすかに笑ったのかもしれない。
サブロウタは苦笑する。というか、そうするしかない。
「じゃあ、すこしは楽しんでくれたってことか」
「――教えてあげません」
ルリはすまし顔で言い、事務的な口調にもどる。
「高杉中尉。艦のコンピュータリソースの違法使用ならびに風紀紊乱を助長するメールを送ったかどで、あなたに罰を与えます。今後一ヶ月間、艦内すべてのトイレを掃除すること。ハーリーくんについてはこのあと事情聴取の上、別途処分を検討します。なにか質問は?」
サブロウタは敬礼した。軍人としての条件反射である。
「ありません」
「では、退室してよろしい」
「はい」
サブロウタはきびすを返した。ベッドの上ではハーリーが幸せそうに寝息をたてている。その髪に、ルリが手を触れている。恋人同士にはぜったいに見えない。仲のよい姉弟の雰囲気だ。
――優しくしてもらうんだぞ、ハーリー。
心のなかでつぶやいて、サブロウタはハーリーの部屋をあとにした。
それは大樹だった。幹は大地の支柱さながらそそり立ち、そこから伸び出ずる無数の枝は、さながら天蓋のように空を覆っている。その空の色は電子の流れによって微妙に変化する。
広大な電脳世界の中心に位置する、その『場所』。思兼の本体のあるところ。
あれから数日のち――ルリは、定時の艦内チェックを終えて、そこに潜ってきていた。
彼女の肉体は艦橋の艦長席にあるが、精神は思兼の最奥部まで降りてきているのだ。ここへはルリ以外の誰も入りこむことはできない。もちろんハーリーであってもだ。ただ一人だけ例外はあったが、それは――
さやさやと梢が鳴っている。情報を保持する量子の波動が木の葉に姿をかえて、ルリの髪にかかる。そのひとつひとつが記憶。思兼の――そして、ルリ自身の――思い出たちだ。
ルリは葉っぱを手に取り、ふう、と吹く。あの『瞬間』の映像と会話の断片がふっとひらめく。ルリの頬に、薄く笑みがさす。
ふたたび空に舞いはじめた記憶たちを見やりながら、ルリは小高い丘にのぼっていく。そこに、巨木が生えているのだ。
丘の頂上に着いたルリは大樹を見上げる。思兼の本体であり、そして――
「こんにちは」
ルリは声をかけた。
「――こんにちは」
返事があった。いまのルリよりも、ほんのすこし細く、抑揚にとぼしい声だ。
幹のうしろから、少女がおずおずと姿を現わす。水色の髪に黄金の瞳。長い髪を両側でたばねて垂らしている。
ルリだ。それも一三歳のころの――それも、生まれたままの姿で。
ふたりのルリは仲良く腰をおろす。思兼の本体のまわりには、柔らかな草が生えていて、あちこちに名もない花が咲いている。
「――『あの人』は、見つかった?」
一三歳の姿をしたルリが訊いてくる。一六歳のルリは静かに首を横にふる。
「『あの人』は死んだの」
「そんなことないわ、だって」
一三歳のルリはそっと自分のお腹にふれる。薄い、幼い下腹部だ。
「ここに感じるもの。『あの人』の命を――」
「――知ってる」
一六歳のルリは、かつての自分の<正確なデータ>が入力されているバーチャルフィギュアの肩を、そっと包みこむように抱いた。
「だから、もういちど思い出させて――あの『一瞬』を」
ふたりのルリは身を寄せあい、草むらに倒れこんだ。記憶をつたえる量子の風に吹かれながら、ふたりはいつしかひとつになっていった。