Chobits poi <based on TV Animation Ver.> |
Text by Uzuki Hajime
「こっち肉じゃがとからあげね!」
「ウーロンハイおかわりお願いしまーす」
「あ、ハイ、よろこんでーっ!」
秀樹はお盆を手に駆けずりまわっていた。
「先輩、すみません、3番テーブルさんのオーダー、取ってもらえませんか? ちょっとこっち手が離せなくて」
伝票を抱えてレジに走りながら裕美が秀樹に声をかけてくる。
「あ、わかった……でも今日はすごいね!」
「すみません、先輩、ほんとうなら今日は早めに帰りたかったんでしょ?」
「ああ、いや、いいんだよ。エンストは新保に任せてあるし……」
秀樹は手を振りながら裕美に笑いかえす。
このぶんだと、帰りはいつもより遅くなってしまいそうだ。ちぃにインストールしたゲームを遊ぶ時間があるだろうか……ちらり、考える。
(ちぃ……ちゃんとソフト、入れてもらってんのかな……)
「すいませーん、注文いいですか〜?」
「あっ、はいっ! よろこんでっ!」
秀樹はあわててテーブルに向きなおった。
神保はすももをざぶとんの上に寝かせてやりながら、ちぃに顔を向ける。
「さ、次はちぃちゃんの番だよ」
「ち……ちぃ?」
ちぃは潤んだ目を新保に向けた。
「エフエフ69のプログラムに身を委ねなよ。そうしたら、もっといろいろなテクニックが使えるようになるぜ。きっと本須和も喜ぶだろうなあ」
「ヒデキが……よろ……こぶ?」
「そうさ。テクが使えたら、本須和に色々なコトをしてやれるんだぜ」
「……ヒデキが嬉しいことなら――ちぃ、それ、したい」
「じゃあ、まずはお口でする練習からかな。やりかたは、さっき、すもものを見てわかったろ? ちぃちゃんの口だったら、もっと奥まで飲み込めるよな」
鈴口に精液が盛りあがっている。さっきの射精の名残だ。そのペニスを、新保はちぃの唇に近づけた。
「ち……」
ちぃは唇をわずかに開いた。そこに新保はねじこんでいく。
「んう……んっ」
ちぃが眉根を寄せる。侵入してきた異物にとまどっているようだ。
「舌をからめるんだ、できるよな、ちぃちゃん」
ちぃはうなずく。すももとは比較にならないまでも、やはり標準の成人女性よりは小さな舌を懸命に動かす。
「素直で可愛いよ」
新保は片手を腰にあて、もう一方の手でちぃの頭をつかんで、尻の筋肉を収縮させた。ちぃの喉奥に、ペニスの先端を送りこんでいく。
「ん……む……っ」
ちぃの唇の端から液体がこぼれる。擬似唾液だ。
「そうだ、口のなかを唾でいっぱいにしろ。チンチンの先をちゅうちゅう吸ってみろ――やればできるじゃないか」
どんなに乱暴に喉を突いてもパソコンはえずいたりはしない。新保はめちゃくちゃにちぃの口を犯した。頭を押えつけて、奥の奥まで挿し入れた。
「気持ちいいぜ……!」
うめきながら、射精する。どくどくと、精液をちぃの口のなかに流しこむ。
口から引き抜いても射精はまだ続いていた。ちぃの顔に粘液がぶちまけられる。
「ち……」
ちぃは唇をひらき、でろぅりとこぼれでた新保の精液を手に受けた。不思議そうにその粘液を見つめる。
「ザーメンが珍しいのかよ。本須和ので見なれてるだろ?」
「ちぃ、これ、よくわからない。ヒデキ、こんなの出したことない」
新保は眉をあげた。驚いたように口笛をふく。
「へえ……もしかしたら、もしかすんのかな。まあ、いいや」
ティッシュの箱から何枚かをつかみ出して、新保はちぃのてのひらをぬぐってやる。ついでに、ちぃの顔についた精液も軽く拭きとる。
「男はこのネバネバを出すときがいちばん気持ちいいんだ。射精って言ってな」
「ヒデキも? シャセイすると気持ちいいの?」
「そうとも。さっきみたいに、お口で本須和のチンチンをくちゅくちゅしてやったら、本須和も喜んで射精するぞ」
「ヒデキを、よろこばせられる?」
「ああ。男ならだれだって、チンチンを口でしてもらうこと――フェラチオが好きなんだよ」
「ちぃ、ヒデキにふぇらちおする!」
嬉しそうにちぃは叫ぶ。
「フェラチオだけじゃないぜ。オマンコを使えば、もっと本須和は喜ぶだろうな」
「おまんこ?」
その単語も、ちぃにとっては「ストロベリーショート」のような商品名となんら変わりがないらしい。その無邪気さに新保は苦笑をうかべる。
「ココのことだよ」
新保はちぃの脚の間を指さした。
「ち?」
自分の指でその部分を確かめて、ちぃは首をかしげる。
「でも、ちぃちゃんのおまんこが使えるように、ちゃんと調整しないと、本須和を悦ばせることはできないよ。どうする? やっぱり、そこはだれにも触らせないのか?」
「ちぃー」
考えている。もしかしたら、頭のなかでさまざまな評価判定が行なわれているのかもしれない。だが。エフエフ69のプログラムの影響と、目の前で繰りひろげられたすももの痴態、そしてさっきのフェラチオ体験などが作用したうえに、さらに「ヒデキをよろこばせたい」という意識が強烈だとすると、結論は明らかだ。
ちぃは顔をあげた。新保を見あげて、こくん、とうなずく。新保は笑いをこらえるように目を細めると、やさしい声をだした。
「じゃあ、脚をひらいて」
ふとんにおしりをおとしたちぃが膝をひらいていく。
ちぃの股間が開かれた。
真っ白な丘に亀裂が縦に走っている。人間そのままに形づくられているのは製作者の趣味だろうが、ここまで完璧に造りこまれているものも珍しい。へたな大人のおもちゃなんかよりずっとリアルだ――というより、実物との違いを指摘することじたい不可能だ。
「さわるよ、ちぃちゃん」
「ち」
消極的なYESだろう。新保はそう判断して、指を亀裂にあてる。やわらかい。そして、内部の熱のせいだろう、ほんのりとあたたかい。
左右に開くと、ピンク色の粘膜があらわれた。人間そのままの――いや、それ以上に繊細な色と形だ。
クリトリスの位置には非常起動スイッチがある。今は、この部分はプログラムによって機能を書き換えられて感応ボタンになっているはずだ。感応ボタンとは、刺激を快感としてCPUに送りこむデバイスである。
新保はボタンに触れてみる。形はむろん感触さえクリトリスそのままだ。
「ちぃっ!」
ちぃが反応し、脚を閉じようとする。それを新保は阻む。
「だめだろ、じっとしてなきゃ。本須和を喜ばせたくないのか?」
「ちぃぃ……」
ちぃの脚から力をぬける。だが、新保の指がクリトリスをいじくるたびに、ぴくぴくと足の指が動く。
「気持ちいいだろ、ちぃちゃん?」
「わからない……でも、さっきより……もっと熱い」
「それが気持ちいいってことさ」
ささやきながら指先でボタンを引っ張り出す。
「ちぃぃっ!」
「いい声だ。こっちはどうかな?」
クリトリスをつまみながら、べつの指でさらに下の部分をほじくる。繊細な花びらをかきわけて、物理インターフェイスに指を挿し入れていく。
「ちっ……ちぃぃ……ちぃ……」
「敏感になってるなあ。エフエフ69のおかげか――ん?」
新保は唇をゆがめながら、その部分をじっくりと見定める。
指で広げられた入口から少し入ったところのぴらぴらの膜を見て、新保は意外そうにつぶやく。
「へえ……未使用保証シールじゃん。やっぱり、本須和のやつ、手をつけてなかったのか」
処女膜を擬して作られたそのシールは、その物理インターフェイスに、まだ異物が挿入されていないことを意味する。
膜の中央にひらいた穴に指を当てる。
「ち……そこは……だめ」
細い指が動いて、新保の手を追い出そうとする。
「どうして? ここも気持ちいいだろ?」
内側をなぞるように、つつ、と指を動かす。その部分はすでに潤滑液でぐっしょりだ。
「ち……ちぃ……」
びくんっ、とちぃがのけぞり、かぼそい声をあげる。
「そこは……やっぱり……ヒデキだけの……」
「だめだって。本須和なんてどうせ童貞だろ。ちぃちゃんがリードしてやらないとうまくできっこないさ。そのためには、前もってハードウェアの慣らしをすませとかないと」
すでにびくんびくんと脈打つまでに回復したペニスを新保は誇示した。
「これでちぃちゃんの道具を使えるようにしてやるよ」
ちぃは新保の股間に目をやった。
「それを……ちぃのココに入れたら……ヒデキ、喜ぶ?」
「ああ。保証してやるよ。それに、もうちぃちゃんだってガマンできないだろ? こんなに濡らしちゃってさ」
指でちぃの股間の潤みをすくいあげる。透明な粘液が糸を引いている。
「さ、わかったら、手をどけて、太股を自分で抱えて、寝っころがりな」
「ちぃ」
おとなしくちぃは言われたとおりの姿勢になる。子供のような姿勢で開脚して、ふとんに横たわる。長い髪が放射線状に広がる。それだけで芳香が匂いたつ。
「じゃあ、ちぃちゃんの味見をさせてもらおうかな」
ペニスをつかんで、新保はちぃの入口の具合を確かめる。柔らかな粘膜をかきわけて、亀頭で処女膜――封印にふれる。
「ちぃ〜」
さすがに痛いのか、ちぃが苦しそうな声をたてる。
「本須和のためだ。がまんしな」
体重をかけながら、新保がせせら笑う。ちぃは愛らしい顔をしかめながら、必死でうなずく。
「ち……ちぃ、ヒデキのために……がまんする……」
「入っていくぞ……ほうら、どうだ?」
新保の男根がちぃの中に収まっていく。めりめりと音をたてるかのように、ちぃの花弁がむりやりこじあけられていく。
「いっ……いたい……新保さん、痛い」
ちぃの目尻に涙がうかぶ。
「処女喪失の痛みってやつもきちんとプログラムされてるってわけだな。いやはや、よくできたソフトだ」
笑いながら、新保は侵入を続ける。ほとんど真上から覆いかぶさるようにして、根元近くまで、沈めていく。
「ちぃぃっ!」
ちぃが身体をくねらせるたびに、プラチナ・ブロンドの髪が光を放ちながらうねる。
「おお……ちぃちゃんの中、よく出来てるな……熱くてぬるぬるで、締めつけてくる……」
新保は驚いたようにつぶやき、それからおもむろに腰を動かしはじめる。
ぱちゅん、ぱちゅん、音をたてながら、真上からピストンをねじりこんでいく。
「ちっ……ちぃ……んうううっ」
ちぃがいやいやするように顔を左右に振る。
「おっ、血だ……破瓜の血ってやつか」
結合部から引き抜かれるペニスに、ちぃの身体が流した赤い体液の痕跡を認めて、新保は興味深そうに言う。
「ほんとうによくできているなあ。感心するぜ、ちぃ」
ちぃ、と呼び捨てにしながら、容赦なくペニスで膣をえぐり続ける。
「ち……ち……ち……ぃ」
新保の思うがままの動きに翻弄されるちぃは、うつろな目で天井を見つめている。
「へっ、いい表情だ。ダチの彼女をいただいたみたいで燃えてくるぜ」
言いつつ、ちぃのブラを荒っぽく取り去る。小振りだが形のいい乳房があらわになる。新保はちぃに覆いかぶさって、乱暴に乳首を吸い始める。
ちゅばっ、ぢゅつっ!
乳首をくわえたまま、ぎゅっ、と引っ張る。
「ちっ、ちぃぃ〜」
痛いのか、ちぃが悲鳴じみた声をあげる。だが、新保は乳首への責めをやめない。
「へっ、ちゃんと乳首も固くなるんだな。ほんとうは気持ちいいんだろ、ちぃ?」
指で乳首を揉みながら、ちぃの顔を覗きこむ。頬から耳たぶまで赤くそめたちぃは、答えに窮したかのように新保を見つめる。
「ちぃ……わからない……痛い……ということもよくわからない。気持ちいいかどうかもわからない……でも……」
ちぃは自分の下腹部に触れる。
「この、中が、熱くて、溶けそう……。新保さんの――が入っているから?」
「ああ。ちぃのオマンコにおれのチンチンが入っているから、ちぃは気持ちよくなってきたのさ。これがセックスってやつだ。本須和がちぃとやりたがってることだ」
「せっくす……ヒデキが、ちぃと、したいこと……」
「ああ。だから、やり方をちゃんとおぼえような」
新保の押し着せがましい言葉に、ちぃはうなずいた。
「じゃあ、体位チェンジだ。よつんばいになりな。イヌみたいに――わかるよな」
「こう?」
ちぃは新保におしりを向けた。新保はニヤニヤ笑いながらうなずいてやる。
「そうだ。もっと尻をかかげておねだりしな」
「これでいい?」
ちぃは高々とヒップを掲げる。理想的なフォルムを持つ少女サイズの尻のたて割れが新保の目の前で蠢く。だが、新保はそれだけでは満足しない。さらに注文を出す。
「ちゃんとおねだりするんだ。お願いですから、ちぃのオマンコに新保さんのオチンチン入れて、って言ってみな」
新保がしゃべった内容にちぃは聞き入っている。瞳に光のパターンが走る。
「ちぃ、覚えた――お願いですから、ちぃのおまんこに新保さんのおちんちん入れて――って言ってみな」
「『言ってみな』はいらない。あと、もうちょっと感情をこめてほしいな」
「……感情?」
「ムリか。じゃあ、自分で開いてみな、マンコの穴」
「ちぃ……」
ちぃは自分の手でヒップの山を左右に開いた。すでに処女膜を破壊された膣口があらわになる。血が混ざった愛液がとろっとこぼれおちて、秀樹の寝床の上にしみを作っている。
新保は顔をゆがめて、ちぃの性器に生身のペニスをうずめていく。
「ちぃぃっ!」
「バックからも、いい、だろっ!? ああ!?」
新保は腰を激しく打ちつけながら、ちぃに声をなげつける。
「ちぃ〜、ちぃぃ……」
ちぃはふとんに顔をこすりつけるようにして、甘い声をたてている。どうやら、快感が強くなってきているらしい。
「気持ちいいってことが、わかってきたみたいだな?」
ちぃの柔らかなヒップがぷるぷる震えるくらいに強く腰を打ちつけつつ、新保は相手の反応の変化に手ごたえを感じていた。
中がうねるような感覚がある。もしかしたら、子宮さえきちんと造りこまれているのかもしれない。
「ちぃ……きもちいい……これが……きもちいい……? これが……ああっ!」
美しい背中をたわませながら、ちぃが混乱したような声をあげる。
「新保さんのチンチン、すごく気持ちいい……ちぃ……気持ちいいっ!」
「そうかぁ、ちぃはバックが好きなんだ。じゃあ、こっちの穴も――」
新保は、ちぃのおしりにあるもうひとつの穴に指をこじ入れた。排泄のためには最初から使うはずもないその穴は、それでも本物そっくりの質感でもって新保の指をしめつけてくる。
「ちっ――そ、こ、は……」
「おしりの穴も感じるのか、ちぃ? もう、すっかりダッチワイフだな」
蔑みの表情で新保はせせら笑い、さらに指と腰の動きを激しくしていく。
「ち……ち……あんっ、ああっ、はああ……っ!」
あえぎ声も変化していく。なまっぽい、切なげな声をちぃの声帯が発しはじめる。
「あはっ、はあん! ちぃ、おまんこ気持ちいいっ! おしりも気持ちいいっ! 新保さんっ、ちぃ、おまんこいいよぉっ!」
「ははっ、どんな淫乱キャラのデータベースと接続したものやら。エフエフ69にはいろいろなキャラがプリセットされてるからなあ。あとで本須和のためにいろいろ設定してやんないとな――」
ちぃが自分から動きはじめる。切なげに鼻を鳴らしながら、新保にすがってくる。
「オチンチン、もっと……」
「よし、じゃあ、上に乗って腰を振ってみな」
横たわった新保の上にちぃはまたがり、懸命に腰をつかいはじめる。
「あっ、あうん……ちぃぃ……っ!」
きゅうきゅう括約筋にあたる部位を収縮させながら、ちぃはおしりを回転させている。
それを見上げながら、新保はちぃのクリトリスをいじってやる。そうすると、ちぃはさらに興奮して、髪を振りたてて、声をあげる。
「ちぃっ! それ、すご……すごい……ちぃ……おかしくなる……」
すでに一部のプログラムは暴走しかけているのかもしれない。全身がピンク色にそまり、湯気が立ちそうなほどに肌が湿っている。
「そろそろ……おれも……いくぞ」
ちぃの胎内のしめつけに新保もさすがに限界に達しつつあった。結合したまま、ちぃを抱き寄せる。
愛らしいちぃの胸に顔をうずめながら、下から激しく突きあげた。
「ちっ、ちぃっ! ちぃぃ〜! へん、ちぃ、へん……制御……できな……」
「それが、イクってことさ――イッちまえ、ちぃ!」
「ちぃぃぃぃぃっ! ちぃ……ぃくううううううっ!」
少女の膣がねじれるように収縮した。たまらず新保も発射してしまう。
「ぁぁぁぁぁつつつつつぅぅぅぅぅぅぅっっっっ!」
新保の精液を物理インターフェイスの最奥部にあるセンサーに受けて、ちぃは全身をわななかせながら、暴走と再起動を繰り返した――
秀樹はカブ・城ヶ崎――洒落た名前とは似ても似つかないボロアパートだ――に戻ってきた。もう夜も更けている。
「バイト、遅くなっちまった……ちぃのエンスト、終わってるかな」
コンビニ袋を手にさげて、自分の部屋に向かう。新保へのお礼がわりの缶入り発泡酒も入っている。
自分の部屋の前に出た時だ。ドアが開いて、新保が出てきた。
「おお、新保! い、いままでかかってたのか、エンスト!」
「ああ……本須和か……」
新保は目だけを動かして秀樹を見た。頬がこけ、疲れきったような表情を浮かべている。すももを肩に乗せているが、機能停止しているのか動かない。
「インストール、終わったぜ。ハード調整がたいへんだったよ。ちぃちゃん、けっこう凄いのな……」
「す、すごいって……ちぃになにか!?」
インストール失敗だとかフリーズなどの専門用語――意味はよくわかっていないが――が秀樹の頭のなかを行き交う。
「大丈夫、壊れちゃいないよ。どっちかっていうと、こっちが壊されそうだった――締めつけが凄くてさ」
ふぅと新保は肩で息をする。それから屈託のないいつもの笑顔を浮かべた。
「――とにかく、言われたとおり、エフエフ69、インストールしといたぜ。ハード設定も全部終わっているからいつでもプレイできるぜ」
「そ、そうか! ぼ、冒険できるんだな!?」
「できるさ。すげーアクロバテックな体位だって、後ろの穴だって、なんでもござれだ」
「あ、アイテムとかは!?」
「ああ、ぶっといの、装備させといた」
「し、召喚は!?」
「とびきりのキャラをダウンロードしといたから、一晩中楽しめるぜ。ロリから女王様まで、切り替えも自由だ」
「――すまん新保、意味がよくわからないんだが……」
秀樹は真顔で質問する。新保は逆に不思議そうな顔をうかべる。
「おいおい……エフエフ69をインストールしろっていったのお前だろ? まさか今さらジャリ向けのRPGを遊びたいってんじゃないだろうし、人型パソコンにインストールするエフエフっていったら、アレ用ソフトに決まってんじゃん」
「なにがなんだかわからないけど……新保、とにかくありがとう! これ、安いやつだけど、飲んでくれ!」
缶入り発泡酒を新保に渡す。新保はあくびをしぃしぃそれを受け取った。
「じゃー、おれもう寝るわ。これ鍵な――ちぃちゃん、いい具合だったぜ、また貸してくれよ」
「貸すってなんのこと……」
自分の部屋に帰っていく新保の背中に聞きかえそうとした秀樹だが、途中で声をのんだ。とにかく、ちぃの様子を確かめよう。ゲームもプレイしてみたいし――
ドアをあけた。
秀樹は我が目を疑った。
部屋に敷きのべられたふとんの上に、ちぃが膝を立てて座っている。しかも、脚を大きく広げた状態でだ。下着は――着けていない。素っ裸だ。
「ヒデキ、おかえり……」
ちぃがうるうるの瞳を秀樹に向けて、桜色の唇を動かした。
「ちぃ……待ってた……ずっと……」
「ち、ちぃ、そのカッコは……」
秀樹の目はちぃの股間に吸い寄せられた。ピンク色をした異物がちぃの中に入っている。バイブレーターらしい。モーター音が高く低く聞こえてくる。
「なに、入れてんだ、ちぃ!?」
「これ、アイテム」
ちぃはうっとりとした表情を浮かべながら、股間にささったモノを出し入れする。ねっとりとした液体がシリコンゴムの表面にまとわりついて光っている。
「はやく、ほんもの……ヒデキのオチンチン……ちょうだい」
「お、おい、ちぃ!?」
秀樹の頭のなかに霞がかかっていく。なにがなんだかわからない。そうだ。この感覚は、初めてちぃの起動スイッチを押したときみたいだ。頭のなかに音楽が鳴り響く。
裸のちぃが抱きついてくる。
秀樹はその感触を受けとめながら、ひとつのフレーズをリフレインしていた。
Let Me Be With You……