真奈は、ハルキとともに森のなかに入った。
バスケットを持っている。これに木の実などをつめていくのだ。こんなたんなるカゴが、原始生活においてはなんと便利で貴重なものか、体験すると実感する。
ブランドもののアクセサリーやデザインのみ凝ったバッグ類はほとんど用をなさない。役立つのは、ナイフや鍋、器、かご、ロープ、そういったものだ。
いかに現世がめぐまれていたかがわかる。コックをひねるだけできれいな水が出るばかりか、お湯さえも使えるのだ。
ここでの生活での一番の悩みは風呂がないことだ。風呂好きの真奈としては、あたたかいお風呂でくつろげないのがいちばんつらい。お風呂、お風呂、真奈はぼんやりと考えていた。
すると。
「あっ、まなねーしゃん、泉でし!」
ハルキが指差した。
「ほんとだわ。うそみたい」
森の奥、その泉は忽然と姿をあらわしていた。澄みきった水をこんこんと湧き出させており、充分肩までつかれそうな水位がある。手を入れて見ると、冷たいが、がまんできないほどでもない。むしろ、高温多湿な森のなかでは心地よいくらいだった。
「どうしてこんなすてきな場所をシンダラーさん、教えてくれなかったのかなあ」
「そんなことどうでもいいでし」
ハルキは泉の水を手ですくって、匂いをかいでいる。
「ふみ。おさけではないでし。まみずでし」
ハルキはスモックを脱ぎすてた。その下は裸だ。まったくむけていないオチンチンも丸出しだ。真奈はつい目をそらした。
ハルキはかまわず、泉に足を入れていた。
「ふひーっ、つめたくて、気持ちいいでしっ」
ハルキでも足が立つくらいの深さのようだ。それでも、もう少し進めば、深みがありそうだ。
「ハルキくん、あぶないよ」
ハルキが真奈をふりかえる。
「まなおねーしゃんもくるといいでし! すごく気持ちいーでし!」
「でも……」
真奈は自分の姿を見直す。ブラとパンティだけだが、これをそのまま着けて入るのには抵抗がある。とはいえ、裸になるのは、ハルキの手前、どうかと思う。
それでも。
「あー、いきかえるでしー」
清水に身をひたしながらはしゃぐハルキがうらやましくてならない。それに、ほっておくと、深い方に行ってしまいそうだ。
「――しょうがないなあ」
真奈は肩をすくめた。どうせハルキには何度か見られてしまっているのだし、それにちっちゃい男の子だ、と自分を納得させる。それに、なんだかドキドキしている自分も意識している。
真奈はブラを取り、それから、ちょっとためらってからパンティをぬいだ。しばらく穿きつづけていたからしみがついている。あとで洗おう、と思いつつ、股の部分は隠すようにして折り畳んだ。
ハルキが期待一杯の顔で真奈を見つめている。
見られている、と真奈は思った。
手で隠したりしない。胸も、あそこも、ハルキの前にさらしていた。真奈は自分の行動に驚いていた。ふつうの幼稚園児だったらむしろこのほうが自然なのだが、相手はハルキである。会ったばかりの時だったら、けっしてこんな振る舞いはしないだろう。でも、もうハルキはファミリーのようなものだ、という気がしていた。
それに、ハルキはどうあがいても、真奈に触ったりキスしたりする以上のことはできないのだ。
なんとなく、それが物足りないような気もしている真奈である。
泉に入っていくと、ハルキが感動したようにつぶやいた。
「きれいでし、まなねーしゃん」
「そうかな? 照れちゃうな」
真奈は顔を赤くした。
水の冷たさに反応して、真奈の乳首はピンと立っていた。
真奈はそっと膝を折った。
水が腿を浸していき、それからさらにその上にせまってくる。
つめたい。
「あ」
真奈は声をもらした。清浄な水が股間を覆っていた。冷たいけど、気持ちいい。
上体をかがめ、胸を水につける。顔を洗うために、ヒップをあげた。
「わお!」
背後で声がした。ハルキだ。
「まなねーしゃんのおしりのアナが見えたでし! あそこもバッチリでしでし!」
「んもうっ!」
真奈は水のなかに身体をしずめた。やっぱり油断も隙もない。