がくえん おうじゃ
学園王者2
〜真奈の異常な漂流〜
第五回 漂着

 9

 とりあえず、ふもとにおりるルートをさがすべきだと真奈は判断した。

 むろん、出現した場所で救助を待つという手段もあるが、それはあくまでも通常の遭難の場合だ。異なる時空の世界では、時間の進み方もばらばらであるため、たとえ太助がすぐにこの空間を探し当てたとしても、その時点ではこの地では数百年が経ってしまっている、なんてこともありうるのだ。

 つまり、この世界でも自活できる基盤をかため、その上で救助を待つ、という心構えが必要になるわけだ。

 だが、言うはやすし、行なうは難し、である。

 道すらない岩山を下りていくのだ。まず、幼稚園児にはむりな仕事である。やむなく真奈がだっこして下りていくことになるが、難所が多く、何度もルートをかえてやり直さねばならなかった。

 そうこうするうち、この空間では一日の概念があるらしく、太陽が西に――むろん、ほんとうにそれが西といえるのかわからないのだが――傾きはじめた。

 気温もどんどん下がっていった。昼のうちは暑いくらいだったのに、陽が落ちたとたんに冷気が忍びよってきた。岩山のような地形では寒暖差がものすごいのだ。

「も、だめ」

 真奈は疲れきってへたりこんだ。真奈の腕のなかからハルキが飛び出して、あたりを見回す。

「ねー、ここできょうはおとまりするでしか?」

「そーね、そーしましょ」

 そこは、岩棚が頭上に張り出し、周囲も岩で囲まれている場所だ。たぶん、外敵がこの世界にいたとしても、発見されにくい場所であるはずだった。それに、もしも夜のあいだに雨が落ちてきたとしても、岩棚が守ってくれるはずである。夜、雨に濡れたら、たぶん夜明けの冷えこみで凍死してしまうだろう。

 べつに訓練をうけたわけではないが、生き残るための本能が真奈にこの場所を選ばせたのであろうか。あるいは、岩にかこまれた場所に迷いこんでしまって、もはや別の場所へ行く気力を失ったのかもしれないが。

 幸い、バスケットは紛失しなかったから、夕食にはありつけた。いろいろなアクションを経たおかげで、おにぎりとおかずが入り乱れてしまっていたけれども、疲労した身体にはたとえようもない美味だった。

 腹がくちくなると、睡魔がおそってきた。

「さー、しょやでしゅ、おとこいりでし」

「どこから、そーゆー言葉を……はあ」

 はしゃぎまわるハルキを叱責する元気ももはや真奈にはない。

 倒れこむと、そのまま寝息をたてはじめる。

10

 ハルキは、真奈の顔をぺちぺち叩き、寝入ってしまったことを確認すると、そばに座りこむ。

 陽は落ちてしまったが、雲が依然として光を宿していて、真っ暗というわけではない。ここは、夜のない、たそがれの世界なのだろうか。

「ったく、まなねーしゃんたら、ひとりでさっさとねてしまって、ふつーならぼくがねいるまでおはなちしたりするのがふつーでし」

 くちをとがらせての独り言だが、といって真奈の寝顔を見つめる視線はやさしい。

「かわいーでし。みせーじゅくなじょしこーこーせいをすきになるなんて、ぼく、ろりこんになっちゃったんでしか……でも、としもちかいし、これってほんとのこいかも……」

 と、その視線が、ゆっくり上下する胸に移動する。

「……いけないでし。まなねーしゃんがていこーできないときにするのはおとこらしくないでし……。ああ、でも、でも、おとこのさがにはさからえないでし……」

 ハルキの手が真奈のブラウスに伸び、ゆっくりとボタンを外していく。

 夏服だから、複雑な下着は着けていない。布地がめくりあがるにしたがい、胸の隆起があらわになる。ブラジャーはフロントホックだ。

「なんどもさわったけど、みるのははじめてでしゅ。どきどきするでし!」

 ハルキの手が軽くふるえ、それでも迷いなくホックの位置をさぐりあてる。なれている。

 ぷち。

 ブラが外れ、真奈のこぶりだが弾力にとんだふくらみがあらわになった。

 ハルキはもみじのような手をその隆起にあてがっていく。

「かわいいおっぱいでしねえ」

 ハルキはゆっくりと掌で真奈の乳房を揉みしだく。

 指先で乳首をこりこりと刺激する。少しずつ、かたくなっていくのが指先の感覚でわかる。

「ん……」

 真奈の寝息がすこし早くなる。

「きれいな乳首でしゅ。ちゅーしたげるでし」

 ハルキの舌が真奈の乳首に直接触れ、そして、ゆっくりとねぶりはじめる。

「う……ふ……」

「やっぱりわかいおねーしゃんの乳はおいしーでし」

 桜色の真奈の乳首が赤く染まっていく。ちゅうちゅう吸われているせいだ。

 真奈の眉間にしわがよっていた。吸われるのが痛いのか、それとも気持ちいいのか。それでも眼がさめるにはいたらない。よほど眠りが深いのか。

「こんどは下をためすでしゅ」

 ハルキは小柄な身体を利して、真奈のスカートのなかにもぐりこむ。

「ばっ」

 とスカートをめくりあげる。

 白いパンティだけつけた下半身があらわれる。ちょっと寝相がわるい真奈は、ゆるやかに膝を開いた状態だ。

「よばいみたいでドキドキするでし。むかしをおもいだすでし」

 ハルキは遠い昔をなつかしむ口調でつぶやく。

「さんふじんかびょーいんにいたころ、となりのベッドのおんなのこのおしめをとっていらいでし」

 しばし記憶のなかで遊んでいるようだ。が、ゆっくりと首を横にふる。

「でもあれはつまんなかったでし。はんせいしているでし」

 ハルキは真奈の股間に手を入れ、もこっとしたふくらみの部分を愛撫した。

「これでし。この、せいじゅくの一歩てまえなカンジがいいのでし」

 ワレメのあたりをパンティの上からたしかめる。

「――そろそろぬがすでしゅ」

 さすがに緊張の面持ちで、パンティをずらしにかかる。

 その、時だ。

「はっ!」

 弾かれたようにハルキは振りむいた。そこには大きな影がいた。影はハルキと真奈をのぞきこむように上体をかがめた。

 ハルキの顔が驚きと恐怖にゆがむ。

「だ、だれでしかぁーっ!」

 ざしゅん。

 さばぁーっ!

 すさまじい噴出音とともに、濃密な鉄の匂いをひめた熱い液体があたり一面にちらばった。

つづく!