ジャリン戦記 第四話 ダンジョン・シーカー(第八回)


13(続き)

 

 三発目はキースを上にして、自分で動くように命じた。ウホッ、いい腰つき。はやく射精させようというのだろう。顔を火照らせながら、一心に腰を振る。

 出血もおさまって、結合部からあふれているのはキースリン・クラウゼヴィッツ嬢の100%天然ジュースだ。なんだよ、もうすっかりその気じゃねえか。

「はあっ、はあっ、はあっ……んんぅ……ジャリン……まだ……なのか」

「だめだめ。もっとしっかりケツをふらねえと、気持ち良くならねえぜ」

 下から尻を持ち上げて揺さぶってやる。そんなふうにしても、つるん、と抜けないのは、さすが極太・長尺・カリ太のおれさまならではだ。

「ああああ! そんなにされたら、困る……」

 キースが自分の手の甲に歯を当てた。噛んでやがる。幻術破りじゃあるまいし、無駄に自制心の強いやつだ。

「まけて……たまるか……たとえ身体は汚されても、最後の一線は――」

 もう越えてるっちゅーの。ただ、中で出してないだけだってのに。そんなに子供を持つのがいやなのか?

「相手がきさまなのが死ぬよりつらいのだ!」

 でも、おれのチンポは好きなんだろ? なじんできてるぜ。ほれ、ほれ。

「そんな……ことは……ない」

 でも、腰づかいが妙にねちっこいじゃねえか、ああ?

「これは……身体が勝手に!」

 おれの腹の上で、白くて大きなおしりがくねくねする。キースのやつ、女の身体をしてるなあ。

「いや……見るな……わたしのそんなところを見るな……あああっ!」

 後ろ茶臼(意味がわからなかったら、ご両親に訊いてみよう)の形から、おれは身体を起こして、キースの肩を抱き締める。肉体の密着度が高まって、たがいの肌の熱さと匂いを感じあう。乳房も熱い。それをつかんで激しくもむ。

「やああああっ! ジャリン、よしてくれ!」

 やめない。

 おれは、キースの髪の匂いを嗅ぎ、ついで、首筋に舌をはわせる。

「あっ! ああ!?」

 なにかを発見したかのようなキースの声。おい、なにをみつけた? 訊いてみたいものだ。男にはぜったいにわからない女の官能のひみつ。

 こんどは向かい合う。そういや、まともに目を見ながらエッチするのはこれが初めてだ。

 細い腰を抱き締め、押し倒す。

 ふたたび動き始めるおれの顔をキースが見つめている。視線が熱い。

 そんなに見るなよ、照れるじゃないか。フッ。

「この……恨み……忘れんぞ……」

 あ。呪いの視線ですか? そうなんですか?

 でも、いーや。

 ごんごんごん! 子宮を突きまくる。 

「あっ! あっ! ああ!」

 キースがおれにかぶりつく。背中に爪をたてる。吐息がおれの頬にあたる。

「そろそろか? イきそうなんだろ? ああ?」

 充血の極みで広がり切ったカリで膣奥をかき回してやりながら、キースの耳元でささやく。

「今度こそ、中で、いいだろ」

「中はだめ! 外に……」

「とか言いつつ、おまえ、脚からめてきてるじゃねーか」

 キースの長い脚がさっきからおれの腰に巻きついているのだ。

「だって、だって……」

 キースは鼻にかかった声でもだえる。

「もう、なにがなんだか、わからな……」

「もういい、いっちまえよ。がまんするな」

 左手で髪をなでながら言う。

「おれの女になれ」

 驚いてなにか言い返そうとしたキースの唇をおれはふさいだ。舌をさしこみ、ねぶってやる。

「む……ふ……う」

 一瞬こわばった表情がすぐにとろける。

 唇を離すと、名残惜しげにいやいやをする。おれは、そのまま、最後のピストン運動へ移行する。

「ああああっ! ジャリン、ジャリン――いくッ! いくううッ!」

 イクときも語尾はカタカナなのか。

 まあ、いいや。飛び立て、若人!

 どぱっ!

 どくどくどくぅっ!

 びゅびゅびゅびゅびゅ――びゅくっ!

 三回めが一番多いな、こりゃ。

「あ……あついのが……お腹に……おなか、に……」

 唇をひくつかせながら、キースが声をもらす。喜悦の声だ。イキ続けている。

「ふぃー、気持ちよかった」

 とりあえずチンポを抜いて、キースの陰毛で拭く。

「あうッ……あ……」

 キースが痙攣するたびに、子宮におさまりきらなかった精液が、とろっとろぉ、出て来る出て来る。作者が嬉々として挿絵にしそうだが……ないな、今回は。力尽きたか。

 それにしても、全身をピンク色に染めて、半ば気を失ったようなあえいでいるキースは、まさに女のなかの女だ。

 まあ、コイツの家系が多産系だというのもうなずける。女性ホルモンたっぷり、フェロモンむんむんの遺伝なんだろうな。しかも、すげー淫乱でエッチ好きな性質。それを鍛錬と魔法の力で抑えてきたってわけだ。それで、アンバランスな、ゆがんだ性格になっていたんだろう。

「お母さま……申し訳ございません……」

 つぶやきつつ、キースが濡れた目をあげる。

 すごい三角目だ。

「き、さ、ま……殺してやる……絶対にだ」

 おいおい。穏やかじゃないな。あんなになごやかにセックスした仲だってのに。

「肉体をどんなに凌辱されても、心までは屈伏しない。わたくし、キースリング・クラウゼヴィッツは騎士としてここに誓う。ジャリン、きさまにわたしが舐めた屈辱を味わわせてやる。絶対にだ!」

「なるほど。それはわかったから、続きしよっか」

 おれはキースの肩を抱いた。

「なっ! まだ、する気なのか!?」

 恐怖の表情をうかべてキースが叫ぶ。なにをいまさら。

「たりめーだろ。いつもだったら、シータにネコにエミィ、三人いるんだぜ? 今日はおまえ一人しかいないんだから、あと、四、五発はつきあってもらうぜ」

 ますます猛り狂う肉棒をもてあましながら、おれは笑った。

 

14

 場所は変わってアシャンティにゃ。よくわかんないけど、ちょっぴり時間が戻っていると思ってほしいのにゃ。

 作者の時系列管理がいい加減なのをキャラクターのせりふでごまかすのはやめてほしいもんにゃ。ふぅ。

 アシャンティはもう二歳だから、立派な大人のおんにゃにゃ。子供もうめるんにゃ。ジャリンがアシャンティの最初のオスだから、ジャリンの子供を産むのにゃ。きっと、キンキンにとんがった子猫が産まれるにゃ。ジャリンの子供ならぜったい強いし手も早いのにゃ。盗賊の技を仕込んだら、きっとたくさん稼いで、アシャンティを楽させてくれるのにゃ。たのしみにゃ。

 というアシャンティの人生設計が大ピンチなのにゃ。

 ジャリンと騎士のねーちゃんとははぐれるし、残った仲間のうちメガネちゃんが大ブレーキかますし大変なのにゃ。このメガネちゃんは、ジャリンのチンポをよく独り占めにするからきらいにゃ。ジャリンのせーえきは、アシャンティの将来にとても必要なのに、いつもメガネちゃんが持って行ってしまうのにゃ。不公平にゃ、プンプン。

 そのメガネちゃんは戦いのさいちゅうに、薬の調合を始めたにゃん。まったく、なにを考えているのかわからないのにゃ。だから怒鳴りつけてやったにゃ。

 敵はダンジョンの奥から次々とわいてくるにゃ。アシャンティは本来、うしろから忍び寄るとかが得意なのにゃ。正面きっての戦いは好きじゃないのにゃ。

 また一匹、メガネちゃんの方に行ったのにゃ、数が多すぎて、全部には手がまわらないのにゃ。

 メガネちゃんは泣きながら薬をつくりつづけているにゃ。いくつも小瓶を取り出して、調合しているみたいにゃ。もう、さっき怒鳴りつけたのに、まったくこりてないのにゃ!

「アシャンティさん! エミィさんを!」

 ホムンクルスのねーちゃんが、二匹の虫を杖で防ぎながら呼びかけてきたにゃ。アシャンティもこのねーちゃんには一目置いているにゃ。なぜにゃら、基本的に財布はこのねーちゃんがにぎってるのにゃ。それに夜も、ジャリンのチンポを独り占めしないから助かるのにゃ。

 でも、アシャンティも敵とやりあってる最中にゃ。むりにゃ。それに、一匹くらいだったら、メガネちゃんでもなんとかできるはずにゃ。

 と、思ったとき、ダンジョンの壁がくずれて、虫が――それも成虫にゃ、でかいんにゃ!――が何匹も飛び出してきたにゃ!

 なごぉおおおるるるるる!

 アシャンティは思わず後ずさって、道をあけてしまったにゃ。

 虫どもはまるでなにかの匂いに引きつけられるようにメガネちゃんのところに殺到したにゃ!

「エミィさん!」

 ホムンクルスのねーちゃんが背中をがら空きにして、メガネちゃんのほうに向かいかけたにゃ。防御系の呪文を展開しようとする――その肩口に、虫がかぶりつくにゃっ、あぶないにゃ!

 メガネちゃんは、薬瓶を手に、ぼうぜんと立っていたにゃ。涙の跡が情けないのにゃ。まるで、夢でも見てるみたいに、迫ってくる虫たちを眺めていたにゃ。

 そして、絶叫したにゃ。すごい声で悲鳴をあげながら、持っていた薬瓶を足元に投つけたのにゃ。と同時に、巨大な虫がメガネちゃんを――にゃああああああっ!

 次の瞬間、あたりがものすごい光と音とでうめつくされて、なにもわからなくなったんにゃ……

 

 

「アシャンティさん……」

 ひんやりとした手が額におかれて、アシャンティは気がついたのにゃ。

 かーちゃんの手ににてる――でもぜんぜんちがう、お人形のような手が差し伸べられていたにゃ。

 たぶん、回復魔法をかけてもらっていたらしいにゃ。おかげで、からだのあちこちが痛いけど、わりと大丈夫な感じなのにゃ。

 ホムンクルスのねーちゃんが、沈んだ表情で座っていたのにゃ。ひどく疲れているような――もともと細いんにゃけれども、さらにやつれたような、そんなふうにみえたのにゃ。

「メ、メガネちゃんは?」

 アシャンティは、最後にみたメガネちゃんの様子を思いかえして、ぶるぶるって、ふるえたにゃ。あんな大きな虫たちに襲いかかられて、あのメガネちゃんがどうなってしまったのか、あまり想像したくなかったのにゃ。

 ホムンクルスのねーちゃんは、瓦礫の山に目をやったにゃ。そこは、メガネちゃんがいたところだったのにゃが、ものすごい爆発のあとがあって、虫たちの死骸が散乱していたのにゃ。

「エミィさんはなにかフェロモンのようなものをつかって敵をおびき寄せて、そして薬剤を爆発させたようです。瓦礫のなかに、エミィさんは発見できませんでした。あったのは、ただ――」

 そこから先はホムンクルスのねーちゃんも黙ってしまったのにゃ。その膝元に、ひしゃげたメガネのフレームが置いてあったのにゃ。

 アシャンティはあたりを見回してみたのにゃ。すると、あんなにたくさんいた虫たちがみんな死んでいたのにゃ。爆発に巻き込まれなかったはずの虫たちまで……

「どうやら、爆発物のなかに、わたしたちには無害で、虫たちにとっては致死性の成分が含まれていたようですね。それが拡散して、このフロアの敵を全滅させたようです」

 ホムンクルスのねーちゃんが、いつものなんでもないような口調に戻ってつづけたのにゃ。

「エミィさんの作戦は完璧でした。わたしたちがエミィさんの意図を理解して、彼女を守り続けていれば、わたしたちは無傷でここを突破できていたかもしれません」

「しょ、しょんにゃ……」

「アシャンティさんのせいではありません。わたしが気づくべきだったのです。たしかにあのタイプのモンスターは個別に魔法で攻撃するよりも薬剤のほうが有効です。エミィさんは魔法薬の調合の天才でしたし」

「そうだったにょか……」

 悪いことをしたのにゃ。メガネちゃんを怒鳴りつけて、泣かせて、死なせてしまったのはアシャンティにゃ。メガネちゃんは、アシャンティのことを、「ねこちゃん」と呼んでかわいがってくれたのにゃ。ほんとうは、ちょっと好きだったのにゃ……

 にゃおおおおおん

 ホムンクルスのねーちゃんが、アシャンティを抱き締めてくれたのにゃ。アシャンティとそんなにかわらない細いからだにゃ。でも、あたたかくて、いい匂いがするにゃ。シータねえちゃんは、まるで、かーちゃんみたいにゃ。

「大丈夫です。アシャンティさんはわたしが守りますから。かならずマスターのところに送りとどけます」

「ねーちゃんもいっしょにゃ。ジャリンともう一度あうんにゃ」 

 えぐえぐ。アシャンティは、ただ、ホムンクルスのねーちゃんにしがみついていたのにゃ。だから、シータ

ねーちゃんが、低くこうつぶやくのがきこえたのにゃ。

「マスターはわたしをゆるさないでしょう。エミィさんを守れなかった――守らなかったわたしを。だからわたしは、もう――マスターと会うことはありません」

 それは冷たい、氷のような声だったのにゃ。

 

つづく。