「くわーっ、きくーっ」
カイがおおげさな声をだした。
「これってスコッチだよな。おれなんか一か月働いても、こんなの買えないぜ。だいたい、まだスコットランドで酒なんか作れるのかよ? 穴ぼこだらけだろ、あそこ」
「軍の保存庫にはまだまだたっぷりあるさ。飲むのは佐官クラス以上だからな」
このメンバーのなかでは唯一叩き上げの軍人であるリュウが言った。
「あれ、ブライトさん、大尉でしたよね。いいんですか?」
すでに何杯もグラスを傾けているブライトに、ハヤトが訊く。
「いいにきまっとるやんけ、艦長やぞ、おれ」
酔いがまわっているのか、ブライトは方言が出ていた。ふだんから細い目が、糸のようになっている。
「けっ、みんなしておれのことバカにしやがって。たしかに士官学校出のペーペーじゃわい。けど、なんでそんなにコケにされなあかんねん、くそっ」
「だいぶできてるなあ」
ウーロン茶を飲みながら、アムロがつぶやく。
「こらっ、アムロ、ニュータイプやからってすかしとると承知せえへんぞ。おまえも呑め! 酔え! 踊れ! んけけけ」
ブライトはへべれけである。
「フラウ、おかわりをつくらんかい、グズ! あーあー、そんなに氷とか入れるやつがあるかい、アホ! ええわい、ストレートでよこせ、アホンダラ」
「ご、ごめんなさい、ブライトさん」
フラウ・ボウは豹変したブライトの態度にとまどっている。スコッチのダブルのストレートを作り、チェイサーを添えるという知識もないままに、グラスを差し出した手首をつかまれて引き寄せられてしまう。
「あ、こぼれちゃう」
「ええねん、ええねん、こっちゃこい、こっちゃこい」
ブライトはフラウ・ボウを抱き寄せながら、そのむき出しの膝をなではじめた。
「トシなんぼや? ん? この店長いんか?」
「ブライトさん、どうやら前世の記憶でもよみがえらせたらしいな」
カイが肩をすくめる。
「これじゃ、おれたちパイロットの慰労じゃないぜ」
「ブライトさん、ストレスすごそうですもんね」
杜仲茶にかえたアムロが涼しい顔で言う。
「……ゆるせん」
ハヤトがつぶやいた。フラウ・ボウのふとももを触っているブライトの手を凝視している。その目はすわっている。
「ハヤトもできあがってるな。おーお、こいつ焼酎一人で一瓶あけてるぜ。つまみは塩だし」
九州人である、ということであろう。
のっそり、ハヤトが立つ。ゆらゆらとゆれながら、ブライトの方へ向かう。少し、空気が冷える。
「ブライトさん……おれも触っていいですか」
ふっと空気がなごみ、人々の頬がゆるむ。
「おうおう、ええとも。触ったれ、触ったれ。な、フラウかてええやろ?」
「え……は……い」
みんながんばっている人たちなんだ。このホワイトベースを守ってくれているんだ。それにひきかえ、あたしは何もできない。ミライさんのように操船もできないし、セイラさんのようにモビルスーツを動かすこともできない。ましてやアムロのようなニュータイプじゃない……
ハヤトがおずおずとフラウ・ボウのふとももを触りはじめている。
ブライトは前世のセクハラおやじの資質を発揮し、ふとももの上のほうに侵食をはじめている。スカートの裾にほとんど指が届いている。
「いやっ……」
さすがに悲鳴じみた声がこらえられない。
「アムロ……」
幼なじみの救けを期待したが、アムロはニコニコ笑って乾きものを口に運んではあごを動かしているだけだ。
「あかん、興奮してきたわ、わし」
ブライトが荒い息をはき、フラウ・ボウに抱きつきながら、頬に唇を押し当ててくる。右手をフラウ・ボウの胴に巻き付け、胸をさわっている。左手はスカートのなかに入れてきている。
「きゃあっ! ブライトさんっ、やめてくださいっ!」
「ブライトさん、強引すぎー」
カイが笑う。
酔っぱらいたちは、フラウ・ボウが襲われていても、現実感なく、ただヘラヘラ笑っているだけだった。戦場ですりへった神経をアルコールでさらに溶かすと、人はみな暴力に対して痛覚を持たなくなるのかもしれない。
もっとも、アムロは酔ってはいないのだが。
「じゃ、おれも参戦しよーっと」
カイが立ち、リュウが立つ。アムロもつきあいで立ちあがる。
ハヤトはすでにブライトのためにフラウ・ボウの肩を押さえこみにかかっている。彼は柔道の達人だ。
「いやっ……あっ……」
フラウ・ボウはなにがなんだかよくわからなかった。
酔っぱらった男たちのなかに一人でいることのあぶなさを理解していなかったのがいけなかったということなのだろう。
だが、今日の夕方まで頼れる艦長であり、心安い同僚であったパイロットたちが、オトコであるということ、ケモノであるということを覚悟しておけ、というのは若いフラウには酷なことだったのかもしれない。
ブライトに押し倒され、ハヤトに上半身の自由を封じられた。
カイがスカートのなかに手を入れ、パンティをするりと抜き取ってしまう。
「リュウ、フラウの脚を押さえてろ」
ブライトがいつもの口調にもどって命令する。
「……わかった」
重々しくリュウは答え、ジタバタしているフラウ・ボウの脚を大きくひろげさせ、固定した。
「アムロ、フラウ・ボウのあそこの状態を報告しろ。威力偵察だ」
「了解」
「ア……アムロ……やめてえ」
息がかかるほどアムロの顔がフラウの股間に接近する。
「どうだ、アムロ」
「発毛はしています。ただし、密生はしていません。亀裂周辺に若干、というところです。ちぢれはやや強いようですが、毛は細いようです」
「陰部はどうか」
「目視では不十分です。指をつかってもよいでしょうか」
「威力偵察だ。現場の判断に一任する」
「了解です」
「うう……」
フラウ・ボウは目をとじて、歯を食いしばった。
アムロが指で、フラウ・ボウの入り口を開いている。
「大陰唇の発育は充分ではありません。小陰唇は通常時では露出はしないようです。粘膜の色は薄いピンク。現状、まだ濡れてはいません。膣口を発見。調査しますか?」
「当然だ」
「うっ、あっ……」
フラウ・ボウはそこがこじ開けられるのを自覚して、うめき声をあげた。生理の時にしか存在を意識することさえないその場所を、アムロ・レイに観察、分析されている。
「膣口は指一本を受け入れられるかどうか、かなりきついです。入り口から少し入ったところで抵抗を受けました。処女膜であると思われます。突破しますか」
「いや、それは後でいい。それよりもクリトリスの位置と感度を報告せよ」
「了解」
アムロは、フラウ・ボウの股間の亀裂を上にたどり、中指でその部分をさぐった。
「突起を発見。勃起したクリトリスであると思われます」
「よし、そこを集中して攻撃しろ」
ブライトはフラウ・ボウの制服の上を脱がしにかかりながら、命令を続けた。
「カイ、ブラをはずしたら、おっぱいを揉みまくれ。ハヤトも援護しろ。乳首はおれがやる。リュウは、とりあえずフラウを押さえる役を継続」
「……わかった」