神村弁護士は、手ずからコーヒーの給仕をしながら少女に話しかける。
「ふふ、まゆチャンがここへ来てくれたのはひさしぶりだなあ」
「ん……ちょっと息抜き」
ソファにかけているのは七瀬まゆだ。
「そういえば受験が近いんだよね。沢くんは?」
「仕事、いそがしいみたい」
つまらなさそうにまゆはコーヒーをすする。
「そうかあ……。また、<練習>するかい?」
なんでもないことのように弁護士が水をむける。まゆはすこし考えて、首を横に振った。
「ん――やめとく」
「したくないのかい?」
「だって、おじさま、練習なのにほんとうに入れようとするんだもん」
責める口調ではない。弁護士は破顔した。
「あっはは、だいじょうぶだよ、絶対入れたりしないよ」
「ほんと?」
「ほんとだとも。まゆチャンはおじさんにさわられたりするの、いやかい?」
「ううん」
「気持ちいいだろ?」
すこしためらってから、まゆはうなずいた。
「じゃあ、決まりだ。受験のストレスも<練習>すればふっとぶさ。さ、いつものようにビデオの準備するからね」
「ぜんぶ脱ぐ?」
立ちあがりながら、まゆは訊いてきた。
「ああ、ぜんぶお脱ぎ。いい子だね」
にやあり、弁護士は笑った。