「あたし、ショタじゃないもん……」
水のなかで、う〜、とうなる。
でも、真奈は岸にあがった。誘惑に抗しきれなかったのだ。
ふだんは自分がエッチなイタズラをされている。ちょっとした仕返しだ、と思った。
男の子の身体に興味がないわけではない。それに、シンダラーのような大人の男は怖いし、無気味だが、ハルキのはかわいらしいし、きたない感じがしない。まるで植物の未成熟な芽のようだ。
くー、すー。
ハルキは寝息をたてている。まるで天使の寝顔である。ほんとうに美形の子供なのだ。
(大きくなったら、もてるだろうなあ)
真奈は想像した。でも、ハルキがそういう年齢になったころは、真奈はそろそろ三十路が見えるころだろう。そうなったら、とてもじゃないが相手をしてもらえないだろうな、と思う。ちょっと癪だ。
股間に、ちょこんと生えている。白い鞘におさまった性器――いや、まだ性器ではない。排泄のための器官だ。鞘の下にはくるみの殻のような丸いものが、ひだのある袋に包まれて鎮座している。水遊びしたせいか、ちぢこまっている。
「かわい」
真奈は、鞘にちょん、と触れてみた。
ぴく、と鞘が動く。
「おもしろい」
今度はつまんでみた。奇妙な手ざわりだ。硬いようで柔らかいようで。皮の下で、コリっとしたものが動いたようだ。
皮を上下に動かしてみた。女の子雑誌で見たことがある。男の子はこうやってオナニーするのだ。
真奈の指のなかで、ハルキのものが少しふくらんだ。
「わっ」
びっくりして指をはなす。しげしげと観察した。
半立ちになったそれは、ぴくんぴくん動いている。
「これが……ボッキするってことなのかなあ」
真奈は胸をおさえた。はっとする。掌がふれた、自分の乳房がなんだか張っているような気がする。乳首が立っている。水からあがってちょっと寒いからだ、と思おうとした。興奮しているわけじゃない。でも。
股をこすりあわせてみる。ぬるっとする。ああ――濡れちゃってる。
これを触ったせいだろうか、真奈はハルキの側に座りなおして、その尖ったものにふたたび触れてみた。さっきよりも大きく、固くなっている。おとなのそれとはむろん比較にならないのだろうが、さっきとはえらいちがいだ。小指くらいだったものが、親指大にはなっている。もっと大きくなりそうだ。
と、ハルキの目が半開きになった。
びっくりして真奈は手を放した。ぷるん、とハルキのオチンチンが震える。
「お、起きてたの?」
「真奈おねーしゃん、ひどいでし」
ハルキは涙目になっている。
「ねむっているすきに、オチンチンにイタズラするなんて、でし!」
「ごっ、ごめんなさい!」
真奈はうろたえた。ほんとうにどうかしていた。なんてことをしてしまったのだろう。
「これは、レイプとおんなじでし、ひどいでし、うあああ」
泣き出した。真奈は平身低頭するのみだ。
「ごめんなさい、――あやまっても許してもらえないかもしれないけど――なんでもするから、泣かないで」
「……ほんとでしか?」
涙をとめて、ハルキが訊く。
「ほんとよ」
「ほんとにほんとでしか?」
「ほんとにほんとよ」
「じゃあ、まなねーしゃんのあそこ、ちゃんと見せてほしいでし」
にったら、とハルキは笑った。さっきまでの可憐な涙がうそのような笑顔だ。
「えっ、ええっ!?」
真奈は膝立ちであとずさる。よく考えたら、いまの真奈も全裸なのである。ようやく気がついて股間を隠す。
「だめっ、そんなこと」
「なんでもするって言ったでし」
「そんなあ……」
「さっき、真奈おねーしゃんは、ぼくのチンチンをじっくり見てたでし」
「お、起きてたのぉ?」
「ノーコメント、でし」
にやにやとハルキは笑う。はめられた、と真奈は思う。
「約束でし、約束」
ハルキは満面に笑みを浮かべていた。