偉大なる助平 第一話(2)
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好男は、頭を静香に抱えられていた。
ブラウスの前をはだけ、フロントホックのブラジャーを弾けさせ、むきだしの乳房に好男は吸いついていた。
Fカップ、95センチのバストだ。もみごたえ、吸いごたえとも抜群だ。
好男は、ピンピンに立っている乳首をかるく噛み、舌でねぶった。
「あうっ、ああーん!」
静香の甘い声が好男の脳幹部をとろけさせていく。
まっしろい乳房は両手で揉みしだいてもあまる大きさだ。全校男子生徒、男性教師の憧れが集中しているバストである。それをいま好男は蹂躙していた。
「ビリビリきちゃう、ああっ、もう」
女教師はのけぞった。乳首にものすごい性感帯があるようだ。
好男は静香を机の上にすわらせた。
お尻の下にテスト用紙がある。しわになるかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
好男は静香のスカートをまくりあげた。
シルクの白いパンティだ。派手ではないが、大人の女性の大切な部分を包むには充分なグレードを持っている。
その股間にはすでに大きなしみができていた。
好男は無言でそのしみの部分を触った。
指先で押しこむようにする。熱い肉の感触がつたわってくる。
「ああっ!」
静香は後ろに手をつき、大きく胸をはだけたまま上体をそらした。そうしても胸は垂れない。大きいのに弾力に満ちたバストは、その先端を誇らしげに天井に向けていた。
好男は大胆になっていた。女性にここまでしたのは初めてだった。だが、するべきことはわかっていたし、ここまで来てすべてをやり遂げないなんて考えられなかった。好男の男の器官は静香を征服しないではいられないところまできていた。
好男の指は、シルクのパンティをくぐって股間にじかに触れた。
「ほんとうに濡れるもんなんだな」
感動した。指を動かすと、その部分がからみついてくるような感触があり、静香が身もだえした。
「先生……もう、がまんできない」
静香が切なげに肩をふるわせた。泣きだしそうな声だ。
「ね、して。お願い」
「う、うん」
好男はベルトをゆるめ、ファスナーをあけた。ブリーフをずらすと、好男の男根が束縛から放たれてそそりたつ。
すでに先端からは透明なしずくが盛りあがっている。
「先生のおしりが見たい。机からおりて、おしりをこっちに向けてよ」
静香はうるんだ瞳でうなずき、机からおりた。好男に背を向けて上体を曲げると、自分でスカートをまくりあげ、尻を突きだした。
大きな丸いヒップだった。大人の成熟した香りを発散している。
「すげえ」
好男は静香の尻を抱きかかえ、掌でそのなめらかな感触とボリュームを楽しんだ。
そして、パンティの布を細めて、尻の亀裂にねじりこんだ。まるでふんどしのようにする。
尻の山を両手で左右にひらくと、その中央部に鼻先をこすりつけていく。
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「たまに英研の部室に顔を出したってのに、誰もいないなんて」
不満そうに言ったのは大河原真由美である。
ガニマタで廊下をズカズカ歩く。むろん、普段はちゃんとした歩き方もできるのだが、気分によって歩幅も変わるのだ。
「真由美ちゃん、ふだんは柔道部で忙しいものね。でも、いつもだいたいそうなのよ」
なぐさめるように言ったのは鳥羽美琴である。
「じゃあ、いつも美琴は部室でひとりっきりなの? 他の部員はともかく、顧問なんだから中条先生も顔くらいだすべきだわ」
真由美の憤慨はとどまらない。
とりなし顔の美琴もこまっている。
「だからって何も職員室に呼びにいかなくったって。きっと中条先生も帰られたわよ。それに、わたし今日は真由美ちゃんと一緒に帰れるからそれでいいの」
「そーゆーわけにはいかないわよ。わたしも柔道部とかけもちでやってる以上、柔道部が休みの時には英研で活動したいわ」
そうこう言ってるうちに二人の女生徒は職員室の前まで来ていた。
「あれ、鍵がかかってる」
真由美がいぶかしそうに言う。
「へんね。もう先生たち全員帰っちゃったのかな。そんなはずないよね。他のクラブの顧問の先生はいるんだもん」
「ね、へんな音しない?」
美琴が真由美によりそった。声がおびえている。
真由美は耳をすました。
確かに、室内から妙な物音と声が聞こえる。
声は――息遣いのようだ。それも切迫している。ときおり、するどい声になるが、それはどうやら女の声だ。そのほか、獣じみた吐息は男のもののようだ。
物音は、なにか濡れたものが擦れあうような音だ。
「ま、まさかね」
真由美は表情をひきつらせた。
「ゆ、ゆーれい?」
美琴が身体をかたくして訊く。
「扉の隙間から、のぞいてみよう」
「えーっ、ゆーれいだったらどうするの?」
美琴がおびえた声をだしたが、真由美はすこし顔を上気させて首を横にふる。
「幽霊があんな声だすわけないよ。だって、あれ中条先生の声じゃない?」
「えっ?」
美琴は茫然とした。
その間も、女の声は聞こえている。苦しそうな、それでいて喜悦のこもった悶え声だ。
と同時に物音のピッチも速くなっている。
「えっ、えっ、うそ」
美琴の頬が赤くなった。ある可能性にようやく思いあたったらしい。
「うそ、学校で、そんな」
「だから、のぞいてみるのよ」
真由美は宣言すると、扉の隙間に片目を押しあてた。
美琴はその背後に立って、周囲を見まわしたり、落ち着かない。
「ね、ね、見える? じゃなくて、真由美ちゃん、誰か来たらどうするのよぉ」
「しっ、だまってて。中が暗くて、なかなかわかんないのよ……あっ!」
真由美が驚きの声をあげた。
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「あっ、あっ、あっ! ううんっ!」
中条静香は白い肌を上気させ、夢中で腰をふっていた。
そのヒップを両手でつかみ、押さえつけるようにしながら腰を叩きつけているのは色事好男である。激しい律動にともない、やや短めに刈った髪の先端から汗が飛び散っている。
「はっ、はっ、はっ!」
好男は、自分の男根とつながっている静香の肉の門を見つめていた。たがいの分泌した水分がまじりあい、ピストン運動はさらにスピードを増している。
亀頭のエラの部分が静香の体内をこすり、凄まじい快感を相互にあたえている。
「あっ! あんっ! もう、もう、あたし……」
「おれも、だめだっ!」
ひときわ深く腰を突きいれ、それを引く。
「ああっ!?」
「うっ!」
来た。
好男の男根は、静香の中で欲望のかたまりを爆発させていた。
「んあっ、あっ……」
静香は力なく机にふせた。汗をたっぷりかいた重い乳房が書類にはりつく。
好男も荒い息をしながら、惰性で腰を動かしていたが、もはやねばつくようなしつこさは消えていた。
好男は男根をぬいた。
さすがに萎れているが、鼓動にあわせてビクビク動いている。
好男は椅子に深々と腰をおろした。
ギシッと椅子が鳴る。
と同時に、扉になにかが当たる音がした。
「むっ!?」
反応したのは助平だ。
手にした機材を確認すると、その表情が苦々しくゆがむ。
「しまった。接近警報を見のがした。まずいな、見られたぞ」
助平の手のなかにある小型モニターには、職員室の扉のそばで転んでいる大河原真由美とそれを助け起こそうとしている鳥羽美琴が映っていた。
「ここはとりあえずごまかしておかなくては、今後の仕事にさし障るな」
助平はつぶやき、いくつかのスイッチに手を触れた。
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「ど、どうしたの、真由美ちゃん」
美琴が心配そうに、と同時に好奇心も押さえがたい様子で真由美をのぞきこんだ。
真由美の顔色は最悪だ。
「そんな……あのバカが中条先生と……そんなことってあるわけないよ!」
歯を鳴らすようにつぶやいている。
「えっ、バカって誰のこと? 中条先生がどうしたの?」
美琴が質問する。そんなに知りたいのなら、自分の目で確認すればいいものを、そういう行動力には欠けるらしい。
「やあ、きみたち。どうしたの、こんなところで」
真由美と美琴は弾かれたように振りかえった。
助平勉だった。学生鞄を片手にさわやかな笑みをうかべている。
「あっ」
美琴は顔を赤らめて、あわてて真由美の背後にかくれた。
「助平……くん」
真由美はまだ素性のよくわからない転校生を見た。
そういえば、色事好男はこの転校生に校内を案内するといって教室をでたのだ。その好男がどうして中条先生と……と考えかけたとき、真由美の思考は停止した。
「で、ここが職員室。校内ツアーの終着点でございーっと」
長身の助平の影から、色事好男が元気よく飛びだしたのだ。
好男は快活に笑いながら、真由美に目をとめた。
「どうしたんだ、真由美。職員室に用か? ははあ、さては追試かなんかを受けにきたな。ふだんから部活ばかりでロクに勉強しとらんからな、おまえは」
「誰がよっ! あんたと一緒にしないでよっ!」
真由美は反射的に食ってかかったが、次の瞬間、半身を引いて好男の顔をじっと見た。
(本物……よね)
そこらを走りまわったかのように汗をかいているのは変だが、しかし、表情にも服装にも乱れはない。
じゃあ、さっき職員室の中で中条静香をうしろから責めたてていたのは一体だれなのか。
「せっかく来たんだから、中の先生に挨拶しておこう」
助平が言い、手を扉にかけるのを真由美は大声で制した。
「だめ!」
助平は怪訝そうな表情をうかべた。
「どうして?」
真由美は説明に窮した。彼女が目撃した情景を詳細に描写するわけにはいかなかった。
「ええと、それは……そう、鍵がかかっているのよ。もう先生がたは帰っちゃっているのよ! そうよ!」
「鍵?」
助平は首をかしげながら、腕に力をこめた。
すると、何の抵抗もなく扉はひらいた。
「うそ……」
茫然と真由美はその光景を見つめていた。
開いた戸口の奥には、机に向かっている中条静香教諭の姿があった。
静香はこちらを向いた。
「あら、みなさん、いったいどうしたの?」
「ちょっと転校生に校内の案内をね」
好男が軽薄な笑みをうかべつつ、助平の肩をたたく。
助平は静香に礼儀正しくお辞儀をした。
真由美は静香の顔から視線をはずせなかった。ほんの1分前まで、裸で身もだえていたとは信じられない。服装もしっかりしているし、なにより、職員室には静香の他にも教師が数名いるのだ。彼らは机に向かって黙々と仕事をしている。
「先生、テストの採点でいそがしいの。悪いけど、お話はできないわ」
静香がすまなさそうに言う。
「いやあ、いいんすよ、先生の顔をみるだけで! じゃ!」
好男は言い、扉をしめた。
「どうしたの、大河原さん。ぼうっとして」
助平が心配そうに声をかける。
真由美は我にかえって、うろたえた。
「な、なんでもないの。なんでも……」
あれは幻覚だったのか。だが、見たのだ。好男そっくりの男子生徒が、静香のお尻にまたがるようにして……。
真由美は下腹部に熱いうずきを感じた。心臓が今さらながら苦しくなる。
「だ、大丈夫?」
美琴がふらつく真由美の身体をささえた。
真由美は力なく微笑んだ。
「ちょっと調子がよくないんだ。あたし、もう帰るよ。英研つきあえなくてごめん」
「真由美ちゃんが帰るならわたしも帰る。送っていってあげる」
美琴は真剣な面もちで言う。
「ごめんね」
小柄な親友の肩を借りながら、真由美は歩いた。内股が濡れて気持ちが悪かった。
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真由美と美琴が遠ざかるのを見送って、好男は大きくため息をついた。
「びびったあ……。まさか真由美に覗かれてたなんてなあ。にしても、あの職員室、いったいどんな仕掛けなんだ」
助平は無言で職員室の扉の鍵をはずした。それから重たげに扉をひらく。
中は暗く、汗の匂いがたちこめている。静香の机には、下半身をむきだしにした女体が今もぐったりと倒れこんでいる。
「さっきのは……」
好男も目を白黒させている。
「立体映像だよ。もしもの時のために静香先生の3DCGを準備しておいたんだ。それをここから」
と、助平は自分の胸元のボタンを指さした。
「超小型投影装置で映写したんだよ。扉をスクリーンにしてね。だから、開いた扉そのものが立体映像だったんだ。ちなみに先生のセリフはぼくが腹話術でしゃべったのを音声変調機をつかって静香先生の声に似せたんだ。映像とぴったりあっていたから、声の出所がぼくだったということにみんな気づかなかったんだね」
「うーむ、なんという発明だ」
好男はうならざるを得ない。尋常ではないテクノロジーだ。
ちなみに好男のほうは、もともと股間しか露出していなかったので、ブリーフを上げ、ズボンのジッパーをあげるだけで身仕度はすんだのだ。あとは助平と一緒に反対側の扉からそっと廊下にでて、なにくわぬ顔をして真由美たちに会ったのだ。
「あとは、静香先生だな。目が覚めたら騒ぎだすんじゃないか?」
と、心配する好男に、助平はなんでもないように言う。
「大丈夫さ。これからちゃんと後始末するから」
助平は鼻歌を歌いながら、ペーパータオルで静香の股間を拭きはじめた。そして、小型のペンライトを静香の膣に挿入するとスイッチを入れた。
「これはきみの精液を一瞬のうちに分解して、生殖能力をなくすんだ。あと、膣内の傷なんかも直してしまう。本人だって、セックスした跡を発見できないくらいにね」
助平はペンライトをしまうと、静香にパンティをはかせ、服を手ばやく着せていった。汗の処理もぬかりない。乱れた髪も一瞬のうちに元どおりにした。
そのほか、机の上の乱れをなおし、いくつかの痕跡を消去した。
最後に、静香を椅子に座らせ、机の上にうつぶさせた。
「じゃ、帰ろうか」
「おい、先生は?」
「じきに目が覚めるさ。その時には色事くんとのことはきれいさっぱり忘れているよ。それに、ぼくの推測が正しければ、きっと先生のトラウマも治っているはずさ。色事くんの努力のおかげで、ね」
「トラウマ? なんだよ、それ」
好男は首を捻った。
それには助平は答えず、謎めいた微笑をうかべるのみだった。