うたかたの天使たちXI
涼子の表情が一変する。甘えるように眉を寄せ、しなをつくる。
「おにいちゃん……美鈴のこと、嫌い? 美鈴、おにいちゃんのこと――大好きだよ」
なんだよ、そのせりふ。ほんとにテレビドラマなのか?
「美鈴のこと、子供だと思ってるでしょ……でもあたし、もう子供じゃないんだよ……」
キスをせがむように目を閉じる。
なんだこりゃ。一昔前のエロゲーのセリフか? つか、ぬるいし、古い!
「だーめ、ぜんぜんだめね。だめすぎよ。セリフも演技も、なってないわ」
おれは首を横に振る
「えっ……でも、台本どおり……」
「わかってないわね。台本はあくまでたたき台に過ぎないわ。芝居ってのは現場でどんどん変わっていくものよ。役者の感性、そして演出家のひらめき――そのせめぎ合いの中で『伝説』は創られるのよ」
おれは口から出まかせに言い切った。
だが、涼子は衝撃を受けたようだ。
「わ、わかりました、監督! ご指導、お願いします!」
瞳をきらめかせておれを見つめる。うむうむ。
「じゃあ、あたしが言うとおりにせりふを変更するのよ。芝居は、そうね……パンツの上から股間をこすって」
「え……」
「何度も言わせる気かしら」
「はっ……はい」
涼子はおずおずと指を股間にあてた。顔がみるみる上気する。
おれは演技指導を開始する。
「ちゃんと触ってる? フリじゃだめよ!」
「さわって……ます」
「自分の気持ちいいトコロ、本気でこすって! 気分が乗ってきたらはじめるわよ」
「わ……わかりました……」
おれは小石川涼子の指づかいをまじまじと観察した。へー、やっぱそこ触るんだ。アイドルも感じるトコロはおんなじってことか。
「あ……監督、見られてると……恥ずかし……」
「女優でしょ、あなた。見られるのが仕事じゃないの?」
「わっ、かりま……ああっ!」
おお、指がパンツの布地に食い込んで、かなり激しく動いてるぞ。そろそろセリフの伝授をはじめるか。
「じゃ、始めるわよ、ついてきて――おにいちゃん、あたし、ヘンなの」
「お、おにいちゃん――あたし……へん、なの……」
恥じらいの極致に身もだえながら、涼子が復唱する。
「ここ、クリクリすると、エッチな気分になって、すっごく気持ちがいいの」
「ココ……くりくり、すると……」
涼子の指が布の上からワレメをいじっている。
「エッチな気分に……なっちゃって……すごく気持ちイイ……」
おお、役者魂だな。ほんとに気持ちよさそうだぞ。
「美鈴、もう子供じゃないんだよ、ここだって、ちゃんと濡れるんだから」
「み……すず、もう子供じゃないんだよ……ココ……」
くねくねと指が動いている。みずから求めるように、一点に集中する。
「ココ……ちゃんと……もう濡れてるんだから……」
おおお、パンツの一部の色が変わってきてるぞ。
「いいわよ、涼子ちゃん、すごくいいわ。美鈴が乗りうつったみたいよ。自分でいじりながら、あとはアドリブでいきなさい」
おれは口述どころではなくなっていた。股間が痛いくらいに張り詰めている。
「美鈴の指、とまらないの、おにいちゃん、みてて……みてて……」
涼子はあえぎながらささやくと、下着の中に手を入れた。
直接、手淫を開始する。
「ああ……あっあっ……気持ちいい……」
すげーぜ。あの小石川涼子のマジオナニーだ。
だが、もっと凄くしてやる。なにしろ、おれ、いや、あたしは演出家ですからねっ。
「涼子ちゃん……感じるままにふるまうのよ。そうすればあなたは美鈴そのものになれる。そう、あなたが美鈴なのよ」
「わたしが……美鈴」
「そうよ。もっと没入しなさい。あたしを、主人公だと思うのよ。そうしたら、あたしが見たいものがなにか、わかるでしょう?」
「おにいちゃんに、見せたいもの……」
涼子の小鼻が広がる。発情した少女の顔。それでも涼子の場合は、あくまでも、清楚だ。
「おにいちゃん……みて……美鈴のココ、みて……」
ブルーの布地が引っ張られ、脇によせられる。
涼子の股間の部分があらわになる。
やや紫がかった縦割れの唇。
その周囲は興奮のためにピンクに染まり、粘膜は濡れて光っている。
ありえねえ。
小石川涼子のこの部分がカメラの前にさらされるなんてことは、今まで絶対になかったはずだ。
つーか、放送も上映もむりだけど。
おれって、いま、すごいもの撮ってる? 撮れてるかどーかいまいちわからないが。
涼子の指が、その部分を広げた。くぱっ、と音が聞こえそうなほどだ。
ライトがほどよく当たって、奥でひくひくしているところさえわかる。カメラのピントも何もしないのにばっちりだ。サングラスの助監督さん、グッジョブ。
「おにいちゃん……見える? 美鈴のぜんぶ」
「み、みえるわよ。すごいわ、涼子」
おれは圧倒されて声を上ずらせた。まさかここまでするとは思わなかった。小石川涼子って、いったい……
「涼子じゃないわ、あたし、美鈴よ。ね、そうでしょ、監督さん」
にっこり、涼子が笑う。演技じゃない。素にもどっている。戻ってはいるが、そこにいるのはすでに、テレビでおなじみの美少女アイドルではない。
「あたしが美鈴よね、桃山園監督? 窪塚プロデューサーにも、そう言ってくださるんでしょ?」
取引を持ちかけるやりてビジネスマンのように、涼子はおれを見つめた。
なるほど、そういうことか。おれの神演出に感動していたわけではなかったのだな。これも一種の取引ってわけだ。
そういうことなら――
「考えてあげなくもないけど、あたしはあんたの映像を撮るだけ――判断するのは窪塚のおっさん、じゃなくて、プロデューサーよ」
「久遠かすみの映像に手を加えることはできるでしょ、監督? セッティングや編集で、どうとでもなるはずですよね?」
悪辣なことを上品に言うなあ。さすが、お嬢様アイドル。
「もうひとりの子はいいの? 美耶子といったかしら――あの子は?」
「ふっ」
涼子は鼻で笑った。
「あんな素人、相手にもならないわ。だいいち、美鈴は中学生の設定でしょ。なんであんな小学生が――」
自信たっぷりだ。まあ、根拠がないわけではない。これまで親の七光的なとらえられ方をしていて、いまいちブレイクしていないとはいえ、子役時代からの芝居の経験についていえば小石川涼子がダントツなのである。
「監督さんもわたしと組んだ方が得だと思うわよ。あたしは大女優になるもの。ママを超えてみせる。そのためなら、何だってできるもの――監督さんとエッチすることだって――」
自らの性器を指でかきまぜながら、涼子が言う。くうう、プロ魂ってやつですか?
その魂、おれが試すっ――!
「そういうことなら、やってもらおうじゃない。まず、おくちでね」
おれはズボンのジッパーをさげる。
すでに先走りでぬるぬるのペニスを取り出す。窮屈な思いをさせていたぶん、そりかえりがすごい。
涼子の顔に欲望がひらめく。
「へえ、監督さんって、思ったより元気なのね」
スポットライトを背にしたおれの姿は逆光になっているはずだ。
おれは涼子の顔の前に立つ。なれた手つきで涼子はおれをまさぐり、陰嚢まで露出させた。竿を握り、亀頭にちろっと舌先をかすめる。
「すごい……もっとおじさんかと思ってたのに……」
「つべこべ言ってないで、おしゃぶりなさい」
「わかったわ」
涼子がおれをくわえる。
うおおお、唇がしめつける、舌がからみつく――!
「ほ……ほお? ひもひ、ひぃ?」
自分のテクに自信を持っているのか、上目使いに訊いてくる。気持ちいいとも。いいにきまってるじゃねーか。
なにしろ、あの小石川涼子だぜ。国民的美少女ってやつだ。
黒髪を手でかきあげつつ、一心におれのペニスを吸っている。睾丸も揉んでくれるしな。至れり尽くせりだ。
それにしてもこんなテク、どこで覚えるんだろう。幼稚園のころから子役として芸能界にいる子だから、大人のお勉強をする機会も豊富だったのかもしれない。
とか言ってるあいだに、で、出そうだ。
「ちょ、ちょっと、待ってよ。あんたのアソコ使わせてよ」
こんな機会、めったにないしな。
良子は上気した顔でうなずいた。いやいやってわけでもないらしい。けっこう好き者だな。
「いいわよ、監督さん。わたしを試して」
「オーケー、おしりをこっちに向けなさい。ソファに手をついて……」
演技指導の続きだ。まさに、ホンバンってやつだな。
スカートをまくりあげて、小尻を剥き出しにする。ぺろんとパンティを下げてやる。
おおおお。
小石川涼子のナマ尻だぁ!
なんか、手入れされてる、って感じだ。ケツ毛なんて、もちろんない。ちょっと色素が濃いめだが、きれいなシークレットゾーンだ。
じゃあ、いただくかな――
「はやくぅ……監督さん」
荒い息をしながら、涼子がおれを振りかえる。
まちなさいって。今ブチこんであげますよ……っと。
おれは涼子の尻を押し広げ、入り込んでいった。
なんだかんだいっても中学生のアソコだ。せまい。
「あ……おおき……ぃ」
だが、おれはちっちゃいまんこに慣れてるからな。どうすればいいのか、わかってる。
膣を押し広げながら、奥まで侵入する。
「は……あ……ああ」
中はヌルヌルであったかいな。小石川涼子のおまんこはなかなか美味だ。
おれは腰を使いはじめた。
「んっ、んっ! く、ふぅっ! ああっ!」
きれいな声で鳴きやがる。ああ、録音してぇ。
フェラでけっこうきてるからな。うっかりしてるとすぐいっちまう。
涼子の奥深くに入れたまま、すこし休憩だ。
どっ、どっ、と陰茎が脈打ち、涼子の、とくっ、とくっという鼓動とまざる。
「はやくして、監督さん……時間ないんだから。かすみが来ちゃうわ」
せかされた。
まあ、涼子にとっては、これは取引だからな。
じゃあ、せいぜい楽しませてもらうか。
腰の動きを再開する。
遠慮なしだ。
亀頭が少し固い部分に当たる。天井だ。子宮の入口。そこをノックする。
「あっ、あはっ! そうよ……それ……あああっ!」
涼子が喜びの声をあげる。極上のヒップを握りしめながら、おれはピストン運動を速めていく。
「す、すごい、監督さんっ! こ、こわれそう……っ!」
熱いライトを浴びながら、おれは涼子の中の感触に没入した。
快感がつきあげてくる。
有名人の小石川涼子とセックスしてるから気持ちいいわけじゃない。
芸能人だろうが女は女だ。かわらない。
みんな、かわらずに、いいものだ。
女は男にとって常に最高だ。牡としての本能を満たしてくれる、大切なパートナーだ。
だから、感じさせてやりたいと思う。それも、本能の一部だ。いや、おつりかな? 受け取っているものが大きいからこそ、与えたくなる。
おれは涼子の身体に自らの一部分をめりこませ、体内から激しいバイブレーションを送る。
「うっ! あっ! あはっ! あっ! あ、あっあっあっあっ、ああああっ!」
ソファに突っ伏しながら、小石川涼子がのぼりつめていく。
「くるっ! くるわ! わたし、わた……ぃくう……」
びくびくっ! と、涼子が痙攣する。オルガスムスの反応だ。おれも、それにあわせて動きを早める。
「大丈夫な日だから……っ! 中に出して……っ! 中にぃぃっ!」
おいおいマジかよ。つーか、涼子のやつ、脚をからめてはなれてくれない。
出るっ!
おれの命の種が、芸能界有数の美少女、小石川涼子の膣内にブチまけられる。
うわーっ、中出ししちゃったよ、いいんか、ほんとに?
くったりとした涼子がおれにしなだけかかってくる。
「監督さん、すごいわ。ちょっと本気になっちゃった」
涼子は上気した額にはりついた前髪をかきあげながら、艶っぽく笑った。
「クランクインが楽しみだわ。そうしたら、監督さんとまた会えるし……いろいろ演技について打ち合わせしましょ、二人きりで」
なるほど、契約成立ってわけか。でも、おれはただ撮影するだけだぞ。
判断するのは窪塚のおっさんだ。
「わたしが美鈴よね?」
念をおす涼子に、おれはあいまいにうなずいた。
「おはようございまーす」
小石川涼子がスタジオを出るとそれと入れ替わるように、次なる候補者がやってきた。
ムー娘の一番人気、久遠かすみの登場だ。
「監督、よろしくお願いしまーす」
ぺこり、頭をさげる。頭頂近くでくくった髪がぴょこんとはねる。ついつい、エル・オー・ブイ・イー・ラブリーかすみん!と叫びたくなる。
それにしても、涼子とは対照的だな。
涼子が『遠くからずっと眺めていたい鑑賞系の美貌』だとしたら、久遠かすみは『側において動き回るさまを観察したい系のかわいこちゃん』だ。
ショッキングピンクのカットソー、黒のホットパンツにショートブーツ。美少女でなければ地獄へ叩き落とされかねないギリギリのファッションだ。
だが、おれとしてみれば気が気でなかった。いつ桃山園がトイレを脱出して、ここに駆けつけるかわからない。そうなれば、やばい! やばすぎ!
「お、おほほ、ちょっとあたし、お手洗いに……」
「監督、だめですよー、時間ないんだしー、すぐにカメラテストはじめてくださーい」
天真爛漫なあどけない口調だが、有無を言わせないなにかを秘めている。
「でないとー、涼子ちゃんばっかヒイキして、ずるーい、って、言いつけちゃいますよぅ」
「え!?」
「見ちゃったんですよー、監督と涼子ちゃんがシテたことー」
唇に指をあてて、かすみがウィンク。
「な、なんだってー!?」
素に戻って狼狽するおれ。はうはう。
「だって、涼子ちゃんがどんな演技するかなーとか、気になったしー。でも、あそこまで体当たり演技するとは、すごいぞ、ムーって、思いましたよー」
久遠かすみは楽しげに言う。つか、楽しい話題なのかな、それって。
「このままだと、かすみのカメラテスト、すっごーくおざなりにされちゃいますよねー。そしたら、窪塚プロデューサーも、久遠だめじゃん、って判断するかもじゃないですか。でもー、かすみもどーしても美鈴役ほしかったりするわけでー、必死なんですよ、これでもー」
中一の女の子に飲まれてるぞ、おれ。でも、ペースを握り直す余裕がない。
「なので、かすみ、考えたですよ。せめて条件を五分にしたら実力勝負じゃないですかー。だったら、涼子ちゃんにも負けない自信あったりするしー」
かすみはくるっと後ろ向きになると、ホットパンツに手をかけて、つるっとずりさげた。
パンティもいっしょに下げたらしく、裸のおしりが丸出しだ。
な、何が起こっているのだ、いま。教えてくれ、梨元さん。
「かんとくー、涼子ちゃんにしたのと同じこと、かすみともしてくださいよ。それでおあいこ、ってことで、どーですかあ?」