Chobits poi <based on TV Animation Ver.> |
Text by Uzuki Hajime
「このソフトって、そんなにすごいのか? 人に、も、もらったんだけど」
光磁気ディスクのケースをにぎりしめて、本須和秀樹は声に力を入れた。
「ああ、エフエフ69だろ? ネットでも話題になってるぜ。本須和、おまえゲーム系のBBSとか見てないの?」
本須和の友人である新保が予備校の机に片ひじをついたまま言った。新保は秀樹と同じ下宿に住んでいる。パソコンについても詳しい、秀樹にとっては知恵袋のような存在だ。
「いや、おれ、インターネットやってないし……ていうか、どうやったら、ちぃにそういうことさせられるか、わかんないし」
「ちぃちゃん、アプリ、インストールしてないの? ブラウザとかメールソフトとか」
「そ、それ、アップルとかエンストとか、おれ、わかんなくてさ……そのゲームソフトもさっきもらったばっかで、どうしたらいいもんだか」
秀樹のあやうげな返答に新保は苦笑をうかべつつ説明しようとする。
「エフエフって有名なゲームのシリーズがあるんだけど、これはどっちかってーと……」
「エフエフって、聞いたことある! すげーゲームなんだろ? ぼ、冒険したりとか!」
「まあ、たしかに冒険ではあるな……」
「そ、それに、いろいろアイテムを使ったりとか! 召還したりとか!」
「うん、いろいろなアイテムを使ったり、キャラを変えて楽しめるぜ」
「すげー! すげー! じゃあ、ちぃにこのソフトをエンストすれば、おれもエフエフができるんだな!?」
「エンストじゃなくてインストールね――もちろんできるぜ。おまえ、そういうのしたいんだ。ちょっと意外だったな」
「そりゃあ、おれだってゲームしたいさ! あ、そりゃあ、勉強しないといけないけど。バイトもあるし……。でも、ゲームもしたいよ!」
秀樹の声が大きくなる。新保は耳に指をつっこむ仕草をして、秀樹の声のボリュームを下げるように誘導する。秀樹はようやくそれに気づいて、声をやや絞る。
「そのインスト――だっけ――って難しいのか?」
「まあな。ゲームを始めるためのハードウェア設定とかあるし、ちょっと難しいかな」
新保の返答に秀樹はうああと髪をかきむしった。なにするにつけ、オーバーアクションなのが秀樹の特徴だ。傍から見ているとかなり危ない感じがする。
「なあ、新保、そのゲーム、ちぃにインストしてくんないか? おれだと、また失敗しそうだし」
「べつにおれはいいけど……おまえはいいのか?」
「いいよ! 頼むよ! おれ、今日もバイトだし、おれが帰るまでにインストしといてくれよ!」
秀樹は部屋の鍵を新保に手渡しながら頭を何度もさげる。よっぽどゲームをしてみたいらしい。
「わかった。やっとく」
新保はニッと笑って、鍵を手に取った。
「ち?」
ちぃは玄関の鍵が開く気配に気づいた。出迎えのために立ちあがる。
「ひでき!」
ドアが開いたら、すぐに抱きつけるように身構える。
だが、開いたドアの向こうにいたのは秀樹ではなかった。
「やあ、こんにちは、ちぃちゃん」
「新保……さん?」
「ちぃさん、こんにちはです!」
新保の肩に乗っかっているモバイルパソコンのすももが元気よくあいさつする。
「こんにちは」
律義にちぃもあいさつを返す。それから、新保の背後を覗きこむようにつま先立ちになる。
「ひできは?」
「本須和ならバイト。あがっていい? 本須和から頼まれたことがあるんだけど」
「ひできが頼んだの? わかった。いらっしゃいませ」
ちぃはうなずいた。ケーキ屋のバイトでおぼえたのか、お辞儀しながら、新保を招じ入れる。
「あいかわらずなにもない部屋だな……」
新保は半ば呆れたように秀樹の部屋を見渡した。小さなテーブルに、中古の小型テレビ、ラジカセ、衣装ケース――いずれもリサイクルショップから格安で仕入れたっぽいモノばかりだ。さらには万年床が敷き述べられた状態で放置してある。
「どうぞ」
ちぃがざぶとんを勧める。
「ああ、ありがと」
新保はすすめられたざぶとんを見て顔をしかめ、裏返した。ちぃはそれを真似るように、自分用のざぶとんも裏返す。新保は苦笑をうかべる。
「ひでき、なにを頼んだの?」
無邪気に訊いてくる。
新保は胸ポケットから光磁気ディスクを取り出した。興味深そうにちぃが新保の手元を覗きこむ。
「それ、なに?」
「ゲームソフト。このソフトをちぃちゃんにインストールしてくれって、本須和に頼まれたのさ。エフエフ69って、ちぃちゃん、知ってる?」
「ちぃ、それ、知らない。でも、ひできがインストールしたいって言ったの?」
「ああ。本須和は、このゲームをプレイしたくてしょうがないんだってさ」
「ちぃに、それをインストールしたら、ひできは嬉しいの?」
「そうみたいだよ」
ちぃは幸せそうに微笑んだ。
「ひできが嬉しいのなら、ちぃ、それインストールしてほしい」
「本須和のためならなんでもOKなんだ……ちぃちゃん、いい子だね」
「ち」
ほめられたと思ったのか、ちぃは目を細める。
「じゃあ、始めるよ」
冷たい笑みを浮かべながら、新保はちぃの耳カバーを開く。そこにはインターフェイス類がまとめられていて、ディスクを挿入するスリットもそこにある。ちぃはじっとしている。新保はディスクを挿入した。
ジィーッと、ヘッドが動く音がして、データの読み込みを開始する。ちぃの瞳が複雑な光学パターンを描きはじめる。
「しかし……『フェラ&ファック69連発』なんて発禁エロゲーをやりたがるなんて、本須和のやつもけっこうスケベだな。まあ、パソコンに対する愛情が異常なヤツだから、それも当然かな」
新保は唇の端を歪めてつぶやきながら、ズボンのベルトを外しはじめる。
「このソフトのインストールには、プレイヤー側のコントロールスティックの設定も必要なんだ。まあ、本須和公認だから、楽しませてもらうか」
「いらっしゃいませ!」
秀樹は新たな来店客にむかって大きな声をだした。
「すみません、こっちナマ中、みっつ追加ね」
「よろこんで!」
オーダーにもすかさず対応する。動きになんというかキレがある。
「先輩、今日は特に張り切ってますね」
この居酒屋の店主の娘であり、秀樹の仕事仲間でもある裕美が声をかけてくる。
「ああ。実はエフエフを手に入れてさ。ようやく遊べるんだよ! ちぃにインストしてもらってるんだ!」
「エフエフって、有名なゲームですよね?」
「ああ! エフエフ69っていうんだ!」
裕美はちょっと首を傾げた。
「あれ……? エフエフって、そんなに出てましたっけ? たしか二十いくつまではいってたと思いますけど……」
「え、そうなの? でも、たしかにラベルには69ってあったけど……」
秀樹は一瞬考えこんだが、すぐに破顔する。
「まあいいや。最新版ってことだろ? それに、新保に頼んだから安心だ――」
「ち……」
「だいぶプログラムが効いてきたみたいだね」
上気したちぃの顔を見ながら、シャツとトランクス姿の新保は笑った。
「ちぃ……へん……からだ……あつい」
「それは、プログラムがちぃちゃんのハードウェアチェックをしているせいだよ。とくに物理インターフェイスの部分のね」
「ぶつり……いんた……?」
ちぃはつぶやきながら、自分の脚の間にふれる。ワンピースのスカートがめくれて、白い下着があらわになった。
「ここ……あつい……」
「じゃあ、自分でさわってごらん」
「じぶんで……」
ちぃはおずおずと指を動かして、下着の上から股間をさわる。
「ち」
まぶたをぎゅっと閉じる。
白くて細い指がくねくねと動いて、下着の布をよじれさせる。
「ちぃちゃん、感じる?」
「かんじる……って、ちぃ、わからない……」
「自己慰安プログラムが走ってるんだ、気持ちいいはずさ。エフエフ69は家庭用パソコンをダッチワイフ化するソフトだけど、その初期化の段階でパソコン自身が快感を得られるように設計されているのさ」
新保が説明する、その声さえちぃには届いていないらしい。目をとろんとさせて、自分の指による愛撫を続けている。
「気分、出てきたみたいだね。じゃあ、ちぃちゃん、服、脱ごうか」
「ち?」
「べつに恥ずかしくないだろ? ちぃちゃん、パソコンなんだし」
人型パソコンに服を着せているのはユーザーである人間側の都合であって、パソコン自身には羞恥心というものは存在していない。むろん、疑似的に羞恥心をプログラムすることもできるが――
ちぃは言われたとおりにワンピースを脱ぎ始めた。子供のような無造作な脱ぎかただ。ブラとショーツだけになる。味も素っ気もない無地の下着だ。
「子供みたいなの着けてるんだな。本須和の趣味か? おれだったら黒で決めるけどなあ」
新保が鼻で笑う。
「そんな色気のないパンツなんかとっとと脱いじゃいなよ」
「ぱんつ?」
ちぃが目をあげる。パンツという単語がちぃは好きらしい。
「そう。ブラはいいからさ、インストには関係ないし。パンツ脱いで」
「ぱんつ、ぱんつ、ぱんつ」
連呼しながら、ちぃは下着をずりおろしていく。
上はブラを着けたままで、下半身だけが剥かれていく。なめらかな下腹部には、むろん人間の成人女性のような発毛はない。そこに植毛してあるのは、セックス用に作られた業務用パソコンだけだ。
だが、家庭用パソコンでも、局部のワレメは存在している。その部分にシリアルナンバーや非常用再起動スイッチなどが配置されているのだ。さらに、自作パソコンには、その部分にリアルなインターフェイスを設置してあることも多い。
「はい、いいよ、ちぃちゃん。じゃあ、ふとんの上に座って、脚を開いて」
「ち?」
ちぃはかすかに不安そうな表情を浮かべて、万年床におしりを落とした。だが、立てた膝は閉じたままだ。
「どうしたの? 脚を開かなきゃ、ソフトのインストールが終わらないよ」
「でも、ここ、ひでき以外の人に見せたらいけないと言われた」
「本須和がそう言ったのか?」
新保は今にも吹き出しそうな表情で訊いた。ちぃはかすかに首を横にふる。
「だれか……わからない……。でも、ここは、ほかの人に見せたり触らせたらいけないって、言われた」
「ふぅん……もしかしたら、AIのなかにステルスで防御プログラムでも潜ませてあんのかな。まあ、それくらいの安全装置はあるか」
新保はなにか思い当たることがあるようにつぶやく。
「でも、エフエフ69のプログラムが走ってるんだ。エロ系のコマンドを拒否できるはずないんだけどな……ま、別の角度から刺激を与えてみるか――おい、すもも!」
新保は、畳の上で退屈そうに「の」の字を書いていたすももに目をやる。
「出番だぞ、すもも」
待機モードからすぐに復帰したすももが元気よく手をあげる。
「あいっ! マスター!」
「ちぃちゃんに手本をみせてやってくれ」
「了解ですっ!」
すももは着ている服を元気よく脱ぎはじめた。てのひらサイズの幼女のストリップだ。むろん胸はつるぺただし、おなかがぽっこり出ている。極小サイズのワレメまできちんと刻まれている。
新保が掌を出すと、その上にすももは飛び乗った。
「大きさが違うけど、参考にはなるはずだ。ちぃちゃん、よく見ているんだよ」
「ち」
不思議そうに目を見開きながら、ちぃはうなずいた。
新保はすももを自分の股間に近づけた。すももは新保のトランクスを「よいしょ」とずりおろす。
すももは口を大きく開いて――それでも、たかがしれているが――新保の亀頭にすいついた。むろん、亀頭を口に含むどころではない。鈴口のあたりをかろうじてカバーできるかどうかだ。
すももがミリ単位の大きさの舌を動かしている。
「おっ……尿道舐めから来たか」
新保が声をあげる。
「えへぇ、マスターはここが弱いの知ってるですぅ!」
れろれろれろ、と鈴口に挿しこんだ舌を動かしている。
「ちぃちゃん、こうやって口でチンチンを舐めるのをフェラチオっていうのさ」
「ふぇら……ちお……」
「マスター、大きくなってきたですぅ!」
むくむくと頭をもたげた新保のペニスを見あげてすももは嬉しそうに声をあげると、えいやとジャンプして竿にしがみついた。ぷにぷにの身体を陰茎にこすりつけながら、顔をふりたくって亀頭のくびれの部分を責めたてる。
「すもも、うまいぞ。そうだ、もっと激しくやるんだ……!」
新保は褒めながら、自分のペニスに抱きついているすもものおしりを指でいじくった。あかちゃんのようなおしりを左右に開いて、その中心を指の先でこするようにする。
「あっ、ああっ、マスター、そこ気持ちいいですぅ! ビリビリするですぅっ!」
そこにはすももの物理インターフェイスがある。指一本さえ入らない極小の亀裂だ。しかし、亀裂のなかの感応スイッチをいじくることで、すもものCPUは激しく興奮するのだ。
「ああううん、マスタぁ! すもも、おかしくなりそうですぅ!」
「舌を休めるな、すもも、足も使えよ」
「ううんぅ」
すももは脚をのばして、新保の陰嚢を踏みつけはじめた。強くではない。リズミカルに睾丸を刺激しながら、裏筋に身体をこすりつけ、さらには亀頭のくびれから鈴口にかけてのラインを舌で舐めあげている。
「いいぞ、すもも。がんばってるとこ、ちぃちゃんに見てもらおうな」
新保はのけぞって、自分のペニスに奉仕しているすももをちぃに見せつけるようにした。
すもものヒップを左右に開く。すもものミニサイズの秘所があらわになる。人間そっくりに、性器はおろか、肛門さえ作りこまれている。その部分は、内部の循環液の漏出により、ぬるぬるになっている。
「マスタぁっ、すもも、もう、がまんできませぇん!」
舌を使いながら、すももが悲鳴じみた声をあげる。
「いつもの……いつものをくださいですぅ!」
「よぉし、わかった」
新保はポケットから綿棒を取り出した。先端を唾で濡らすと、それをすもものおしりにあてがう。場所を指で確認して、一気に挿しこむ。
「ひゃううううっ!」
すももがのけぞって、大声をあげる。
「中を綿棒で掃除してやるぞ。ほらほらっ」
ぐりぐりと綿棒を動かす。すももの小さな入口がぐにぐにと変形して、循環液の漏出がさらに激しくなる。
「すももの中で、うご、動いてますぅっ! マスタぁっ! マスタぁっ!」
すももがおしりをふりたくるのを、ちぃは身を乗り出して見つめていた。瞳のなかに光のパターンが走り、顔が上気していくのがわかる。
股間に指を入れて、自分でいじくっているようだ。
「あああっ! マスタぁぁぁっ!」
「すももっ!」
すももが小さなおしりをガクガクと震わせ、同時に顔を新保の亀頭にこすりつけたとき、新保のペニスも白い粘液を吐き出した。
「はあ……はああ……」
幼女型のモバイルパソコンは、一気に電力を消費してしまったかのようにぐったりとして、待機モードに戻ってしまった。
神保はすももをざぶとんの上に寝かせてやりながら、ちぃに顔を向ける。
「さあ、次はちぃちゃんの番だよ……」
股間の竿をみくり、みくりと脈動させながら、新保は笑った。