6 色事家

  

 階段をそろりそろり昇り、好男の部屋の隣――沙世の部屋だ――に忍び込む。もちろん沙世は不在。今は隣町まで塾に通っているそうだ。色事家では唯一まともに生きているといえそうだ。

 沙世の部屋は女の子らしくパステル調の家具で統一されている。そして、ベッドには大量のぬいぐるみが――ただしマッチョな男の人形ばかりが置いてある。壁にはボディビルダーらしき男性がぶっとい筋肉を見せつけているポスターが。まともかと思ったが、沙世もちょっと残念な子らしい。

 極太は沙世のベッドにあがり、好男の部屋に面しているらしい壁に耳を当てる。

 ニヤニヤしている。それはけっして息子の成長を喜んでいる父親の表情ではない。

「真由美ちゃんも来な。いま、いいところみたいだぜ」

「え、でも」

「向こうは真っ最中だから気づきゃしねーよ」

 おいでおいでする。真由美としては、ここで騒いで、好男たちにばれるのが一番困る。

 極太はこういう「おもしろいこと」を見逃さない。真由美が一人ここを離れたら、極太がどう事態を悪化させるかわからない。

 しぶしぶ真由美は極太の側に移動した。ベッドはなかなかしっかりした造りで、ギシリとも音をたてない。

「壁に耳をくっつけてみなよ」

 言われた通りにすると、おどろくほど鮮明に隣の部屋の様子が伝わってきた。

『ほ、ほんとに、いいの……?』

 好男の声。わずかに震えている。表情さえ思い浮かぶ。

『うん……いい……よ』

 美琴の声。元々か細い声だが、好男のそれよりは、はるかにしっかりしている。

 覚悟をしてきたのだ、美琴は。

 衣擦れの音。美琴が自分で脱いでいるのか、好男が脱がせているのか。

 たぶん、美琴は自分で脱いでいるのではないか。そんな気がする。

『き、きれいだ……美琴ちゃん』

 美琴の裸は美しい。体育の着替えなどで真由美はそれをよく知っている。絹のようになめらかな白い肌。胸は意外に大きく、乳首は淡いピンク。腰がくびれた女らしい体つきに、長い脚。同性の真由美からしても、動悸が速まるのを抑えられない美しさだ。

『好男くんも……脱いで』

『お、あ、ああ』

 あわただしく応じる好男。真由美のすぐ後ろでは極太が吹き出しそうな表情を浮かべている。

「あいつ、童貞でもあるまいに、なーにキョドってるんだ?」

 どうなんだろう、と真由美は思う。

 スカートめくりや胸にタッチしたり、そんなイタズラは子供の頃から続けてきた好男だが、肝心なところでは思い切りが悪い気がする。

 なんとなく、好男はまだ女の子と、そういうことはしていないような気がする。真由美の願望かもしれない。

『み、美琴ちゃん……』

『キスして……』

 積極的な美琴。覚悟を決めた美琴は強い。

『わたしたち、つきあってるんだよね……? だから、いいんだよ』

 美琴が諭すように、導くように囁く。

「ああ、じれってえな。女の子から誘ってくれてるってのに」

 極太がいらいらした様子で舌打ちする。

「なんだったら、おれが出て行って……」

「っ! どうする気なんですか!?」

 思わず声を漏らす真由美。極太は照れたように頭をかく。

「やー、おれも参加しようかと」

 このヒトならやりかねない。真由美は極太の腕に手をかけた。この部屋から出て行かせないためだ。

「冗談だよ。真由美ちゃんを置いていきはしねえよ」

 何を勘違いしたか、極太が真由美を抱き寄せる。そんなつもりではない真由美は抵抗しかけたが、そうすることで隣に物音が伝わるのを怖れた。

 極太の背後から抱きすくめられる。腕の中にすっぽりとおさまる形だ。たばこ臭い息が耳に当たる。

「やだ……」

 胸元を極太の掌が這い回る。

「さわるだけだ、いいだろ?」

 息子の幼なじみの女の子を抱きしめ、乳房をセーラー服の上から揉みしだきながら、極太は言う。

「真由美ちゃん、おっぱい大きくなったんじゃね?」

 含み笑いをする。悪いおじさんだ。

 耳たぶを舐められる。ぞくっとする。

 でも、抵抗できない。すごく悪いおじさんだ。

 すぐ隣に好男と美琴がいる。幼なじみと親友が。だから騒げない。

『好男くん、すき』

 美琴が好男に抱きついた気配がする。

『お……おれも……』

 おずおずと応える好男。キスが始まった。粘膜と粘膜が触れる音。

「真由美ちゃん、ベロ出して」

 極太が真由美の舌を出させて、それに舌を絡めてくる。

 掌はセーラー服の中に潜り込み、肌に直接触れている。ブラごしに十四歳の乳房をぎゅっと握る。

「うよ、プッリプリ!――さすが中学生、ピチピチだねい」

 おわん型の真由美のバストを手指でほぐしながら、真由美の唇を嘗めまわす。

「おじさん……だめ……だよ」

「なにが? ほら、乳首ピンピン」

「くぅっ」

 ブラをずらされ、露出した乳房の突端を指で弾かれる。

『好男くん、胸、触って……いいよ』

『ああ……』

『遠慮しなくていいんだよ』

『う……うん……』

 緊張しているような声。

 それを聞きながら

「おれは遠慮しないぜ」

「やだっ、おじさん……んひっ!」

 乳首を容赦なくねじる極太。

 声を押し殺す真由美。

『乳首、立ってる』

『ああ……ん……』

 好男と美琴も、極太と真由美と同じことをしているのか。

「へっ、まけてたまるか」

 対抗意識を持ったのか、極太は真由美の胸に顔を埋めた。乳首を舌で刺激する。

 ざらざらした中年の舌が真由美の乳首を舐めしゃぶる。

「や、あ……」

 真由美は手で自分の口を押さえる。

 ちゅっちゅっ、ぺろぺろ、音をたてて乳首を刺激される。

 隣から、そっくり同じ音が聞こえてくる。

『あっ、はっ、あああっ……好男くん……』

「好男のヤツ、なかなか頑張ってるみたいだな。さすが俺の息子」

 こちらの声も向こうに聞こえていておかしくないのだが、極太は頓着しない。

「こっちも負けてらんねえな」

 極太は真由美を押し倒した。制服のスカートをまくりあげ、白い太腿をなでさする。

「おじさ……だめぇ」

「なんで? いいじゃん」

 明るく極太は言う。

「だって……となり」

「向こうだってヤッてんだ。夢中になってて気づかねーよ」

 確かに、隣から聞こえてくる息づかいや声は高まる一方で、こちらに気づいた様子はない。

 ペチャペチャ、舐める音。服を脱ぐような衣擦れの音。美琴の甘い声。好男の切迫した声。

「な?」

 言いつつ、真由美のパンティに指をかける極太。

「だめ……だめ……」

「とかいいながら、おしり浮かせちゃって、このスケベ」

「ちが……」

 つるん、パンティを下ろされる。

「あっ」

「真由美ちゃんのマンコ、相変わらず可愛くピッチリ閉じてるな。さすがJC」

 言いつつ、真由美の脚を広げさせる。

 股間に顔をこじ入れる。

『よ、好男くん……そこ……はずかし……』

『美琴の……きれいだ』

「真由美ちゃんのも負けてないと思うよ、オジさんは」

 くぱあ。

 レロレロ……

「はぅ!」

『ひゃん!』

 真由美の声と美琴の声が同期する。

 美琴も舐められているのか。好男に。

 真由美は極太に舐められながら、ぼうっとしていく。身体が熱い。

 好男に舐められている――アソコを――そんな気がする。

『美琴のココ、とがって……』

「真由美ちゃんのクリ、かーわい」

『そ、そこはっ!』

「きもちいいっ!」

 声が出る。

 隣からも聞こえる。

 同時に高まっていく。

 

『好男くんのお口でしてあげる』

 隣では美琴が率先して好男のペニスにご奉仕しはじめた。

『うっ……あ……美琴……すごい……』

「じゃ、真由美ちゃんもしゃぶって」

 極太の凶悪なペニスをつきつけられる。

 それを口に受け入れる真由美。

(おじさんの……おっきい……)

 太い血管が浮き出た剛直。亀頭も大きくエラを張っている。

『好男くんのかわいい』

「そりゃあ、おれのとは違うさ。だろ、真由美ちゃん?」

 勝ち誇る極太。

「む……んん……ぅ」

 くちいっぱいにペニスをほおばる真由美はそれに対して答えることはできない。

「さあ、キンタマも舐めてくれよ?」

 大ぶりな陰嚢だ。絶倫の中年男の睾丸がおさまっている。

 そこも舐める真由美。好男や沙世を産ませた精子が今も大量に作られている場所だ。

 隣の雰囲気が慌ただしくなる。

『あっ、み、美琴、おれ、もう……』

『いいよ、好男くん……きて……』

 身体と身体を重ねるあわただしい物音がはじまる。

 

『よ……よしおく……』

『美琴……美琴……』

 性器同士がくっつく、湿った音――そして――

『は……入って……く……ひぃっ!』

『ごめ……痛かった? 美琴』

『へ……へいき……だよ?』

 初々しい二人の声が聞こえる。ああ……二人は結ばれたんだ……

 真由美はホッとしたような、哀しいような……泣きたい気分になる。

 その真由美の尻を極太が揉みながら命じる。

「ほら、ワンワンポーズで、おしりを突き上げて」

「うん……」

 セーラー服のスカートをたくしあげられ、おしり丸出しで四つん這いになる真由美。

 そのおしりをぱっくり広げる極太。

「真由美ちゃんのマンコ、トロトロだなー。アナルもひくひくしてるし、どっちからいただこうかな?」

「や……おじさん……ゴムは……」

「そんなの、ねーし。ナマの方が気持ちいいだろ?」

「でも、おじさんの濃いし……赤ちゃん、できちゃうよ……」

 白くてねっとりした極太の精液を思い浮かべる。肉眼でも精虫が動いているのがわかるような――そんなザーメンを極太は出す。それも大量に。

「妊娠すりゃいいじゃん。ちゃんと産ませてやるし、子供はおれが育ててやる」

「や……あ……」

 入ってくる。四十男の太い肉棒が、真由美の膣を押し広げて侵入してくる。

 脳天まで貫かれるような圧迫感、異物感、被征服感。

 中学生相手ではこれほどの「犯され感」は味わえない。

 少年たちの半剥けペニスとはサイズも圧力も違う。さらには亀頭のエラがえぐいまでに真由美の膣壁を擦る。

「お……おねがいぃ……」

 なにをお願いしているのか、真由美自身わからない。

 壁に耳を押し当てながら、おしりをくねらせている自分を止められない。

「やっぱり真由美ちゃんもナマがよかったんだろ?」

 言いつつバックから腰を打ちつける極太。

「……っ!」

 出し入れされる度に視界が上下に動く。目が裏返ってしまう。極太とのセックスは初めてではないが、する度に思い知らされる。極太のペニスはバケモノだ。

 その筋の男は亀頭に真珠を埋めるという話を聞いたことがあるが、極太にはそんな改造は必要ないだろう。もとから亀頭が大きく、凶悪に肥大している。膣の中でそれはさらに体積を増し、粘膜に密着し圧迫し、精妙にヒダを掻く。

「ぅっ! お、お、おおうううう」

 獣のような声が出てしまう。14年の人生の中でも数回しか出したことのない声。

「おっと、さすがに栓をしとかないとな」

 極太は、真由美の口を、脱がしたパンティでふさいだ。

「うむぅうう! うッ! うううううッ!」

「真由美ちゃんのマンコ、日に日にいやらしくなってくなあ。中二でこの吸い込みって、なかなかないぜ?」

  隣から、声が聞こえてくる。

『美琴の中、すごく熱い……』

『うん、好男くんが中にいるの、わかるよ……』

『美琴……気持ちいい?』

『ん……よくわからない……でも、うれしい』

 ぎこちない、不規則なベッドのきしみ。

 不器用な中学生同士のセックス――

「なんだ、好男のやつ、へたくそなんじゃねえか?」

 真由美の肛門をいじくりながら、奥まで突き上げる極太。

「男なら、女をよがり狂わせねえとなあ? 真由美ちゃん」

「うっふ……んんむううっ!」

 真由美は子宮まで突き上げられながら、そのたびにアクメに達している。

 シーツをつかみ、もだえる。口の中のパンティは唾液にまみれている。

 自分がどんなアヘ顔をさらしているかも自覚できない。制服さえ着たままなのに。

「あー、真由美ちゃんのマンコすげー、うねってら。おっ、おおっ、気持ちえー」

 極太の腰の動きが激しくなる。

 ピストンが一往復するたびに、真由美の意識が白く灼け、爛れる。

『み、美琴、お、おれ、もう……っ』

 好男の切羽詰まった声。

 ――いきそうなの?

『で、出そうだ……おれ……っ!』

 パンパンパン! 腰を打ち付ける音。

 ――出していいよ、よしおくん

『ああ、いく、いく……』

 ――イッていいんだよ、よしおくん

 真由美はまとまらない思考のなかでただ思う。

 ――おまんこにセーシ出していいの、よしおくんなら、ううん、出してほしいの、一番おくで感じたいの

『ううっ! でるッ!』

 びゅッ!

 びゅッ!

 びゅるるるッ!

 ――あつぅい……おなかの中に、熱いのが広がって……

 真由美は激しく絶頂に達していた。

 分かっている。

 好男に出してもらったのは美琴で。

 真由美の子宮に大量に打ち込まれた精液は好男の父親のものだ。

「真由美ちゃん、おれと結婚しねぇ?」

 つながったままで極太が言う。

 向きをかえて、正常位になる。ゆっくりした動き。もう極太は回復している。なんという精力だ。

 上から覆い被さって、真由美の唇を舐める。

「16になったら籍入れるからさ。沙世も真由美ちゃんのこと気に入ってるし」

 そんな、ありえない――

「既成事実作っちまえば、どってことねーよ。おれのタネで真由美ちゃんが妊娠すればいーんだよ」

 それでも――

「好男が好きなんだろ? 一緒に暮らせるぜ? おれがいないところだったら、あいつのこと、食っちまっても怒らねえし」

 この人にモラルとかはないのだ。実の娘と毎日風呂に入り、指で性感を開発してやってると嘯く男なのだ。妻を息子と共有するくらい平気だろう。

「ほら、二発目、出すぜ? 妊娠するまで何発でも出してやる」

 また、濃いのが……

「おらっ、孕め! おれの女になっちまえ!」

 奥に注がれる。

 真っ白だ。

 そこを精液で満たされると女はそうなる。

 雌になってしまうのだ。

 真由美は必死で極太にしがみつき、何度も顔を上下に振っていた。

「なるっ! なるよぉ! だから、もっと! もっと……してぇ!」

 どろどろの精液で子宮をいっぱいにしながら、真由美は叫んでいた。