「唯の写真を撮りたいの?」
「うんっ、ぜひ!」
「どおしようかなあ……」
すこし考えている様子だった少女は、芳樹のひたむきな表情を見てすこし笑った。
その笑顔は、しかし、ふつうの女生徒が芳樹にむける蔑みの表情ではなかった。もっとやさしくて、もっとあたたかい。変態カメラ小僧と呼ばれている(事実だが)芳樹に対しても、唯はその明るさを分け与えてくれる。
こんなにかわいい女の子にいやらしいことなんてできるわけがない。
「ボク、純粋に、唯さんの美しい瞬間を記録したいんですっ!」
本音だった。それは、唯にも伝わったようだ。
「そんなに言われたら、断れないなあ……ちょっとだけなら、いいかな」
「やったー!」
という感動もつかのま、芳樹はつい、唯のジュースのコップに焼酎をしこんでしまっていた。
写真部が使っている部室には、ちょっとした暗室と、機材などを保管する倉庫が隣接している。倉庫には芳樹が持ちこんだソファと冷蔵庫があり、たまに芳樹はここで寝泊まりすることもあった。投稿雑誌の締め切り前や、パンチラ同人誌の入稿前などだ。
だから、そこを撮影スタジオにすることにはあまり違和感はなかった。学校内だから、唯も安心しているようだ。かんたんについてきた。
酒を飲ませたのには、確固たる計算があったわけではない。芳樹としては、多少なりともきわどい写真が撮れたらいいなあ、と思っていたので、唯の警戒心をすこしでもゆるめるためにアルコールを使ってみただけだ。なにか言われたら、リラックスするためだよ、とかなんとか理由をつけてごまかすつもりだった。
この時までの芳樹のイメージでは、せいぜいパンチラとか、ふとももの露出とか、うなじの接写とか、それくらいだった。だが、アルコール入りのジュースを飲んだ唯は、一変した。
「らによー、もっとちょうだいよー、おしゃけー」
すでに半酔眼となった唯がソファーに片膝立ちで座っている。とっくにジュース割りなどではなく、ストレートになっている。25%のアルコール度だから、けっして弱い酒ではない。それをさっきからグイグイ飲んでいる。
片膝をたてているので、パンティがまる見えだ。しかも、酔いのために頬が上気し、目はうるんでいる。
芳樹は酒を注いでは写真を撮り、また注いではシャッターを押した。
完全にできあがった唯はしのび笑いをはじめた。
「んふ、んふふふふ、あは、あははははは」
もう酩酊している。眠りこむのも時間の問題だ。
芳樹はふと思いついて、棚の奥に隠しておいたビデオテープを取りだし、デッキにかけた。
「ね、唯ちゃん、ちょっとこれ観てみてよ」
「んー?」
再生されたのは、アダルトビデオだった。それも、無修正のやつだ。暗い、ちょうど芳樹たちがいる部屋にそっくりな場所で、女の子が裸でもだえている。いわゆるハメ撮りというやつだ。結合部分が鮮明に映っている。
「やだあ、なにい?」
声をあげつつも、唯はしっかりと画面を見ていた。興味はやっぱりあるらしい。
唯の息が速くなっていた。ソファの上で腰をもじもじさせている。
「唯ちゃんもしてみる?」
「やーだ」
「ぼくはなにもしないよ。唯ちゃんの好きなやつといっしょにいるところを想像してごらんよ」
「えっ」
唯の顔が赤くなり、まばたきの回数がふえた。
「そんなの恥ずかしくて、できない」
「ここにはだれもいないよ」
「でも……」
「さ、ソファに横になってごらん。撮影だったら、ポーズをとるのはあたりまえだよ」
シャッターを押しつづけながら、芳樹はうながした。唯が従うそぶりを見せたので、思わず股間が熱くなる。
唯はソファにうつぶせになった。制服のスカートがめくれて、おしりの山の下半分がのぞいている。
「ん……う」
唯の腰が動く。無意識の行為らしい。股間のふくらみを、ソファの布地にこすりつけているのだ。
いやらしい眺めだ。芳樹はカメラを唯のヒップに食い込ませるほと近づけて、つづけざまにシャッターを切る。
ビデオで女の子があまい声をあげている。よく聞くと、同じ音程の鼻声が唯からももれていた。
「唯ちゃん、がまんせずに、さわってごらん」
お許しを待っていたかのように、ためらいなく唯の手が動き、指が股間にもぐった。
芳樹は心の中で快哉をさけぶ。やった。
写真もいいが、こうなると唯の声も取っておきたい。こういうときのために、デジタルビデオカメラを準備していた。芳樹は手早くビデオカメラを三脚にセットすると、ビデオとスチルカメラの両方での撮影を開始した。
「ああん、ううっ」
唯は本格的にオナニーをはじめていた。うつぶせの姿勢で、ヒップを高くつきあげ、指をパンティのなかに入れて、ワレメを触っている。
濡れているのか、湿った音がしている。
「ああん、気持ちいいよお、おにいちゃん」
唯の声には、さすがの芳樹もドキリとした。やっぱり、りゅうのすけのやつ、関係ないとかいいながら。
ムラムラときた。ひとつ屋根の下、毎晩のようにむつみあっているりゅうのすけと唯の姿が脳裏にうかんだ。芳樹がこの部屋で、隠し撮りした唯のパンチラ写真をオカズにオナニーしている時にも、りゅうのすけはこの唯の身体を自由にしていたのだ。
「おにいちゃん、すきだよお、おにいちゃん」
唯ははげしく指を動かしている。かなり極まりつつあるようだ。
「あああ、おにいちゃあ……っ」
唯が自分の指でのぼりつめようとしている。
芳樹は撮影をいったんやめ、唯のヒップを両手ではさんで動きをとめた。
「あっ?」
いきそうになっていたところを中断させられたので、すこし不満気な唯の声。相手がだれだかも、もう失念しているようだ。
「ジャマ、しないでえ」
「おれがやってやるよ、唯」
「おにいちゃん?」
「ああ」
芳樹は唯のヒップにまとわりついている白い布をずりおろした。唯も膝を動かして協力する。
パンティの股間の部分にはしみがついていた。それをひとかぎして、芳樹は学生服のポケットにつっこむ。
唯の女の子のあかしが目の前にあらわになっていた。たまらない。芳樹は思わずカメラに手をのばし、その部分を接写した。これが芳樹にとっては射精と同じくらい気持ちいいのだ。
ピンク色の濡れた粘膜が、唯自身の指で広げられ、外気にさらされている。たちのぼる香気は、子供っぽく、あまいミルクの香り。
「唯――ちゃん」
芳樹の意識はまっしろになった。舌をファインダーにしての撮影に没入する。
「んあっ、おっ、おにいちゃ、きたないよ、そこぉ」
唯が悲鳴じみた声をたてる。いきなりアヌスを舐めたのはまずかったか、と芳樹は一瞬後悔しかける。
だが。
「ひっ、ひうっ……」
しゃくりあげながらも唯は逃げようとはしない。むしろ、芳樹の舌を求めるかのように、おしりをいっそう突きあげる。感じているのだ。
それを覚ると、芳樹はさらにはりきり、アヌスの入り口を舌でこじあけ、奥の粘膜を舌でえぐった。唯は嗚咽に似た声をもらしながら、芳樹の愛撫に身をゆだねている。
芳樹は舐めながら、太い指で唯の湿った部分をいじくった。クリトリスがどこかは、よくわからなかったが、触っているうちに、唯の身体の反応で、なんとなく効くポイントがわかってきた。快楽のスイッチをおされると、唯の身体はするどくふるえ、愛液の分泌が増し、アヌスからは芳香がたちのぼるのだ。
できれば上も脱がしてバストも撮影したかったが、いまの姿勢をかえると唯に顔を見られてしまうので、あきらめざるをえない。
その不満を、芳樹は舌と指にこめた。はげしく責める。
「もう……唯、だめ。おにいちゃん……おねがいい」
アルコールの酔いと快感とで朦朧となっている唯は、相手をりゅうのすけだと信じて疑っていないようだ。たぶん、夢うつつのなかで最愛の男に抱かれていると思っているのだろう。
いいとも、と芳樹は思った。りゅうのすけがさんざんに楽しんだ身体だとしても、芳樹にしてみれば憧れの聖地だったのだ。その花園に迎え入れてくれるのなら、本望だ。
芳樹は、三脚からビデオカメラを外して手に取ると、唯のヒップをさらに高くかかげさせた。結合部分をはっきりと撮るためだ。
「いくよ、唯ちゃん」
ずぷ。
く。
抵抗があった。せまいな、と芳樹はうれしくなった。ガバガバの唯ちゃんなんて想像できない。イメージがこわれずにすんだからうれしかった。
「くうっ……」
唯が苦鳴をもらした。制服におおわれているが、背筋にすごく力がこもっているようだ。
もしかしたら、と思った。芳樹の下腹部から歓喜がわきおこってくる。すぐにも射精しそうだ。
こらえた。
そして、さらに侵入をこころみる。
ピリッ
「はうっ!」
唯がソファに顔をうずめ、うめいた。
まちがいない。破った感触がある。唯は処女だったのだ。その証拠に、半分ぬいた芳樹の男根に、その徴がついている。
撮れた。
そのほうが重要だった。唯の破瓜の瞬間を撮影したのだ。
最高だった。芳樹はくぐもった声をあげつづける唯のヒップをつかんで、腰を叩きつけながら、勝利の快感に酔いしれていた。すでに射精していることさえ気づいていなかった。結合部から、芳樹がはなった白い粘液があふれだしていた。