リアンは睡眠と覚醒の狭間に漂っていた。耳鳴りがする。実に嫌な気分である。
おぇっ。
吐きたくなって、眼が醒めた。
目蓋を開けた。頭がずきずきする。差し込んできた光に対し、リアンの脳みそのどこかが悲鳴をあげて抗議した。
「うー」
リアンは呻いた。
(なによ、これってば、なによ)
リアン初体験の二日酔いである。
(あーやだやだ、かっらだじゅうが気持ち悪い)
リアンは起き上がろうとして、やめた。下手に動くと、吐く。
(あれ、でもなんかおかしーな。ここどこだろ)
自分の周囲を手で探ってみた。
ガシャン。なにか金属性のものがたてる音である。
よく調べると、それは鎖だった。へんですね、なんなんでしょうか。
リアンは仕方なく両肘で上体を支えて、少しだけ起き直った。
(なんなんだ、これは)
リアンは理解に苦しんだ。どういうわけか、自分の右足首に鉄製の輪がはめられているのだった。(ちなみに、前章の「ハメられる」とゆーのは、このことだったんですね)
その輪から伸びている鎖は、ベッドの下に転がっている鉄の玉に繋がっている。試しに脚を動かそうとした。が、脚は動かず、それどころか力をこめた腹筋が胃を圧迫して、リアンは慌てて全身から力を抜く。ぐるるぅ、と胃の腑が鳴ります。
「だれかぁ……」
かすれた声でリアンはひとを呼んだ。洗面器持って来て……と頼みたい。
その時、部屋の扉が開いた。
ラルフスが盆を捧げ持って立っていた。
「お目覚めですか、リアンお嬢さん」
リアンは眉をしかめた。誰だったか、思い出せない。ここがどこかさえも、ぼぅっとしている。
「お忘れですか、ラルフスですよ」
「ああ、そうだった。思い出した。ここは、ザッヘルさんのおうちね」
リアンは情けなそうな顔になった。
「ひどい頭痛なの。昨夜のことも全然思い出せない。あたし、いつこの部屋に戻ったんだっけ。ご飯食べてたとこまではおぼえてるんだけど」
「二日酔いですね。これを飲めばすっきりしますよ」
ラルフスは、盆に載せて来たコップをリアンに手渡した。湯気を立てている。
「酔いざましのお茶です。東方の妙薬入りで、少々苦いが、効きますよ」
「ありがとう」
リアンはひとくち啜ってみた。
「うぇ」
顔をしかめた。凄い匂いと味だ。
「でも、お腹はなんともないでしょ」
確かにそうだ。おええっ、とはならない。
リアンは続けて啜った。馴れると結構すすむ。なるほど胃はかなり楽になった。
「おさまったみたい」
リアンはほっとして、空のコップをラルフスに返した。
「ところで、訊ねたいことがあるんだけど」
「はい、はい」
ラルフスはにやにや嗤っている。
「どーして、あたし、繋がれてるの」
怒気を含ませて言うべき科白だったろうが、あいにく今のリアンは怒る気力体力に欠けている。妙に気の抜けた声で言った。
「それは、あなたが当家のお客さまだからです」
ラルフスが答えた。
リアンはあっけにとられた。
「ここのうちは、客を鎖で縛るわけ?」
「はい。お逃げになるといけませんので」
「う……わからんよー」
リアンは頭を抱えた。
「それはわしから説明しよう。リアンちゃん」
いつの間にか、ザッヘルが部屋に入ってきていた。
ラルフスはつつつ、と下がり、ザッヘルに場所を譲った。
「この町は、小さくてな、みんなとってもなかがよい。誰も秘密を持たないし、いいものがあればみんなで分け合うのが決まりだ。わしのこの屋敷にしたところで、町じゅうのみんなの憩いの場なのだ。お前が昨日入った風呂もな、町のみんなのために造った共同浴場だ」
「そりゃあ結構ですこと」
「そう結構なことだ。わしらの町はひとつの大きな家族といってよいかもしれん。だからおなごも共有する。ここではな、おなごは誰の娘であろうと、女房であろうとも、町じゅうみんなで味わうのだ」
「それもいいんじゃない? 本人が承知なら」
リアンは呟くようにいった。
ザッヘルは頷いた。
「この町に迷い込む旅人も、いわば町の者みんなの共有物だ。旅人が男なら働き手になる。美しい男ならば、中年以上の女たちの相手に格好だ。男色を好む者にもいい。いたぶって楽しむことも出来る。男でさえこんなに使い道がある。いわんやそれが女で、しかもたいそうな美人だったら……お前のようにな」
リアンは眼を剥いた。
「ちょっ……、ちょっと待ってよ! じょーだんじゃないわよ!」
「むろん、冗談ではない。現にお前は既にわしらの物になっている」
「なによ、それ? 知らないわよ、そんなことっ!」
リアンは怒った。だって、覚えがないんだもん。
ザッヘルは笑み崩れた。
「昨夜、お前は酒に酔っ払い、ここにいるラルフスと寝た。それをわしや町の者たちは見物させてもらったのだ」
「嘘っ!」
「嘘じゃないよ。なぁ、ラルフスや」
ザッヘルはラルフスを振り返った。
「一番乗りの栄誉を与りまして、感謝しております」
ラルフスは頭を下げた。
「何よ、それっ! ラルフスさんっ?」
リアンの表情が恐怖に歪んだ。
「リアンさんはとてもよかった。あそこの毛はグリーンで、薄め。あの部分は実に綺麗でしたね。それと、股の付け根にほくろが三つ並んでいましたっけ」
「あ……ああ」
リアンはぼーぜんとした。やられちゃったのだ。もう、間違いはない。
「分かったようだね。それでは……と」
ザッヘルの手がリアンの身体に伸びた。
リアンは手足をベッドに縛り付けられたうえに、素裸に剥かれた。あられもおかきもない姿である。いや、まったくの話。
ザッヘルは、ラルフスから小さな瓶を受け取った。蓋を取り、瓶の中身を掌に取る。香油の類らしい。
「さぁ、リアンちゃん、じっとしているのだよ、といって、それでは動きようがなかろうが。ふふふ、安心しなさい。これは儀式のための下準備だ。すぐに、済む」
ザッヘルは、香油をリアンの身体に塗りつけ始めた。まず、お腹のうえに伸ばしていく。ほのかな、馨しい香がたつ。
ぬるぬる、ザッヘルの掌がリアンのからだを滑っていく。ぞぅっとした。背筋をなにかが奔る。
「いやっ! 気持ち悪い、やめてぇっ!」
リアンは悲鳴をあげた。
「じきに、よくなる。もうすぐじゃ」
ザッヘルは、うへへ、と含み笑いをしつつ、掌をリアンの乳房に置いた。
「うむ、よい手触りじゃのう。若いわ。すべすべして、弾けるようではないか」
「やめい! このすけべい爺い」
リアンは叫んだ。体温が上がっている。
「などといいつつ、ほうら、乳首が尖ってきておるぞ?」
ザッヘルは、指でピンク色の乳頭をつまんでぷにぷにと揉んだ。
「あ……」
熱い。乳首の先が、だ。そこから香油が沁み込むようだった。
「ほうら、ほうら」
ザッヘルは、両の掌をリアンの胸の膨らみに当てて、ゆっくりと揉みしだく。乳房が潰れ、次々と形を変える。淫靡な眺めだ。
「やめて、やめてったら」
リアンは呟くように繰り返した。するとザッヘルが本当にやめてしまったので、拍子抜けした。が、ザッヘルは、香油を補給しただけだった。また、始めた。今度は、腕に塗り付ける。それが済むと腋の下をくすぐり、リアンに身悶えさせた。そこから、首筋、顔、そして、背中に掌を突っ込んでそこにも塗り込んだ。
「さて、下の方に移ろうかいの」
ザッヘルはいった。リアンは、それを待っていた。別にしてほしいわけではない。いやだ。でも、全身の神経がある一点に集中して、そこにザッヘルの掌が来ることを予期しているのは事実だ。からだが、待っている、そういってよい。
が、ザッヘルは脚の方から始めた。じらしている。やな爺いだ、とリアンは思う。感じさせているつもりなのだ。ずーずーしい。しかし、ほんとに感じている自分のからだはもっと情けない。などということも考えられなくなりつつあるリアンである。
ザッヘルの掌は少しずつ上り、あと少し、というところで上に飛んだ。へそのあたりをくすぐっている。ずるい、とリアンは感じた。思考が、より切羽詰まっている。
ザッヘルの指がリアンのへそをえぐった。そのまま、するっと割れ目に滑り込む。香油が陰毛にからんで、ぬめる。きゅっ、と音がした。
「あ……っ、くっ」
リアンは眉をしかめた。こんな爺いに、と思う。触られている。意地悪い指が動いていた。指の腹にたっぷりと香油をなすりつけ、それをリアンの股間にすりこんでいく。
老人の節くれだった指が、容赦なくリアンの秘部を開き、侵入していく。脚を閉じようとしても、縛られているうえに、ラルフスが押さえているのでどうしようもない。いや、むしろ自分から開いている。リアンは半ば無意識に腰を浮かせていた。
「なんともはや、感じやすい娘よのう。もうこんなに濡れておるわ」
ザッヘルは楽しそうに指先のぬめりを口に入れた。舐め取る。その指にまた香油を補給した。
「リアンよ、尻を持ち上げよ。後ろの穴にも、塗ってやろう」
リアンは唯々諾々と従う。ぐうっと背を反らせて尻を持ちあげた。早く、早く、とびしょ濡れの性器が求めている。
ザッヘルは、うまい。親指でクリトリスを擦り、人差し指と中指で膣口を探り、薬指を肛門にあてがった。同時に三点を攻める体勢だ。それぞれの指をバラバラに、しかもそれぞれは実に的確に動かし始めた。この攻めにはどんな女でも屈伏しよう。何人もの男に強姦されているような錯覚をも与えるだろう。リアンも、例外ではない。むしろ、ひと一倍感じやすいたちらしい。
絶叫した。髪を振り乱した。
「あふっ、あふっ、あああーっ!」
白い尻が、ふるふると震えている。オルガスムスに達しているのだ。全身が強ばって、意識が飛んでいる。実に綺麗な表情をしている。アクメの時の女性の表情は美しいものだが、リアンの場合、それが際立っている。女神そのものか、と思えるくらい神々しい。彼女のこの表情を見るためになら命を擦り減らしたって構わない、と思い詰める男がわんさと出てきそうな、それほどまでにリアンは美しく、いく。
「しかし、香油を塗るだけでこの騒ぎでは、この先この娘は狂い死ぬかもしれぬの」
ザッヘルはラルフスに笑いかけた。ラルフスは頷いた。
リアンは、荒い息に裸の胸を大きく上下させている。
全身に香油を塗りつけられたリアンは、鎖に繋がれたまま、階下の大広間に連れていかれた。
そこには数多くの男女が集まっていた。十代前半の子供もいる。
リアンは、中央の台の上に座らされた。むろん、裸である。詰めかけている人々の視線に曝された。屈辱である。
ザッヘルが、リアンの前に立った。拍手が起こる。
「諸君にリアン・ダナル嬢を紹介しよう。見ての通り、実に美しいご婦人だ。諸君らのうち幾人かは知っておろうが、あの方でも凄い。ここにいる、女に関しては手練れのラルフスをあっという間に昇天させたのだ」
リアンは真っ赤になっていた。全員の眼が彼女の股間に集まっていた。脚を閉じようにも鎖のために自由がきかない。
リアンの、その充血した部分にザッヘルの指が伸びた。大陰唇をこじ開け、リアンの恥ずかしいところを開帳した。
「いやあっ! みないでぇ!」
リアンは悲鳴をあげた。暴れようとした。その背後に見知らぬ男がまわり込み、リアンをはがいじめにした。まったく動けない。背後の男は当然のように、リアンの乳房を揉みだした。乳首を指の間に挟んで締め付ける。
ザッヘルはザッヘルで、リアンの股の間に手を突っ込んで好き放題に弄んでいる。小陰唇に指を押し当てて、観衆に示す。
「ほら、とくとご覧あれ。色といい形といい、これほどのものはなかなか見られるものではない。しかもその感度といったら……」
ザッヘルは指をリアンの中に埋めていった。ぶるぅっ、とリアンは身震いをした。
「ああっ! いやっ、やめて! ザッヘル……」
ザッヘルは意地悪く指をくねらせた。
「もう濡れておるのか、まったく好きな女よのう」
嘲笑った。指を襞にからませる。くちゅるぅ、と粘液が泣いて、リアンのなかにザッヘルの太い指が侵入してくる。
「……」
リアンは眼を閉じている。目蓋が朱に染まってぶるぶる震えている。脳に快い電撃を受け続けていた。どこかで、もうひとりのリアンが悶えていた。もっと、もっと、と性欲にかつえていた。
「ふふ、だいぶその気になってきたようだな、リアンよ。男の大きなものが欲しくなってきたのだろう? なんなら、ここにいる男たちの中から、お前に好きな相手を選ばせてやってもよいぞ」
リアンのなかを探りながら、ザッヘルがいった。
「お、おことわりよっ」
リアンは、叫んだ。
「ほう、それでは誰が相手でも文句はいわんのだな」
ザッヘルがにたついた。ほかの中年、老人たちがふひひひと笑う。いかん、とリアンは思った。
「やっぱり自分で決める」
リアンは慌てていった。どうせやられるなら、爺いより若いほうがいい。
「ラルフスさんがいい」
ラルフスは二枚目だ。それに、既にリアンを抱いている。ひとりのものになったほうが女は安心出来る。
「駄目だ。ラルフスは昨夜お前に搾り取られて役に立たん」
ザッヘルはにべもない。リアンはうーと唸った。
「じゃ、その子」
リアンは顎で、十二、三とみえる少年を指した。子供を指名したのは、おそらく子供なら簡単に言いくるめて、逃げだすチャンスを得ることが出来るだろう、との読みだったが、それは余りに甘い読みだったと後でリアンはからだで思い知った。
「リアンどのは若い燕がお好みか。よかろう、カラベル、リアンどのを存分に愉しませてやりなさい」
ザッヘルの言葉に、リアンが指名した少年は黙々と服を脱ぎ始めた。
痩せた、小柄な少年だったが、驚くほどに美しい裸身であった。性器は、まだ少年らしく包皮に覆われたままだったが、すでに勃起していた。赤い亀頭が半分くらいめくれていた。が、リアンが眼を疑うほどに少年のそれは大きかった。ほとんど大人のものと遜色がない。
「それから、リアンどのにはもうひとり燕を与えよう。ただし、これは雌燕だがな」
ザッヘルは手を叩いた。すると、奥から、従僕がひとりの少女を連れて現れた。白い薄ぎぬを纏った、十歳かそこらのほんの少女である。少しだけ色付いた硬い果実のようだ。リアンが一瞬見惚れるほど、愛らしい顔とほっそりとした身体をもっている。
「ミシェルという。わしが飼っている沢山の娘たちの一人だが、ようやく食頃になったよ。十二年もかけて育てたのだ。よいだろう?」
ザッヘルが眼を細めた。
「飼っているって、どういうこと?」
リアンはザッヘルを見上げた。ザッヘルの指はまだリアンのなかに入ったままだ。
「言ったとおりさ。身寄りのない子供を引き取り、美しく育てる。美しく育った暁にはみなで愉しむのだ。ミシェルは今日が取り入れだ」
「なんてひどい! まるで家畜じゃないか!」
リアンは激怒した。
「何を言う。わしが拾ってやらなければ野垂れ死にしていたのだぞ。勘違いをしてもらっては困る。わしはミシェルのために最高の食事、衣服、教育を与えてやった。その代価としてミシェルはからだをわしらに差し出す、これほど理路整然とした理屈がほかにあるかね」
ザッヘルは言いつつ、指をまたくねらせはじめた。リアンは思わず声を放った。
背後の意地悪い男は、リアンのバストを後ろから大きく揉み上げていた。唇をリアンの首筋に這わせている。
こんな状態で怒りが持続するはずがない。
リアンは手練手管に長けた男たちにいじられてさんざ刺激された上で、カラベルとミシェルの少年少女とセックスすることになった。
百人以上の人々の見物するなかで、カラベルとミシェルは素裸になって、リアンがよこたわっている寝台の上にあがった。
「あんたたち、やめなさい」
リアンは囁いた。
「ミシェル、君はこの女のあそこを舐めろ。僕はおっぱいがいい」
カラベルはリアンの言葉を無視してミシェルに命じた。
「ちょっと、あんたってば何ナマ言ってんのよ」
リアンはおかしくなった。が、カラベルはリアンの乳房に吸い付いていた。
「やめなさ……あ……」
カラベルは音を立てて乳首を吸った。やんわりと歯を立て、時折強く吸い上げたり、舌で乳首を転がした。うまい。女を扱い馴れている。
ミシェルも尻をうんと立てて、リアンの脚の間に顔を差し入れて舌を使い始めていた。観客にはミシェルの幼い尻がよく見える。アヌスも、その下のまだ閉じられたままの白い丘も、微かな亀裂まで見て取れた。人々は興奮した。あちこちで男女が抱き合いはじめていた。
「あんたたち……ちょっと、変よ、そんなこと」
リアンは呻きつつ言った。意識が朦朧としていた。
「しゃぶれ」
カラベルは子供ばなれした残忍さでリアンの顔の前におのがものを突き出した。
衝動がある。従わなければならない、という激しい衝動だ。相手の年齢のことは忘れ去っていた。リアンは無我夢中でそれをくちに含んだ。唇で少年のものの包皮を剥いてやった。舌をからませた。指はこうがんを優しくいじっている。
カラベルは呻いた。
「う……」
腰をつかい始めた。尻を突き上げる。リアンの咽喉に亀頭を押し込むような激しさだ。リアンは眼を剥いた。口の中で出されては困る、という認識がある。が、カラベルは構わない。若さに任せて放出した。
「呑めよ、おんな」
カラベルは命じた。有無を言わさない口調だ。リアンは眼を閉じて従った。こくり、とリアンの咽喉が動いた。
カラベルは、ミシェルの尻にまわった。まだ幼いミシェルの陰部を、指でまさぐり始めた。誰も迎え入れたことのないミシェルの下腹部の亀裂を、カラベルは残忍に開いた。
皆に見えるように、大きく開いた。ミシェルは痛がった。低く、泣き声を上げた。
「ほほぅ、処女膜が奥に見えとるぞ、かわいいのぅ」
ザッヘルが手を叩いて喜んだ。
「さぁて、このミシェルの初物を摘める幸せ者は果たして誰かのぅ」
カラベルはミシェルの性器を指で開いて、その部分に舌を這わせていた。
ミシェルは苦悶の表情を浮かべながら、カラベルの股間にくちをつけている。いったんしぼんだカラベルのものを再び使えるようにするためだ。小さなくちにいっぱいほおばっている。無残なような、それでいてエロティックな情景だ。
「よし、もういい」
カラベルはふてぶてしく言い、ミシェルを押し退けた。彼のものはそそりたっている。少年の性器ではなかった。巨根といえた。
カラベルは、リアンを無理矢理うつ伏せにした。尻の山を両手で開くと、挿入した。リアンはぐぅぅとのけぞった。声が出た。
「あ……おおきい」
恥ずかしい大声だった。ほんの十二、三の子供に犯されている。その事実がリアンの自虐に火を点けていた。
カラベルは動き始めた。自信に満ち満ちた腰の使い方だった。
「や、やめて……お願い」
リアンは首を振った。叫び出したい衝動があった。淫らな言葉を声を限りに喚きたい。それを必死で堪えていた。が、カラベルはずるい。
指をリアンの肛門に差し込んだ。指をくねらせてリアンの泣き所を突く。きゅっとリアンの括約筋が締まり、それと連動して膣が絞られた。
「く……はぁっ!」
リアンはたまらない。お尻が意志に反して動きだした。声も洩れ出る。
「ああっ! いいよっ! だめえっ!」
リアンの白い肌がピンクに上気している。凄艶、というべきか、その表情。
「これじゃ! 皆の者、これが、この娘の本当のうつくしさなのじゃ!」
ザッヘルが興奮しきって叫んだ。そして、自ら服を脱ぎ去った。老人の醜い身体、とはいえ、興奮のためか精気に漲っているようにも見える。
が、男根はまだ完全に張り切ってはいない。ザッヘルはそれをリアンの顔前に突き付けた。
「しゃぶってくれ、リアン。お前のその美しい唇で包み込んでほしいのだ」
リアンは、もう朦朧としている。豚の男根でもしゃぶっていたろう。
リアンはザッヘルの黒々としたものをくちに含んだ。
「おおお、おおっ!」
ザッヘルは白目を剥いた。
リアンの後ろからはカラベルが突き上げている。くちには、ザッヘルのものを頬張ってもいる。桃色の地獄であった。快楽という名の拷問が加えられていた。
ザッヘルのものを、リアンは丹念に丹念に舌で包み込み、愛撫した。
カラベルは、リアンのなかで暴れまわっている。
「うあ、ああっ」
カラベルは呻き、射精した。リアンはわなないた。気が狂いそうな快感があった。
「ふふ、今度はわしのものを入れてやるわ」
ザッヘルは笑い、ぐったりしているリアンの尻に跨がった。
リアンの唾液で濡れきった男根を、リアンのくちゅくちゅに湿った入口にあてがった。カラベルの精液が、リアン自身の分泌物とともに、流れだしている。
ずぬ、と腰を沈めた。びくり、とリアンの全身が震える。
「やめて……約束が違う……」
リアンは泣き声で言った。これ以上感じたら、狂い死んでしまう。
「ぬかせ。お前のからだが望んでいることではないか。おう、深いわ。これは、たまらぬ。何千、いや何万に一人という名器じゃぞ、リアン」
ザッヘルは腰をつかいながら、リアンに囁いた。
「ようく、見えるぞ、わしのものが、お前のなかに出入りするのが。ほうら、どうじゃ、奥まで進むぞ。のけぞれ、もっとのけぞれ。さあさあ、抜くぞ、抜いてしまうぞ。ふはは、やっぱりきゅうっと締めよったな。この好き者。淫乱が。よしよし、もっともっとしてやるぞ」
言葉でリアンをなぶっている。同時に、自分自身の衰えつつある性欲をもこれによって奮い立たせているのだ。
リアンは、子宮口を突かれるたびにぐうう、と背をそらし、いじめないで、いじめないで、と泣きながら繰り返している。時折、叫びになる。
「わはは、わは、わははははは」
ザッヘルは笑い続けていた。
老人とは思えぬ激しさであった。リアンは嫌悪とともに快感を否定することが出来ない。いかされることを、覚悟した。
「あああっ、ひいっ! やめてぇ……許して、お願い」
「気持ちよかろうが、ああ? おめこがいい気持ち、と言ってみろ」
残酷極まりないザッヘルの命令だった。
「お・め・こ・が気持ちいい、だ。言わんと、ひっこ抜くぞ」
腰を引いた。リアンは思わずあそこを締めた。
「ぬ、かないで」
「ならば、言え」
リアンは観念した。
「……気持ちいい」
小声で呟くように言った。
ザッヘルはリアンの尻を平手で叩いた。
「なにぃ、聞こえんぞ。皆に聞こえるような大声で言わんか」
喚きつつ、深く突き入った。
「ああっ!」
リアンは台に突っ伏して、痙攣した。
「いいっ! お……おめこが、気持ちいいッ」
無我で叫んだ。
「もっと言えッ!」
「おめこが気持ちいい! 死にそう! もっとおめこ、してぇっ!」
リアンは腰を揺すぶり叫び続けた。
「そうだ。いい子だ。そうら、ご褒美だぞ」
ザッヘルはリアンの尻を両手で押し分けながら、強く激しく突き上げた。
「あああ、もっと! もっと!」
後ろから醜い老人に犯されている、という意識が、凄まじいまでの快感につながっていた。淫らな言葉を自分でくちにしてからは、最後の精神のたがもすっ飛んでいた。
「もっと突いて! いいの、いいの、もっと強く、してぇ!」
「おう、これはたまらん。いきそうじゃ。すごいのぅ」
ザッヘルは腰をつかいながら感心していた。
「わしもまだ捨てたもんではないわ。射精が、まだできるのだ」
「あ、いくぅ」
リアンがわなないた。もう、何度目のオルガスムスだろう、わからない。それでも、今度のが一番凄い。
ザッヘルは一際大きく、ゆっくりと突き入れた。その抜き際に、射精した。
濃い、粘性に富んだ精液だった。大量に出た。リアンの膣壁が叩かれた。リアンはそこが爛れるような気がした。
でも、いい。
快感が大きすぎて、嫌悪を忘れていた。
リアンは失神していた。心地よい眠りに落ちていた。