今日のはとりわけ凄かった。
これまでのできあいのビデオとはちがっていた。
完全に裏モノだろう、日本人の少女が黒人とセックスしている無修正ものだった。
中学生らしき少女が黒人の巨根を頬張り、うっとりとした表情を浮かべている。
おそろしく巧みにペニスをしゃぶりあげる。
それに合わせてまゆも舌を動かした。もう、映像はフィクションではなかった。まゆにとって、肉体的に地続きになっている。
黒人がうめき、大量の精液を発射する。顔射だ。思わずまゆは目を閉じた。熱いシャワーを自分も浴びたような気がした。
知らず、指が股間に伸びていた。
映像がかわり、日本人の男が増えた。
二人がかりで、少女を愛撫している。
こぶりな乳房を乱暴にもみしだき、乳首を吸い上げる。
脚をカメラの前で広げさせ、クリトリスをこねまわす。
膣に指を埋め、抜き差しする。
少女はもだえ、よがり、狂ったように淫語をわめいていた。
こんなの、見たことない。まゆは身体の芯がうずいてふるえを止められない。今まで見たポルノは、いくら激しく見えても、しょせんは芝居だった。だが、これはまちがいなく、ほんもののセックスだ。
下着に手を当てた。濡れている。もう、びしょびしょだ。触った。気持ちいい。でも、足りない。もっとほしい。
隣に弁護士が座ったのにもしばらく気づかなかった。
猫背になっているまゆの背中に手をまわしてくる。
撫でてくる。
まゆの背筋に甘い戦慄がはしった。
他人による愛撫がおそろしいほど心地よかった。体温も、感触も、強すぎるオーデコロンさえ――
「おじさま……だめ……」
声が揺れた。映像では少女がお尻から黒人に貫かれている。口では、日本人の男のペニスをしゃぶっていた。口と膣、同時に犯されている。
神村の掌がまゆのむき出しの腿に触れた。味わうように這いまわる。びりびりとした感触が内股に刺さり、そこに当てた自分の指が勝手に動き出す。
それに合わせるかのように、神村の掌が腿の内側にもぐりこんだ。
「だめ……だめだよぉ……」
神村に対する制止か、それともままならない自分の指に対してなのか、もうまゆ自身、わからない。
「どうして? 脚を触るのはいつものことじゃないか」
神村が笑いを含んだ声でささやいてくる。耳元で。息を吹きかけるように。
「んくっ」
首を縮める。産毛がぞわっとなって、鳥肌がたつ。でも、不快なのではない。むしろその逆だ。
「ほら……テレビをみてごらん……そろそろいくよ」
促されて映像に引き戻される。黒人が奇妙な声をあげながら、腰を打ちつけている。
結合部が大写しになる。黒人はコンドームをしていない。生姦だ。
「中出しするんだよ。すごいから見てて」
「な……か……?」
神村の腕に力がこもってまゆは抱き寄せられた。密着する。掌はスカートの中にもぐって、下着の脇から布地をくぐった。
「は……ぁ」
骨盤のぐりぐりを撫でられている。
画面の中で黒人がわなないて、果てた。少女も絶頂を迎えてわななく。
その瞬間、するっと角度をかえた神村の指が、まゆの恥部に直接届いた。
ワレメに指が挟まる
「あやぁっ!」
意識が灼けた。
画面では、あからさまに開脚させられた少女の股間から白濁した粘液が流れ出している。
陰部が大写しだ。
まゆのその場所には、神村の指が嵌って、動いている。
映像は終わらない。続けて日本人の男が少女に挑む。
正常位で挿入する。当たり前のように生ファックだ。
「ほうら、まゆちゃん、見てごらんよ。あの子、まゆちゃんとそう変わらない年なのに、二人の男を満足させているよ」
涙で視界がうるんでいる。そのなかで、少女はまゆになって、男たちと交わっている。相手は、沢と神村だ。
黒人が神村だ。今は、少女の顔にまたがって、ペニスを舐めさせている。
そして沢がまゆを突いて突いて突きまくっている。
沢は気持ちよさそうだ。顔をゆがめている。まゆは余裕さえ漂わせた表情で、黒人の神村のペニスをしごきたてながら、沢を絶頂に追い込んでゆく。
映像が、いまのまゆにはそう見える。いや、そう思える。もう画面さえ見ていない。
神村の指が動いている。いや、沢のペニスだ。どっちだか、わからない。いや、もう、どっちでも、いい。
「まゆちゃんは、欲求不満なんだよ。わかる? ヨッキョーフマン」
「わ……わかんない……」
神村が唇を頬に押し当ててくる。ぬめった唇と舌の感触が伝わってくるが、もうそれは快感でしかない。
「おじさんが、まゆちゃんの欲求不満をなおしてあげる。それに、大人の女のやり方をいろいろ教えてあげるよ」
「え……」
「沢くんには内緒だよ……黙っておいて、びっくりさせてあげるといい」
「でも……でも……」
「子供っぽいセックスしかできないと、沢くんに捨てられるよ? それでもいいの?」
まゆはあわてて首を横に振る。
「やだよ、おじさま……どうしたらいいの」
「だから、その方法を教えてあげるよ。それに、こうするの、まゆちゃんも気持ちいいでしょ?」
指がクリトリスのあたりをなでる。
「ああっ! あんっ! き、気持ちいい……」
「じゃあ、おじさんと練習しよう。いいね?」
クリトリスをくすぐられながらでは、冷静な思考など働かない。まゆはうなずいていた。
次の瞬間、唇を奪われていた。舌が入ってくる。
あたたかくて、大きな、異物。口のなかをかきまわされて、唾液がまざって――
まゆは夢中でそれに応えていた。
「パンツを脱ぎ脱ぎしよう。横になって」
まゆは神村に押し倒された。大型のソファだから、ほとんどベッドとかわらない。
脚をのばした形で下半身を持ちあげられる。スカートが完全にめくれて、白のコットンパンツがあらわになる。股間が汚れているのがわかる。
「あ、やだ、おじさま……」
羞恥がよみがえり、スカートを抑えようと手がのびる。
「だぁめ。べちょべちょパンツは脱がないと」
「あ……ん……」
神村はまゆの抵抗をしりぞけると、パンツに手をかけて引き下ろしてゆく。
スカートは完全に隠蔽の役割をうしない、むき出しの下半身がまゆ自身の視界にも入る。
くっきりとしたワレメが刻まれたその部分は、まるで人形のパーツのように現実感がない。
だが、それは確かにまゆ自身の身体なのだ。
下着を完全に取り去ると、神村はまゆの脚を大きく広げさせた。ビデオのなかの少女と同じ格好だ。
だが、ビデオの少女とちがって、まゆのその部分は無毛だ。真っ白な丘にまっすぐ亀裂が走っている。赤く充血したクリトリスが包皮に守られたまま、わずかに露出しているだけで、小陰唇のはみ出しさえない。
「おおお……なんてきれいな……」
神村が血走った目を見開いて、嘆息をもらした。
「これが、まゆちゃんの……おお……ついに……」
指で左右にこじあける。
穴がひらく。まゆの肉体の穴だ。
「おまんこ、ぱっくりだ。ちっちゃいのに――こんなにちっちゃい穴から……すごい、おつゆがたれてくる……っ」
神村が顔をうめる。
音をたててまゆの愛液をすする。
「うああっ、おじ、さまぁっ」
「まゆちゃんと……ずっとこうしたかった……」
神村は、わななきながら、執拗にまゆの性器を舐めたてた。
ワレメをむさぼるように。さらに、肛門までも舌でほぐそうとする。
「あぅあっ! そこはっ、だめぇっ!」
まゆの声が裏返る。
アヌスでまゆが感じることを悟ると、神村はその部分を集中的に責め立てた。
「だめっ、おじさま、そこは……そこは、変になるぅっ」
まゆは自分で服をたくしあげている。薄い胸を露出させて、乳首を指で刺激する。
「まゆちゃん……そんなに感じて……かわいい」
神村はまゆのアヌスに鼻を押しつけ、匂いをかぐ。少女の排泄口の芳香を堪能するともさらに舌をつかって、入口をえぐる。
「ひぁっ! おしりにぃ……おじさまのベロがぁ……」
「まゆちゃんのおしりの穴、おいしいよ。おまんこも、こんなに濡らして……っ」
どんどん愛液がたれてくる性器に、神村の指が入る。二本も。
肛門を舌で愛撫しながら、膣を中指とひとさし指でかきまわす。曲げた薬指と小指――ちょうど指輪のあたりがクリトリスに当たる。
「ふあああっ! 気持ちいいよぉっ! 気持ちいいんっ、おじさまぁっ」
「まゆちゃん……まゆちゃん……」
まゆはソファの上で四つんばいになり、尻を高く掲げた。
その尻の割れ目に神村は顔を押しつけ、アヌスを舐めしゃぶり、膣とクリを指で責め続ける。
まゆは乳首を自分でこすりながら、何度も喜悦の声をあげた。
その痴態がビデオカメラに克明に記録されていることも忘れていた。
沢のことも頭から飛んでいた。
ただ、快感のことしか考えられなかった。
「ああうっ! はあああっ! くぅっ……っ」
まゆは達した。激しくわなないた。
ソファの上でまゆは全裸にされていた。
神村の指と舌でいかされて、朦朧となっていた。
だから、股間を広げられて、小型のビデオカメラで接写されても、抵抗ひとつできなかった。
「すごいよ、まゆちゃんのおまんこ、テラテラ光ってる。本気汁が噴き出してるよ」
ビデオカメラを回しながら、神村が興奮しきった声をだした。
神村も全裸だ。みにくく突きだした腹に、白いものがまじった陰毛。しかし、生えだしたペニスは大きく長く、神村の欲望のリズムをきざむようにゆっくりと上下していた。
「まゆちゃんと、これからハメ撮りをするよ……ハメ撮り、わかる?」
まゆは首を横にふる。
「セックスしながら、入れてるところをビデオで撮るんだ。こ、興奮、するだろ?」
神村は高ぶっている。人相がかわっている。
思慮深く、優しく、包容力のあるオトナ――そんな印象はみじんもなかった。そこにいるのはただ、欲望にまみれた獣だった。
いちど達っしてしまっただけに、混濁したまゆの意識の中には醒めている部分もあった。
神村が片手でビデオを構えながら、もう一方の手でペニスを支え、まゆの股間にちかづける。
「入れるよ……入れるから……はああ……」
亀頭をまゆの性器にこすりつける。小陰唇をかきわけ、じかに膣口にあてがう。
「あっ……」
まゆは軽くのけぞった。性器と性器が触れると、おさまりかけていた欲望が首をもたげた。
欲しい、と思った。
入れられたら、すごく気持ちいい――予感が背筋をつらぬいた。
思わず腰を浮かして、入れやすい姿勢をとる。
「いい子だ……まゆちゃん……」
接合部分をカメラにおさめつつ、神村が腰を進める。
「あぅ……ああ」
広がる。
大人のペニスの侵入を受けて、まゆが広げられてゆく。
圧迫感と痛み――裂けそうな恐怖――だが、その先にある陶酔を、まゆはもう知っている。
「まだ、半分……だよ……」
神村が顔を歪める。
「すごい……キチキチだ。なのに、ぬるぬるで、吸い込まれるみたいな……っ。なんて名器なんだ、まゆちゃんのは」
初老の男のペニスが、まゆの膣にねじりこまれてゆく。
「あ、お、おじさま……」
まゆは泪でうるんだ視界で、自分に侵入しつつある男の姿を見た。
快感に顔をゆがませている。
「まゆちゃんの中、熱くて狭くて、ヒダが締め付けてくるよ……」
「や……ん……大きすぎる……よぉ」
痛みより異物感が強い。他人の性器を受け入れたのは、これで二人目だ。
一瞬、沢の姿が目にうかんだ。
幸福そうな――つらそうな――きもちよさそうな――後ろめたげな――
沢に愛撫されて、抱きしめられて、包まれて、まゆは幸せだった。こわいほど、切ないほど、幸せだった。
なのに。
まゆは自分の行為の意味をようやく悟った。
セックス――それは遊びではなく、いちばん大切な、愛する人とのつながりの行為だ。
「お、おじさま、だめ!」
まゆは腰を引いた。ペニスが抜ける。
「どうしたんだい、まゆちゃん?」
神村が辛抱強い笑顔を浮かべた。法廷で、証言をひるがえした証人をやわらかく問責するように。
「まゆちゃんも、したい、っていったろ? 合意の上だよねえ?」
自分がほんとうにそう言ったのかどうか、まゆはわからない。言ったような気もする。神村が言うならそうなのだろう、とも思う。神村は悪くない。
「ごめんなさい、おじさま、でも、あ……あそこに入れるのはだめ」
それをしたら、沢と一緒にいられなくなる。最後の一線だ。
「え、でも、まゆちゃんのココほそう言ってないけどな?」
神村がまゆの股間をいじる。ごく当然に、そこをもてあそぶ既得権を得ているかのように。
鋭い感覚がまゆを突き上げる。挿入されたい、という欲求がふたたびよみがえる。でも。
「だ、だめ……そこはだめ」
「どうしても?」
「やっぱり、そこはおにいちゃんだけだから」
「じゃあ、おしりなら?」
「え?」
いきなり場所がずれた。神村の指も移動する。
「おしりなら、いいだろ? おまんこじゃないから、入れてもいいよね?」
「で……でも」
そこでするのはセックスなのだろうか、それとも――
神村の指がまゆの肛門をくすぐり、入口をこじあけてゆく。
「おしりの穴は性器じゃないんだ。だから、性行為には当たらない。法的にもね」
「ほ……ほんと……?」
「ほんとうだとも――わたしが言うんだよ?」
神村は法律のプロだ。
「そうかも……しれないけど……は、あ」
指が、出たり、入ったりしている。
「おしりの穴だったら、お医者さんだって潅腸したりするだろ? 沢くんは、まゆちゃんが病院で潅腸されたら怒るかい?」
「お、怒らないと思う……けど」
「ね? だから、おしりでしても、沢くんは怒らないよ」
「でも……それは……」
「ほんとうは入れてほしいんだろ?」
「そんなこと……あぅあっ!」
指が、奥まで。
「まゆちゃんのおしりの穴に……オチンチン入れたいな」
ゆっくりと動いている。じらすように。
「あ……おじさまあ」
まゆは身をよじった。欲望に、勝てない。
唇がふるえた。
言葉に、ならない。
「おしりに入れても、いいだろ? ね?」
ささやきかけられる。まゆは小刻みに動いて――うなずいていた。