ジャリン戦記(4)


 「だれ?」

 少女の切迫した声が耳に快く響いた。いい声だ。凛としている。きっと、あえぎ声もかわいいだろうな。

 「ドロボーさんです」

 と、おれは言ってみた。いちど言いたかったんだ、このせりふ。

 「うそ、強姦魔だわ」

 「げ、なぜ、それを」

 「だって、いきなりわたしを裸にしてしまっているんですもの」

 「落ち着いているなあ、おまえ」

 おれは好ましい気分で少女を見た。裸体をむりに隠そうとはせず、ベッドの上でおれに対して防御的な姿勢をとっている。まずは情勢をみきわめようとしているのだ。いきなりパニックに陥って泣きわめくのでは、ものの役にはたたないが、この子はいい。

 「なにをしに来たの? あなたはだれ?」

 「おれはジャリン。冒険する仲間を捜しにきた。おまえ、魔法が使えるか? 使えるよな。壁越しに透視をしていたくらだからな」

 「――使えるわ。でも、あなたが求めているのは一緒に戦える魔導士でしょう。わたしの魔法は防御系よ。おあいにくさま」

 少女はするどくおれを見据えている。いいねえ。ぞくぞくする。

 「なあに、戦うのはおれの専門だ。おまえさんはおれの支援をしてくれればいい。だいいち、こんな部屋に閉じこめられて、退屈じゃないのか? ひまでしょうがないから、覗きなんかするんだろ?」

 「あなた……思い出したわ。今日、裸の女のひとをいじめていた人ね」

 非難するような目つきだ。

 「いじめる? 悦ばせていたんだぜ、あれは」

 「うそ、泣き声をあげていたわ。助けてあげたかったけれど、おとうさんから止められていたから……」

 「おとうさん……? ロッシュのハゲがか?」

 「わたしを養女にしてくれたの」

 「――とにかく、あれは合意の上で……最初はちょっとちがってたが……相手も承知の上でのしたことだ。それに、楽しんだのはむこうだぜ」

 「信じられないわ。ここまで声が聞こえたもの」

 なるほど、あの小部屋の奥にはこの部屋があったというわけなのか。ロッシュのヘンタイ親父ぶりがこれだけでもわかる。養女にあえぎ声を聞かせて、なにをたくらんでいたのだ。

 「おまえ、ロッシュのハゲと一緒に風呂に入ってたりしてるんじゃねーだろーなー」

 「入ってるけど、それが?」

 「おいおいー」

 おれは頭をかかえた。

 「おっぱいとか、あそことか、洗ってもらってるんじゃないだろーなー」

 「……」

 少女は無言で、かすかに頬をあからめた。図星らしい。それと、彼女もそれには多少抵抗があるらしいことがわかった。

 「いかんな、不健全だ。家に閉じこもり、あえぎ声を聞かされたあげく、覗きまでして……。おまえ、おれとミアがヤってるのを見て、興奮したろう? え? オナニーとかしてたんじゃないのか?」

 「そ……そんなことしてないもん」

 「どうかな? さっき、おれがいじった時も、寝たふりをしていたんじゃないのか? ほんとうは男にさわられたりしたかったんじゃないのかよ」

 「あなた、とんでもない人ね」

 少女がおれをにらみつける。

 「おとうさんを呼ぶから」

 「おっと、そーはいかねー」

 おれは少女ににじりよった。少女は身を引いて、呪文の詠唱をはじめる。

 「ほう、透視以外にも魔法が使えるのか? パラライズか? それともスリープ? むだだぜ、おれにはきかん」

 おれはニヤニヤ笑いながら、ズボンをずらした。

 「きゃっ!」

 少女は詠唱をとめて、手で顔をおおった。

 「おいおい、男のモノは見なれてるだろ? ロッシュのやつとどっちが大きい?」

 「おとうさん」

 グサッ!

 「ロッシュのやろー、ビンビンにおっ立てたまま、風呂に入っているのかよ」

 「ちがうよ、おとうさんのはもっとだらっとしてるもん」

 グサッ、グサッ!

 おれは衝撃をこらえながら、少女の腕をつかみ、強引におれの股間に近づけた。

 「いやっ! はなしてっ!」

 「おまえのマスターに、おれがなる」

 「えっ」

 少女があっけにとられて、一瞬防備が弱まった。

 「あっ」

 少女の手のなかにおれのものを収めさせた。外から少女の手を包んで、握り締めさせる。

 「あっ……あつい」

 「それだけか?」

 「大理石みたいに固い……なのに、脈打ってる」

 さすがに手触りまではロッシュのブツと比較されなかった。ちょっと安心。

 「おまえのマスターになる男のモノだ。大事にさわれ」

 「あ……あなたがわたしのマスターに? なぜ……?」

 少女が驚きを隠さないままに訊く。当然かもしれない。年頃のホムンクルス(という言いかたがあるのかどうかは知らないが)にとって、「マスターになる」というのは、まさにプロポーズの言葉であるからだ。

 「行かず後家にするには、おまえはもったいない」

 「い……いつか、おとうさんが最高のマスターを世話してやるって……いってたわ」

 「信じているのか? こうして閉じこめられてどれだけ経つ? ロッシュは冒険で娘を亡くしている。そして、おまえを手に入れて、娘がわりにしている。おまえを外に出すこともなく、この部屋に住まわせているのが、その証拠さ。ちがうか?」

 少女は無言だった。彼女もそんな気がしていたのだろう、きっと。

 「そんなロッシュが、おまえを手放すと思うか? おまえはずっと手付かずのまま、人形のようにこの部屋でひからびていくんだ。ほかの世界を知ることもなく、な」

 「……でも、おとうさんはわたしに優しいわ。売りに出されていたわたしを、ほとんど全財産をはたいて買ってくれたのよ。ほんの少し――髪と眼の色が娘さんに似ていた、それだけの理由で」

 「むろん、やつはヴェスパー・ホムンクルスの相場を知っていて、必要があれば買い値よりも高くおまえさんを売りさばく算段もあるはずだ。やつもそこまでヤワじゃねえ。だが、それまでに、何年かかるかわからねえぜ。それに、いまどきヴェスパー・ホムンクルスなんか買いたがるやつといったら、小国の王とか成り金ばっかよ。やつらがおまえさんみたいなのを買う目的はひとつだ」

 おれは手を動かして、少女の手がおれのものをしごくように仕向けた。

 けけ、いっそう大きくなっちまうぜ。

 「つまりは、これさ。来る日も来る日も、寝室でご主人様へご奉仕さ。おまえは世界有数の高価なセックスドールにされちまうんだ」

 「い……いやよ、そんな……」

 「だろ? おれと一緒にくれば、冒険ができるぜ。みたことのない国へ、誰もしらない世界へ、行けるぜ。まあ、エッチもありだがな」

 「遠くへ……いけるの?」

 少女の声に感情がこもった。おし、あともうひと押しで和姦成立だ。けけ。

 「そうとも。おれのものになればな……最初の男の精液に、おまえは忠誠を誓うことになる。白き血の誓いというやつだ」

 ホムンクルスというのは――もとをたどれば精液から単性発生させた人工生命である。男の精液の中には、人間をつくる設計図が全部揃っているのだ。むろん、女の卵子でも可能といえば可能だが、この場合、女しか作れない。精液からならば、男でも女でも作れるので、もっぱらホムンクルスの製造には精液が使われる。

 精液から発生したホムンクルスが、別の精液を体内に取り込んだ場合、元来が精液起源だけに、一種の拒絶反応が発生する。この拒絶反応によってホムンクルスの細胞に変化が起こり、脳髄のレベルまでその影響が波及する。この現象を利用して、ホムンクルスの忠誠心を確定させるのだ。つまり、生まれてから、最初に受けた精液の持ち主に、ホムンクルスは死ぬまで忠誠を誓うことになる。この誓いがなされた後に、いかなる種類の精液を注ぎこんでも、二度と同じ反応は発生しない。したがって、二心をいだくことは絶対にありえないのだ。したがって、セコハンのホムンクルスというのは、存在しない。薬で意志を奪って、単なる性奴隷にするんなら別だが。

 「でも……わたしは、あなたのことを何もしらないのよ」

 不安そうに少女がおれを見つめる。だいぶん心は動いているようだが、ふんぎりがつかないようだ。

 「わたし……つくりものだけれど、自分の一生を捧げる相手を前もって知る権利くらいあると思うわ……」

 「大事なのは、おまえを守れるほど強いか、そして、おまえを満足させられるほど巧いか、だ。それ以外は蛇足だぜ。おまえ、名前は?」

 おれと少女を抱き寄せながら訊いた。少女は半ば覚悟をきめたのか、目を閉じながら答える。

 「シータ……シータ・カルミナ……」

 「シータか、おれはジャリン。ただのジャリンさ」

 「ジャリン……」

 おれの名を反芻しようとするシータの唇を、おれはふさいだ。

 舌を差し入れ、ねっとりとかきまぜる。

 「んふっ……んんぅ」

 苦しげにシータは身をよじった。けど、もう、おそいぜ。

 おれは、掌をシータの胸に当て、バイブレーションを送った。

 ホムンクルスとはいえ、構造は人間とかわらない。神経のシステムが最適化されているために、魔法の力に秀で、かつ精神攻撃に対して絶対の強度を持つ。が、性感は人間の女と大差はないはずだ。でなければ、一国の主たるものが、生殖能力を持っていないホムンクルス女を妃の一人にするはずがない。あっちの具合がいいから買ったに決まっている。

 「うう……」

 ほうら、シータはおれにべろを吸われていて、鼻声しかだせないが、感じている。

 掌に当たる乳首も硬くなってきているぜ。

 おれは唇をはずした。

 ぷはっ、とシータが息を吸った。

 むろん、おれの唇はシータの胸の先端を舐め、あま噛みし、舌先でつついたりしはじめている。このへんはおれは素早いのだ。ほめて、ほめて。

 「あっ、ああ……」

 ちょっと硬質で、いい声だ。思ったとおりだぜ。

 シータの反応は上々だ。これは、おれをマスターとして受け入れる気になっているということだ。ホムンクルスは、マスター以外の男に抱かれても、まったく快感を得ないという。神経系統が最初のマスターとのセックスの時に再編成されてしまうからだそうで、他の男の愛撫を神経そのものが受け入れなくなるのだ。

 いま、シータが感じているということは、シータの性感の神経系が、おれのペッティングにあわせてデザインされはじめていることを意味している。

 おれは指をシータの股間に差し入れていた。

 湿潤なせまい谷を指でこする。やわらかくて、あたたかい。このへんは人間のそれとまったく同じだ。

 「はあ……」

 シータのため息がおれのとがった髪にかかった。

 よしよし、感じてきたな。

 指を入り口にあてがって、そろりと侵入させてみた。

 だいぶせまい感じだぜ。だが、最初から男のものを受け入れるように成型されているお××こだ。外見こそ幼いが、問題はない。

 いっとくが、女性型ホムンクルスは生まれた時点で十歳くらいのサイズがあり、性交も可能なように造られている。このシータだって、年齢、という意味ではせいぜい二、三歳といったところだろう。

 そのわりにはシリアルが古いが、胚の状態で長い間寝かされていたなら計算は合う。もしかしたら、どこかの魔法売りの倉庫とかに死蔵されていたのかもしれない。それが、なんかの理由で裏市に出て、ロッシュの手に入った。ありそうなシナリオだ。

 いずれにせよ、外見は十二歳くらいだが、シータの身体は充分に男のモノを受け入れることができるはずだ。

 「よし、シータ、入れてやるぜ。よつんばいになりな」

 「……はい」

 素直にシータは小さなヒップを高くかかげた。おれをマスターにすることにすっかり同意したようだ。

 すぐ入れるのももったいないので、おれは、シータのすべすべの尻を両手でつかむと、大きく左右に開いた。

 未発達なアソコは濡れて夜目にもきらきら光っている。が、べとべと、というほどの激しい濡れではないようだな。

 アヌスもきれいだ。ま、ホムンクルスも人間どうよう排泄はするはずだが、内臓によぶんな雑菌を飼っていないから、糞便も芳香がするらしい。ホムンクルスの糞を薬だと考えているやつらもいて、そいつらは食うらしいぜ、クソを。まあ、このアヌスについては、今後、いろいろ使わせてもらうことにしよう、けけけ。

 おれは、舌をいそがしく働かせて、シータのあそこに最後の仕上げをほどこした。

 「ん……あ……」

こいつ、我慢強いのか、感度が低いのか、もうひとつのりがよくない。だいたい、おれがクリちゃんからアヌスにかけてまでを念入りにナメナメしてやっているというのに。ふつうなら、よがり狂うところだぜ。

 ま、いい。これからおいおい開発してやるぜ。先は長いしな。

 「さ、入れるぜ」

 「……お願いします」

 なんか、頼まれてもなあ。ま、いいや。

 入り口にあてがう。

 ぐいっ。

 「あっ」

 さすがに恐怖があるのか、シータの身体が逃げる。

 むろん、処女破りについても経験を積んでいるおれさまだから、こういう時の対処もよく知っている。すなわち。

 おさえつけて、ヤっちまうんだよっ!

 「うあっ、いたっ、いたいっ!」

 「るせっ、このアマ、おとなしくしろっ!」

 「いや、いやいや、ああうっ!」

 「げはは、逃げられるもんなら逃げてみろ、ほうら、もう半分入ってるぜ」

 「ああっ、おとうさん……」

 ホムンクルスは精液起源だから父親しかいない。かならずしもロッシュのことを慕っているわけでもないだろう。おかあさん、と呼びようがないのだ。考えようによっては不憫な話だ。

 シータのあそこに、おれのモノが食い入っていく。

 さすがに最初はキツいぜ。さすが、ヴェスパーホムンクルス、ホンモノの処女よりも処女らしい。適度な狭隘感、濡れも不足しているし、シータは痛みに身もだえしている。苦痛をこらえているためか、アヌスがきゅっと締まっているのもリアルな感じだ。

 おれのブツの先端がシータの処女膜を引き裂いていく。

 「うあ……ああ……あ……」

 うめいているシータは、快感を感じるどころではなさそうだ。

 赤いものが結合部からにじんでいるが、気にするな。最初のうちは痛いもんだ。男だってそうだろ? まあ、程度差はあるが。

 「ひいっ……うああっ」

 ――ぜんぶ入った。

 おかげさまで、長さも人並み以上のおれさまだから、先端はむろん子宮にまで届いている。おれさまの得意技、子宮の壁つつきによって昇天した女の数はちょっと数えきれないほどだぜ。

 「はあ、はあ、はあ……」

 シータはあえいでいる。いまは苦痛に耐えている声だが、これがいまに気持ちよさを弾けさせる声になるんだから、女はかわいい。

 おれは、シータの体内の感触を楽しんだ。

 うーん。美味。さすがはヴェスパー・ホムンクルス。膣圧も内部の感触も、ちゃんとつぼをおさえておるねえ。

 気持ちいいから、うごこーっと。

 ぱんぱんぱん。

 と、腰を使いはじめて、一分もたたないうちに。

 「きっさまぁー! ジャリーン!」

 ドスのきいた声がひびいた。

 腰を使いながら、ふと横を見ると、戸口のところに、ロッシュのおっさんが猟銃を持って仁王立ちしている。なんか、怒り狂っているみたいだ。

 「よお、ロッシュ。おじゃましてるぜ」

 おれは激しく腰を叩きつけながら、ロッシュに声をかけた。

 「あっ、あっ……」

 シータがシーツに顔を押しつけ、ちいさくあえいでいる。

 「シータ……シータ……おおーっ」

 ロッシュがありもしない髪の毛をかきむしる。

 苦悩する父親って感じだな。ガラじゃないけど。

 おれは、ロッシュに、娘の成長したところをよく見せてあげようと、体位をかえた。

 座った膝のうえにシータを抱きかかえ、脚をおおきくひらかせて、おれのモノが出入りしているところをよく見えるようにしてやったのだ。大サービスだぜ。

 こうすれば、おっぱいも揉めるしな。

 「きさま、ジャリン……おれからシータを奪うつもりか……」

 「娘はいつか父親のもとを去るもんだぜ。ましてや、シータはおまえのほんとうの娘じゃない」

 「ゆるさんぞ……ジャリン」

 ロッシュの双眸が恨みに燃えている。

 「うそだな、ロッシュ。おまえは自分ではシータを旅にだすことができなかった。娘のことを思い出してしまうからな。だから、だれかが奪い去ってくれることを期待していたんだ」

 「な……なんだと……」

 「自分では気づいていなかったのか? たしかに鍵もトラップも念入りに施されていたが、ほんとうに侵入者を阻むつもりなら、それ相応のやり方があったはずだ。だが、まるで、侵入者のやる気をそそるような罠の配置。それを破ることができるやつになら、シータを持っていかれても納得できる……というわけだろ?」

 おれは、シータの腰を掴んで、上下に揺さぶりながら、自分のモノへの刺激を高めていった。

 ロッシュの肩が落ちた。猟銃の筒先もだ。

 「……かも、しれん。だが、この扉の鍵は特別製のものだ。なみの方法では開かないはずなのに……」

 「おれは天才だからなあ」

 会話しながら、女とやるというのも、なかなか神経を使うよなあ。

 おれは、シータを寝かせて、膝を立てさせると、最後のフィニッシュに入る。

 「あっ、あっ、マスター……」

 ここに来て、ようやく効いてきたのか、シータの息が荒くなった。

 まあ、いい。本格的にいかせるのは今度にしよう。

 「あっ、あっ、あうっ……」

 シータがちいさく痙攣する。

 おれは、思いっきり、精を放った。むろん、中にだ。ホムンクルスは中出しが鉄則だぜ。

 どくうっどくうっとおれの子種が吐き出されていく。くううっ気持ちいいっ。やっぱり女の中に出す感覚が最高だ。女を養う力がある男だけが味わえる快感だ。女に「抱かせていただいている」男は、外に出せ、外に。

 「ふうーっ」

 おれは息をはいた。

 シータの身体が震えている。

 と、全身が青白く光る。

 「へえ」

 おれもはじめて見た。

 ホムンクルスの第二の生誕だ。

 新たな精液を受けて、再びこの世に誕生しなおすのだ。

 そして、おれにのみ忠誠を誓う存在になる。

 ぱちりとシータが目を見開いた。

 今までとは雰囲気が違っている。ちょっとおとなっぽい感じだ。

 「マスター……」

 シータはおれにしなだれかかり、おれの股間に舌をはわせた。

 おっ、いいね。躾がいきとどいているぜ。

 舌でおれのモノをきれいにねぶりはじめる。うまそうに精液の残りを舐めとっている。

 その表情を、ロッシュはいたましげに見つめていた。なんか目尻が光っているようでさえある。

 「……こうなってはしかたない。ジャリン、シータはおまえに売ってやる」

 吐き出すようにロッシュは言った。

 「ふつう、こういう場合、『くれてやる』といわねーかい?」

 「いいや」

 あっさりとロッシュは首を横にふりやがった。もう商売人の顔にもどっていやがる。

 ――というわけで、おれのパーティの一人目はホムンクルスのシータと決まったのだった。

"THE DOLL":THE END