宇多方美耶子ファンクラブ、プラチナ会員の***様へ、というメールだった。
「プラチナ会員限定のスペシャル企画のお知らせ。クリスマスイブ、美耶子サンタが***様のお宅を訪問する……かもしれません!」
そう書かれていた。
目を疑ったが、メールの発信元はファンクラブの正式なものだった。
企画的には、クリスマスイブの特別生配信番組だった。クリスマスイブに美耶子ちゃんがファンの家を訪問してプレゼントをくれる……というものだ。
その訪問先の候補に選ばれたのだ。
だが、問題は参加費用だった。エントリーのために相当の金額を振り込まないといけなかった。
それは、一回のイベント費用としては破格の額だった。でも、これまで何とか焦げ付かせることなく乗り切ってきた甲斐あってか、ぼくのカード限度額はかなりのものになっていた。
とりあえずカードで申込金を払い込んだ。イベントは抽選制だから、外れれば引き落としはない。
だが、もしも当選すれば――引き落としの時点で破綻は確実だ。
でも、そんなことはもうどうでもいい。
本物の美耶子ちゃんと会えるんなら――破滅したってかまわない。
そして――ついにその日がきた。
12月24日――日本全国が幸せムードに包まれるクリスマスイブ。
男女がセックスする率のもっとも高まる日だ。
聖夜ならぬ性夜――ホテルというホテルが満室になり、サカった男女が睦みあう。
相手のいない者にとっては、街を歩くことさえ厭わしくなる一日だ。
クリスマスなんか廃止しろ! そう大声で叫びたい。
だが、今回は違う。
朝からドキドキ、ソワソワが止まらない。
抽選の当落は放送が始まらないとわからない。すべてがライブ、行き当たりばったりだからだ。
部屋を隅々まで掃除した。大掃除と思えばどうということはないが、今までここまで必死に掃除をしたことはなかった。
そしてクリスマスの飾り付けをした。
ツリーも買った。まさかこの歳になって、ツリーを買いに行くことがあるとは想像もしなかった・
ケーキを用意し、オードブルやチキン、ジュース類も買いそろえた。それも、三日三晩、パーティが続けられるくらいの量だ。なにしろ、加減がわからなかったから。
準備万端ととのえて、放送の開始を待つ。
全裸待機――それまではしなかったけれど、気分はそれくらいだった。
ぼくはひたすら祈った。
――外れれば、破綻は避けられる。ロリテレビを脱会し、普通の生活に戻ろう――
そう思った。
でも。
――もしも当たったら……
『はーい! 美耶子サンタだよー!』
サンタルックの美耶子ちゃんが画面に登場する。真っ赤な帽子にジャケット、ミニスカから伸びるのは生脚だ。チャームポイントの八重歯が可愛い。
『さっそく、最初の訪問するおにーちゃんちを決めるよー! ちゅーせーん!』
明るく宣言し、抽選箱に手を突っ込む。
取り出したボールに書かれている抽選番号が当たりだ。
だが、自分の抽選番号は知らされていないから、美耶子ちゃんがピンポンを押すまでわからない。
移動はクルマで、時折、外の景色が映る。自分の知っている場所が映ると、それだけでドキッとする。
一人目の当選者――は、ぼくではなかった。
高級そうなマンションだった。住所や、どんな建物かは、わからないようにぼかされていたが、いわゆるデザイナーズ系のオシャレな建物であることはわかった。
美耶子ちゃんがピンポンを押す。
『おにーちゃーん! 美耶子サンタだよー!」
『うそ、マジ!? やったあああああ!』
インターホン越しに歓喜の声。
オートロックを通過して、美耶子ちゃんが当選者の部屋に移動する。すべてライブなので、ときおり映像が途切れるがそれもご愛敬というところか。
当選者の顔は映らないようにアングルが配慮されており、さらに美耶子ちゃんから『はい、どれがいい?』とマスクやお面を数種類渡される。最初の当選者はひょっとこの仮面を選んだ。
『いやあ、美耶子ちゃん、マジちっちぇえ! 可愛い!』
当選者はナマ美耶子ちゃんと握手をして、さらにハグまでしてもらっていた――ハグといっても、ほとんど抱っこだけど。
しばし、美耶子ちゃんと当選者のトークだ。おもに、当選者がいかに美耶子ちゃんにハマっているかをアピールする時間になっていた。買いそろえたDVDやポスター、写真集などのグッズを自慢する。はん、ウチの半分どころか三分の一くらいだな。DVDもジャケット違いも漏らさず買いそろえないとウソだろう――などと対抗意識を燃やしてしまう。
でも、美耶子ちゃんは感激しているようだ。
『じゃあ、さっそくプレゼントあげるね……ってその前にルーレットターイム! それでプレゼントが決まるから!』
ルーレットボードが用意される。
その内容は――
ハズレ
おでこにチュウ
ほっぺにチュウ
パンチラ
パイチラ
パイタッチ
ワレメチラ
ワレメくぱあ
すぺしゃる
などと書かれている。
下に行くほど面積が少なくなっており、当たりにくい仕掛けだ。
ルーレットは三回挑戦できる。
最初の当選者がいきなり引いたのは、「パンチラ」だった。
『えーっ、いきなり? もー、しょーがないなぁ……おにいちゃん、だけだよ?』
サンタルックの美耶子ちゃんは恥ずかしそうにスカートをたくしあげる。
純白の子供パンツがまる見えだ。これは視聴者も嬉しいが、当選者は目の前で生パンツを鑑賞し放題なのだ。
次に、「ほっぺにチュウ」。これもうらやましい。お面をちょっとずらして、美耶子ちゃんに「チュッ」てされてやがる。いいなあ!
三回目は、パイタッチ! いいとこ当てたな、いいな! ハズレが一回もなかったのがうらやましい。
パイタッチは、パイチラの上位互換なので、まず、美耶子ちゃんはサンタジャケットの前を広げて、おっぱいを見せてくれる。ああ、何度見ても見飽きることのない、成長途上のプチおっぱい。乳首も薄ピンクで綺麗すぐる。当選者はその美耶子ちゃんの生オッパイをモミモミできるのだ。
『うわああああ! 感激! お、おれ、いま小学生の、おっぱい揉んでる!』
『やぁん、強すぎだよ、おにいちゃん』
『で、でも、こんなの、もう一生できないかも!』
ひょっとこ面の当選者は美耶子ちゃんの背後から手をのばし、おっぱいを揉み揉み、乳首を指でクリクリする。
『あっ、やあああん、おにいちゃん、クリクリしすぎぃ……!』
『はっ、はあ、はあ、美耶子ちゃん、おれ、もう、我慢が……!』
興奮しきったひょっとこ面が美耶子ちゃんを押し倒そうとする。
『あっ、だめ、おにいちゃん……ルールいはん……ぅ!』
そこで画面が乱れ、一時中断され、一分後、ひょっとこ面は正座させられていた。スタッフに制止されたあげく、きつくおしかりを受けたのだろう。しょぼんとしている。
『おにいちゃん、ごめんね、でもルールだから……これあげるから、美耶子のこと嫌いにならないでね』
美耶子ちゃんはその場でするっとパンツを脱いで、ひょっとこ面に渡す。ひょっとこ面はふるふる震えながら、美耶子ちゃんの脱ぎたてパンツを受け取った。面の下で泣いているようだ。気持ちはわかるぞ……わかる……
ぼくも視聴者プレゼントではもらったことはあるが、目の前で脱いでもらった、体温つきのほかほか女児パンツなんて、宝物もいいとこだろ!
次の抽選がおこなわれ、美耶子ちゃんは移動開始。
移動中はトークセッションで、さきほどのひょっとこ面の行動が話題になる。
『全国のおにいちゃんはルールを守らないと、らめらめよ!』という結論に至る。
生放送なので視聴者のコメントもリアルタイムに寄せられてくる。ひょっとこ面の行動については非難が大半だったが、『気持ちはわかる』『おれだって我慢できる自信ない』といった反応も多かった。ぼくも同感だ。
二人目の当選者も高級マンションとおぼしき場所に住んでいた。やはり一戸建てというのは、ロリTV試聴者にはあまりいないのかも……一人暮らしでないと、いろいろ難しいしね……
そいつはちょっとついてなくて、おでこにチュウの後、二連続ハズレだった。いや、それだけでも超すごいことなんだけど、一人目がパイタッチまでいってるから、二人目(カッパのお面だった)はかなり落ち込んでいた。
同情したのか、美耶子ちゃんはそこでも脱ぎたてパンツをプレゼント。優しい。
そして、三人目は一戸建てだった。かなり立派な感じで、建て売りではない、注文建築で、ガレージには外車が二台駐まっていた。
『えーと、家族はフィンランドでクリスマスを祝ってまして……』
戦隊もののお面を選んだ当選者が育ちの良さそうな口調で言う。まだ若いなあ。大学生くらいか?
『えー、ふぃんらんど? どこー? でも外国ってすごーい! どうしておにいちゃんは行かなかったの?』
少し素にもどって、フツーな子供口調で美耶子ちゃんが訊く。
『だって、この企画で当選したら……って思ったら、行ってられないですよ!』
金持ちでも、美耶子ちゃん愛はかなりなものらしいな。
そして、そいつが最初の「すぺしゃる」を引き当てた。
「すぺしゃる」のゾーンは一番面積が小さく、めったなことでは当たらない。
それを一回目で引き当てたのだ。金持ちは運も強いのか。
『おー! すごーい、おにーちゃん! すぺしゃるルーレットに挑戦けってーい!』
「すぺしゃる」用の一回り小さいルーレットボードが画面に映る。
その内容に、さすがに軽く噴く。
ディープキス
おっぱいペロペロ
クリいじり
指入れピストン
ワレメくぱぁ&ペロペロ
アナルくぱあ&ペロペロ
目眩がした。
これらのうちひとつでも当たったらえらいことだ。
さらに、「すーぱーすぺしゃる」というゾーンもある。これが当たったら、いったいどうなってしまうのか。
幸い? 「すぺしゃる」のルーレット結果はハズレだったが、下位のルーレットのプレゼントからひとつ選べるという救済措置があり、そいつは案の定「くぱあ」を選択した。
美耶子ちゃんはパンツを脱ぎ――椅子に座って、膝をたてる。
ついに――生放送で美耶子ちゃんのアソコが見られる瞬間が――
と、思ったら、当選者の後頭部しか見えないではないか。
『あっ、おにいちゃんが美耶子のおまたを、くぱっ、て、広げてるよぉ……』
『うわああ……きれいで……かわいい……! すごい……すごい』
いや、こっちにも見せろよ、見せてください、お願いします。
ネットでも同様にすさまじい書き込みの嵐。
それを察したのか、カメラがうごいて、当選者の肩ごしに美耶子ちゃんの押し広げられた股間を映す。
ついに。
10歳の女の子のおまんこが――
ワレメを広げられて、ピンクの粘膜が顔を出していることろを――
みえた――かと思った瞬間。
『はい、おしまーい!』
絶妙なタイミングで、美耶子ちゃんが脚を閉じる。
試聴者たちはネット上でルーレット対策を論じていた。
当選者も議論に参加し、ルーレットの構造――といっても、紙のボードにルーレットの矢印を取り付けた簡単なものらしい――について情報をくれた。
その情報の蓄積のためか、四人目以降の成功率が高まった。
ハズレは出なくなり、「すぺしゃる」率が高まった。
四人目の当選者は、「クリいじり」を当てた。
まず美耶子ちゃんが当選者の指を舐め、その唾液のついた指で、美耶子ちゃんのアソコを――クリトリスをコリコリと刺激する。
『あっ! おにいちゃんが、美耶子のおまめを……あんあん……ああああっ!』
すごい映像だった。「くぱあ」どころではない。小学生の美少女の肉芽が、男の指で転がされ、徐々に体積を増していくさまを、生放送で全国に――いや、へたしたら世界に配信しているのだ。
五人目は「ディープキス」と「おっぱいペロペロ」の2発的中。舌をからめた濃厚なキスの次に、かわいい乳首を舐めまくり――
このあたりで、ルーレットの構造はほぼ解明され、ほぼ確実に「すぺしゃる」が出るようになってきた。
六人目で、「指入れ」「われめくぱぁ&ペロペロ」「アナルくぱぁ&ペロペロ」が連発。
美耶子サンタは最初からノーパンでアソコ見せまくり。ベッドの上で、甘い声で鳴きつづけだ。
美耶子ちゃんはおしりの穴も可愛くて、きれい。ロリテレビ出演者のなかでも「舐めまわしたい穴ナンバーワン」にランクされるのも納得できた。
正直、これでオナニーできないのは苦行だ。映像を見ながらペニスを握りしめる。が、射精はできない。この先、もっとすごい映像が見られるかもしれない。いや、もし自分が当たったら――
幸いなことに、一軒あたりの滞留時間は限られており、その後は移動時間となるので、こらえることはできた。それにしても、「おにいちゃん」にプレゼントを配り続ける美耶子ちゃんは、移動中もテンションを下げることなく、まさにプロ!という感じだった。MCにエッチな質問をされても軽くいなし、次のドラマの撮影裏話をしてくれたり、そのおしゃべりのほうがむしろ楽しいくらいだ。
当選者に対しても、毎回きちんと手順を踏んで、明るいトークから始まり、エッチな要求にもいやな顔ひとつ見せず、まるで「おにいちゃん大好き!」の都のように、エッチで可愛い妹キャラをしっかり演じてくれていた。
「すぺしゃる」連発で、かなり感じやすくなっているのか、七人目の三連続指マンではマジイキ寸前までいっていて、それも可愛いったらなかった。
『えっとぉ……次が最後かな?』
十人目だった。
気がつけば夜もかなり更けている。放送時間も終わりに近づいていた。
『まだ、すーぱーすぺしゃる出てないけど……次のおにいちゃんは出してくれるかな?』
確かに、「すぺしゃる」はみな連発するようになっていたが、さらに確率の低い「すーぱーすぺしゃる」はまだ誰も出してはいなかった。ネットでは「ヤラセ」の指摘が出始めていた。後半の「すぺしゃる」連発は、みながルーレットの攻略法をつかんだから、だけではなく、番組を盛り上げるための「操作」が働いているからだろう、という指摘だ。たしかに、終盤にきて、「すぺしゃる」3連発が続き、「すーぱーすぺしゃる」寸前で止まる、という展開が続いていた。
「ラストで『すーぱーすぺしゃる』が出て、本番ヤッて終わりじゃね?」
という予想に落ち着いていた。それでも、ナマ中継で人気ダントツナンバーワン子役のセックスシーンが見られるなら、サンタさんに感謝せねばなるまい――そんな論調ではあったが。
ぼくも、自分以外のだれかと美耶子ちゃんがナマ本番をするのはイヤだったけれど、我慢し続けたペニスは爆発寸前で、次の当選者が決着をつけてくれれば、スッキリして眠れるのに――そんなふうに思うようになっていた。
『もうすぐだよ、十人目のおにいちゃん――』
車窓の外が一瞬映り、ドキッとする。これはうちの近所の――駅前の町並みにそっくりだ。
まさか、と思う。
ついにきたか、とも思う。
考えてみれば、スターである美耶子ちゃんの身体をある程度ゆだねることになる当選者は――その候補は――厳選されているに違いない。つまり、身元のしっかりしたプレミアム会員だ。さらにいえば、今回は移動の都合上、都内近郊在住者に限定されているはずだ。つまり、その点でもぼくにはチャンスがある。
そう思うと、ドキドキが止まらなくなっていた。
手や指から汗がでてきて、ぬるぬるする。わけもなく部屋のなかをうろつく。窓から外をみて、ロケバスがやってこないか見てみる。掃除しまくったはずの部屋なのに、テーブルやベッドの位置が気になり始め、やたらに配置を変え始める――そして。
ピンポ〜ン♪
鳴った。
画面では美耶子ちゃんが部屋のインターホンを押している。
きた!
きたきたきたきた、ホントにきた!
ぼくは髪をかきあげ、目やにをこすり、鼻をほじった。いや、いまさらそんなことをしてもどうしようもないのだが――鼻をかみ、そして、右手がオナニーのやりかけで臭くなっているのに気づき、あわてて洗いに行く。
ピンポンが続けざまにならされる。
『あれぇ? いないのかなあ、おにいちゃん』
美耶子ちゃんの声がスピーカーから聞こえて。
ああ、美耶子ちゃん、待ってて! いるから! いま出るから!
広くもない部屋内をどたどた走り、玄関へ。
鍵をもどかしく開け、安アパートの薄いドアのノブに手かける。
「美耶子ちゃん!」
ドアを開けた、そこには、小柄で、横にひろくて、はんぶん白髪で、顔に険悪な表情を浮かべた――
管理人のおばさんがいた。
「ちょっと、***さん! 大掃除はいいけど、時間を考えてちょうだいな。どすんどすんって、模様替えでも始めたの? ちょっとは人の迷惑っていうのをね……」
説教された。
そういえば、階下にはアパートの管理人が住んでいたんだった。
『じゃあ、ルーレットすたーとぉ!』
美耶子ちゃんの声が部屋から聞こえてくる。
これはやばい。
ロリテレビの試聴者だとばれたら、人生オワタ\(^o^)/になりかねない。(この時期はまだそうだった)
ぼくはとって返してモニターを消し、音声もカットした。
消えるまぎわに見たのは「すーぱーすぺしゃる」当選決定の瞬間。
おくちでえっち
あそこでえっち
おしりでえっち
すきなところでえっち
その針が止まったのは――
30分、寒い玄関先で説教されて、部屋に戻ったときには番組は終わっていた。
ネットでは「スゲー!」「美耶子ちゃんマジエロス……しぬは」「今夜、エロ番組の歴史が動いた!」「抜きすぎでチンコ焦げた」「神! マジ女神!」「メリークリスマスすぎ! 美耶子サンタありがとう!」などの書き込みで特設掲示板がパンク状態だった。
ぼくはきれいに飾り付けされた部屋の中で、一人さめざめと泣いた。