〜うたかたのテン使たち〜
気惠編+α

真夏の牛蒡星

−一子−

番外編

 おれは宙に浮かんでいた。

 ジャングル風呂の洗い場に横たわっているおれ自身の肉体を見下ろしている。自分の身体を――しかも素っ裸だ――見るってのも変な気分だ。

「遊一さん、遊一さん」

 一子ちゃんがおれをゆさぶっている。取り乱しているのがわかる。

「ごめんなさい、遊一さん! 目をさましてください!」

 おいおい、これって、もしや、死んじまったってんじゃないだろーな? 魂が身体を抜けだしてしまったとか……

 一子ちゃんの声を聞きつけてか――ちゅーか、おれと一子ちゃんがしていたことを繁みの間から覗いていたギャラリーの一人だろうが――中年のおっさんが近づいてきた。

 宙に浮かんでいるおれには気づかないようで、おれの身体の脈を取り、なにごとかを調べてから、一子ちゃんに向き直る。

「だいじょうぶ、ちょっと気を失っているだけだよ。すぐに目をさますよ」

 ほんとか? おれは浮遊しつつ、自分の身体に近づいてみる。たしかに胸が上下していて、顔色も悪くない。意識が外に抜けだしていることを除けば、ただ眠っているようにしか見えない。

 だが、自分の身体に帰ろうとしても、見えない壁に阻まれているようで、中に入ることができない。なんてこった。このままだと浮遊霊じゃねーか。

 それでも、おれの肉体が生きていることを知って、一子ちゃんは安心したらしい。

「よかった……ちょっと眠っているだけなんですね。そういえば遊一さんはお寝坊さんですから」

 その安心の仕方はどうかと思うが……

 おれの脈を調べたおっさんは、一子ちゃんの裸の胸のあたりをねぶるように見ている。ごっくん、唾をのみこむのがわかる。

「ところで、実はおじさんも ココに膿が溜まっているんだ。もしもよかったら、さっき彼にしていたように、吸い出してくれないかい?」

 毛むくじゃらの股間を指差しながら、猫なで声で言う。

 ずるいぞ、抜け駆けするな、との声がギャラリーたちからあがった。

「おれも膿がたまって死にそうだ」「ぼくも!」「わたしも!」「オラも!」「ワシもじゃ……」「ミー、トゥー!」

 およそ十人はいようかという男たちがおのおの股間を大きくして、一子ちゃんにむらがってくる。おいおい、そんなにギャラリーがいたのかよ? なんか外人もいるし。

「あ、あの……みなさん、ほんとうに膿が溜まる病気なのですか?」

 さすがの一子ちゃんも大勢の男たちを扱いかねているようだ。だが、男たちは一斉に股間を誇示した。サイズも色も形もさまざまに、勃起した十本のペニスが一子ちゃんを取り囲む。

「ほんとうですとも」と、ハモって言う。

「まあ……」

 一子ちゃんは、勃起した男根=腫れてて可哀想、という思考回路を持っているので、たちまち同情したようだ。

「わかりました。わたしにできることでしたら、治療のお手伝いをします」

 男たちの顔が輝いた。

 最初に声をかけたおっさんが一番乗り、とばかり、肉棒を一子ちゃんの目の前に突き出した。

 おれの若々しいペニスしか知らない一子ちゃんは、おっさんの黒ずんだ亀頭にびっくりしたようだが、それでも人助けのためだとばかりに、唇を開いた。おいおいっ! ほんとにおっさんのチンポをしゃぶってやる気かよ?

「んむ……ん……」

 おっさんの黒い肉棒を花びらのような唇で包みこむ一子ちゃん。

 なんてこった。こんなことになるなら、ちゃんとした性教育を施しておくんだった。しかし、もうあとの祭だ。

「おうっ……いいよ……最高だ」

 おっさんは喜悦の声をあげる。一子ちゃんは、おっさんの茎を甘噛みしながら、先端に向けて舐めあげる。それ、おれが教えたんだよな……

 亀頭に舌をからめたり、裏筋を舐めたり、手でしごいたり――

「ああ、こんな若くて可愛い子に、口でしてもらえるなんて……っ!」

 おっさんが叫ぶ。そりゃあそうだろう。まさか区民プールに併設された大浴場で、フェラチオサービスが受けられるとは予想できまい。

「あっ、いくっ!」

 おっさんはあっさりと陥落した。一子ちゃんの口のなかにいきなり漏出させたようだ。一子ちゃんは口から吐き出した白い粘液を掌に受けとめた。

「よかったですね……膿が出ましたよ」

 白衣を着せたらきっとナース・エンジェルになれるだろう。それくらい無垢な笑顔だ。

「つ、次はおれ、お願いします」

 でぶでぶに肥った中年男が一子ちゃんに迫る。

「おっぱいではさんでください」

「はあ……」

 一子ちゃんは不思議そうに男を見あげて、うなずいた。

 いいなあ、ちくしょう。おれだってまだパイズリはやってもらったことないのに。

 男は、一子ちゃんの胸にローションがわりのボディソープをたっぷり滴らすと、チンポを押しつけていく。

 亀頭で乳首をノック。先走りの粘液で濡れた先端を、乳首の突起の側面に擦りつけていく。

「あっ……」

 一子ちゃんが声をあげる。

 でぶは目を細めると、一子ちゃんの胸の谷間にペニスをはさみ込んだ。ローションでぬるぬるになった谷間に肉の棒が埋もれている。

「ね、これで、両側からはさんで」

「こ……こうですか……?」

 両手で自分のおっぱいを支えると、一子ちゃんはそれを上下に動かした。柔肉にはさんでチンポをしごきはじめる。

「うはあ……すごく気持ちいい……」

 でぶが嘆息する。ちくしょう、そのおっぱいはおれんだぞ!

 おれはでぶ男をぶん殴ろうとして拳を振るった。

 すか。

 当たらない。当然か。いまのおれは生き霊なのだ。

 と、勢いあまっておれはでぶの身体に、すぅっ、と入り込んでしまった。

 気がつくと、おれはでぶの肉体のなかにいた。なんてこった。おれはこのでぶに乗り移ってしまったのだ。

 しかし、宿主の身体を操ることまではできないようだ。感覚を共有するのが精一杯らしい。たぶん、本人の魂を追い出さないと、肉体の支配権は得られないのだろう。

 それにしても――気持ちいい。

 一子ちゃんのおっぱいの温かさと柔らかさ、肌のなめらかさとボディソープのぬるぬる感。それが亀頭のつけねを刺激して、たまらない。

「さ、先っぽをしゃぶってよ」

 でぶが腰を突きあげながら、一子ちゃんにリクエストする。一子ちゃんは首を前に倒して、でぶのペニスの先端を口に含んだ。おっぱいを持ち上げるようにして、茎をはさんだままでだ。なんという心地よい圧迫感――そして、鈴口のあたりを舌でくすぐられる快感――たまらない。

 びゅっ、びゅっ、びゅっ!

 一子ちゃんの口のなかで、でぶが射精する。おれも同時にイッている。でぶと感覚を共有しているというのはちょっとアレだが、体力を使わずに気持ちいいってのは、もしかしたらお得かもしれない。

「つぎはワシじゃ」

 かなり老齢のじじいがしゃしゃりでる。おいおい、こんなじじいが射精したら、死んじまうんじゃねーか?

「おれだよ!」

「オラだ!」

 順番待ちをしていた男たちが口々に自分の番であることを主張する。

「じゃあ、いっぺんに……」

 一子ちゃんがおずおずと提案する。まあ、この子は人助けと信じているからな。無邪気なもんだ。

 男たちのペニスを三本、どうやって扱うのかと思ったら、一子ちゃんは左右の手に一本ずつ握りしめ、しごきたてはじめた。そして、中央の一本を口にくわえると、顔を前後に動かす。

「おあっ」「うっ」「いいっ」

 年齢も体格もバラバラな男たちが口々にうめく。

 それぞれ、一子ちゃんくらいの孫や子供がいる年頃だろうに、ピンピンに勃起したものを舌や指で刺激されて、だらしなく口をひらいている。

 おれは男たちのなかを通りすぎた。スキルアップしたせいか、男たちの受け取る快感を三人同時に感じることができる。すげーな、チンポが三本生えて、同時にしごかれたらこんな感じなのか。

 一子ちゃんの指が松笠のくびれをこする。唇の輪が締まり、口蓋のでこぼこに、敏感な男性器の突端があたる。じゅぷじゅぷ、唾液が音をたてている。やっぱり左手の動きはぎこちなくて、単調に上下にしごくだけ――それでも、懸命な一子ちゃんの表情を見ているだけで高まっていく。男たちの睾丸がせりあがっていく。

「こっちのも舐めてよ」「こっちもお願い」

 手コキに満足できなくなった男たちが左右から一子ちゃんに声を浴びせる。一子ちゃんは首をめぐらせて、三人の男たちの男根を順々にしゃぶっていく。

「んおおお」「おふっ」「ふがっ」

 思い思いの声をあげつつ、男たちがペニスを一子ちゃんの顔に押しつける。次々と射精していく。トリプルの顔面シャワーだ。

 その快感をおれも味わっている。失神しそうだ――って生き霊が失神したら、ほんとうに冥土行きかもしれんな。

「ぷふッ……ふあ……はあ、はあ、はあ」

 大きく肩を上下させつつ、一子ちゃんがあえぐ。顔や髪にたっぷりと男の体液をまぶされ、口許から白い粘液をたらたらこぼしている。

 それでも、まだ男たちの半分が残っている。

「次はおれ」「ぼくのも」「ミーも」

 男たちがペニスを突き出す。

 だが、一子ちゃんは口を開いたまま、首を横に振る。

「あごが、疲れて……すこし……休ませて……ください」

「だめだって、みんな苦しくてがまんできないんだよ」

 股間を屹立させた男がなじるように言う。

「ごめんな……さい」」

 男は一子ちゃんの後ろにまわって、ヒップに手を触れる。

「口がだめなら、お嬢ちゃんのココを使わせてもらわにゃ」

「あっ」

 男が一子ちゃんの股間をいじっている。その部分は先程おれがたっぷり可愛がってやったおかげでヌチョヌチョだ。いや、さらに濡れ具合が昂進しているようだ。おつゆがあふれて、内股までベトベトになっている。

「お嬢ちゃんもみんなのチンポをしゃぶってて、いやらしい気分になってきたんじゃないの?」

 中指で入口を探りながら、男が一子ちゃんに訊く。

「そんな……こと……ありません」

 否定しつつも一子ちゃんは抵抗しない。男は調子に乗って、指を、一子ちゃんの中へ――

「あうっ!」

「うわあ、キチキチだ……。でも、濡れてるから奥まで指が入るよ、ほらあヌルヌルッ」

 一子ちゃんのおまんこの奥をいじくる。熱くてせまい膣の壁の凹凸を、男の指を通じておれも感じている。

「あ……ああ……」

 甘い声とともに一子ちゃんがおしりをあげていく。床に顔をこすりつけるようにして、まるで、もっとしてください、と言わんばかりだ。

 男たちの目に15歳の処女の秘部がさらされる。肛門もその下のワレメもばっちりだ。しかも、そのワレメの穴には、男の中指が挿入されてうねっている。いやらしすぎる光景だ。

「口で出来ないんだったら、ココでチンポをこすってもらおうかな。そうすりゃ、お嬢ちゃんも気持ちいいんだし」

「そ……んな……」

「だめかな?」

 男が指を曲げる。Gスポットのあたりだ。一子ちゃんの背中がうねって、きれいな脊椎のラインが浮かびあがる。

「そこぉ……っ! へん……ですぅ」

 足の指をきゅうっと曲げて、必死でこらえている。

「ここ? ここかな?」

 男は笑いながら、一子ちゃんの感じるスポットを探る。みるみる粘膜の充血が増していき、大陰唇は膨張し、アヌスもピンクが濃くなっていく。

「んあっ! んくぅっ……! く……はあっ!」

 一子ちゃんが苦鳴をもらす。性的な快感という概念をまだ持っていない一子ちゃんは、自分の身体の奥底からこみあげてくるものにどう対処していいかわからず、ただ耐えるしかないのだろう。

「クリちゃんもこんなにおっきくして」

「ほんとだ。充血して顔を出してらあ」

 ほかの男たちも手を伸ばす。一子ちゃんの股間を複数の指がまさぐりはじめる。

「おしりの穴もほじくってあげる」

 アヌスにも指が埋まっていく。

「いやです……っ、そこは……いやあっ!」

 ウンチをする穴まで弄ばれて、一子ちゃんの声が悲鳴に近くなる。しかし、その唇にペニスがねじ込まれると、条件反射なのか、舌を使いはじめてしまう。

「んむううう……くっ……ふぅぅぅ……」

 一子ちゃんの眉根に刻まれていた深いしわが、少しずつ浅くなっていく。

 男たちの指がもたらす刺激に神経を溶かされてしまったのか、自分でおしりを小刻みに動かしはじめる。

「気持ちよくなってきた?」

「おしりの穴もしっとりしてきたよ」

「ほらほら、クリちゃんが尖ってきたよ」

 たくさんの指が蠢く。

「おっぱいもいじってあげるね」

 また別の男が、四つん這いの一子ちゃんの乳房を下から掌で受けて、くにゅくにゅと揉みあげる。乳首を指で責めながら、耳に唇をつけて舌でねぶりたおす。

 十人の男たちが一子ちゃんにむらがっている。なんとかしていいポジションを取ろうと、押しあいへしあいしつつ、それでもそれぞれが一子ちゃんの身体をまさぐっている。

 呼吸が苦しくなったのか、一子ちゃんは咥えていたモノを吐き出した。

「ああ……はあ……はあ……はあ……」

 顔が真っ赤で眼はうつろだ。

「身体が熱くて……も、だめです……もお……」

「じゃあ、この穴にチンポ突っ込んでもいい?」

 一子ちゃんのあそこをいじくっていた男が念押しするように訊く。指でかきまわされて、一子ちゃんは気持ちよさそうに鼻を鳴らしつつ、こくこくとうなずく。

「はい……いいです。入れてください」

「どろどろの膿をお腹のなかに出すけど、いいよね?」

 一子ちゃんはまたうなずいた。

「使って……ください……わたしの穴を……お役にたつのなら……」

「じゃあ、やらせてもらおうかな」

 一子ちゃんから承諾の言葉を得た中年男が一番乗りを宣言する。ほかの男たちの羨望の視線を浴びながら、男は一子ちゃんのヒップをわしづかみにすると左右に大きく開いた。

「あ……あ……」

 恥ずかしい粘膜を広げられ、そのとろとろになった部分をあますところなく公開されてしまった一子ちゃんは、意味をなさない声を出し続けている。無理もない。いまこの瞬間も、ほかの男たちの絶え間ない愛撫にさらされているのだ。

「おお、よく見えるよ、お嬢ちゃんのおまんこ――初めてなんだね?」

「なに……が? よく、わかりま……せ……」

「ちょっと痛いかもしれないけど、すぐだから」

 おっさんが節くれだったペニスを一子ちゃんの入口におしつける。ああ、そこはほんとうはおれのものなのにぃ……

 悔しいけれど、男の感覚をあますところなく共有すべく、おれはほかの男たちに振り向けていた意識を引っ込めた。

「あ……」

「入っていくよ」

 ずぬっ!

 亀頭が処女の粘膜を押し広げていく。不思議な感触だ。普通なら、つるんと入ってしまうところで抵抗がある。

 それでも、充分すぎるほど潤っている一子ちゃんのその部分は、さほど強硬ではなかった。

 ハマっていく。名も知らぬ中年男のペニスが、おれの一子ちゃんのおまんこに。

「くぅっ……」

 痛みのためか、一子ちゃんが顔をしかめる。ほかの男たちは自分でしごきながら、一子ちゃんのロスト・バージンを鑑賞している。

 男の亀頭はすでに一子ちゃんの中におさまっている。処女膜が裂けたのか、熱いものが男のペニスに巻きつく。

「力を抜いて……行くよぉ」

 男はわずかに腰を引き、反動をつけると、一気に一子ちゃんの中に侵入した。

 ずぶ、ずぶぶっ!

「きゃあっ!」

 一子ちゃんが悲鳴をあげる。

「入ったよ、お嬢ちゃん……わかるかい?」

 男はゆっくりと腰をうねらせながら、一子ちゃんに感想を求める。一子ちゃんはくぐもった声で答える。

「……いた……い……です……」

「ごめんね、でも、お嬢ちゃんのおまんこ、すごく気持ちいいよ。熱々で、キツキツだ。これだと、すぐ膿が出ると思うよ。動くから、がまんしててね」

「は、はい……」

 一子ちゃんが歯を食いしばる。

 男は腰を使いはじめる。かなり乱暴な動きだ。

 ぱん、ぱん、ぱん、と肌がぶつかる音がする。

「うあっ……あ……いひっ!」

 一子ちゃんは床に這いつくばって声を漏らしている。

 おれは、一子ちゃんのバージンを奪った男と感覚を共有しながら、不思議な喪失感を味わっていた。一子ちゃんの初めてを存分に味わいながらも、しかし、おれの肉体はまだ洗い場に横たわったままなのだ。

「行くよ……出すからねっ」

 男はたちまち昇りつめていった。一子ちゃんの中はそれくらい気持ちいいのだ。意識して締めつけているのではないのだろうが、膣が蠢いて、ペニスを奥へ奥へといざなうようだ。蠕動――

 ぞくぞく感が男の背筋をかけめぐり、射精中枢に火花が入る。牡の本能が最も満たされる瞬間だ。

「でるっ……!」

 男はとどめのように一子ちゃんの奥深くを突いて、天井を――子宮頸部付近のでこぼこを叩く。

「あうっ……! ああああっ!」

 一子ちゃんが声を放ち、膣を収縮させる。たまらずおれは――見知らぬ男の身体を使って、一子ちゃんの胎内に精子のかたまりをぶちまける。

 すさまじい快感、凌辱のふるえが駆けぬける。

 男は一子ちゃんの中からペニスを引き抜いた。征服者のしるしが膣口からこぼれて粘っこい糸を引く。赤い色がブレンドされた白濁液――

「へっへ、気持ちよかったよ……妊娠したらカンベンな」

 最初の登頂者が場所を明ける、すぐに第二の挑戦者がヒップにマウントする。

 挿入する。

「ひうっ!」

 一子ちゃんが声を裏返らせる。破かれた部分を再度ほじくられるのは、一度目より痛いのかもしれない。

 だが、男は欲望に忠実にピストン運動を続ける。

「あっ、あっ、くふ、う……」

 奥をえぐられて、一子ちゃんがうめく。おれの意識はどうやら一子ちゃんのなかにも入り込みつつあるらしい。お腹の奥がズンズン突かれる感覚が伝わってくる。なんてこった。女の子の感覚って、こんなふうなのか。

 痛みと圧迫感、そして異物感――入っているという感覚はそんなに鮮明じゃないんだな。どっちかというと、じんじんする感じ。それが広がって、下半身が痺れてくる。

「おほっ……締めつけがすげえ」

 きゅっ、きゅっ、一子ちゃんが括約筋を絞っている。その度に、ぴくんぴくんとおしりが動く。痺れる感じが強くなっていく。

 膣を押し広げられる感覚と、ペニスを絞られる感覚――それが同時に襲ってくる。

 たまらない。

「出すよ……ほうらっ、ほらっ!」

 男がガクガクと腰を揺する。睾丸が気持ちよく締まって、射精が始まる。最初の男よりも、より奥の方で、よりたくさんの精液を注ぎこみたい。

 熱が広がっていく。注入されている。一子ちゃんはそれを認識している。

 拡散したおれの意識は、男の射精の感覚と、それを受ける一子ちゃんの感覚を同時に味わっている。

 また選手が交代する。まさに輪姦だ。

 今度の男は頭頂部が薄いオヤジだ。ニヤニヤ笑いながら、一子ちゃんを抱きかかえた。下から器用に挿入する。角度が今までと全然ちがう。それに、オヤジの陰毛がクリトリスに当たって、ひどく気持ちがいい。

「ひうっ……それ……」

 オヤジは一子ちゃんのおっぱいを吸いはじめる。それも気持ちいい。

「あんっ……ああ……はああ」

 一子ちゃんは髪を振り乱してあえぐ。その顔をとらえて、別の男がペニスを押し当てる。一子ちゃんはそれを咥える。自ら求めるように舌をからめる。太くて、熱い肉棒を、おいしいと感じている。ああ、一子ちゃん……

「オチン……チン……もっと……」

 あえぎながら、亀頭を吸う。お腹のジンジンがもうどうしようもなくなっている。下から突きあげられて、お腹が破れそうだ。

「あうん……はう……気持ち……いい……」

 痛みが痺れに変わり、そしてそれがさらに快感に変わっている。一子ちゃんは男にまたがるようにして、自分から腰を前後に揺すりはじめていた。爛れそうなほどに充血したクリトリスが擦れて、頭のなかが白くなっていく。

「ああっ、はああ……すごいです……」

「おやおや、淫乱な子だ。もう治療どころじゃないな。夢中で腰を使ってやがら」

 オヤジは下から一子ちゃんのヒップをつかんで左右に広げた。

 ペニスが食いこんだ結合部から、男たちの精液と一子ちゃんの愛液が混ざった液体がぷくぷく泡立ちながらこぼれ出している。そして、その上にある排泄のための穴は、おしりの山が左右に引っ張られるのにともなって、内部の粘膜を無残に晒している。

「外人さん、まだなんだろ? こっちの穴を使ったらどうだ?」

「アナル・セックス――グー」

 よだれをたらしながら、初老の白人男が誘いに応じる。胸毛が腹まで密生していて、まるでシロクマのような巨漢だ。しかし、ペニスは立派な包茎である。白人の包茎率は高いというが、ほんとうなんだな。ちなみにおれも――まあいい、この際。

 シロクマは、一子ちゃんのおしりの穴にペニスの先端を合わせた。すべりをよくするためか、ボディシャンプーをまぶしている。指で包皮を後退させると、やや細長い、それでも立派に笠の開いた亀頭が姿をあらわす。色は紫に近くて、まるでエイリアンの頭部みたいだ。

「じゃあ、二本同時に行くぜ」

「イエス」

 初老の男はタイミングをはかって、肛門への挿入を試みる。

「あっ、い……そこは……ひいいっ!」

 一子ちゃんもさすがにその部分への侵入は衝撃だったようだ。

「アツイノガ、カラミツイテ……グレイト!」

 発音がやや怪しいが、日本語で外人男が嬉しそうに言う。

「あくぅ……苦しい……です」

 膣と直腸、薄い壁一枚で隔てられたふたつの穴に同時にペニスを挿しこまれ、一子ちゃんは内臓を圧迫される苦痛にうめいた。

「大丈夫、大丈夫」

「ノープロブレム」

 日米の男たちは言いつつ、ピストン運動を始める。さながら二気筒エンジンのように、亀頭がシリンダヘッドになって、一子ちゃんをえぐりまくる。

「ぃああああっ! きゃああああっ!」

 一子ちゃんの声が悲鳴になる。

「すげえ、あぶくが出てきたぜ」

 覗きこんでいたギャラリーが言った。

 ボディシャンプーが、摩擦で泡になって、結合部からぷくぷくとあふれ出している。そのおかげか、抜き差しはスムーズだ。

 一子ちゃんの直腸の感触を白人男は存分に味わい、さらに奥を狙って腰を押し込んでくる。

「あっ、あああっ、だめ、だめですぅ――!」

 アヌスへのピストン運動は、まるで強烈な浣腸のようだ。ペニスが直腸をこすりながら抜けそうになる瞬間は、さながら大便を放出する感覚に酷似している。

 一子ちゃんの頭のなかはもうぐちゃぐちゃだ。排泄の快感が断続的に襲っている。

「出ちゃう……出ちゃいます……ああああっ」

 しゃぴっ。

 括約筋が誤動作して、放尿が始まる。そのさなかに膣の中のペニスがGスポットを刺激して、さらに放尿が激しくなった。

「おしっこが……っ! ああああっ、出てますっ!」

 しぶきが飛ぶ。

「あふぁっ! あああああっ!」

 意識が真っ白に灼ける。一子ちゃんはイッている。

「あっ、気持ちいいっ! 気持ちいいですっ! おかしく、おかしくなって――くるっ! くるよおっ! 凄いのが――」

 放尿とともに、精液まじりのよだれが唇の端からたれ、涙で視界がかすむ。全身の穴という穴から体液をたれ流しながら、一子ちゃんはオルガスムスを――人生最初で、おそらくは最大のクライマックスを迎えていた。

「んああああああっ!」

 男たちも、一子ちゃんの中で存分に射精している。膣の奥で、そして直腸で――

 一子ちゃんの意識が蒸発していく。

 ぐったりと横たわった一子ちゃんの太股をまた別の男が抱える。

「ほらほら、まだまだ膿を出したりない人はたくさんいるんだよ?」

 一子ちゃんは目をあげる。ジャングル風呂はいまや人でいっぱいだ。どこからか噂を聞きつけたのか、若い男も股間を屹立させて、列をなしている。

「んっ……」

 一子ちゃんは自分で股を左右に広げると、軽くきばった。膣と肛門から、精液がびゅぷびゅぷとあふれ出る。

「じゃあ……三人ずつ……来てください」

 唇をぺろりと舐める。

「お口と、お股の穴と、おしりの穴で、オチンチンをこすりますから……」

 空中を漂いながら、おれは一子ちゃんの変貌を呆然と眺めていた。どうやら宴はしばらく終わりそうにない……

おしまい、っつーか、ずっと続くらしい。