とりあえず、ふもとにおりるルートをさがすべきだと真奈は判断した。
むろん、出現した場所で救助を待つという手段もあるが、それはあくまでも通常の遭難の場合だ。異なる時空の世界では、時間の進み方もばらばらであるため、たとえ太助がすぐにこの空間を探し当てたとしても、その時点ではこの地では数百年が経ってしまっている、なんてこともありうるのだ。
つまり、この世界でも自活できる基盤をかため、その上で救助を待つ、という心構えが必要になるわけだ。
だが、言うはやすし、行なうは難し、である。
道すらない岩山を下りていくのだ。まず、幼稚園児にはむりな仕事である。やむなく真奈がだっこして下りていくことになるが、難所が多く、何度もルートをかえてやり直さねばならなかった。
そうこうするうち、この空間では一日の概念があるらしく、太陽が西に――むろん、ほんとうにそれが西といえるのかわからないのだが――傾きはじめた。
気温もどんどん下がっていった。昼のうちは暑いくらいだったのに、陽が落ちたとたんに冷気が忍びよってきた。岩山のような地形では寒暖差がものすごいのだ。
「も、だめ」
真奈は疲れきってへたりこんだ。真奈の腕のなかからハルキが飛び出して、あたりを見回す。
「ねー、ここできょうはおとまりするでしか?」
「そーね、そーしましょ」
そこは、岩棚が頭上に張り出し、周囲も岩で囲まれている場所だ。たぶん、外敵がこの世界にいたとしても、発見されにくい場所であるはずだった。それに、もしも夜のあいだに雨が落ちてきたとしても、岩棚が守ってくれるはずである。夜、雨に濡れたら、たぶん夜明けの冷えこみで凍死してしまうだろう。
べつに訓練をうけたわけではないが、生き残るための本能が真奈にこの場所を選ばせたのであろうか。あるいは、岩にかこまれた場所に迷いこんでしまって、もはや別の場所へ行く気力を失ったのかもしれないが。
幸い、バスケットは紛失しなかったから、夕食にはありつけた。いろいろなアクションを経たおかげで、おにぎりとおかずが入り乱れてしまっていたけれども、疲労した身体にはたとえようもない美味だった。
腹がくちくなると、睡魔がおそってきた。
「さー、しょやでしゅ、おとこいりでし」
「どこから、そーゆー言葉を……はあ」
はしゃぎまわるハルキを叱責する元気ももはや真奈にはない。
倒れこむと、そのまま寝息をたてはじめる。
ハルキは、真奈の顔をぺちぺち叩き、寝入ってしまったことを確認すると、そばに座りこむ。
陽は落ちてしまったが、雲が依然として光を宿していて、真っ暗というわけではない。ここは、夜のない、たそがれの世界なのだろうか。
「ったく、まなねーしゃんたら、ひとりでさっさとねてしまって、ふつーならぼくがねいるまでおはなちしたりするのがふつーでし」
くちをとがらせての独り言だが、といって真奈の寝顔を見つめる視線はやさしい。
「かわいーでし。みせーじゅくなじょしこーこーせいをすきになるなんて、ぼく、ろりこんになっちゃったんでしか……でも、としもちかいし、これってほんとのこいかも……」
と、その視線が、ゆっくり上下する胸に移動する。
「……いけないでし。まなねーしゃんがていこーできないときにするのはおとこらしくないでし……。ああ、でも、でも、おとこのさがにはさからえないでし……」
ハルキの手が真奈のブラウスに伸び、ゆっくりとボタンを外していく。
夏服だから、複雑な下着は着けていない。布地がめくりあがるにしたがい、胸の隆起があらわになる。ブラジャーはフロントホックだ。
「なんどもさわったけど、みるのははじめてでしゅ。どきどきするでし!」
ハルキの手が軽くふるえ、それでも迷いなくホックの位置をさぐりあてる。なれている。
ブラが外れ、真奈のこぶりだが弾力にとんだふくらみがあらわになった。
ハルキはもみじのような手をその隆起にあてがっていく。
「かわいいおっぱいでしねえ」
ハルキはゆっくりと掌で真奈の乳房を揉みしだく。
指先で乳首をこりこりと刺激する。少しずつ、かたくなっていくのが指先の感覚でわかる。
「ん……」
真奈の寝息がすこし早くなる。
「きれいな乳首でしゅ。ちゅーしたげるでし」
ハルキの舌が真奈の乳首に直接触れ、そして、ゆっくりとねぶりはじめる。
「う……ふ……」
「やっぱりわかいおねーしゃんの乳はおいしーでし」
桜色の真奈の乳首が赤く染まっていく。ちゅうちゅう吸われているせいだ。
真奈の眉間にしわがよっていた。吸われるのが痛いのか、それとも気持ちいいのか。それでも眼がさめるにはいたらない。よほど眠りが深いのか。
「こんどは下をためすでしゅ」
ハルキは小柄な身体を利して、真奈のスカートのなかにもぐりこむ。
「ばっ」
とスカートをめくりあげる。
白いパンティだけつけた下半身があらわれる。ちょっと寝相がわるい真奈は、ゆるやかに膝を開いた状態だ。
「よばいみたいでドキドキするでし。むかしをおもいだすでし」
ハルキは遠い昔をなつかしむ口調でつぶやく。
「さんふじんかびょーいんにいたころ、となりのベッドのおんなのこのおしめをとっていらいでし」
しばし記憶のなかで遊んでいるようだ。が、ゆっくりと首を横にふる。
「でもあれはつまんなかったでし。はんせいしているでし」
ハルキは真奈の股間に手を入れ、もこっとしたふくらみの部分を愛撫した。
「これでし。この、せいじゅくの一歩てまえなカンジがいいのでし」
ワレメのあたりをパンティの上からたしかめる。
「――そろそろぬがすでしゅ」
さすがに緊張の面持ちで、パンティをずらしにかかる。
その、時だ。
「はっ!」
弾かれたようにハルキは振りむいた。そこには大きな影がいた。影はハルキと真奈をのぞきこむように上体をかがめた。
ハルキの顔が驚きと恐怖にゆがむ。
「だ、だれでしかぁーっ!」
ざしゅん。
さばぁーっ!
すさまじい噴出音とともに、濃密な鉄の匂いをひめた熱い液体があたり一面にちらばった。