「困ったな……先生は、そんなことしちゃいけないのにな」

 山椎はにっこりと笑う。

「こういう場合、どうしたらいいと思う、橿原は……?」

「……そんなことより、あたしを助けてくれないんですか?」

「質問されたら答えなさい!」

「はい……あのぉ、その五百円がもし滑縄くんのだったら、彼に返せばいいと思います」

「なるほど、さすがに橿原は頭がいいな。さすがは体育委員だ。しかし、それでは先生が滑縄の五百円をネコババしかけた、という事実がかえって強調されてしまうとは思わないか?」

「その五百円がもしぼくのものであれば、確かにそうですねぇ」

「だろう? 先生は、それでは困るんだよね。なにしろ、教師は生徒の鑑にならなきゃいけないだろ? 困るんだよ、そういうことが外に漏れたら」

「でも、でも……あたし喋ったりしません!」

「なんだい、そんな言い方をしたら、先生がまるで君達に口止めしているようじゃないか。先生を泥棒扱いする気かね、君は」

「そんな、あたしはただ」

「だいたいにして、体育倉庫で逢引きするなんて、君達は大人を愚弄する気か」

「逢引きじゃなくて、いきなり滑縄くんが……」

「そんなことはどっちでもいいんだ。要は、先生がここで五百円を拾ったりはしていない、そういう事実だけが存在していなければならない、ということなんだ。もちろん、君達もここには存在していない、たぶん、今頃は帰り道で、おおかた道草を食っているんだろう。困った奴らだ、まったく……」

「先生!」

「いるはずのない滑縄、いるはずのない橿原がなにか言いたそうだぞ。まったく、今日は変わっている。いもしない滑縄と橿原がまるで目の前にいるようじゃないか」

「先生! 助けてください! 絶対、告げ口しませんからぁ」

「失敬な幻だな。おい、滑縄の幻影! どうして橿原の幻影を黙らせないんだ!? 貴様はそれでも男か。まさかやり方をしらんわけでもあるまいが」

「は……はぁ……」

 滑縄、智子を跳び箱の上に押し付ける。体操服をめくり上げていく。

「先生! やめさせてください! お願いです!」

 滑縄、智子のブラジャーを外し、柔かな膨らみを揉みしだく。淡い色の乳首が滑縄の掌のなかで、徐々に尖っていく。

「いやぁ! 先生!」

「橿原の幻影、なかなかいい乳をしとるじゃないか。おい、滑縄の幻影、ちいとばかし、吸ってみろ」

「はい、先生」

 ちゅばちゅば、滑縄、智子の乳首を吸い始める。