ジャリン戦記 第四話 ダンジョン・シーカー(第六回)
ひと仕事を終えたマモンが、こちらに近づいてくる。
マモンの視線はキースに向かっている。よだれをたらさんばかりの、物欲しげな表情だ。
おれは、キースを背中にかばった。
「これは、だめだぞ」
「ええ〜、そんなぁ〜」
指をくわえたまま、上目使いに前髪を揺らす。幼女のおねだりポーズだ。ふつうなら可憐なしぐさなのだが、コイツがやると、じつに邪悪に見えるから不思議だ。
「ジャリンのコト、さっき、助けてあげたよねえ……?」
「なんのことだ?」
「またまた〜! やだな〜、さっき、ヴュルちゃんに焦がされかけてたのを助けたじゃな〜い、けんぼーしょー?」
「おれは助けてくれとはいってないぞ」
「だめ〜。そのあと、ヴュルちゃんをおとなしくさせたでしょ? そのおかげで、このおねーさんをゲットできたんでしょお〜」
マモンは譲らない。目が本気だ。なにしろ、ここんとこずっとタダ働きさせまくっているからな。
しかも、さっき、さんざんっぱらヴュルガーの精気を吸い上げたもんで、エネルギーがものすごい。
いっそヴュルガーとヤッて、満足してくれりゃあよかったんだが、このマモンというバケモンは男相手ではほとんどの場合満足しない。レズビアンなのだ。いや、もっと攻撃的なインキュバスだ。人間の女の淫水が大好物ときていて、獲物をいたぶって壊すまでいかないと、ヤッた気にならないのである。
おれはキースを見た。うーんうーんうーん。
ま、他人だしな。
「じゃあ、ちょっとだけだぞ」
「やた! やた! やた!」
マモンがうれしげに翼をぱたつかせた。
「な……なにを」
キースは乳房を手で隠しながら、身体を起こそうとする。
だが、おれがバックに回り込んで、その肩を押さえてしまっている。
「まあ、すこしの間、がまんしろ。四、五〇回くらいイカされるかもしれないが、手加減するようには言っておいたから」
キースの顔がさらに青ざめ、引きつっていく。
「そんな、理不尽な……その子は……子供じゃないか」
「だから、魔神だってば。おまえよりも多分、年上だと思うぞ」
「そーだよ、おねーさん。ボク、ベテランだから、安心して任せていーよ」
にっこり笑って、マモンがキースの股間に陣取る。
さしものキースも、幼女の外見を持つマモンは足蹴にできないのか固まっている。
「お、おいっ! ジャリン、やめさせろっ!」
そんな恐ろしいこと、できるか。その気になったマモンから獲物を取り上げたりなんかした日には、とてつもない量の血の雨がふるぞ。
「ジャリン、ちょっと、最初のうちだけ、おねーさんのこと押さえておいてね〜」
黄色い帽子をかぶって小学校に通っているのが似合ってそーな愛らしい顔が、悪意と欲望に引き歪んで、おれを見据えている。
やれやれ、だ。
「うあっ! ひぃっ! なに、これ……っ!」
キースの声の調子が変わっている。
おれは、背後からキースを羽交い締めにしているが、もうその必要もないくらいだ。
キースの立てた膝の間にマモンが顔をこじ入れている。
小さな手でキースの股間のひだをひらき、その内部に舌をはわせている。
子猫がミルクを飲むような、ぴちゃぴちゃという音。
じつに美味そうに、マモンはキースの性器をなめている。
ぺろぺろぺろ、じゅじゅじゅちゅるぅ……
「あっ! やめて! お願い!」
キースが身をよじる。おれは、キースの変貌に感心しつつ、そのおっぱいを背後からもみしだく。
マモンは幼い顔になまめかしい笑みをたたえつつ、キースの立て割れを責め続けている。
こやつの舌技は、ヴュルガーを陥落させたことからもわかるが、人間業ではない。舌そのものが特別製なのだ。高性能のクリーナーというか、マッサージャーというか。イボイボが飛び出したり、吸盤みたいになったりするのだ。さらに、唾液腺からは、女を狂わせる媚薬成分を分泌する。
さすがは魔神である。
はっきりいって、この責めに耐えられる女はいない。
マモンの舌がずろり、伸びて、形がかわった。
小ぶりな男根のように、亀頭が笠を広げる。それが、キースの身体のなかに入ってゆく。
べろべろ、ちゅーちゅー、べろんべろん。
「あ……あっ! う……やめ……て……」
「おね〜さんのえっちい汁、おいし〜」
マモンは大きく広げたキースの女の部分に鼻をこすりつけ、さらに、舌を内部に差し入れた。
「あぅう……ひぐっ!」
白い腹が波打ち、乳房が揺れる。
まさに衝撃波がキースの脚の間の間から脳天にむかった突き抜けた――そんなように見えた。
マモンの舌がキースの内部で動いている。軟体動物さながらに蠕動と吸引を繰り返しているのが、キースの反応でわかる。
「はああああっ! だめええっ! おかしく、なるぅっ!」
キースは身もだえして声を張り上げる。これが、あの自尊心の権化の騎士モドキとはとても思えない。
「くふふ、だう? いいっしょ? 頭のなか、真っ白でそ?」
マモンは微笑しつつ、キースのへそを指でえぐる。それだけでも達してしまうらしく、キースの女体がはねる。
「そろそろ、とどめをさしてあげようカナ〜?」
害意たっぷりの目を細めて、マモンが自ら脚をひらく。齢数百年の魔神の真っ白な立て筋があらわになる。むろん、陰毛などというものはない。まったき幼児の未熟な性器だ。
だが。
その割れ目が開くと、ピンク色の粘膜が盛り上がり、毒蛇さながらに首をもたげる。
肥大したクリトリスだが、もはや大人サイズの男根にしかみえない。
「この『いーもの』で、おねーさんの中途半端な処女膜、完全貫通してあげるね〜」
にたり、笑ったとたん、マモンの肉棒がさらに膨張し、変形する。
ピンクの粘膜があちこちで盛り上がり、無数の突起に変化する。それらの突起はマモンの意志で自由に出たり入ったりするらしい。しかも。
「こおんなふうに、おなかのなか、ひっかきまわして、あ・げ・る」
肉棒が回転をはじめる。イボイボだらけの回転スリコギだ。
「ひ」
キースの顔が恐怖にゆがむ。そりゃあ、そうだろう。いくら人間じゃないからといって、これはやりすぎだ。フィギュアの魔改造だって、ここまでのはめったにない。
おれの記憶が確かならば、マモンのクリトリスに犯されて発狂しなかった女はいない。そして、マモンは、気まぐれにクリトリスのイボを鉄のように硬化させることがある。むろん、そんなものを腹中で高速回転されたら――
「いやだ……や……め……」
キースはいつもの毅然とした表情も尊大な態度も失って、涙声になっている。
「くふふ、そそるよお、おねいさん。もっといい顔にしてあげるからね〜」
マモンがクリトリスの先端をキースの入口にあてがった。
「い……たぃぃ……やだよお……」
キースが泣く。ああ、もう。
おれは、マモンの背中にまわって、無造作にしっぽをつかんだ。
いわゆる悪魔系の三角に尖ったしっぽだ。
「ひゃん!」
すっとんきょうな声を放って、マモンが飛び上がる。
おれは、マモンのしっぽの先端を邪掌でニギニギした。びろうどのような手触り。そして柔らかいような、硬いような、不思議な感触だ。
「あにゃああ……ジャリン、なにするんだよ〜!? そこ、弱いのにぃ〜」
そうなのだ。マモンの性感帯はじつは、このしっぽに集中している。ちんちんをこする要領で、しっぽの先端のくびれを刺激してやる。
「ジャリンってば、ずるい〜」
マモンは抗議しつつも、快感に顔を上気させている。ちいさな羽根を必死でパタつかせて、落ちまいとしている。
「るせーな。おまえの残虐ショーを見物する趣味はねーんだよ」
「で、でも、この女、ずっと、ジャリンのことウニ頭だの犯罪者だの異常性欲者だの言ってたでしょお〜、ま〜単なる事実だけどぉ〜、でも、バカにされてたじゃんよ〜、しかえし、したくないのお〜」
マモンは必死の口調でいう。
「ボク的には、むちゃくちゃムカついてたんだよ〜。あの、ほむんくるすのガキにしたってばさ〜、ジャリンのほんとの姿とか、知らないくせに、えらぶってさ〜」
るせーな。へんな義憤にかられてんじゃねえ。しこしこ。ぎゅむぎゅむ。
「あん! ぅくぅっ!」
マモンが声をあげ、おしりを突き出してくる。しっぽは、おしりの穴のすぐ上からはえているから、ひっぱってやると、肛門もたてすじもまる見えだ。
しっぽを刺激してやったせいか、その部分は充血しまくっている。クリトリスもだ。イボが引っ込んで、青筋たてて怒張。おもしろいから、そっちもにぎってやる。こっちは右手で。
「あ、あ、そこ、だめだよ〜」
マモンの声が余裕をなくす。ダブルしこしこはさすがに効くようだ。
「ジャリン〜、どうせなら、ボクのアソコ使ってよぉ〜」
マモンは必死の抵抗をみせて、自分の未成熟な女性器を左右に広げた。ピンクの肉壷。サイズは幼女レベルだが、その実、七段締めのカズノコ天井、それどころか、無数のひだがからみついてくるとんでもない名器ときている、らしい(伝聞調)。
だが、それが罠なのだ。
「ばーか、てめーのまんこに突っ込んだりしたら、精液どころか体液すべてを吸い取られっちまうダロガ」
「ボクのこと神人の城から助け出してくれたジャリンに、そんなことしないよぉ〜! どうせイクんなら、オチンチンでかきまわしてほしいだけだよ〜! おしりでもいいからさあ〜」
マモンは、ピンクの肛門の入口さえ広げる。まんことアヌス、粘膜フルオープンだ。外見はガキのそれのくせに、中身は爛熟した大人の性器だ。たぶん、快楽だけでいったら、フツーの女の道具の数万倍に達するだろう。なにしろ粘膜そのものが人外のそれだ。意志を持った肉襞、催淫物質のかたまりのよーな愛液。
しかし、魔神にとって、セックスは繁殖の行為ではない。むしろ食餌行為にちかい。
だれが餌をくれてやるかい。
「あ〜ん、ひどいよぉ! いつも尽くしてるのに〜」
「うそつけ、呪いの剣」
言いつつ、マモンのしっぽとクリトリスへの責めを激しくしてやる。両方とも、熱く張り詰めて、なおかつぬるぬるの粘液に濡れはじめている。
「あ、はん、んん、ひい、はっ、はっ、はあ」
マモンの息遣いがせわしくなり、視線が宙をさまよう。
「ジャリン〜、オチンチン〜、おねがいだよ〜」
「え〜い、ひつこい!」
おれは、マモンのしっぽの先端を邪掌で強く「吸った」。
「か、は……っ!」
マモンがわななき、のけぞる。
幼女の全身が光につつまれ、次の瞬間、虚空に抜き身の刀があらわれた。
はっしとつかみ、そのまま鞘におさめる。勝手に抜けないよーに、鎖をかける。ぐるぐる巻きにする。
ったく、よけいなこと考えてんじゃねーよ、魔物のくせに。これ以上つまんねー気を回したら、ソッコー契約解除するぞ。
おれは、足元にひれふしている女に目をやった。
「えぐっ、ひぐっ……う?」
泣き顔のキースが顔をあげる。
うーん。どうするかな。
泣いてる女とするのは好みじゃねえ。女を泣かせるのは得意だけどな。
おれの暴れん坊に相談してみよう。
あ。
ギンギンじゃん。
マモンの声、色っぽかったからなあ。